セイノーホールディングス
SEINO HOLDINGS CO.,LTD.
最終更新日: 2026年3月29日
物流業界の未来を創る、オープンなプラットフォーム戦略
業界の垣根を越えた協業(オープンパブリックプラットフォーム)を通じて、持続可能で豊かな未来を支える次世代の物流インフラを構築する。
この会社ってなに?
「カンガルー便」という名前を聞いたことがあるかもしれません。それがセイノーホールディングスの中核事業、西濃運輸のサービスです。あなたが普段お店で買う商品や、レストランで使われる食材の多くは、メーカーの工場や倉庫からお店まで運ばれる必要があります。その「企業から企業へ」の物流の裏側で、セイノーの黄色いトラックが全国を駆け巡っています。また、あなたがネット通販で注文した商品が、ブランドの倉庫から配送センターへ届けられる過程でも活躍しており、私たちの便利な生活を支える重要な社会インフラの役割を担っている会社です。
企業間物流(BtoB)の雄、セイノーホールディングスは、積極的なM&Aで事業規模を急拡大させています。直近の2025年3月期決算では、売上高7,373.8億円(前期比14.7%増)、営業利益298.83億円(同27.7%増)を達成し、特に三菱電機ロジスティクスの買収効果が大きく寄与しました。今後は「オープン・パブリック・プラットフォーム(OPP)」構想を掲げ、日本郵便など競合他社とも連携し、日本の物流インフラ全体の効率化を目指す壮大な戦略を推進しています。積極的な株主還元も特徴で、配当は3年で3.5倍以上に増加しており、PBR1倍割れからの脱却も視野に入れています。
会社概要
- 業種
- 陸運業
- 決算期
- 3月
- 本社
- 岐阜県大垣市田口町1番地
- 公式
- www.seino.co.jp
社長プロフィール

当社は物流を主軸に、金融や人材といった周辺領域までワンストップで価値を提供します。業界の垣根を越えたオープンな協業を通じて社会全体の課題解決に貢献し、お客様と共に未来の物流インフラを創造することを目指しています。
この会社のストーリー
創業者・田口利八が岐阜県益田郡萩原町(現下呂市)で事業を開始。これがセイノーグループの原点となる。
戦後の混乱期を経て、路線トラック事業を本格的に開始。今日の「カンガルー便」で知られる全国輸送網の礎を築く。
高度経済成長の波に乗り、事業規模を拡大。株式上場を果たし、社会的な信用と成長基盤を強固なものにする。
グループ経営の効率化と事業領域の拡大を目指し、持株会社であるセイノーホールディングス株式会社を設立。
物流業界全体の課題解決を目指し、競合他社とも連携するオープンな物流プラットフォーム構想を打ち出す。
約572億円を投じ、三菱電機ロジスティクスを買収。3PL(サードパーティ・ロジスティクス)事業を大幅に強化し、成長を加速させる。
日本郵便グループと業務提携を発表。長距離幹線輸送の共同運行など、業界の垣根を越えた協力関係を構築し、2024年問題に対応。
「Team Green Logistics」をスローガンに、物流の効率化と環境負荷低減を両立させる未来を目指す。2028年3月期に営業利益500億円の目標を掲げる。
注目ポイント
日本郵便や競合他社とも連携する「オープンパブリックプラットフォーム」構想を推進。業界全体の課題解決を目指すリーダーシップが魅力です。
三菱電機ロジスティクスを約572億円で買収するなど、大胆なM&A戦略で事業領域を拡大。既存の枠にとらわれない成長意欲がうかがえます。
業績好調を背景に3期連続で増配を発表。PBR1倍割れの解消にも意欲的で、株主への利益還元を重視する姿勢が明確です。
サービスの実績は?
ひとめ診断
配当・優待はもらえる?
| 期 | 1株配当 | 配当性向 |
|---|---|---|
| FY2021/3 | 27円 | 30.2% |
| FY2022/3 | 29円 | 30.7% |
| FY2023/3 | 56円 | 53.4% |
| FY2024/3 | 100円 | 119.4% |
| FY2025/3 | 102円 | 88.4% |
| 権利確定月 | 3月 |
当社は株主還元を重視しており、近年は配当を大幅に増額する方針へ転換しています。配当性向は一時的に高まったものの、業績の成長に合わせて還元水準を維持する姿勢を鮮明にしています。安定した配当に加え、株主優待制度も併用することで、個人投資家にとって魅力的なインカムゲインの機会を提供しています。
同業比較(収益性)
陸運業の同業他社平均と比べると…
業績推移
儲かってるの?
当社の売上高は、堅調な物流需要を背景にFY2025/3時点で約7,374億円まで拡大しており、成長基調を維持しています。FY2024/3は一時的に利益が圧迫されたものの、直近では三菱電機ロジスティクスの子会社化など戦略的なM&Aが奏功し、FY2026/3予想では過去最高水準の営業利益376億円を見込んでいます。今後も物流テック投資や効率化推進により、持続的な業績拡大を図る見通しです。
稼ぐ力はどのくらい?
| 期 | ROE | ROA | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 3.9% | 2.5% | 4.1% |
| FY2022/3 | 4.0% | 2.5% | 4.5% |
| FY2023/3 | 4.2% | 2.7% | 4.5% |
| FY2024/3 | 3.3% | 2.1% | 3.6% |
| FY2025/3 | 4.5% | 2.5% | 4.1% |
収益性に関しては、売上規模の拡大に対し営業利益率が3-4%台で推移しており、物流業界の構造上、薄利多売の側面が強い現状です。特にFY2025/3にはROEが4.5%まで回復しており、収益効率の改善が一定の成果を上げています。今後は高付加価値サービスの拡充により、さらなる利益率の向上を目指すフェーズにあります。
財務は安全?
財務健全性は極めて高く、長年無借金経営を維持してきましたが、直近ではM&A実施に伴い有利子負債が約3,466億円まで増加しました。これに伴い自己資本比率は51.5%へと変化しましたが、依然として安定した水準を確保しています。蓄積された利益剰余金を活用しつつ、積極的な事業投資と財務体質の維持の両立が今後の鍵となります。
お金の流れは?
| 期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | FCF |
|---|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 387億円 | -280億円 | -105億円 | 107億円 |
| FY2022/3 | 455億円 | -318億円 | -78.8億円 | 137億円 |
| FY2023/3 | 393億円 | -296億円 | -81.7億円 | 96.8億円 |
| FY2024/3 | 484億円 | -255億円 | -486億円 | 229億円 |
| FY2025/3 | 527億円 | -709億円 | 200億円 | -181億円 |
営業キャッシュフローは本業の好調により年間500億円規模の安定した創出能力を有しています。FY2025/3は三菱電機ロジスティクス等の大型買収に伴う投資キャッシュフローの支出が一時的に膨らみフリーキャッシュフローがマイナスとなりましたが、これは将来の成長に向けた戦略的な投資です。今後は事業の統合によるシナジー効果で、キャッシュ創出力をさらに強化する構えです。
この会社のリスク
有価証券報告書に記載されている主なリスク要因です。投資判断の参考にしてください。
税金はいくら払ってる?
| 期 | 税引前利益 | 法人税等 | 実効税率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 278億円 | 111億円 | 40.0% |
| FY2022/3 | 303億円 | 130億円 | 43.0% |
| FY2023/3 | 327億円 | 137億円 | 41.8% |
| FY2024/3 | 245億円 | 99.3億円 | 40.6% |
| FY2025/3 | 281億円 | 88.7億円 | 31.5% |
法人税等の支払いは、概ね税引前利益に対して40%前後の実効税率で推移しており、標準的な負担水準となっています。FY2025/3において実効税率が31.5%へ低下したのは、一時的な税務上の調整や優遇税制の影響と推察されます。安定した利益計上に伴い、今後も国や自治体へ相応の税負担を行う見通しです。
社員の給料はどのくらい?
| 期 | 平均年収 | 従業員数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 当期 | 692万円 | 31,432人 | - |
従業員の平均年収は692万円であり、陸運業界の平均と比較しても高い水準を維持しています。物流現場における人手不足対策として処遇改善が継続的に実施されており、給与水準は安定的な上昇傾向にあります。
誰がこの会社の株を持ってる?
安定株主が一定の割合を占めており、経営基盤は比較的安定しています。 主な安定株主は公益財団法人 田口福寿会・十六銀行。
大株主には公益財団法人田口福寿会や創業家関連と思われる田口氏が名を連ねており、創業家が強い影響力を保持する構造です。また、日本カストディ銀行や日本マスタートラスト信託銀行といった信託銀行の保有比率が高く、機関投資家からの関心も高い銘柄といえます。
会社の公式開示情報
役員報酬
主力は路線トラック輸送事業ですが、現在は物流テックへの投資や三菱電機ロジスティクスの買収など、事業ポートフォリオの多角化とDX推進を加速させています。労働コストの増大やドライバー不足が主な事業リスクとして認識されています。
この会社のガバナンスは?
女性役員比率が20.0%と一定水準を確保しており、多様な視点を取り入れたガバナンス体制の構築が進んでいます。連結子会社91社という大規模なグループを抱え、監査報酬も高額であることから、厳格な監査体制による企業統治が行われています。
会社の計画は順調?
※ 会社が公表した計画に対する達成度の評価であり、投資についての評価・推奨ではありません
年度別の予想精度(計画を守れてる?)
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2025 | 6,587億円 | 7,300億円 | 7,374億円 | +11.9% |
| FY2024 | 6,639億円 | — | 6,428億円 | -3.2% |
| FY2023 | 6,203億円 | — | 6,315億円 | +1.8% |
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2025 | 309億円 | 320億円 | 299億円 | -3.3% |
| FY2024 | 321億円 | — | 234億円 | -27.1% |
| FY2023 | 314億円 | — | 285億円 | -9.3% |
当初予想 = 期初に会社が発表した数字 / 乖離 = 予想と実績のズレ(+なら上振れ)
新中期経営計画「ロードマップ2028」では、FY2028に営業収益1兆円、営業利益600億円という野心的な目標を掲げています。これは、三菱電機ロジスティクス買収など大型M&Aをテコに、事業規模の飛躍的拡大を目指す強い意志の表れです。一方で、過去の業績予想を見ると、燃料費高騰や2024年問題などの外部環境変化の影響を受けやすく、特に利益面での予想乖離が散見される点には注意が必要です。計画達成には、M&A後のシナジー創出とコストコントロールが重要な鍵となります。
この株を持っていたら儲かった?
この会社の株主総利回り(TSR)を、日本株全体の平均(TOPIX)と比較したグラフです。青い線が上にあるほど、平均より良い成績を出しています。
TSR(株主総利回り)は、株価上昇と配当による総合的な投資リターンを示す指標です。FY2024まではTOPIXの上昇率を下回る(アンダーパフォーム)期間が続いていましたが、これは物流業界が抱える「2024年問題」や燃料費高騰への懸念が株価の重しとなっていたことが背景にあります。しかし、FY2025には223.4%とTOPIX(213.4%)を上回る(アウトパフォーム)パフォーマンスを達成しました。これは、三菱電機ロジスティクスという大型M&Aの成功と、それに伴う成長期待の高まり、そして大幅な増配といった積極的な株主還元策が市場に高く評価された結果と言えます。
※ 配当を含まない株価ベースのリターンです。過去の実績であり、将来のリターンを保証・示唆するものではありません。
もし5年前に投資していたら?
| 年度末時点 | 評価額 | 損益 | TSR |
|---|---|---|---|
| FY2021 | 133.8万円 | +33.8万円 | 33.8% |
| FY2022 | 99.7万円 | -0.3万円 | -0.3% |
| FY2023 | 134.0万円 | +34.0万円 | 34.0% |
| FY2024 | 198.4万円 | +98.4万円 | 98.4% |
| FY2025 | 223.4万円 | +123.4万円 | 123.4% |
※ 有価証券報告書記載のTSR(株主総利回り)に基づく仮定の計算です。配当再投資を含みます。将来のリターンを保証するものではありません。
株の売買状況と今後の予定
陸運業の平均PER(約35倍)やPBR(約1.5倍)と比較すると、セイノーHDの株価は依然として割安な水準にあると考えられます。特にPBRは1倍を割り込んでおり、資本効率改善への期待が株価上昇のポテンシャルを秘めています。一方で、配当利回りは4%を超えており、業界平均を大きく上回る高配当銘柄としての魅力も際立っています。信用倍率は4.99倍とやや買い残が多いものの、過熱感のある水準ではなく、堅調な需給環境がうかがえます。
メディアでどれくらい注目されてる?
メディア露出
メディア分布
競合比較
どんな話題が多い?
最近の出来事
三菱電機ロジスティクスを572億円で買収し、物流インフラの強化と国内・海外輸送網の拡大を実現。
日本郵便グループとの業務提携を発表し、2025年春以降の長距離輸送網の共同活用に向けた基盤を構築。
ハコベル等との連携により、東京5区においてお薬当日受け取りサービスを提供開始し、物流周辺領域へ進出。
最新ニュース
セイノーホールディングス まとめ
ひとめ診断
「『カンガルー便』の老舗が、M&Aとオープン戦略で『物流業界のプラットフォーマー』へと脱皮を図っている最中」
※ 本ページの情報は投資助言ではありません。掲載データは正確性を保証するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。
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