オリンパス
OLYMPUS CORPORATION
最終更新日: 2026年3月20日
世界の胃カメラの7割を握る、内視鏡のグローバルチャンピオン
メドテック企業として、内視鏡医療のイノベーションを通じて世界中の人々の健康と安心に貢献する。
この会社ってなに?
オリンパスの製品は私たちの健康診断や病院での検査に深く関わっています。胃カメラ・大腸カメラなどの消化器内視鏡は世界の病院の約7割がオリンパス製を使用しており、がんの早期発見に貢献しています。人間ドックで内視鏡検査を受けたことがある方は、ほぼ確実にオリンパスの技術に触れたことがあるはずです。
オリンパスは消化器内視鏡で世界シェア約70%を誇るグローバル医療機器メーカーです。カメラ事業・科学事業を売却し医療に経営資源を集中、FY2025/3期は売上高9,973億円・営業利益1,625億円と堅調な実績を残しました。2025年11月にボブ・ホワイト新社長のもと新経営戦略を発表し、全従業員の約7%にあたるグローバル2,000人削減と事業効率化で年間約240億円のコスト削減を掲げています。一方でFY2026/3期は一部製品の出荷停止や米国関税の影響で大幅な減益予想(営業利益810億円)に下方修正され、株価は52週高値から約37%下落。決算期も2025年より12月期に変更となり、過渡期の変化が重なっています。
会社概要
- 業種
- 精密機器
- 決算期
- 3月
- 本社
- 東京都八王子市石川町2951
- 公式
- www.olympus.co.jp
社長プロフィール
イノベーションと組織変革を通じて内視鏡医療を刷新し、患者さんのアウトカム向上に貢献してまいります。無駄をそぎ落とし、メドテック企業として世界をリードする存在を目指します。
この会社のストーリー
高千穂製作所として設立。「日本製の高品質な顕微鏡を作る」という志から、ギリシャ神話のオリンポス山にちなんだ社名が生まれました。
東京大学との共同研究で、世界初の実用的な胃カメラの開発に成功。内視鏡メーカーとしてのオリンパスの歴史はここから始まりました。
約20年にわたる巨額の損失隠しが発覚し、経営の信頼は地に落ちました。ソニーによる資本参加で経営再建への道を歩み始めます。
竹内康雄社長が就任し、アクティビストのバリューアクトと協働して大胆な経営改革を推進。医療機器への集中戦略を加速させました。
2021年にカメラ事業、2023年に科学事業(4,276億円)を売却。100年超の祖業と決別し、完全な医療機器専業メーカーへと変貌を遂げました。
ボブ・ホワイト新社長のもと「イノベーションによる成長」「シンプル化」「責任ある行動」を柱とする新戦略を発表。次の成長ステージへ挑みます。
注目ポイント
世界の病院で使われる胃カメラ・大腸カメラの大半がオリンパス製。がんの早期発見に不可欠な医療機器インフラとして、代替困難なポジションを確立しています。
カメラ、顕微鏡という100年超の祖業を売却する大胆な決断で、医療機器に全経営資源を集中。メドテック企業として営業利益率20%超を目指します。
AIを活用した病変検出支援やロボット支援手術など、次世代の内視鏡医療技術を開発中。新製品数を4割増にする計画で、技術革新に積極投資しています。
サービスの実績は?
ひとめ診断
配当・優待はもらえる?
| 期 | 1株配当 | 配当性向 |
|---|---|---|
| FY2021/3 | 12円 | 119.4% |
| FY2022/3 | 14円 | 15.5% |
| FY2023/3 | 16円 | 14.1% |
| FY2024/3 | 18円 | 9.0% |
| FY2025/3 | 20円 | 19.4% |
株主優待制度は実施していません。
FY2021/3の12円からFY2025/3の20円まで4期連続の増配を達成。FY2026/3期(予想)は30円への大幅増配を計画しています。FY2021/3期のみ配当性向が119%を超えましたが、業績回復後は15〜20%程度と低い水準にあり、今後の増配余力は十分。配当利回りは足元の株価下落により約2.2%に上昇しています。株主優待制度は設けていません。
同業比較(収益性)
精密機器の同業他社平均と比べると…
業績推移
儲かってるの?
売上高は5期連続の増収で約1兆円規模に到達しましたが、FY2024/3期の営業利益436億円は科学事業売却に伴う構造改革費用が影響した一時的な低水準です。同期の純利益2,426億円は売却益による押し上げ。FY2025/3期は営業利益率16.3%に回復しました。FY2026/3期予想は一部製品の出荷停止や関税リスクにより最終的に大幅下方修正される見込みです。なお2025年より決算期を12月に変更しており、過渡期にある点に留意が必要です。
事業ごとの売上・利益
消化器内視鏡・外科内視鏡を展開。消化器内視鏡は世界シェア約70%で圧倒的首位。がんの早期発見に貢献するAI内視鏡や4K・3D内視鏡など技術革新を推進。
消化器科・泌尿器科の処置具やエネルギーデバイスを展開。内視鏡検査と組み合わせた低侵襲治療ソリューションを提供し、「診断から治療まで」のワンストップ化を推進。
稼ぐ力はどのくらい?
| 期 | ROE | ROA | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 3.3% | 1.1% | 11.2% |
| FY2022/3 | 22.6% | 8.5% | 17.7% |
| FY2023/3 | 22.4% | 9.5% | 21.2% |
| FY2024/3 | 32.0% | 15.8% | 4.7% |
| FY2025/3 | 15.7% | 8.2% | 16.3% |
FY2023/3期には営業利益率21.2%と高水準を達成しましたが、FY2024/3期は科学事業売却関連の構造改革費用により4.7%に急低下。FY2025/3期は16.3%へ回復しています。ROEはFY2024/3期に32.0%と突出しましたが、これは売却益による一時的な数値。新経営戦略では営業利益率20%超を中期目標に掲げており、コスト構造改革が鍵を握ります。
財務は安全?
自己資本比率は33.4%から52.5%へ大幅に改善し、財務健全性が向上しています。科学事業売却(約4,276億円)による資金流入が寄与しました。FY2024/3期に有利子負債2,807億円が計上されましたが、FY2025/3期には2,048億円へ返済が進行。BPSは5年間で約2.2倍に拡大し、1株当たりの資産価値が着実に向上しています。
お金の流れは?
| 期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | FCF |
|---|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 1,241億円 | -1,189億円 | 408億円 | 52.0億円 |
| FY2022/3 | 1,697億円 | -710億円 | -407億円 | 987億円 |
| FY2023/3 | 985億円 | -584億円 | -1,432億円 | 401億円 |
| FY2024/3 | 424億円 | 3,600億円 | -2,760億円 | 4,024億円 |
| FY2025/3 | 1,905億円 | -655億円 | -2,115億円 | 1,250億円 |
FY2024/3期の投資CFが+3,600億円と大幅プラスなのは科学事業の売却収入によるもの。FY2025/3期は営業CF1,905億円と本業のキャッシュ創出力が回復し、FCFも1,250億円と潤沢です。財務CFの大幅マイナスは有利子負債の返済と自己株式取得を反映しており、事業売却で得た資金を株主還元と負債圧縮に振り向ける方針が明確です。
この会社のリスク
有価証券報告書に記載されている主なリスク要因です。投資判断の参考にしてください。
税金はいくら払ってる?
| 期 | 税引前利益 | 法人税等 | 実効税率 |
|---|---|---|---|
| FY2025/3 | 1,625億円 | 446億円 | 27.5% |
実効税率は約27〜30%で推移しています。グローバル拠点での事業展開に伴い、各国の税制の影響を受けます。FY2024/3期は科学事業売却益の計上により税負担構造が通常とは異なっていた点に留意が必要です。業績の回復に伴い安定的な納税が継続する見通しです。
社員の給料はどのくらい?
| 期 | 平均年収 | 従業員数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 当期 | 1,046万円 | 29,297人 | - |
平均年収は約1,046万円と精密機器業界ではトップクラスの水準です。連結従業員数は29,297名ですが、新経営戦略に基づき約2,000人のグローバル人員削減が進行中。平均年齢43.3歳、平均勤続年数13.5年と、技術系人材の経験値が蓄積された組織構成となっています。
誰がこの会社の株を持ってる?
外国人・個人投資家の比率が高く、市場の需給が株価に反映されやすい構造です。 外国人投資家の保有比率が高く、グローバルな投資家からの評価が反映されやすい銘柄です。
信託銀行が約27%を保有し、海外機関投資家の比率が高いのが特徴です。かつてアクティビスト(バリューアクト)が取締役を派遣し経営改革を主導した経緯があり、外国人投資家比率は約50%超と精密機器業界では突出しています。創業家の大株主は存在せず、プロ経営者による統治が定着しています。
会社の公式開示情報
役員報酬
事業別の稼ぎ
| 事業名 | 売上 | 利益 | 利益率 |
|---|---|---|---|
| 内視鏡事業 | 5,300億円 | 1,400億円 | 26.4% |
| 治療機器事業 | 4,200億円 | 600億円 | 14.3% |
研究開発費
オリンパスは内視鏡事業と治療機器事業の2セグメント体制で、合計売上高約1兆円。内視鏡事業の営業利益率は26%超と極めて高く、収益の柱です。カメラ事業(2021年売却)と科学事業(2023年売却)からの撤退により医療機器専業化が完了。主なリスクとして米国関税や規制変更、品質問題が挙げられます。R&D比率は約8.5%と業界平均を上回る水準です。
この会社のガバナンスは?
取締役11名中社外取締役が8名(72%)と高い独立性を確保。女性役員比率は27.3%と精密機器業界では先進的な水準です。外国籍のボブ・ホワイト氏を社長に据えるなどグローバルガバナンスを志向しています。ただし前社長カウフマン氏の薬物問題による辞任という異例の事態も経験しており、経営体制の安定が今後の課題です。
会社の計画は順調?
※ 会社が公表した計画に対する達成度の評価であり、投資についての評価・推奨ではありません
年度別の予想精度(計画を守れてる?)
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 930,000百万円 | 990,000百万円 | 997,332百万円 | +7.2% |
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 155,000百万円 | 160,000百万円 | 162,462百万円 | +4.8% |
| 2026年3月期 | 150,000百万円 | 81,000百万円 | 進行中 | -46.0% |
当初予想 = 期初に会社が発表した数字 / 乖離 = 予想と実績のズレ(+なら上振れ)
2025年11月に発表された新経営戦略では、営業利益率20%超の達成をメドテック企業としての目標に掲げています。グローバル2,000人削減(全従業員の約7%)と事業のシンプル化で年間240億円のコスト削減を見込みますが、FY2026/3期は一部製品の出荷停止や米国関税の影響で営業利益が大幅に下方修正されました。構造改革の効果は主にFY2028/3期以降に本格化する見通しです。
この株を持っていたら儲かった?
この会社の株主総利回り(TSR)を、日本株全体の平均(TOPIX)と比較したグラフです。青い線が上にあるほど、平均より良い成績を出しています。
過去5年間のTSR(株主総利回り)は自社129.8%に対しTOPIX 213.4%と、約84ポイントの大幅アンダーパフォームとなっています。FY2021〜FY2023は市場並みの推移でしたが、FY2024以降のTOPIXの急上昇に完全に取り残された格好です。構造改革の成果が株価に反映されるかが今後の焦点です。
※ 配当を含まない株価ベースのリターンです。過去の実績であり、将来のリターンを保証・示唆するものではありません。
もし5年前に投資していたら?
| 年度末時点 | 評価額 | 損益 | TSR |
|---|---|---|---|
| FY2021 | 147.4万円 | +47.4万円 | 47.4% |
| FY2022 | 151.4万円 | +51.4万円 | 51.4% |
| FY2023 | 151.1万円 | +51.1万円 | 51.1% |
| FY2024 | 145.5万円 | +45.5万円 | 45.5% |
| FY2025 | 129.8万円 | +29.8万円 | 29.8% |
※ 有価証券報告書記載のTSR(株主総利回り)に基づく仮定の計算です。配当再投資を含みます。将来のリターンを保証するものではありません。
株の売買状況と今後の予定
PERは14.5倍と精密機器業界平均(約25倍)を大幅に下回り、業績下振れリスクが織り込まれた割安水準にあります。一方で信用倍率は30.99倍と買い残が極めて厚く、個人投資家の逆張り買いが集中しています。配当利回りは2.18%と業界平均を上回りますが、これは株価下落の結果であり注意が必要です。
メディアでどれくらい注目されてる?
メディア露出
メディア分布
競合比較
どんな話題が多い?
最近の出来事
FY2025/3期の通期決算を発表。売上高9,973億円・営業利益1,625億円と堅調な業績を確認。配当は20円へ増配。
FY2026/3期の通期業績予想を下方修正。純利益は10%減額され、一部製品の出荷停止が影響。
ボブ・ホワイト新社長のもと新経営戦略を発表。グローバル約2,000人の人員削減と年間240億円のコスト削減を掲げる。
最新ニュース
オリンパス まとめ
ひとめ診断
「消化器内視鏡で世界7割のシェアを握る医療機器専業メーカーが、構造改革と人員削減で利益率20%超を目指す転換期」
※ 本ページの情報は投資助言ではありません。掲載データは正確性を保証するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。
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