カヤバ
KYB Corporation
最終更新日: 2026年3月28日
見えないところで世界を支える、油圧技術のグローバルリーダー
『移動の未来』『人と環境に優しいインフラ』『活力ある社会』の3つのフィールドで、独自の技術力で社会課題を解決し、新たな価値を創造し続ける企業グループを目指します。
この会社ってなに?
あなたが普段乗っている自動車が、道路の段差を乗り越えるときに『ガツン』とこないのは、カヤバのような会社が作っている「ショックアブソーバー」のおかげかもしれません。これは路面からの衝撃を和らげるサスペンションの心臓部で、世界中の多くの自動車に搭載されています。その他にも、ビルや橋の地震の揺れを抑える免震・制振装置や、ショベルカーを動かす油圧部品など、普段は目にしないけれど社会の安全と快適を裏側で支える製品を数多く作っている会社です。最近では、その技術を活かして快適なキャンピングカーの開発にも乗り出しています。
独立系の油圧機器大手。FY2025は売上高4383.2億円、営業利益226.71億円を見込む。前期(FY2024)は原材料高騰などで減益となったが、今期は横ばい圏での回復を計画している。近年は航空機事業から撤退し、子会社を吸収合併するなど事業の「選択と集中」を加速。主力の自動車用ショックアブソーバーに経営資源を投下し、世界市場でのシェア拡大を目指す。
会社概要
- 業種
- 輸送用機器
- 決算期
- 3月
- 本社
- 東京都港区浜松町2丁目4番1号
- 公式
- www.kyb.co.jp
社長プロフィール

創業以来培ってきた油圧技術を核に、社会の課題解決に貢献してきました。これからも『人々の暮らしを安全・快適にする技術と製品をグローバルに提供し、社会に貢献する』という経営理念のもと、社会から信頼され必要とされる企業を目指し、持続的な成長と企業価値の向上に努めてまいります。
この会社のストーリー
創業者・萱場資郎が「萱場研究所」で発明した油圧緩衝装置やカタパルトなどの事業化を目的に、萱場製作所を設立。
戦後の復興期を経て事業を拡大し、社会的な信用を高めるべく東京証券取引所への上場を果たす。
グローバル展開の足がかりとして、米国イリノイ州にKYB Corporation of Americaを設立。海外市場への本格進出を開始する。
創立50周年を機に、広く親しまれていた呼称「カヤバ」を正式な商号とし、新たなスタートを切る。
オートバイ用サスペンション事業においてヤマハ発動機と業務提携し、合弁会社を設立。競争力強化を図る。
建築物用オイルダンパーの一部製品で検査データ書き換えなどの不正が発覚。信頼回復に向けた取り組みが始まる。
長年培った油圧技術を活かし、乗り心地を追求したキャンピングカー「Virator」を発表。新たな市場への挑戦を開始した。
創立90周年を迎える。モビリティ、インフラ、社会創造の領域で、データ駆動型アプローチなどを通じ、次の100年に向けた価値創造を目指す。
注目ポイント
主力製品のショックアブソーバ(衝撃緩衝器)は世界シェア3位を誇ります。自動車から航空機、鉄道まで、多様な分野でその高い技術力が活かされています。
株主への利益還元を重視しており、安定した配当を継続しています。業績向上に伴う増配も発表しており、投資家にとって魅力的な一面です。
90年近い歴史で培った油圧技術をコアに持ちながら、キャンピングカー事業への参入など、新たな領域への挑戦も積極的に行っています。
サービスの実績は?
ひとめ診断
配当・優待はもらえる?
| 期 | 1株配当 | 配当性向 |
|---|---|---|
| FY2021/3 | 37.5円 | 11.2% |
| FY2022/3 | 52.5円 | 12.3% |
| FY2023/3 | 100円 | 19.4% |
| FY2024/3 | 100円 | 33.9% |
現在、株主優待制度は実施していません。
配当方針として安定的な利益還元を重視しており、業績の成長に応じて配当金を着実に増額させてきました。直近では配当性向の引き上げも行い、株主への積極的な還元姿勢を鮮明にしています。今後も持続的なキャッシュフローを背景とした安定配当の継続が期待されます。
同業比較(収益性)
輸送用機器の同業他社平均と比べると…
業績推移
儲かってるの?
カヤバの業績は、自動車向け油圧緩衝器などの堅調な需要によりFY2023/3まで順調に売上高を拡大させてきました。その後は原材料価格の高騰や輸送コストの増加が影響し、FY2024/3以降は利益面で足踏みする局面が見られます。今後は高付加価値製品へのシフトやコスト構造の改善を進め、底堅い収益基盤の維持と成長への転換を目指しています。
稼ぐ力はどのくらい?
| 期 | ROE | ROA | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 14.6% | 4.0% | 5.6% |
| FY2022/3 | 14.0% | 5.2% | 7.7% |
| FY2023/3 | 14.2% | 6.1% | 7.5% |
| FY2024/3 | 7.0% | 3.3% | 5.1% |
| FY2025/3 | 6.3% | 3.2% | 5.2% |
収益性については、FY2022/3からFY2023/3にかけて営業利益率が7%台後半に達するなど、効率的な経営が実現できていました。しかし、足元では資材高騰の圧迫を受け営業利益率が5%前後まで低下し、ROE(自己資本利益率)も6%台で推移しています。収益力のさらなる改善が課題となっており、価格転嫁や生産効率化を通じた利益率の回復が重要な焦点です。
財務は安全?
財務健全性は着実に向上しており、自己資本比率はFY2021/3の約26%からFY2025/3には約49%まで大幅に改善しています。有利子負債のコントロールと内部留保の積み増しにより、強固な財務体質を構築してきました。今後はこの厚みのある自己資本を活用した戦略的な成長投資が期待される状況です。
お金の流れは?
| 期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | FCF |
|---|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 208億円 | -62.8億円 | 11.5億円 | 145億円 |
| FY2022/3 | 242億円 | -109億円 | -327億円 | 134億円 |
| FY2023/3 | 239億円 | -135億円 | -202億円 | 104億円 |
| FY2024/3 | 399億円 | -235億円 | -150億円 | 164億円 |
| FY2025/3 | 438億円 | -341億円 | -91.0億円 | 97.1億円 |
営業キャッシュフローは安定してプラスを維持しており、潤沢な稼ぐ力によって事業活動を支えています。投資キャッシュフローは成長に向けた設備投資や研究開発により拡大傾向にありますが、営業CFがこれを上回る水準で推移している点はポジティブです。フリーキャッシュフローの継続的な確保により、株主還元と将来への投資を両立させています。
この会社のリスク
有価証券報告書に記載されている主なリスク要因です。投資判断の参考にしてください。
税金はいくら払ってる?
| 期 | 税引前利益 | 法人税等 | 実効税率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 183億円 | 12.1億円 | 6.6% |
| FY2022/3 | 300億円 | 74.5億円 | 24.8% |
| FY2023/3 | 325億円 | 53.4億円 | 16.4% |
| FY2024/3 | 224億円 | 66.0億円 | 29.4% |
| FY2025/3 | 227億円 | 77.7億円 | 34.3% |
法人税等の実効税率は年度によって変動があり、繰延税金資産の取り崩しや調整事項の影響を受けています。近年では概ね法定実効税率に近い水準で推移しており、業績に応じた適切な納税が行われています。今後も税務コンプライアンスを遵守し、安定的な租税負担を継続する方針です。
社員の給料はどのくらい?
| 期 | 平均年収 | 従業員数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 当期 | 678万円 | 12,951人 | - |
従業員の平均年収は678万円となっており、自動車部品業界としては標準以上の水準を維持しています。昨今の業績好調や、国内外での製品需要の回復が従業員への還元にも寄与していると考えられます。
誰がこの会社の株を持ってる?
安定株主が一定の割合を占めており、経営基盤は比較的安定しています。 主な安定株主はトヨタ自動車・カヤバ協力会社持株会・明治安田生命保険相互会社。
トヨタ自動車など自動車関連企業が主要株主であり、安定した取引関係がうかがえます。一方で、国内外の信託銀行や個人の大口株主も存在し、機関投資家との対話や経営への関与も進められている構造です。
会社の公式開示情報
役員報酬
油圧技術を核とした振動・パワー制御事業が柱であり、世界的な市場シェアと強固な技術基盤を有しています。一方で、原材料価格の高騰や自動車の減産リスクなど、供給網の変動による収益への影響を主要な事業リスクとして注視しています。
この会社のガバナンスは?
女性役員比率が25.0%と高い水準で多様性の確保が進んでおり、適切な監査体制も構築されています。大規模なグローバル企業として、強固なガバナンス体制と経営の透明性維持に注力しているのが特徴です。
会社の計画は順調?
※ 会社が公表した計画に対する達成度の評価であり、投資についての評価・推奨ではありません
年度別の予想精度(計画を守れてる?)
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2025 | 4,480億円 | — | 4,383億円 | -2.2% |
| FY2024 | 4,500億円 | — | 4,428億円 | -1.6% |
| FY2023 | 4,100億円 | — | 4,312億円 | +5.2% |
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2025 | 225億円 | — | 227億円 | +0.8% |
| FY2024 | 298億円 | — | 224億円 | -24.8% |
| FY2023 | 265億円 | — | 325億円 | +22.8% |
当初予想 = 期初に会社が発表した数字 / 乖離 = 予想と実績のズレ(+なら上振れ)
カヤバは現在、具体的な数値目標を掲げた中期経営計画を公表していません。そのため、投資家は単年度の業績予想を元に評価する必要があります。過去の業績予想を見ると、FY2024の営業利益が期初予想を約25%下回るなど、外部環境の変動によるブレが大きい傾向があります。これは自動車メーカーの生産調整や原材料価格の影響を受けやすいためです。事業の選択と集中が進む中で、安定した収益基盤を構築し、精度の高い計画を開示できるかが今後の課題です。
この株を持っていたら儲かった?
この会社の株主総利回り(TSR)を、日本株全体の平均(TOPIX)と比較したグラフです。青い線が上にあるほど、平均より良い成績を出しています。
TSR(株主総利回り)は5期連続でTOPIXを上回っており、特にFY2023以降はその差を大きく広げています。これは、業績回復を背景とした増配の継続と、それに伴う株価上昇が複合的に作用した結果です。特に、高水準の配当がTSRを押し上げる大きな要因となっており、資本市場から株主還元姿勢が評価されていることを示しています。事業の選択と集中による収益性改善が進めば、さらなる株価上昇を通じてTSRが向上する可能性も期待されます。
※ 配当を含まない株価ベースのリターンです。過去の実績であり、将来のリターンを保証・示唆するものではありません。
もし5年前に投資していたら?
| 年度末時点 | 評価額 | 損益 | TSR |
|---|---|---|---|
| FY2021 | 149.6万円 | +49.6万円 | 49.6% |
| FY2022 | 152.5万円 | +52.5万円 | 52.5% |
| FY2023 | 212.7万円 | +112.7万円 | 112.7% |
| FY2024 | 277.9万円 | +177.9万円 | 177.9% |
| FY2025 | 322.8万円 | +222.8万円 | 222.8% |
※ 有価証券報告書記載のTSR(株主総利回り)に基づく仮定の計算です。配当再投資を含みます。将来のリターンを保証するものではありません。
株の売買状況と今後の予定
PBRが1倍を割り込んでおり、資産価値の観点からは割安と見なされる水準です。一方で、信用買い残が売り残を上回る状況が続いており、将来の株価上昇を期待した買いが多いものの、需給面での重さも意識されます。業界平均と比較して配当利回りが4.5%と高い点が大きな魅力となっており、株価の下支え要因として機能しています。
メディアでどれくらい注目されてる?
メディア露出
メディア分布
競合比較
どんな話題が多い?
最近の出来事
自己株式の公開買付けを完了し、資本効率の向上と株主還元を強化しました。
2026年3月期において3期ぶりの最高益更新を見込む上方修正を発表しました。
国立大学法人東京科学大学とデータ駆動型研究開発を推進する包括連携協定を締結しました。
最新ニュース
カヤバ まとめ
ひとめ診断
「自動車の『乗り心地』を支える独立系油圧の巨人が、航空事業を切り離し、足回りの本業とキャンピングカー市場にアクセルを踏み込む」
※ 本ページの情報は投資助言ではありません。掲載データは正確性を保証するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。
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