岩谷産業
IWATANI CORPORATION
最終更新日: 2026年3月29日
家庭用ガスから宇宙開発まで。未来のエネルギー『水素』をリードする総合エネルギー商社
ガス&エネルギーを基軸に、社会インフラを支え、人々の快適な暮らしに貢献することで、世の中にとって『なくてはならない企業グループ』となることを目指します。
この会社ってなに?
あなたがご家庭で使うプロパンガス(LPガス)は、もしかしたら岩谷産業が供給しているかもしれません。また、食卓で鍋を囲むときやキャンプで使うカセットこんろ『カセットフー』は、実は岩谷産業のロングセラー商品です。さらに、街で見かける半導体工場の裏側では、同社の特殊な産業ガスが製品づくりに欠かせない役割を果たしています。そして、将来あなたが水素で走るクルマに乗るなら、そのエネルギーを補給する水素ステーションの多くは岩谷産業が運営しているでしょう。私たちの生活と未来のエネルギーを陰で支えている会社です。
産業・家庭用ガス専門商社の国内最大手。FY2025は売上高8,830.1億円、営業利益462.28億円で着地し、前期比で減益となったものの、FY2026は売上高9,364億円、営業利益491億円と増収増益を見込んでいます。LPガス事業の安定収益を基盤に、将来の成長ドライバーとして水素事業へ積極投資を加速しており、コスモエネルギーHDとの資本業務提携で水素ステーション網の拡大やサプライチェーン構築を本格化させています。株価は52週高値圏で推移しており、次世代エネルギーへの期待が市場の評価を高めています。
会社概要
- 業種
- 卸売業
- 決算期
- 3月
- 本社
- 大阪府大阪市中央区本町三丁目6番4号
- 公式
- www.iwatani.co.jp
社長プロフィール

創業以来の『世の中に必要なものこそ栄える』という事業哲学のもと、ガス&エネルギーをコア事業として社会に貢献してきました。未来に向けては、脱炭素社会の実現に不可欠な水素エネルギーの普及を牽引し、社会課題の解決と企業価値の持続的向上にグループ一丸となって取り組みます。
この会社のストーリー
創業者・岩谷直治が大阪で酸素・カーバイド・溶接材料を扱う個人商店を創業。「世の中に必要なものこそ栄える」という信念が、ここから始まる。
「主婦をすすや煙から解放したい」という想いから、家庭用プロパン(LP)ガスの販売を開始。日本のエネルギー事情を大きく変える一歩となる。
事業の成長を背景に株式を上場。社会的な信用を高め、さらなる事業拡大への基盤を築く。
食卓で手軽に鍋料理が楽しめる画期的な商品「カセットフー」を発売。現在まで続くロングセラー商品となり、家庭の食文化に貢献する。
大阪府堺市に日本初の商用液化水素製造プラントを建設・稼働させ、水素エネルギー社会の実現に向けた本格的な歩みを開始する。
燃料電池自動車(FCV)の普及を見据え、兵庫県尼崎市に日本で最初の商用水素ステーションを開所。水素インフラ整備の先駆者となる。
水素事業の拡大と脱炭素社会の実現を加速させるため、コスモエネルギーホールディングスと資本業務提携。エネルギー業界の大きな変革をリードする。
「社会課題解決」と「持続的成長」を基本方針に、水素を中心としたエネルギー事業の強化を通じて、企業価値のさらなる向上を目指す。
注目ポイント
LPガスで国内シェアNo.1の実績を誇るだけでなく、未来のクリーンエネルギー「水素」の製造・輸送・販売で国内トップの実力を持ちます。全国に水素ステーションを展開し、脱炭素社会の実現をリードしています。
家庭用カセットこんろ「カセットフー」から、産業用ガス、マテリアル、食品まで事業は多岐にわたります。景気変動に強い安定した収益基盤を持ち、暮らしのあらゆる場面で社会を支えています。
コスモエネルギーHDとの提携による水素サプライチェーン構築や、再生医療分野への挑戦など、常に未来を見据えて社会課題の解決に挑んでいます。持続的な成長が期待できる企業です。
サービスの実績は?
ひとめ診断
配当・優待はもらえる?
| 期 | 1株配当 | 配当性向 |
|---|---|---|
| FY2021/3 | 75円 | 17.4% |
| FY2022/3 | 85円 | 16.3% |
| FY2023/3 | 95円 | 17.1% |
| FY2024/3 | 130円 | 15.8% |
| FY2025/3 | 47円 | 26.7% |
| 権利確定月 | 3月 |
配当方針は、継続的かつ安定的な還元を基本としつつ、成長戦略のための投資と株主還元のバランスを重視しています。近年は配当性向を意識した増配傾向が見られ、株主への利益配分に注力しています。安定したエネルギー需要を背景としたキャッシュ創出能力があるため、今後も株主還元の拡充が期待されます。
同業比較(収益性)
卸売業の同業他社平均と比べると…
業績推移
儲かってるの?
岩谷産業はLPガス首位を軸に、水素や産業ガスなどの基幹事業が安定した収益基盤を支えており、近年の売上高は8,000億円から9,000億円規模で推移しています。FY2024/3には純利益が約474億円と大幅な増益を達成しましたが、これは事業ポートフォリオの最適化や効率化が寄与した結果です。FY2026/3期にはさらなる売上高約9,364億円を目指しており、水素分野への積極投資により持続的な成長が見込まれています。
稼ぐ力はどのくらい?
| 期 | ROE | ROA | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 9.2% | 4.6% | 4.7% |
| FY2022/3 | 10.7% | 5.4% | 5.8% |
| FY2023/3 | 10.3% | 4.9% | 4.4% |
| FY2024/3 | 12.7% | 5.7% | 6.0% |
| FY2025/3 | 10.2% | 4.6% | 5.2% |
収益性については、営業利益率が5%前後で安定しており、事業の効率的な運営が示されています。特にFY2024/3には営業利益率が6.0%に向上し、ROE(自己資本利益率)も12.7%と資本効率が高まったことが注目点です。直近は先行投資等の影響もあり若干の変動はありますが、強固な産業ガス事業を背景に健全な利益水準を維持しています。
財務は安全?
財務健全性については、近年は設備投資や事業拡大に伴い有利子負債が計上されていますが、自己資本比率は40%台を維持しており一定の安定性を保っています。総資産は着実に増加しており、水素ステーション整備などの成長投資を積極的に進めていることが読み取れます。BPS(1株あたり純資産)についても長期的に右肩上がりのトレンドを維持しており、株主価値の向上に向けた財務基盤は強固です。
お金の流れは?
| 期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | FCF |
|---|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 488億円 | -288億円 | -70.5億円 | 199億円 |
| FY2022/3 | 131億円 | -319億円 | 80.4億円 | -189億円 |
| FY2023/3 | 515億円 | -603億円 | 110億円 | -88.2億円 |
| FY2024/3 | 549億円 | -1,613億円 | 1,054億円 | -1,064億円 |
| FY2025/3 | 524億円 | -584億円 | -20.2億円 | -60.0億円 |
営業活動によるキャッシュフローは常に500億円前後のプラスを確保しており、本業で安定して現金を稼ぎ出せている点が強みです。一方で投資活動には積極的で、水素ステーションや設備更新などへ年々大規模な投資を行っているため、フリーキャッシュフローはマイナスとなる時期もありますが、これは将来成長のための戦略的投資と言えます。財務活動においても安定した資金調達が行われており、バランスの取れた資金運用がなされています。
この会社のリスク
有価証券報告書に記載されている主なリスク要因です。投資判断の参考にしてください。
税金はいくら払ってる?
| 期 | 税引前利益 | 法人税等 | 実効税率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 344億円 | 112億円 | 32.5% |
| FY2022/3 | 464億円 | 164億円 | 35.4% |
| FY2023/3 | 470億円 | 150億円 | 31.9% |
| FY2024/3 | 662億円 | 188億円 | 28.5% |
| FY2025/3 | 615億円 | 210億円 | 34.2% |
法人税等の支払いは、連結経常利益の変動に連動して概ね30%前後の税率で推移しています。過去の年度では一定の税負担が計上されていますが、これは利益成長に伴う正常な納税プロセスです。なお、FY2026/3の予想税額は低水準に見えますが、これは決算期の税効果会計等の特殊要因を考慮した予想値である可能性が高いです。
社員の給料はどのくらい?
| 期 | 平均年収 | 従業員数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 当期 | 1,025万円 | 11,859人 | - |
従業員平均年収1,025万円という水準は、総合商社やエネルギー関連企業の中でも高水準であり、従業員への利益還元が適切に行われていると言えます。この背景には、LPガスや産業ガスという安定的な収益源に加え、水素関連などの成長分野への投資により、高い付加価値を創出していることが寄与していると考えられます。
誰がこの会社の株を持ってる?
安定株主が一定の割合を占めており、経営基盤は比較的安定しています。 主な安定株主は公益財団法人岩谷直治記念財団。
大株主には日本マスタートラスト信託銀行等の信託口が上位を占め、機関投資家の保有比率が高い一方で、公益財団法人岩谷直治記念財団が2位に位置するなど創業家に関連する財団が安定株主として影響力を保持しています。また、岩谷産業泉友会やイワタニ炎友会といった社内持株会的な組織も上位株主に名を連ねており、安定した株主構成を形成していることが特徴です。
会社の公式開示情報
役員報酬
岩谷産業は総合エネルギー事業を中核に、産業ガス・機械事業など多岐にわたるセグメントを展開しています。水素ステーション事業等の成長投資を加速させている一方、原材料価格の変動や為替リスクを事業リスクとして認識しており、これらの影響を多角化戦略でコントロールする姿勢が有価証券報告書からも見て取れます。
この会社のガバナンスは?
女性役員比率は6.3%と低水準に留まっており、多様性の確保は今後の課題です。一方で、監査報酬に1億1,200万円を投じている点は、連結子会社105社を擁する大規模な企業グループとしてのガバナンス体制を強化しようとする強い姿勢がうかがえます。
会社の計画は順調?
※ 会社が公表した計画に対する達成度の評価であり、投資についての評価・推奨ではありません
年度別の予想精度(計画を守れてる?)
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2023 | 8,030億円 | — | 9,063億円 | +12.9% |
| FY2024 | 9,070億円 | — | 8,479億円 | -6.5% |
| FY2025 | 9,020億円 | — | 8,830億円 | -2.1% |
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2023 | 350億円 | — | 400億円 | +14.4% |
| FY2024 | 450億円 | — | 506億円 | +12.5% |
| FY2025 | 527億円 | — | 462億円 | -12.3% |
当初予想 = 期初に会社が発表した数字 / 乖離 = 予想と実績のズレ(+なら上振れ)
現行の中期経営計画「PLAN27」では、最終年度FY2028に売上高1兆円、営業利益600億円を目標に掲げています。FY2025時点での進捗率は売上高88%、営業利益77%と順調に進んでいます。一方で、近年の業績予想は精度に課題があり、特にFY2025は営業利益で期初予想を12.3%下回るなど、外部環境の変動による影響を受けやすい側面が見られます。今後の計画達成には、水素事業などの成長分野を着実に収益化できるかが鍵となります。
この株を持っていたら儲かった?
この会社の株主総利回り(TSR)を、日本株全体の平均(TOPIX)と比較したグラフです。青い線が上にあるほど、平均より良い成績を出しています。
TSR(株主総利回り)は、FY2025に181.5%となり、TOPIXの213.4%を下回る結果となりました。これは、FY2025における減益や株式分割後の株価の伸び悩みなどが影響したと考えられます。ただし、FY2024までは4期連続でTOPIXをアウトパフォームしており、長期的な株主価値向上への意識は高い企業です。特に水素事業への先行投資が本格的な収益貢献フェーズに入れば、再びTSRがTOPIXを上回る可能性を秘めています。
※ 配当を含まない株価ベースのリターンです。過去の実績であり、将来のリターンを保証・示唆するものではありません。
もし5年前に投資していたら?
| 年度末時点 | 評価額 | 損益 | TSR |
|---|---|---|---|
| FY2021 | 191.3万円 | +91.3万円 | 91.3% |
| FY2022 | 147.6万円 | +47.6万円 | 47.6% |
| FY2023 | 167.5万円 | +67.5万円 | 67.5% |
| FY2024 | 247.3万円 | +147.3万円 | 147.3% |
| FY2025 | 181.5万円 | +81.5万円 | 81.5% |
※ 有価証券報告書記載のTSR(株主総利回り)に基づく仮定の計算です。配当再投資を含みます。将来のリターンを保証するものではありません。
株の売買状況と今後の予定
PERは9.7倍と業界平均の13.2倍を下回っており、割安感があります。一方でPBRは1.23倍と業界平均をやや上回り、資産価値以上に将来性が評価されていると言えます。信用倍率は13.22倍と高水準で、買い残が積み上がっており、将来の株価上昇への期待感が強い反面、需給の悪化による下落圧力にも注意が必要です。今後の決算発表で、市場の期待に応える業績を示せるかが焦点となります。
メディアでどれくらい注目されてる?
メディア露出
メディア分布
競合比較
どんな話題が多い?
最近の出来事
第3四半期累計の経常利益が前年同期比21.0%減となり、通期業績予想の下方修正を背景に株価が大幅反落しました。
宝塚歌劇団のスターを起用した大規模な貸切公演招待キャンペーンを開始し、ブランド認知向上を図りました。
水素事業の強化を目的に、コスモエネルギーHDとの資本業務提携を本格化させ、市場からの注目を集めました。
最新ニュース
岩谷産業 まとめ
ひとめ診断
「LPガス国内首位の巨人が、来るべき水素社会の覇権を握るべく石油元売まで巻き込むエネルギー革命を仕掛ける『ガスの王様』」
※ 本ページの情報は投資助言ではありません。掲載データは正確性を保証するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。
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