伊藤忠商事
ITOCHU Corporation
最終更新日: 2026年3月20日
非資源分野で圧倒的強さ、「三方よし」を体現する総合商社
ひとりの商人、無数の使命
この会社ってなに?
あなたが毎日立ち寄るファミリーマート、食卓に並ぶドール(Dole)のフルーツや肉・卵・コーヒー豆――これらすべてに伊藤忠商事が関わっています。コンビニ店舗の運営から食品の調達、繊維ブランドの展開まで、「生活のあらゆる場面」を裏側から支える身近な総合商社です。
伊藤忠商事は、繊維や食料、住生活など非資源分野に強みを持つ大手総合商社です。FY2025/3の連結純利益は8,803億円(前年比+9.8%)と堅調に拡大。ファミリーマートの完全子会社化やセブン銀行との資本業務提携、サンフロンティア不動産へのTOBなど、消費者接点を活かしたビジネスモデルの進化に注力しています。資本コストを強く意識した経営によりROEは14%を維持し、累進配当と機動的な自社株買いを組み合わせた総還元性向50%目途の積極的な株主還元姿勢も投資家から高く評価されています。
会社概要
- 業種
- 卸売業
- 決算期
- 3月
- 本社
- 東京都港区北青山2丁目5番1号
- 公式
- www.itochu.co.jp
社長プロフィール
近江商人の経営哲学「三方よし」の精神のもと、現場主義を徹底し、マーケットインの視点でビジネスを展開しています。変化の激しい時代においても、安定した成長と株主還元の強化を通じ、持続的な企業価値の向上に努めてまいります。
この会社のストーリー
初代伊藤忠兵衛が麻布の行商を開始。現在の経営理念である「三方よし」の原点となる。
戦後の財閥解体などの再編を経て、現在の伊藤忠商事株式会社が設立される。
バブル崩壊により多額の不良債権を抱えるも、痛みを伴う改革により財務体質を改善させる。
岡藤正広氏が社長に就任。繊維や食料などの「非資源分野」への注力を鮮明にし、収益力を劇的に高める。
アジア最大級のコングロマリットであるタイのCPグループと資本業務提携を結び、アジア市場での基盤を強化。
消費者との強固な接点を持つファミリーマートを完全子会社化し、「マーケットイン」のビジネスモデルを加速させる。
中期経営計画を廃止し、確約できる単年度の経営計画を公表する方針へ転換。DXやデータ活用を通じた新サービス創出も推進する。
注目ポイント
繊維、食料、住生活など消費者に身近な「非資源分野」で業界トップクラスの強さを誇ります。資源価格の変動リスクに強く、安定して利益を生み出す筋肉質な経営が魅力です。
ROE(自己資本利益率)16%という高い資本効率を目指しています。総還元性向50%を目途とし、配当の増額や積極的な自己株式取得など、投資家にとって嬉しい株主還元策を実施しています。
ファミリーマートという強力な顧客接点を活かし、消費者のニーズを起点とするビジネスを展開しています。購買データを活用した新サービスなど、AIやDX分野への投資も積極的です。
サービスの実績は?
ひとめ診断
配当・優待はもらえる?
| 期 | 1株配当 | 配当性向 |
|---|---|---|
| FY2016/3 | 50円 | 32.9% |
| FY2017/3 | 55円 | 24.6% |
| FY2018/3 | 70円 | 27.1% |
| FY2019/3 | 83円 | 25.6% |
| FY2020/3 | 85円 | 25.3% |
| FY2021/3 | 88円 | 32.6% |
| FY2022/3 | 110円 | 19.9% |
| FY2023/3 | 140円 | 25.6% |
| FY2024/3 | 160円 | 28.9% |
| FY2025/3 | 200円 | 32.5% |
現在、株主優待制度は実施しておりません。
伊藤忠商事は株主還元を経営の最重要課題の一つと位置づけ、4期連続の増配を実現しています。FY2021/3の88円からFY2025/3には200円へ、1株当たり配当を2倍以上に引き上げました。配当性向は20〜33%と余力を残しつつ、累進配当方針と機動的な自己株式取得を組み合わせた総還元性向50%目途の積極的な株主還元姿勢が投資家から高い信頼を獲得しています。
同業比較(収益性)
卸売業の同業他社平均と比べると…
業績推移
儲かってるの?
伊藤忠商事は5年間で売上収益を約10.4兆円から約14.7兆円へ42%拡大し、純利益も4,014億円から8,803億円へ倍増させました。非資源分野を中心とした強固な収益基盤により、資源価格の変動に左右されにくいバランスの取れた事業ポートフォリオを構築しています。FY2025/3はセブン銀行との資本業務提携やサンフロンティア不動産へのTOBなど成長投資を加速させつつ、連結純利益8,803億円(前年比+9.8%)と着実に利益を積み上げています。
事業ごとの売上・利益
鉄鉱石・石炭・アルミ等の金属資源権益。豪州・ブラジルの鉱山投資が中心で、資源価格の追い風を享受
Dole事業、穀物・食肉トレーディング、食品流通。生活必需品のため景気変動に強い安定収益源
ファミリーマート(約16,400店)を中核とするリテール事業。消費者接点を活かしたマーケットイン型ビジネスの要
ブランドビジネス、素材開発、アパレルOEM。ジョイックスコーポレーション等を通じた川上から川下までの垂直統合
プラント、自動車、建機、船舶等の取引・事業投資。EV・脱炭素関連の新規投資も推進
原油・LNG・電力のトレーディングと事業投資。再生可能エネルギーへの転換も段階的に推進
稼ぐ力はどのくらい?
| 期 | ROE | ROA | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 12.1% | 3.6% | - |
| FY2022/3 | 21.8% | 7.0% | - |
| FY2023/3 | 17.7% | 6.3% | - |
| FY2024/3 | 15.6% | 5.8% | - |
| FY2025/3 | 15.7% | 5.9% | - |
ROEはFY2022/3の17.2%をピークに13〜14%台で安定推移しており、総合商社の中でもトップクラスの資本効率を維持しています。ROAも5〜6%台と資産規模の大きな商社としては高水準です。営業利益率は4〜5%と薄利多売型の商社ビジネスとしては標準的ですが、純利益率は約6%と収益性は着実に改善しており、事業ポートフォリオの最適化による「稼ぐ力」の強化が数字に表れています。
財務は安全?
総資産は5年間で約11.2兆円から約15.1兆円へ35%拡大し、事業規模の着実な成長を反映しています。自己資本比率は29.7%から38.0%へ継続的に改善しており、利益の内部留保による財務基盤の強化が進んでいます。BPS(1株当たり純資産)も2,233円から4,059円へほぼ倍増。有利子負債はFY2024/3以降に約2兆円規模で計上されていますが、豊富な営業キャッシュ・フローで十分にカバーできる健全な水準です。
お金の流れは?
| 期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | FCF |
|---|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| FY2022/3 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| FY2023/3 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| FY2024/3 | 9,781億円 | -2,060億円 | -8,012億円 | 7,721億円 |
| FY2025/3 | 9,973億円 | -5,163億円 | -5,250億円 | 4,810億円 |
営業キャッシュ・フローは5年連続で8,000億円〜1兆円規模を安定的に創出しており、商社としての「稼ぐ力」の強さを示しています。投資キャッシュ・フローではM&Aや戦略的提携(サンフロンティア不動産TOB等)に積極的に資金を投じつつ、フリー・キャッシュ・フローは毎期4,800億円〜8,400億円のプラスを確保。財務キャッシュ・フローでは配当や自社株買いによる株主還元を着実に実行しており、成長投資と株主還元の両立が実現されています。
この会社のリスク
有価証券報告書に記載されている主なリスク要因です。投資判断の参考にしてください。
税金はいくら払ってる?
| 期 | 税引前利益 | 法人税等 | 実効税率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 5,125億円 | 1,110億円 | 21.7% |
| FY2022/3 | 1.2兆円 | 3,298億円 | 28.7% |
| FY2023/3 | 1.1兆円 | 3,063億円 | 27.7% |
| FY2024/3 | 1.1兆円 | 2,939億円 | 26.8% |
| FY2025/3 | 1.2兆円 | 2,748億円 | 23.8% |
グローバルに展開する事業特性上、各国における税務コンプライアンスを遵守し、適正な税負担を行っています。連結ベースでの税引前利益に対し、各国税率や繰延税金資産の影響を反映した法人税等が計上されています。経営状況の変動に応じて納税額は推移しますが、税務戦略は財務全体の健全性と整合性を保つよう適切に管理されています。
社員の給料はどのくらい?
| 期 | 平均年収 | 従業員数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 当期 | 1,805万円 | 115,089人 | - |
平均年収は4年間で約225万円上昇し、FY2025/3には1,804万円に到達。5大商社の中でも高水準を維持しています。従業員数は約4,100人と少数精鋭の経営スタイルで、一人あたりの稼ぐ力が際立っています。平均年齢42歳台で安定推移。
誰がこの会社の株を持ってる?
外国人・個人投資家の比率が高く、市場の需給が株価に反映されやすい構造です。 外国人投資家の保有比率が高く、グローバルな投資家からの評価が反映されやすい銘柄です。 主な安定株主は日本生命保険相互会社・みずほ銀行。
株主構成は、日本マスタートラスト信託銀行や日本カストディ銀行などの信託口が大半を占める安定的な構造です。国内外の機関投資家が上位に名を連ねており、創業家や特定の支配的な親会社が存在しない、透明性の高い経営体制を維持しています。
会社の公式開示情報
役員報酬
事業別の稼ぎ
| 事業名 | 売上 | 利益 | 利益率 |
|---|---|---|---|
| 金属 | 約1.6兆円 | 約1,800億円 | 11.3% |
| 食料 | 約3.5兆円 | 約800億円 | 2.3% |
| 第8カンパニー(ファミリーマート等) | 約5,500億円 | 約700億円 | 12.7% |
| 繊維 | 約9,500億円 | 約500億円 | 5.3% |
| 機械 | 約1.1兆円 | 約600億円 | 5.5% |
| エネルギー・化学品 | 約2.8兆円 | 約900億円 | 3.2% |
伊藤忠商事は8つのディビジョンカンパニー制で事業を運営しており、非資源分野(食料・繊維・第8カンパニー等)が利益の約6割を占めます。金属・エネルギーの資源セグメントも高収益ですが、ファミリーマートを核とする消費者向けビジネスの成長がポートフォリオの安定性を高めています。セグメント間のバリューチェーン連携により、単純なトレーディングを超えた付加価値の創出が強みです。
この会社のガバナンスは?
女性役員比率26.7%を達成しており、経営の多様性確保を重視した先進的なガバナンス体制を構築しています。監査報酬約23億円を投じた厳格な監査体制と、約4.5万人もの臨時従業員を抱える巨大組織を適正に統治する仕組みが整っています。
会社の計画は順調?
※ 会社が公表した計画に対する達成度の評価であり、投資についての評価・推奨ではありません
年度別の予想精度(計画を守れてる?)
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| 2023年度 | 7,800億円 | 8,000億円 | 8,005億円 | +2.6% |
| 2022年度 | 7,000億円 | 8,000億円 | 8,005億円 | +14.3% |
| 2021年度 | 5,500億円 | 8,200億円 | 8,202億円 | +49.1% |
| 2020年度 | 4,000億円 | 4,000億円 | 4,014億円 | +0.3% |
当初予想 = 期初に会社が発表した数字 / 乖離 = 予想と実績のズレ(+なら上振れ)
伊藤忠商事は従来の複数年の中期経営計画を廃止し、「経営方針 The Brand-new Deal」に基づく単年度計画での確実な目標達成にシフトしています。非資源分野の安定した稼ぐ力を背景に、基礎収益8,000億円超、ROE15%超という極めて高い水準の目標を継続的にクリアしており、業績予想の精度と達成意欲の高さは市場から絶大な信頼を得ています。
この株を持っていたら儲かった?
この会社の株主総利回り(TSR)を、日本株全体の平均(TOPIX)と比較したグラフです。青い線が上にあるほど、平均より良い成績を出しています。
伊藤忠商事の5年間累積TSR(株主総利回り)は338.9%と、同期間のTOPIXリターン213.4%を大幅に上回るアウトパフォームを達成しています。バフェット効果による商社株全体の再評価に加え、非資源分野の安定収益と積極的な株主還元が高いTSRの源泉です。特にFY2024以降のリターン加速が顕著であり、長期保有の投資家に対して市場平均を大きく上回る価値を提供しています。
※ 配当を含まない株価ベースのリターンです。過去の実績であり、将来のリターンを保証・示唆するものではありません。
もし5年前に投資していたら?
| 年度末時点 | 評価額 | 損益 | TSR |
|---|---|---|---|
| FY2021 | 163.9万円 | +63.9万円 | 63.9% |
| FY2022 | 193.6万円 | +93.6万円 | 93.6% |
| FY2023 | 206.9万円 | +106.9万円 | 106.9% |
| FY2024 | 310.5万円 | +210.5万円 | 210.5% |
| FY2025 | 338.9万円 | +238.9万円 | 238.9% |
※ 有価証券報告書記載のTSR(株主総利回り)に基づく仮定の計算です。配当再投資を含みます。将来のリターンを保証するものではありません。
株の売買状況と今後の予定
伊藤忠商事のPER16.4倍・PBR2.49倍は、同業他社(三菱商事や三井物産など)と比較してプレミアムが付与された水準で取引されています。これは、市況変動の影響を受けにくい非資源ビジネスの割合が高く、利益のボラティリティが低いことや、業界トップクラスのROE(資本効率)が市場から高く評価されているためです。信用倍率6.41倍は買い長の状態が続いており、個人投資家の底堅い買い意欲が窺えます。
メディアでどれくらい注目されてる?
メディア露出
メディア分布
競合比較
どんな話題が多い?
最近の出来事
セブン銀行との資本業務提携を発表し、株式の16.35%を取得してリテール事業との連携を強化した。
True Data社のID-POSデータを活用した新サービス「FOODATA ID-POS」の提供を開始。
第3四半期累計の連結最終利益が前年同期比4.3%増の7052億円に達し、堅調な収益力を証明した。
サンフロンティア不動産との資本業務提携およびTOBの実施を決定し、事業領域の拡大を図った。
最新ニュース
伊藤忠商事 まとめ
ひとめ診断
「非資源分野を軸に高効率経営を貫き、高ROEと安定成長を両立する総合商社の優等生」
※ 本ページの情報は投資助言ではありません。掲載データは正確性を保証するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。
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