武蔵精密工業
MUSASHI SEIMITSU INDUSTRY CO.,LTD.
最終更新日: 2026年3月28日
伝統の精密加工技術で世界を走り、AIと新エネルギーで未来を創る挑戦者
Go Farther, Go Together - 人と環境が調和し、豊かな地球の未来を切り拓く
この会社ってなに?
あなたが毎日乗っているかもしれない自動車。そのエンジンやトランスミッションの中には、実は武蔵精密工業が作った歯車(ギヤ)や軸(シャフト)といった精密部品がたくさん使われています。これらの部品は、車がスムーズに加速したり、静かに走ったりするために欠かせない、まさに縁の下の力持ちです。最近では、電気自動車(EV)向けの部品開発はもちろん、AIを使った工場の検査システムや、再生可能エネルギーを貯めるための装置など、自動車以外の分野でも私たちの生活を支える技術を生み出しています。
ホンダ向けが売上の5割を占める自動車部品大手。直近のFY2025決算では、売上高3,472億円、営業利益197.2億円と堅調な業績を維持しています。しかし、ドイツ3工場の閉鎖に伴う特別損失で純利益は一時的に落ち込みました。現在は、コアの自動車部品事業を強化しつつ、AI外観検査システムやデータセンター向け蓄電装置といった新規事業の育成を急いでおり、「両利きの経営」で次の成長ステージを目指す過渡期にあります。
会社概要
- 業種
- 輸送用機器
- 決算期
- 3月
- 本社
- 愛知県豊橋市植田町字大膳39番地の5
- 公式
- www.musashi.co.jp
社長プロフィール

創業以来培ってきたものづくりの精神と技術を基盤に、コア事業であるパワートレイン事業の進化と、AIやエネルギーソリューションなどの新規事業創出を両立する「両利きの経営」を推進しています。電動化をはじめとする社会の変化に対応し、社会課題の解決に貢献することで、次の100年も愛され、必要とされる企業を目指します。
この会社のストーリー
創業者・大塚顕氏がホンダの本田宗一郎氏との出会いを機に、オートバイ用エンジンのカムシャフト生産を開始。ものづくりの原点がここに始まる。
グローバルな自動車部品メーカーとしての基盤を固め、株式市場に上場。社会的な信用を高め、さらなる成長ステージへと進む。
アジア、北米、南米、欧州へと生産拠点を拡大。世界中の自動車・バイクメーカーへ高品質な部品を供給するグローバルサプライヤーとしての地位を確立する。
自動車部品で培った品質管理ノウハウとAI技術を融合。AI外観検査装置の開発に着手し、新規事業への大きな一歩を踏み出す。
AI事業を本格化させるため、SixAI社との合弁で「Musashi AI」を設立。製造業の課題を解決するソリューション提供を開始する。
次世代蓄電池「ハイブリッドスーパーキャパシタ(HSC)」を開発。再生可能エネルギーの安定供給やデータセンター向けなど、新たな市場を開拓する。
開発を進めてきた電動バイク用駆動ユニットがインド市場で採用され、量産開始。電動化という大きな波に乗り、事業の柱を育てていく。
「Go Farther, Go Together」のビジョンの下、コア事業と新規事業の両輪で成長。テクノロジーで人々と地球の豊かな未来を創造する企業を目指す。
注目ポイント
AI外観検査システムやデータセンター向け蓄電装置など、新規事業に果敢に挑戦。自動車業界の大変革期を乗り越え、新たな成長分野を切り拓く姿に注目です。
電動バイクの心臓部となる駆動ユニット「e-Axle」を開発し、巨大市場インドで量産を開始。長年培ったギア技術が、世界のEVシフトを力強く支えます。
厳しい事業環境の中でも、配当性向30%を目標水準とする安定的な株主還元を基本方針としています。株主と共に成長を目指す姿勢が魅力です。
サービスの実績は?
ひとめ診断
配当・優待はもらえる?
| 期 | 1株配当 | 配当性向 |
|---|---|---|
| FY2021/3 | 35円 | 30.9% |
| FY2022/3 | 45円 | 54.1% |
| FY2023/3 | 30円 | 80.4% |
| FY2024/3 | 40円 | 33.0% |
| FY2025/3 | 50円 | 42.1% |
2024年3月権利分をもって株主優待制度は廃止されました。
当社は財務体質の健全化と業績連動型の安定的な配当継続を基本方針としており、配当性向30%を目標水準に設定しています。業績の変動に応じて配当額が見直されることもありますが、株主還元を重視する姿勢は一貫しています。成長投資を優先しつつも、将来的な収益拡大に伴い配当の安定性を高めていく方針です。
同業比較(収益性)
輸送用機器の同業他社平均と比べると…
業績推移
儲かってるの?
当社の売上高はFY2024/3に約3,499億円を記録し、電動化対応やグローバルな生産体制の拡充により成長基調を維持しています。一方で、FY2025/3は売上高が約3,472億円と微減し、利益面ではドイツ工場の閉鎖に伴う特別損失の影響を受け、FY2026/3予では純利益が約110億円へと回復を見込んでいます。自動車の電動化という大きな構造変化の中で、コア事業と新規事業の「両利きの経営」を推進し、収益基盤の再構築に取り組んでいます。
稼ぐ力はどのくらい?
| 期 | ROE | ROA | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 7.7% | 3.3% | 3.7% |
| FY2022/3 | 4.8% | 2.1% | 3.5% |
| FY2023/3 | 2.1% | 0.9% | 2.5% |
| FY2024/3 | 6.3% | 2.7% | 5.3% |
| FY2025/3 | 6.3% | 2.7% | 5.7% |
収益性は、主要な自動車メーカー向けのギヤやステアリング部品の需要変動により波がありますが、営業利益率は直近で5%台まで回復しています。かつては2%台まで低下していましたが、生産効率の改善や高付加価値製品へのシフトが功を奏しています。引き続き原材料価格の高騰を抑制し、グローバルな生産効率を最適化することで、収益性の安定化を図るフェーズにあります。
財務は安全?
自己資本比率は40%前後で安定して推移しており、製造業として健全な財務基盤を維持しています。FY2024/3以降、設備投資等の必要資金調達により有利子負債が増加していますが、これらは北杜工場などの能力増強や新技術への投資に充てられています。将来の成長に向けた戦略的な先行投資を行いつつ、適切な負債管理を通じて財務の健全性を担保しています。
お金の流れは?
| 期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | FCF |
|---|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 183億円 | -122億円 | -68.9億円 | 60.6億円 |
| FY2022/3 | 58.0億円 | -201億円 | 148億円 | -143億円 |
| FY2023/3 | 194億円 | -179億円 | -45.1億円 | 14.8億円 |
| FY2024/3 | 316億円 | -160億円 | -178億円 | 156億円 |
| FY2025/3 | 319億円 | -161億円 | -77.4億円 | 158億円 |
営業キャッシュフローはFY2024/3以降年間300億円を超える水準で安定しており、本業での稼ぐ力が向上しています。投資キャッシュフローは電動化対応や生産能力増強に伴い年間160億円規模の支出を継続していますが、これは将来の成長に向けた積極的な投資です。営業CFで投資を賄い、フリーキャッシュフローをプラスで維持できていることは、強固な経営体質への転換を示しています。
この会社のリスク
有価証券報告書に記載されている主なリスク要因です。投資判断の参考にしてください。
税金はいくら払ってる?
| 期 | 税引前利益 | 法人税等 | 実効税率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 82.8億円 | 9.0億円 | 10.9% |
| FY2022/3 | 94.3億円 | 40.1億円 | 42.5% |
| FY2023/3 | 70.3億円 | 45.9億円 | 65.3% |
| FY2024/3 | 156億円 | 76.4億円 | 49.1% |
| FY2025/3 | 180億円 | 102億円 | 56.7% |
実効税率が法定税率よりも高くなる傾向が見られますが、これは主に海外子会社での利益計上や各国の税制差異、および特定期間における損失繰延税金資産の評価に関連するものです。繰延税金資産の取り崩しや、構造改革費用等の税務上の取り扱いが期間によって影響しています。今後はグローバルなオペレーションの安定化に伴い、より平均的な税負担へと収束していくことが見込まれます。
社員の給料はどのくらい?
| 期 | 平均年収 | 従業員数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 当期 | 685万円 | 12,420人 | - |
従業員平均年収は685万円であり、自動車部品業界の平均と比較しても一定の競争力を備えた水準です。グローバル展開に伴う事業構造の転換や生産効率の改善など、業績改善に向けた取り組みが、中長期的な待遇維持の背景にあると推測されます。
誰がこの会社の株を持ってる?
安定株主が一定の割合を占めており、経営基盤は比較的安定しています。 事業法人の持合い比率が高く、安定した株主構成が特徴です。 主な安定株主は本田技研工業。
本田技研工業が約25%を保有する筆頭株主として強固な協力関係にあり、安定した供給先とパートナーシップを構築しています。機関投資家の保有比率も高く、大塚家をはじめとした創業家関連の持株も存在するため、経営の安定と規律が保たれた構成となっています。
会社の公式開示情報
役員報酬
四輪・二輪車向けの精密部品製造を主力としつつ、電動化やAI活用といった次世代テクノロジーへの投資を加速させています。一方で、グローバル拠点の再編に伴う減損損失など、経営環境の変化による収益変動リスクを抱えている点が開示情報から読み取れます。
この会社のガバナンスは?
女性役員比率は36.0%と非常に高く、多様性を重視した先進的な経営体制を構築しています。監査等委員会設置会社として監視機能を強化しており、連結子会社36社を擁するグローバル企業として強固なガバナンス環境を整備しています。
会社の計画は順調?
※ 会社が公表した計画に対する達成度の評価であり、投資についての評価・推奨ではありません
年度別の予想精度(計画を守れてる?)
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2025 | 205億円 | — | 197億円 | -3.8% |
| FY2024 | 110億円 | — | 184億円 | +67.0% |
| FY2023 | 100億円 | — | 77億円 | -23.2% |
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2025 | 3,400億円 | — | 3,472億円 | +2.1% |
| FY2024 | 3,100億円 | — | 3,499億円 | +12.9% |
当初予想 = 期初に会社が発表した数字 / 乖離 = 予想と実績のズレ(+なら上振れ)
明確な中期経営計画の開示はありませんが、単年度の業績予想で経営目標を管理しています。売上高は予想を上回る傾向にありますが、営業利益は外部環境の変化や構造改革費用によりブレが大きいのが特徴です。特にFY2024は期初予想を大幅に上回る着地となりましたが、FY2025は一転して未達となるなど、利益計画の精度に課題を残しています。投資家としては、新規事業が収益に貢献し、利益の安定性が高まるかを見極める必要があります。
この株を持っていたら儲かった?
この会社の株主総利回り(TSR)を、日本株全体の平均(TOPIX)と比較したグラフです。青い線が上にあるほど、平均より良い成績を出しています。
TSR(株主総利回り)は、株価変動と配当を合わせた総合的な投資リターンを示す指標です。FY2025のTSRは317.3%と高い水準でしたが、TOPIXの329.7%をわずかに下回り、アンダーパフォームという結果になりました。過去5年間で見ると、TOPIXを上回る年も下回る年もあり、市場全体のトレンドと連動しつつも、同社の業績変動や構造改革のニュースが株価に大きく影響を与えていることが分かります。株価上昇局面では高いリターンが期待できる一方で、市場平均に劣後するリスクも併せ持つ銘柄と言えるでしょう。
※ 配当を含まない株価ベースのリターンです。過去の実績であり、将来のリターンを保証・示唆するものではありません。
もし5年前に投資していたら?
| 年度末時点 | 評価額 | 損益 | TSR |
|---|---|---|---|
| FY2021 | 230.7万円 | +130.7万円 | 130.7% |
| FY2022 | 190.9万円 | +90.9万円 | 90.9% |
| FY2023 | 237.1万円 | +137.1万円 | 137.1% |
| FY2024 | 220.0万円 | +120.0万円 | 120.0% |
| FY2025 | 317.3万円 | +217.3万円 | 217.3% |
※ 有価証券報告書記載のTSR(株主総利回り)に基づく仮定の計算です。配当再投資を含みます。将来のリターンを保証するものではありません。
株の売買状況と今後の予定
PER・PBRともに業界平均より高く、市場からの成長期待が織り込まれている様子がうかがえます。一方で配当利回りは業界平均を下回っており、株主還元よりも成長投資を優先する姿勢が見られます。信用倍率は2.65倍と標準的な水準で、需給バランスは安定しています。米系大手証券が目標株価を3,000円に引き上げるなど、アナリストの評価もポジティブなものが散見されます。
メディアでどれくらい注目されてる?
メディア露出
メディア分布
競合比較
どんな話題が多い?
最近の出来事
ドイツ工場の閉鎖に伴う特別損失を計上し、最終純利益を87%減益へと大幅に下方修正した。
米運用会社GMOによる株式の5%超保有が判明し、株価のポジティブな変動を誘発した。
物流DXを推進する新型S-CART「SmooV」の展開を開始し、次世代事業のポートフォリオを強化した。
最新ニュース
武蔵精密工業 まとめ
ひとめ診断
「ホンダ系部品大手がEV化の波に乗り、AIや蓄電装置など『脱・自動車』の新領域へアクセルを踏む」
※ 本ページの情報は投資助言ではありません。掲載データは正確性を保証するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。
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