愛三工業
AISAN INDUSTRY CO.,LTD.
最終更新日: 2026年3月28日
エンジン技術を核に、電動化の未来へ挑戦する高配当グローバル部品メーカー
世界トップのエンジンシステムサプライヤーとして、コア技術を進化させ、未来のモビリティと地球環境に貢献し続けます。
この会社ってなに?
あなたが毎日運転するかもしれない自動車。その心臓部であるエンジンが、静かに、そして力強く動くために欠かせない部品を作っているのが愛三工業です。例えば、ガソリンをエンジンに効率よく送り込む「燃料ポンプ」や、空気の通り道を調整する「スロットルボデー」など、燃費を良くしたり、排気ガスをクリーンにしたりする重要な役割を担っています。最近では、電気自動車(EV)のバッテリーを守るケースの開発も手掛けており、未来のクルマの裏側でも活躍の場を広げている会社です。
愛三工業は、トヨタ系の自動車部品メーカーとして電子制御燃料噴射装置を主力に成長を続ける企業です。2025年3月期には売上高3,372.6億円、営業利益183.38億円と過去最高益を更新する見込みで、好調な業績を背景に中期経営計画の主要目標を2年前倒しで達成しました。近年はデンソーからの事業買収で内燃機関部品の競争力を強化する一方、EV向け電池ケースやカーボン部品メーカーの買収など、電動化への対応を加速させており、事業ポートフォリオの転換期にあります。
会社概要
- 業種
- 輸送用機器
- 決算期
- 3月
- 本社
- 愛知県大府市共和町一丁目1番地の1
- 公式
- www.aisan-ind.co.jp
社長プロフィール

私たちは、長年培ってきたエンジン関連技術を核としながら、電動化やカーボンニュートラルといった時代の要請に応える『エンジンシステムサプライヤー』を目指します。資本効率と企業価値の向上を常に意識し、持続的な成長を通じて、すべてのステークホルダーの皆様の期待に応えてまいります。
この会社のストーリー
航空機部品製造で培った精密加工技術を基盤に、自動車部品メーカーとしての歩みを開始。トヨタ自動車工業(現トヨタ自動車)との取引が始まる。
事業の成長と安定性が認められ、名証一部に上場。社会的な信用を高め、さらなる飛躍への基盤を築く。
アメリカ、フランス、インドネシアなどに次々と海外拠点を設立。世界の自動車メーカーへの供給体制を強化し、グローバル企業へと成長を遂げる。
主力事業であるエンジン部品領域をさらに強化するため、デンソーから事業を譲受。エンジンシステムサプライヤーとしての地位を盤石にする。
初のEV向け製品となる電池セルケース/カバーの受注に成功。自動車業界の変革期に対応し、新たな事業領域への挑戦を開始する。
「ものづくり変革への挑戦」を掲げ、環境配慮とDXを推進する安城新工場の建設を開始。持続可能な社会への貢献を目指す。
売上高5,500億円、営業利益440億円の達成を目標に掲げる。既存事業の深化と、電動化など新規事業の育成で持続的成長を目指す。
注目ポイント
4期連続の増配を発表するなど、株主還元に積極的。予想配当利回りは4%を超え、安定したインカムゲインが期待できる点が魅力です。(2024年情報時点)
エンジン部品で培った高い技術力を活かし、EV向け電池ケースやカバーなど新規事業へ果敢に挑戦。自動車業界の大変革期を成長のチャンスと捉えています。
トヨタ自動車が筆頭株主であり、安定した取引基盤を持つトヨタ系部品メーカー。デンソーからの事業買収で既存事業を強化し、経営の安定性は抜群です。
サービスの実績は?
ひとめ診断
配当・優待はもらえる?
| 期 | 1株配当 | 配当性向 |
|---|---|---|
| FY2021/3 | 18円 | 32.2% |
| FY2022/3 | 29円 | 26.8% |
| FY2023/3 | 35円 | 25.9% |
| FY2024/3 | 55円 | 29.3% |
| FY2025/3 | 68円 | 32.1% |
株主優待制度は実施していません。
同社は株主への利益還元を重要な経営課題と位置づけ、安定的かつ継続的な配当を基本方針としています。業績の拡大を反映し、直近では4期連続の増配を実施するなど株主還元を積極的に推進しています。今後は配当性向の向上を通じ、中長期的な企業価値の増大と株主への還元強化を目指す姿勢を明確にしています。
同業比較(収益性)
輸送用機器の同業他社平均と比べると…
業績推移
儲かってるの?
愛三工業は、トヨタグループ向けの自動車部品事業における好調な販売を背景に、FY2021/3からFY2025/3にかけて売上高が約1.8倍の3,373億円まで拡大しました。特に電動化や環境規制への対応に伴う製品シフトが功を奏し、当期純利益はFY2021/3の約35億円からFY2025/3には約132億円まで大きく成長しています。FY2026/3は、自動車業界全体の市場変動を反映し、売上高は3,100億円、当期純利益は120億円と減益を見込んでいます。
稼ぐ力はどのくらい?
| 期 | ROE | ROA | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 4.0% | 1.9% | 2.7% |
| FY2022/3 | 6.8% | 3.4% | 5.1% |
| FY2023/3 | 7.7% | 3.8% | 5.7% |
| FY2024/3 | 8.4% | 4.3% | 4.9% |
| FY2025/3 | 9.4% | 4.4% | 5.4% |
売上高の拡大に伴い、営業利益率もFY2021/3の2.7%から直近では5%台半ばまで収益性の改善が進んでいます。効率的な生産体制の構築と製品の高付加価値化が奏功し、自己資本利益率(ROE)も継続的に向上してFY2025/3には9.4%に達しました。限られた経営資源で利益を生み出す効率性が高まっており、今後も資本コストを意識した経営で更なる収益力強化が期待されます。
財務は安全?
総資産はFY2021/3の約1,900億円からFY2025/3には約3,000億円へと大幅に増加し、事業拡大に向けた積極的な投資姿勢が伺えます。一方で、FY2024/3以降は成長投資のための借入金増加により有利子負債が増加していますが、自己資本比率は45.1%を維持しており、財務の健全性は一定水準で確保されています。今後は利益の積み増しによる自己資本の厚みを増していくことが、さらなる安定的な財務基盤の構築に繋がると考えられます。
お金の流れは?
| 期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | FCF |
|---|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 178億円 | -67.8億円 | -11.8億円 | 110億円 |
| FY2022/3 | 135億円 | -69.5億円 | -41.3億円 | 65.9億円 |
| FY2023/3 | 203億円 | -296億円 | 35.4億円 | -93.3億円 |
| FY2024/3 | 386億円 | -96.6億円 | -114億円 | 290億円 |
| FY2025/3 | 282億円 | -201億円 | 109億円 | 80.9億円 |
本業で稼ぐ力を示す営業キャッシュフローは堅調に推移しており、特にFY2024/3は386億円と高水準でした。FY2023/3やFY2025/3の投資キャッシュフローのマイナス幅拡大は、安城新工場の建設や戦略的な設備投資によるものであり、将来の成長を見据えた先行投資と言えます。営業活動で得た資金を投資へ回しながらも、強固なフリーキャッシュフローを維持するサイクルが定着しています。
この会社のリスク
有価証券報告書に記載されている主なリスク要因です。投資判断の参考にしてください。
税金はいくら払ってる?
| 期 | 税引前利益 | 法人税等 | 実効税率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 49.9億円 | 14.6億円 | 29.3% |
| FY2022/3 | 103億円 | 34.2億円 | 33.4% |
| FY2023/3 | 141億円 | 55.8億円 | 39.6% |
| FY2024/3 | 172億円 | 54.6億円 | 31.7% |
| FY2025/3 | 193億円 | 60.6億円 | 31.4% |
実効税率は概ね30%から40%の範囲内で推移しています。利益の増大とともに法人税等の支払額も増加しており、FY2025/3には約61億円の納税を行いました。税引前利益に対する税負担率は経営環境や会計上の調整により年度ごとに変動していますが、全体として適正な納税が行われています。
社員の給料はどのくらい?
| 期 | 平均年収 | 従業員数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 当期 | 711万円 | 8,781人 | - |
従業員平均年収は711万円であり、製造業の中でも安定した水準を維持しています。長年の実績に基づく堅実な経営体質に加え、自動車電動化への対応など事業変革期の成長性が給与にも反映されやすい環境です。
誰がこの会社の株を持ってる?
金融機関・事業法人を中心に安定株主比率が高く、経営の安定性が際立ちます。 事業法人の持合い比率が高く、安定した株主構成が特徴です。 主な安定株主はトヨタ自動車・デンソー・豊田自動織機。
トヨタ自動車(28.97%)が筆頭株主であり、デンソーや豊田自動織機を含めたトヨタグループによる持株比率が非常に高い点が特徴です。強固な供給網と資本関係により安定した経営基盤を築いていますが、浮動株比率が抑制される傾向にあります。
会社の公式開示情報
役員報酬
燃料ポンプモジュールや排気系部品を主力とする「エンジンシステムサプライヤー」としての地位を確立しつつ、電動化対応製品へのシフトを加速させています。ただし、自動車メーカーの生産変動や原材料価格の推移が業績リスクとして開示されています。
この会社のガバナンスは?
女性役員比率は14.3%と改善途上にありますが、監査体制の強化や安城新工場の建設を通じた環境経営(カーボンニュートラル)への積極的な投資を行っています。27社の連結子会社を擁するグローバル企業として、強固なガバナンス体制構築に取り組んでいます。
会社の計画は順調?
※ 会社が公表した計画に対する達成度の評価であり、投資についての評価・推奨ではありません
年度別の予想精度(計画を守れてる?)
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2025 | 3,150億円 | — | 3,373億円 | +7.1% |
| FY2024 | 2,800億円 | — | 3,143億円 | +12.3% |
| FY2023 | 2,100億円 | — | 2,408億円 | +14.7% |
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2025 | 160億円 | — | 183億円 | +14.6% |
| FY2024 | 140億円 | — | 155億円 | +10.7% |
当初予想 = 期初に会社が発表した数字 / 乖離 = 予想と実績のズレ(+なら上振れ)
愛三工業は、2025年度を目標としていた旧中期経営計画(売上高2,800億円、ROE8%)を、好調な市況と事業強化により2年前倒しで達成しました。これを受け、2025年2月に新たに2030年度を最終年度とする新中計を発表。新計画では売上高5,500億円、営業利益440億円、PBR1倍以上という野心的な目標を掲げています。近年の業績予想は期初計画を上回る傾向が強く、経営陣の計画達成能力と市場環境の読みには一定の信頼がおけると言えるでしょう。
この株を持っていたら儲かった?
この会社の株主総利回り(TSR)を、日本株全体の平均(TOPIX)と比較したグラフです。青い線が上にあるほど、平均より良い成績を出しています。
愛三工業のTSR(株主総利回り)は、FY2022以降TOPIXを大幅にアウトパフォームしています。特にFY2024には364.4%(TOPIXは216.8%)と驚異的な伸びを記録しました。これは、好調な業績を背景とした株価の上昇に加え、積極的な増配による株主還元強化策が投資家に高く評価された結果です。旧中計の前倒し達成や新中計への期待感が、継続的な株価上昇のドライバーとなっています。
※ 配当を含まない株価ベースのリターンです。過去の実績であり、将来のリターンを保証・示唆するものではありません。
もし5年前に投資していたら?
| 年度末時点 | 評価額 | 損益 | TSR |
|---|---|---|---|
| FY2021 | 136.4万円 | +36.4万円 | 36.4% |
| FY2022 | 153.9万円 | +53.9万円 | 53.9% |
| FY2023 | 194.3万円 | +94.3万円 | 94.3% |
| FY2024 | 364.4万円 | +264.4万円 | 264.4% |
| FY2025 | 455.6万円 | +355.6万円 | 355.6% |
※ 有価証券報告書記載のTSR(株主総利回り)に基づく仮定の計算です。配当再投資を含みます。将来のリターンを保証するものではありません。
株の売買状況と今後の予定
愛三工業の株価指標は、PERが業界平均(約13倍)に比べて割安な水準にあります。一方でPBRは業界平均をやや上回っており、資本効率の改善が評価され始めている可能性があります。配当利回りは3.5%と業界平均より高く、魅力的な水準です。信用倍率は6.72倍と買い残が多く、株価上昇への期待感がうかがえますが、将来の売り圧力となる可能性も注視が必要です。
メディアでどれくらい注目されてる?
メディア露出
メディア分布
競合比較
どんな話題が多い?
最近の出来事
2030年度を見据えた新中期経営計画を策定し、売上高5500億円の目標を発表。
車載モータ部品メーカーのトライスを買収し、電動化部品の競争力を強化。
上期決算で増益を達成し、通期業績予想の上方修正を実施。
最新ニュース
愛三工業 まとめ
ひとめ診断
「トヨタ系エンジン部品の王者が、EVシフトの荒波をM&Aと新技術で乗りこなす二刀流サプライヤー」
※ 本ページの情報は投資助言ではありません。掲載データは正確性を保証するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。
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