アイネス
INES Corporation
最終更新日: 2026年3月29日
自治体DXを支える、社会インフラの縁の下の力持ち
挑戦と変革を通じ、情報サービスで社会の未来を共創する。
この会社ってなに?
あなたが市役所や区役所で住民票の写しを取ったり、税金の相談をしたりするとき、その手続きを円滑に進めているコンピューターシステムの多くは、アイネスのような会社が開発・運用しています。普段は目にすることのない「行政の裏側」で、私たちの暮らしに必要な情報を安全に管理し、職員の方々の仕事をサポートしているのです。また、銀行のシステムや企業のデータ管理など、社会の重要なインフラをITの力で支える縁の下の力持ち、それがアイネスの事業です。
独立系のシステムインテグレーターで、特に地方自治体向けシステム開発に強みを持ちます。FY2025は売上高405.6億円、営業利益35.36億円を計上しましたが、足元では自治体システム標準化対応の遅れが響き、2026年3月期の業績予想を赤字へ大幅に下方修正しました。この大規模プロジェクトの立て直しと、筆頭株主である三菱総合研究所との提携を活かした成長軌道への復帰が目先の焦点となります。
会社概要
- 業種
- 情報・通信業
- 決算期
- 3月
- 本社
- 東京都中央区日本橋蛎殻町1-38-11
- 公式
- www.ines.co.jp
社長プロフィール

創業以来、独立系システムインテグレーターとして社会の発展に貢献してきました。長年培った技術とノウハウを基盤に、お客さまと共に新たな価値を創造し、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。これからも挑戦と変革を続け、情報サービスで社会の未来を共創することを目指します。
この会社のストーリー
株式会社協栄生命保険(現ジブラルタ生命保険)の計算部門が分離独立し、資本金2,000万円で設立。日本の情報サービス産業の草分けとして歩みを始める。
創業から約23年、事業の成長と安定性を背景に株式上場を果たす。これにより社会的信用を高め、さらなる事業拡大の基盤を築いた。
市場第二部への上場からわずか2年で市場第一部へ。企業としての成長スピードと信頼性を市場に示した。
創立35周年を機に、情報ネットワークサービス企業としてのアイデンティティを明確にするため、Information Network Engineering & Solutionsの頭文字から「INES」へ社名を変更した。
更なる成長を目指し、三菱総合研究所と提携。双方の強みを活かし、公共分野や金融分野で新しいサービスを提供していく体制を構築した。
創業60周年を迎え、新たなワークプレイスとして本社を日本橋蛎殻町へ移転。次の成長に向けた新たなスタートを切った。
主力事業である公共分野において、システム標準化プロジェクトの遅延が発生。短期的な業績への影響が課題となる。
売上高500億円、営業利益率10%以上を目標とする「2026中期経営計画」を推進。事業基盤の強化と成長分野への投資を通じて、企業価値の向上を目指す。
注目ポイント
独立系SIerとして、特に地方自治体向けの総合行政情報システムに豊富な実績を持つ。社会インフラを支える安定した事業基盤が魅力だ。
業績に変動はあるものの、株主還元を重視する姿勢を継続。2026年3月期は下方修正後も年間配当50円を予定しており、安定したインカムゲインが期待できる。
三菱総合研究所との提携や、DX推進支援、AIを活用した新サービス開発など、従来の強みを活かしつつ新たな事業領域へ挑戦している。短期的な課題を乗り越えた先の成長に期待がかかる。
サービスの実績は?
ひとめ診断
配当・優待はもらえる?
| 期 | 1株配当 | 配当性向 |
|---|---|---|
| FY2021/3 | 40円 | 66.5% |
| FY2022/3 | 40円 | 69.9% |
| FY2023/3 | 45円 | 36.8% |
| FY2024/3 | 50円 | 57.9% |
| FY2025/3 | 55円 | 47.0% |
現在、株主優待制度は実施していません。
配当方針として利益成長に応じた株主還元を重視しており、近年は増配基調を維持しています。配当性向は概ね40〜50%台を目安に調整されており、持続的な配当支払いが可能な水準です。今後は業績変動リスクを考慮しつつも、安定的な配当継続を基本スタンスとしています。
同業比較(収益性)
情報・通信業の同業他社平均と比べると…
業績推移
儲かってるの?
当社の売上高は400億円前後で推移しており、自治体向けシステム標準化関連の特需や開発の遅延が業績に大きな影響を与えています。FY2023/3には営業利益38億円を記録しましたが、直近ではプロジェクトの品質対応や計画見直しにより、一時的な利益の圧迫が見られます。今後は標準化案件の収束とともに、新たなソリューション展開による収益性改善が期待されています。
稼ぐ力はどのくらい?
| 期 | ROE | ROA | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 3.7% | 2.8% | 6.7% |
| FY2022/3 | 3.8% | 2.8% | 4.9% |
| FY2023/3 | 7.0% | 5.2% | 9.0% |
| FY2024/3 | 4.7% | 3.3% | 7.1% |
| FY2025/3 | 6.2% | 4.3% | 8.7% |
営業利益率は直近で8.7%を確保しており、情報サービス業として安定した収益基盤を維持しています。ROEはFY2023/3に7.0%まで上昇しましたが、直近ではプロジェクト遅延の影響もあり6.2%へ調整しました。システムインテグレーターとして、高付加価値なDX支援案件へのシフトが今後の収益性向上に向けた重要課題です。
財務は安全?
自己資本比率は69.1%と極めて高く、極めて強固な財務体質を誇っています。FY2024/3以降、有利子負債が180億円規模へ増加していますが、これは将来の成長に向けた戦略的な投資や事業基盤強化のための資金調達によるものです。豊富な純資産を背景とした安定感は、長期的な経営の安定性を担保しています。
お金の流れは?
| 期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | FCF |
|---|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 19.2億円 | -116億円 | -9.7億円 | -96.8億円 |
| FY2022/3 | 64.3億円 | -14.2億円 | -56.4億円 | 50.0億円 |
| FY2023/3 | 24.2億円 | -21.4億円 | -8.5億円 | 2.8億円 |
| FY2024/3 | 21.4億円 | -99.9億円 | 39.5億円 | -78.5億円 |
| FY2025/3 | 14.8億円 | -2.9億円 | 15.4億円 | 11.9億円 |
営業キャッシュフローは安定してプラスを維持しており、本業での稼ぐ力は健在です。FY2024/3の投資キャッシュフローがマイナス約100億円となっているのは、主に設備投資やシステム開発への積極的な資金投下によるものです。一時的なFCFのマイナスは成長に向けた布石であり、キャッシュポジションには依然として余裕があります。
この会社のリスク
有価証券報告書に記載されている主なリスク要因です。投資判断の参考にしてください。
税金はいくら払ってる?
| 期 | 税引前利益 | 法人税等 | 実効税率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 29.3億円 | 14.9億円 | 51.0% |
| FY2022/3 | 20.6億円 | 7.6億円 | 36.9% |
| FY2023/3 | 38.8億円 | 13.4億円 | 34.5% |
| FY2024/3 | 27.3億円 | 9.4億円 | 34.3% |
| FY2025/3 | 36.1億円 | 11.7億円 | 32.5% |
法人税等の支払額は利益水準に連動して推移しており、実効税率は概ね30%台前半で安定しています。FY2021/3には特殊要因により実効税率が50%を超える局面もありましたが、直近では会計上の損益と課税所得の差異が解消され、標準的な水準に収束しています。今後も適正な税務処理を通じて、キャッシュアウトの最適化が図られる見通しです。
社員の給料はどのくらい?
| 期 | 平均年収 | 従業員数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 当期 | 704万円 | 1,247人 | - |
平均年収は704万円と、独立系システムインテグレーター(SIer)としては堅実な水準です。自治体向けなどの安定的な公共系案件を主力としており、長期的なキャリア形成が可能な環境が反映されています。
誰がこの会社の株を持ってる?
安定株主が一定の割合を占めており、経営基盤は比較的安定しています。 外国人投資家の保有比率が高く、グローバルな投資家からの評価が反映されやすい銘柄です。 主な安定株主は三菱総合研究所・GOLDMAN SACHS INTERNATIONAL (常任代理人 ゴールドマン・サックス証券)・アイネスグループ社員持株会。
株式会社三菱総合研究所が筆頭株主として19.48%を保有しており、緊密な業務・資本提携を通じて経営の安定性と事業連携を支えています。海外投資家の影響力も一定程度あり、持株会や金融機関が株主として並ぶ堅実な構成です。
会社の公式開示情報
役員報酬
地方自治体向けの総合行政情報システムを中核に展開していますが、システム標準化対応の遅れや金融向け開発の減少がリスク要因として顕在化しています。足元では減損損失の計上など、構造的な収益力の見直しを迫られています。
この会社のガバナンスは?
女性役員比率が27.0%と比較的高い水準にあり、多様性を重視したガバナンス体制を構築しています。監査等委員会設置会社として、独立社外取締役の監督機能を通じて企業規模に見合った透明性の確保に努めています。
会社の計画は順調?
※ 会社が公表した計画に対する達成度の評価であり、投資についての評価・推奨ではありません
年度別の予想精度(計画を守れてる?)
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2023 | 430億円 | — | 424億円 | -1.4% |
| FY2024 | 430億円 | — | 406億円 | -5.7% |
| FY2025 | 440億円 | — | 406億円 | -7.8% |
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2023 | 33億円 | — | 38億円 | +15.2% |
| FY2024 | 40億円 | — | 29億円 | -28.1% |
| FY2025 | 40億円 | — | 35億円 | -11.6% |
当初予想 = 期初に会社が発表した数字 / 乖離 = 予想と実績のズレ(+なら上振れ)
FY2026を最終年度とする中期経営計画は、売上高500億円、営業利益率10%以上を掲げていますが、主力の自治体向けシステム標準化プロジェクトの遅延により、FY2026(2026年3月期)の業績予想は赤字転落へと大幅に下方修正されました。これにより、現中計の目標達成は事実上不可能となっています。過去の業績予想も未達が続いており、計画策定能力と実行力に課題があると言わざるを得ません。
この株を持っていたら儲かった?
この会社の株主総利回り(TSR)を、日本株全体の平均(TOPIX)と比較したグラフです。青い線が上にあるほど、平均より良い成績を出しています。
TSR(株主総利回り)は、配当と株価上昇を合わせた総合的な投資リターンを示す指標です。FY2021からFY2025までの5年間、アイネスのTSRは一貫して市場平均であるTOPIXのパフォーマンスを下回っています(アンダーパフォーム)。これは、増配を継続しているものの、それを上回る株価の伸び悩みが主な要因です。特に、主力事業の成長鈍化や業績予想の未達が、市場からの評価を低く抑え、結果としてTOPIXとの差が開く形となっています。
※ 配当を含まない株価ベースのリターンです。過去の実績であり、将来のリターンを保証・示唆するものではありません。
もし5年前に投資していたら?
| 年度末時点 | 評価額 | 損益 | TSR |
|---|---|---|---|
| FY2021 | 101.1万円 | +1.1万円 | 1.1% |
| FY2022 | 126.4万円 | +26.4万円 | 26.4% |
| FY2023 | 110.6万円 | +10.6万円 | 10.6% |
| FY2024 | 128.3万円 | +28.3万円 | 28.3% |
| FY2025 | 139.1万円 | +39.1万円 | 39.1% |
※ 有価証券報告書記載のTSR(株主総利回り)に基づく仮定の計算です。配当再投資を含みます。将来のリターンを保証するものではありません。
株の売買状況と今後の予定
同社のPER(15.0倍)およびPBR(1.07倍)は、情報・通信業の業界平均(PER 24.9倍, PBR 1.8倍)と比較して割安な水準にあります。これは、直近の業績下方修正や成長の鈍化懸念が株価に織り込まれているためと考えられます。信用倍率は0.52倍と売り残が買い残を上回っており、将来の株価下落を見込む投資家が多いことを示唆しています。目先の決算発表で、業績回復への道筋を示せるかが株価浮上の鍵となります。
メディアでどれくらい注目されてる?
メディア露出
メディア分布
競合比較
どんな話題が多い?
最近の出来事
公共分野のシステム標準化遅延により通期経常損益を4億円の赤字へ修正。
第3四半期累計で5.6億円の連結経常赤字を発表。
自治体標準準拠システムの稼働時期見直しを公表。
最新ニュース
アイネス まとめ
ひとめ診断
「官公庁システムの老舗、DXの波に乗るも『標準化』の壁に直面」
※ 本ページの情報は投資助言ではありません。掲載データは正確性を保証するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。
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