タチエス
TACHI-S CO.,LTD.
最終更新日: 2026年3月28日
独立系の強みで世界のカーシートを革新し、高配当で株主にも報いるグローバルメーカー
人間工学に基づいたコア技術を活かし、自動車シートの枠を超えた新たな価値を創造することで、世界中の人々の快適で安全な移動空間に貢献する。
この会社ってなに?
あなたが普段運転する自動車、その座り心地を思い出してみてください。長時間座っていても疲れにくかったり、体をしっかり支えてくれたりする感覚はありませんか?その快適なシートを開発・製造しているのが、タチエスかもしれません。特にホンダや日産の車に乗っているなら、そのシートはタチエス製である可能性が高いです。普段は意識しないかもしれませんが、タチエスはあなたの安全で快適なカーライフを座席から支えている会社なのです。
独立系の自動車シート大手。FY2022まで2期連続の営業赤字に苦しんだが、構造改革が奏功しFY2023に黒字転換。FY2025には売上高2,853.9億円、営業利益96.25億円とV字回復を達成した。現在は中期経営計画「TVE Wave2 2027」を推進し、既存事業の収益力強化(深化)と、M&AやDXを軸とした新規事業創出(新化)による持続的成長を目指している。
会社概要
- 業種
- 輸送用機器
- 決算期
- 3月
- 本社
- 東京都青梅市末広町1丁目3番1号
- 公式
- www.tachi-s.co.jp
社長プロフィール
当社は、中期経営計画「TVE Wave2 2027」のもと、既存のシート事業の「深化」と新規事業創出の「新化」を両輪で進めています。これまでの構造改革の成果を土台に、企業価値を飛躍させるフェーズへと移行し、全てのステークホルダーの皆様の期待に応えてまいります。
この会社のストーリー
航空機用シートの製造技術をルーツに、自動車用シートの専門メーカーとして東京都昭島市に立川スプリング製作所を設立。
ダットサン・ブルーバード310型向けにシート及びスプリングの生産を開始。自動車産業の発展と共に事業を拡大していく。
現社名に変更し、グローバルブランドとしての認知度向上を図る。米国のジョンソンコントロールズ社(当時)と技術提携し、海外進出を本格化させる。
事業規模の拡大と社会的な信用の向上を目指し、株式上場を果たす。これにより、さらなる成長に向けた経営基盤を強化した。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で自動車生産が世界的に減少し、業績が大幅に悪化。赤字を計上し、経営の立て直しが急務となる。
収益構造の改善を目指し、生産拠点の集約などの構造改革を断行。同時に、配当による株主還元に集中するため、QUOカードの株主優待制度を廃止した。
構造改革を終え、「深化」と「新化」をテーマにした新中期経営計画を発表。M&AやDX投資に向け100億円を調達し、飛躍のフェーズへ移行する。
注目ポイント
株主優待を廃止し、配当による株主還元へ集中。業界平均を上回る高い配当利回りを維持しており、インカムゲインを重視する投資家にとって魅力的です。
構造改革を完了し、現在は攻めの経営へ。100億円規模の資金調達を行い、M&AやDXを通じて既存事業の強化と新規事業の創出を目指します。
数年にわたる構造改革が奏功し、コロナ禍での赤字から脱却。価格転嫁や生産効率化により利益率が回復し、持続的な成長に向けた強固な財務基盤を再構築しました。
サービスの実績は?
ひとめ診断
配当・優待はもらえる?
| 期 | 1株配当 | 配当性向 |
|---|---|---|
| FY2021/3 | 6.5円 | 0.3% |
| FY2022/3 | 63.6円 | 0.3% |
| FY2023/3 | 73.6円 | 43.3% |
| FY2024/3 | 92.8円 | 58.6% |
| FY2025/3 | 103.8円 | 31.5% |
現在、株主優待制度は廃止されており実施されておりません。
配当方針として、持続的な利益成長と株主への利益還元を重視しており、高配当利回りを維持する姿勢を鮮明にしています。かつて実施していた株主優待制度は2021年に廃止し、今後は配当金を通じた還元に注力することを表明しました。業績連動型の配当を基本としつつ、安定した配当の継続を目指す方針です。
同業比較(収益性)
輸送用機器の同業他社平均と比べると…
業績推移
儲かってるの?
タチエスの業績は、構造改革による収益改善が功を奏し、FY2021/3期からFY2025/3期にかけて営業赤字から脱却してV字回復を達成しました。自動車用シートの受注拡大と価格転嫁が進んだことで、FY2025/3期には純利益が約113億円まで大幅に伸長しました。ただし、FY2026/3期予想では売上高が約2,570億円、純利益が80億円を見込んでおり、一時的な増益局面から安定成長への転換期にあるとみられます。
稼ぐ力はどのくらい?
| 期 | ROE | ROA | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | -17.4% | -9.1% | -3.9% |
| FY2022/3 | -2.6% | -1.3% | -2.0% |
| FY2023/3 | 6.7% | 3.4% | 0.6% |
| FY2024/3 | 5.6% | 3.0% | 2.5% |
| FY2025/3 | 11.5% | 6.6% | 3.4% |
収益性は、FY2021/3期の営業赤字から劇的に改善しており、FY2025/3期には営業利益率が3.4%まで向上しました。徹底的なコスト低減活動と事業の効率化が奏功し、資本効率を示すROEも11.5%と高い水準を記録しました。今後は、新規事業への投資と既存シート事業の深掘りを通じて、この改善トレンドを維持できるかが焦点となります。
財務は安全?
財務健全性は、FY2025/3期時点で自己資本比率が56.0%まで改善しており、非常に安定した水準を維持しています。近年、M&AやDX投資に向けた資金調達により有利子負債が約250億円発生しましたが、潤沢な純資産を背景に健全性は保たれています。資産の効率的な活用と、事業投資による中長期的な成長の両立が今後の経営上の課題と言えます。
お金の流れは?
| 期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | FCF |
|---|---|---|---|---|
| FY2021/3 | -19.4億円 | -63.3億円 | 51.3億円 | -82.7億円 |
| FY2022/3 | -3.5億円 | 20.1億円 | -8.1億円 | 16.5億円 |
| FY2023/3 | 37.4億円 | 66.7億円 | -100億円 | 104億円 |
| FY2024/3 | 184億円 | -20.8億円 | -134億円 | 164億円 |
| FY2025/3 | 97.6億円 | 39.6億円 | -92.9億円 | 137億円 |
営業キャッシュフローはFY2024/3期に約184億円と過去最高水準を記録するなど、本業での稼ぐ力が大幅に強化されています。先行投資や設備投資をこなしつつもフリーキャッシュフロー(FCF)は安定してプラスを維持しており、強固な現金創出力を示しています。獲得したキャッシュは、積極的な株主還元や新規事業への成長投資へと適切に再配分されています。
この会社のリスク
有価証券報告書に記載されている主なリスク要因です。投資判断の参考にしてください。
税金はいくら払ってる?
| 期 | 税引前利益 | 法人税等 | 実効税率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | -72.7億円 | 0円 | - |
| FY2022/3 | -35.4億円 | 0円 | - |
| FY2023/3 | 19.7億円 | 0円 | 0.0% |
| FY2024/3 | 87.5億円 | 33.3億円 | 38.1% |
| FY2025/3 | 108億円 | 0円 | 0.0% |
過去数年間の赤字期には法人税等の負担が発生しませんでしたが、直近の黒字化に伴い適正な納税が行われています。FY2024/3期には税引前利益に対して約33億円の税負担が生じ、一般的な法人税率に近い水準となりました。FY2025/3期は繰延税金資産の取り崩しや調整により税負担が一時的に低減しているものの、安定した業績推移に伴い、将来的には一定の税負担が発生する見通しです。
社員の給料はどのくらい?
| 期 | 平均年収 | 従業員数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 当期 | 608万円 | 10,560人 | - |
従業員平均年収は608万円となっており、自動車部品業界の平均水準と比較して安定した雇用環境を維持しています。近年は構造改革に伴うコスト削減や事業のスリム化を進めていますが、給与水準には一定の配慮がなされており、生産性向上と待遇維持の両立を模索している状況です。
誰がこの会社の株を持ってる?
外国人・個人投資家の比率が高く、市場の需給が株価に反映されやすい構造です。 個人投資家の保有比率が高く、株主優待や配当の注目度が高い銘柄です。
大株主には日本マスタートラスト信託銀行や日本カストディ銀行などの信託口が名を連ね、機関投資家による保有割合が高い構成です。一方で、創業家と推測される個人株主や取引先持株会の存在も見受けられ、安定株主と市場の投資家のバランスが考慮されています。ストラテジックキャピタル等のアクティビストによる株主提案も過去になされており、資本効率改善への市場からの関心が高い銘柄と言えます。
会社の公式開示情報
役員報酬
独立系自動車シートメーカーとしてホンダや日産向けを主力としていますが、グローバルな事業展開に伴う地政学リスクや為替変動、原材料価格の高騰が主な経営リスクとして認識されています。現在は構造改革が一段落し、アドバンテッジアドバイザーズとの提携を通じた新規事業創出やDX投資により、収益構造の抜本的な強化を図る方針を掲げています。
この会社のガバナンスは?
女性役員比率は15.3%(2名/11名)であり、ダイバーシティの推進が図られています。監査体制については監査報酬5,600万円を投じて適正な監視機能が働いており、グローバルな連結子会社25社を統括する強固なガバナンス体制を構築しています。
会社の計画は順調?
※ 会社が公表した計画に対する達成度の評価であり、投資についての評価・推奨ではありません
年度別の予想精度(計画を守れてる?)
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2025 | 90億円 | — | 96億円 | +6.9% |
| FY2024 | 73億円 | — | 72億円 | -1.3% |
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2025 | 2,570億円 | — | 2,854億円 | +11.0% |
| FY2024 | 2,870億円 | — | 2,930億円 | +2.1% |
当初予想 = 期初に会社が発表した数字 / 乖離 = 予想と実績のズレ(+なら上振れ)
2024年までの構造改革を完了し、2025年度から新中期経営計画「TVE Wave2 2027」が始動しました。売上高は安定推移を見込む一方、営業利益率5%以上、ROIC8%以上という収益性改善を最重要課題に掲げています。初年度である2025年度実績は売上こそ計画を上回りましたが、利益率は目標に届いておらず、今後のM&Aや新規事業が収益貢献できるかが計画達成の鍵となります。
この株を持っていたら儲かった?
この会社の株主総利回り(TSR)を、日本株全体の平均(TOPIX)と比較したグラフです。青い線が上にあるほど、平均より良い成績を出しています。
過去5年間のTSR(株主総利回り)を見ると、FY2024に一度TOPIXをアウトパフォームしたものの、他の年度ではアンダーパフォームが続いています。これはFY2021〜2022の業績悪化による株価低迷と、増配ペースが市場全体の成長に追いついていなかったことが背景にあります。FY2024以降のV字回復と増配が株価に織り込まれることで、今後はTOPIXを上回るTSRの達成が期待されます。
※ 配当を含まない株価ベースのリターンです。過去の実績であり、将来のリターンを保証・示唆するものではありません。
もし5年前に投資していたら?
| 年度末時点 | 評価額 | 損益 | TSR |
|---|---|---|---|
| FY2021 | 123.1万円 | +23.1万円 | 23.1% |
| FY2022 | 108.7万円 | +8.7万円 | 8.7% |
| FY2023 | 137.1万円 | +37.1万円 | 37.1% |
| FY2024 | 228.1万円 | +128.1万円 | 128.1% |
| FY2025 | 209.9万円 | +109.9万円 | 109.9% |
※ 有価証券報告書記載のTSR(株主総利回り)に基づく仮定の計算です。配当再投資を含みます。将来のリターンを保証するものではありません。
株の売買状況と今後の予定
信用倍率は7.73倍とやや高く、短期的な需給の緩みを警戒する水準です。業界平均と比較すると、PER・PBRともに割安な一方、配当利回りは4.9%と高水準で、株主還元への評価がうかがえます。低PBRは長年の課題であり、今後の収益性改善によってPBR1倍超えを目指せるかが市場の注目点です。
メディアでどれくらい注目されてる?
メディア露出
メディア分布
競合比較
どんな話題が多い?
最近の出来事
新中期経営計画「TVE Wave2 2027」を策定し、既存事業の深化と新規価値創造の方向性を提示。
アドバンテッジアドバイザーズとの資本業務提携により、M&AやDX加速のための100億円の資金調達を実施。
今期経常利益予想を上方修正し、構造改革の成果による利益率の改善が市場に評価された。
最新ニュース
タチエス まとめ
ひとめ診断
「独立系シート大手がV字回復を経て、ファンドと組み『深化』と『新化』を追求する第二創業期」
※ 本ページの情報は投資助言ではありません。掲載データは正確性を保証するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。
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