ヤマトホールディングス
YAMATO HOLDINGS CO.,LTD.
最終更新日: 2026年3月29日
「クロネコ」で暮らしを支え、物流の未来を創造する社会インフラ企業
私たちは、モノの輸送を超え、お客さまのサプライチェーンの全体最適化を支援するパートナーとなることを目指します。デジタル技術とオープンな協創を通じて、持続可能な物流ネットワークを構築し、豊かな社会の実現に貢献します。
この会社ってなに?
あなたが普段オンラインショッピングで注文した商品が、翌日には自宅に届く。この便利なサービスの裏側で、全国に張り巡らされたネットワークを駆使して荷物を運んでいるのがヤマトの「宅急便」です。商品の注文ボタンを押した瞬間から、倉庫での仕分け、トラックでの長距離輸送、そして配達員が玄関先まで届けるまで、一連の流れを支えています。コンビニから荷物を送ったり、旅行先からお土産を送ったりする時にも、きっと黒ネコのロゴを目にしたことがあるはず。私たちの便利な生活に欠かせない社会インフラの一部を担っている会社です。
宅配便最大手のヤマトホールディングスは、EC市場の拡大を背景に売上高1.7兆円台を維持するも、収益性の低下に直面しています。2025年3月期決算では、売上高1兆7,627億円に対し、営業利益は前期比64.5%減の142.06億円と大幅に落ち込みました。これは燃料費高騰や「2024年問題」に伴う人件費・外注費の増加が主因です。現在、事業構造改革や運賃改定を進めており、収益体質の改善が最大の経営課題となっています。
会社概要
- 業種
- 陸運業
- 決算期
- 3月
- 本社
- 東京都中央区銀座2丁目16番10号
- 公式
- www.yamato-hd.co.jp
社長プロフィール
私たちはサステナビリティの視点を経営の根幹に置き、事業を通じて社会課題の解決に貢献することを目指しています。経済環境や社会構造の変化に対応し、新たな価値を創造することで、すべてのステークホルダーの期待に応え、中長期的な企業価値向上を実現してまいります。
この会社のストーリー
小倉康臣氏が4台のトラックから事業を開始。日本で初めての路線トラック事業の認可を取得し、物流の歴史を切り拓きました。
東京・横浜と大阪・神戸を結ぶ定期路線便を開始し、日本の物流ネットワークの礎を築きました。
「電話一本で翌日配達」を掲げ、個人向け小口荷物輸送サービス「宅急便」を開始。日本のライフスタイルを大きく変える革新的なサービスとなりました。
温度管理が可能な「クール宅急便」を開始し、生鮮食品などの輸送ニーズに応え、新たな市場を開拓しました。
グループ全体の経営効率と競争力向上を目指し、持株会社であるヤマトホールディングスを設立しました。
EC市場の急拡大による荷物量増加と労働環境の課題に対応するため、運賃改定と働き方改革を断行。持続可能な物流への大きな一歩を踏み出しました。
ドライバーの時間外労働規制強化に対応すべく、共同輸送の推進やDX化を加速。業界全体の課題解決に向けた取り組みを開始しました。
2027年3月期を最終年度とする中期経営計画を策定。持続可能な物流ネットワークの構築と企業価値向上を目指し、新たな成長ステージへと進みます。
注目ポイント
個人向け小口貨物輸送のパイオニアであり、国内シェア約4割を誇るトップブランド。私たちの生活に欠かせない社会インフラとして、安定した事業基盤を築いています。
物流業界の大きな課題に対し、自社だけでなく他社とも連携する「オープンな共同輸送」やデジタル技術の活用を推進。未来の物流を創造する変革力に注目です。
厳しい事業環境の中でも配当を継続しており、安定した株主還元方針を掲げています。長期的な視点で企業を応援したい投資家にとって魅力的なポイントです。
サービスの実績は?
ひとめ診断
配当・優待はもらえる?
| 期 | 1株配当 | 配当性向 |
|---|---|---|
| FY2021/3 | 46円 | 30.4% |
| FY2022/3 | 46円 | 30.5% |
| FY2023/3 | 46円 | 36.3% |
| FY2024/3 | 46円 | 42.9% |
| FY2025/3 | 46円 | 41.1% |
現在、株主優待制度は実施していません。
配当方針として安定的な還元を重視しており、年間配当金は46円を継続維持しています。利益水準の低下により配当性向は上昇傾向にありますが、現時点では業績変動にかかわらず一定の配当水準を保つ「安定配当」を基本としています。今後は持続的な成長投資と資本効率のバランスを見ながら、株主還元の方針が再検討される可能性があります。
同業比較(収益性)
陸運業の同業他社平均と比べると…
業績推移
儲かってるの?
ヤマトホールディングスの業績は、宅配便需要の取り込みにより売上高は1兆7,000億円から1兆8,000億円規模で堅調に推移してきましたが、利益面では苦戦が続いています。物価高騰や2024年問題に伴う人件費・輸送コストの増加が収益を圧迫しており、2025年3月期には営業利益が約142億円まで急減しました。2026年3月期は構造改革による改善を見込んでいますが、コスト構造の適正化が喫緊の課題となっています。
稼ぐ力はどのくらい?
| 期 | ROE | ROA | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 9.7% | 5.2% | 5.4% |
| FY2022/3 | 9.4% | 5.1% | 4.3% |
| FY2023/3 | 7.4% | 4.1% | 3.3% |
| FY2024/3 | 6.4% | 3.3% | 2.3% |
| FY2025/3 | 6.3% | 3.0% | 0.8% |
同社の収益性は低下傾向にあり、営業利益率は2021年3月期の5.4%から、直近では1%を切る水準まで大きく悪化しています。これに伴いROE(自己資本利益率)も9%台から6%前後へ低下しており、資本効率の改善が求められる状況です。配送効率の向上や不採算荷物の適正化といった抜本的な収益改善施策が、今後のROE回復の鍵を握っています。
財務は安全?
財務基盤については、長年無借金経営を維持してきましたが、直近では戦略的投資に伴う借入金が増加し、自己資本比率は46.5%まで低下しました。総資産は物流網の強化に向けた投資等により1兆2,674億円へと拡大しています。今後は負債のコントロールを図りつつ、物流インフラ投資の成果をいかに収益へ還元できるかが健全性維持の焦点です。
お金の流れは?
| 期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | FCF |
|---|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 1,239億円 | 441億円 | -1,232億円 | 1,680億円 |
| FY2022/3 | 520億円 | -589億円 | -545億円 | -69.3億円 |
| FY2023/3 | 900億円 | -494億円 | -386億円 | 405億円 |
| FY2024/3 | 643億円 | -224億円 | -308億円 | 419億円 |
| FY2025/3 | 477億円 | -444億円 | 94.2億円 | 33.8億円 |
営業キャッシュフローは安定した輸送需要を背景にプラスを維持していますが、近年のコスト増により稼ぐ力(キャッシュ創出能力)は緩やかに減少しています。一方で、物流拠点の整備やDX投資といった設備投資(投資キャッシュフロー)が継続的に発生しており、フリーキャッシュフローは変動が激しい状況です。財務CFについては借入による調達局面も見られ、投資と配当の両立に向けたキャッシュ管理が求められています。
この会社のリスク
有価証券報告書に記載されている主なリスク要因です。投資判断の参考にしてください。
税金はいくら払ってる?
| 期 | 税引前利益 | 法人税等 | 実効税率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 940億円 | 373億円 | 39.7% |
| FY2022/3 | 843億円 | 284億円 | 33.6% |
| FY2023/3 | 581億円 | 122億円 | 21.0% |
| FY2024/3 | 405億円 | 28.3億円 | 7.0% |
| FY2025/3 | 196億円 | 0円 | 0.0% |
近年の税引前利益の減少に伴い、法人税等の支払額も縮小傾向にあります。特にFY2025/3には税引前利益が約196億円まで低下した影響で、実効税率は0%となっています。今後は業績の回復とともに納税額が本来の水準へと戻っていく見込みです。
社員の給料はどのくらい?
| 期 | 平均年収 | 従業員数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 当期 | 1,226万円 | 172,822人 | - |
従業員の平均年収は1,226万円と、物流業界の中では非常に高い水準にあります。これは、物流の2024年問題に伴う労働環境改善や、専門的な技能を持つ人材の確保に向けた処遇改善の取り組みが反映されている結果と考えられます。
誰がこの会社の株を持ってる?
安定株主が一定の割合を占めており、経営基盤は比較的安定しています。 主な安定株主はヤマトグループ社員持株会・明治安田生命保険相互会社・日本生命保険相互会社。
株主構成は機関投資家が中心であり、筆頭株主の日本マスタートラスト信託銀行(信託口)が16.57%を保有するなど、安定的な長期保有が特徴です。加えて「ヤマトグループ社員持株会」が上位に名を連ねており、従業員の経営参加意識が高いガバナンス体制が構築されています。
会社の公式開示情報
役員報酬
EDINET開示情報では、宅配便を中心とした物流事業が主力であり、事業リスクとして「物流の2024年問題」に伴うドライバー不足やエネルギー価格の高騰、EC市場の成長鈍化などが指摘されています。これらに対し、DX活用による効率化や高付加価値サービスの提供で対応を図っています。
この会社のガバナンスは?
女性役員比率は16.7%であり、多様な視点を取り入れる体制の強化が進められています。監査報酬に2億8,100万円を投じ、32社の連結子会社を統括する強固な監査体制を構築しており、大企業として高いコンプライアンス基準を維持しています。
会社の計画は順調?
※ 会社が公表した計画に対する達成度の評価であり、投資についての評価・推奨ではありません
年度別の予想精度(計画を守れてる?)
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2026 | 240億円 | 150億円 | — | -37.5% (下方修正) |
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2025 | 500億円 | — | 142億円 | -71.6% |
| FY2024 | 800億円 | — | 401億円 | -49.9% |
| FY2023 | 910億円 | — | 601億円 | -34.0% |
当初予想 = 期初に会社が発表した数字 / 乖離 = 予想と実績のズレ(+なら上振れ)
ヤマトHDは現在、2027年3月期に営業利益1,200億円を目指す中期経営計画を推進中ですが、初年度から厳しいスタートとなっています。FY2025の実績は142億円と目標に対して進捗が遅れており、続くFY2026の会社予想も400億円に留まります。 近年は期初に掲げた業績予想を大幅に下回る状況が続いており、特に利益面での下方修正が顕著です。「2024年問題」への対応コストやEC荷物の採算管理が計画通りに進んでいないことを示唆しており、投資家としては計画の実現可能性を慎重に見極める必要があります。
この株を持っていたら儲かった?
この会社の株主総利回り(TSR)を、日本株全体の平均(TOPIX)と比較したグラフです。青い線が上にあるほど、平均より良い成績を出しています。
TSR(株主総利回り)は、配当と株価上昇を合わせた総合的な投資リターンを示す指標です。ヤマトHDのTSRは、FY2022以降、市場平均であるTOPIXを一貫して下回る「アンダーパフォーム」の状態が続いています。特にFY2024以降はその差が拡大しており、TOPIXが200%を超える高いリターンを記録する中で、同社TSRは130%台に留まりました。これは、安定配当を継続しているものの、それを上回る株価の下落が全体のパフォーマンスを押し下げていることを示しており、厳しい事業環境が株主還元にも影響を与えている状況です。
※ 配当を含まない株価ベースのリターンです。過去の実績であり、将来のリターンを保証・示唆するものではありません。
もし5年前に投資していたら?
| 年度末時点 | 評価額 | 損益 | TSR |
|---|---|---|---|
| FY2021 | 181.6万円 | +81.6万円 | 81.6% |
| FY2022 | 140.5万円 | +40.5万円 | 40.5% |
| FY2023 | 141.8万円 | +41.8万円 | 41.8% |
| FY2024 | 138.0万円 | +38.0万円 | 38.0% |
| FY2025 | 129.1万円 | +29.1万円 | 29.1% |
※ 有価証券報告書記載のTSR(株主総利回り)に基づく仮定の計算です。配当再投資を含みます。将来のリターンを保証するものではありません。
株の売買状況と今後の予定
同社のPERは23.4倍と陸運業の平均(約15倍)を上回っており、現在の利益水準に対して株価は割高と評価されています。一方、PBRは0.98倍と1倍を割れており、資産価値の観点からは割安感があります。信用取引では買い残が売り残を大きく上回る8.91倍となっており、将来の株価上昇を期待する個人投資家が多い一方、需給面では戻り売りの圧力となり得ます。
メディアでどれくらい注目されてる?
メディア露出
メディア分布
競合比較
どんな話題が多い?
最近の出来事
2026年3月期の通期連結業績予想を修正し、純利益を240億円から150億円へ大幅減額した。
ヤマトホールディングスは7年ぶりにトップを交代し、櫻井敏之氏が次期社長に就任することを発表した。
SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)推進に向けた中期経営計画のアップデートを実施。
最新ニュース
ヤマトホールディングス まとめ
ひとめ診断
「物流の巨人が、EC時代の荒波と『2024年問題』の向かい風の中で、価格とサービスの両立を目指し苦闘している姿」
※ 本ページの情報は投資助言ではありません。掲載データは正確性を保証するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。
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