ティラド
T.RAD Co., Ltd.
最終更新日: 2026年3月28日
熱技術で未来を動かす、老舗にして挑戦者
熱エネルギー変換技術をコアに、既存事業の深化と新規事業の創出を図り、2030年度には売上高2,000億円、ROE15.0%を達成するグローバル企業を目指します。
この会社ってなに?
あなたが普段運転する自動車のエンジンが、熱くなりすぎずに安全に走り続けられるのは、ティラドが作る「ラジエーター」という部品のおかげかもしれません。この部品は、エンジンの熱を効率的に逃がす重要な役割を担っています。また、夏に車内を涼しくしてくれるカーエアコンや、工事現場で活躍する大きな建設機械にも、同社の熱交換技術が使われています。普段は目にすることのない部品ですが、私たちの快適で安全な移動や社会を支えるインフラの裏側で、ティラドの技術が活躍しているのです。
独立系の熱交換器メーカー大手で、特に自動車や建設機械向けで強みを持つ。直近の2025年3月期決算では、売上高1592.3億円、営業利益は前期比68.2%増の73.16億円と大幅な増益を達成した。この好業績と積極的な株主還元策を背景に株価は35年ぶりの高値を更新し、市場の注目を集めている。既存事業の強化に加え、製造業向けITソリューション「T.RADコネクト」といった新規事業の育成も進めている。
会社概要
- 業種
- 輸送用機器
- 決算期
- 3月
- 本社
- 東京都渋谷区代々木3丁目25番3号
- 公式
- www.trad.co.jp
社長プロフィール
自動車業界の大きな変化に対応するため、常に経営計画を見直し、迅速な意思決定で成長を目指します。長年培ってきた熱交換技術を核に、社会の進歩と環境へ貢献し続けることで、企業価値の向上に努めます。
この会社のストーリー
自動車用ラジエータの国産化を目指し、独立系の熱交換器メーカーとして歩みを始める。
戦後の復興期を経て、企業としての基盤を固め、さらなる発展を目指して株式市場に上場を果たす。
グローバル化の波に乗り、北米市場への本格進出を開始。世界的なメーカーへの道を歩み始める。
グローバルブランドとしての認知度向上を目指し、旧社名のToyo Radiatorから「T.RAD(ティラド)」へと社名を変更。
長年培った製造業のノウハウを活かし、ITソリューション事業へ進出。新たな収益の柱の育成に着手する。
好調な業績を背景に株価が大幅に上昇。積極的な株主還元策も発表し、市場からの評価が高まる。
環境変化へ迅速に対応する新計画のもと、売上高2,000億円、ROE15%を目指し、持続的な成長を追求する。
注目ポイント
2024年3月期以降、業績予想を立て続けに上方修正し、純利益は過去最高を更新。株価も約35年ぶりの高値をつけるなど、市場から大きな注目を集めています。
業績好調を背景に、3期連続の増配を発表。年間配当額は3年で4倍に増加するなど、株主への利益還元に非常に積極的な姿勢を示しています。
コア技術である熱交換技術を応用し、温泉の熱を利用した発電システムの実証実験や、製造業向けITソリューション「T.RADコネクト」など、未来を見据えた新規事業にも果敢に挑戦しています。
サービスの実績は?
ひとめ診断
配当・優待はもらえる?
| 期 | 1株配当 | 配当性向 |
|---|---|---|
| FY2021/3 | 0円 | 0.0% |
| FY2022/3 | 160円 | 31.0% |
| FY2023/3 | 80円 | 0.3% |
| FY2024/3 | 180円 | 94.5% |
| FY2025/3 | 240円 | 36.7% |
現在、株主優待制度は実施していません。
当社は安定的な株主還元を重視しており、DOE(純資産配当率)を基準とした継続的な配当を実施する方針へと転換しました。業績連動に加え、資本効率を意識した還元を強化することで、長期的な保有を促進しています。過去には一時的な無配もありましたが、現在は資本を厚く保ちながら株主への利益還元を着実に進める姿勢を明確にしています。
同業比較(収益性)
輸送用機器の同業他社平均と比べると…
業績推移
儲かってるの?
当社の売上高は自動車・建機向け熱交換器の堅調な需要に支障され、FY2025/3には約1,592億円まで拡大しました。FY2021/3やFY2023/3には一時的な純損失を計上しましたが、経営効率化と高付加価値製品の拡販により、FY2025/3の営業利益は前期比で大きく回復し約73億円に達しました。足元では堅調な成長を維持しているものの、FY2026/3予想では市場環境の変化を考慮し、保守的な売上高1,400億円を見込んでいます。
稼ぐ力はどのくらい?
| 期 | ROE | ROA | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | -2.9% | -1.4% | 1.1% |
| FY2022/3 | 7.7% | 3.8% | 3.8% |
| FY2023/3 | -8.2% | -3.8% | 0.7% |
| FY2024/3 | 2.7% | 1.2% | 2.7% |
| FY2025/3 | 8.7% | 4.4% | 4.6% |
収益性は自動車業界の需要動向や原材料費の変動に強く影響を受け、FY2025/3にはROE 8.7%、営業利益率4.6%まで改善しました。過去には赤字転落によりROEがマイナスとなる期もありましたが、経営基盤の立て直しと高単価製品へのシフトにより、収益力は向上傾向にあります。今後は中期経営計画に基づき、さらなるコスト管理と高付加価値化を通じて、持続可能な高収益体質への転換を目指しています。
財務は安全?
財務健全性は安定的な推移を見せており、FY2025/3時点での自己資本比率は約49.9%と強固な水準を確保しています。かつては有利子負債ゼロを達成していましたが、設備投資や事業拡大に伴い一定の借入を行いつつも、ネット資産は487億円まで積み上がりました。BPS(1株当たり純資産)も右肩上がりで推移しており、株主資本の蓄積が着実に進んでいることを示しています。
お金の流れは?
| 期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | FCF |
|---|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 74.8億円 | -58.4億円 | -5.9億円 | 16.4億円 |
| FY2022/3 | 72.6億円 | -58.4億円 | -33.9億円 | 14.2億円 |
| FY2023/3 | 43.8億円 | -67.0億円 | -10.6億円 | -23.3億円 |
| FY2024/3 | 170億円 | -70.8億円 | -6.2億円 | 98.9億円 |
| FY2025/3 | 75.6億円 | -64.7億円 | -69.5億円 | 10.9億円 |
営業キャッシュフローは、主力事業からの安定した利益獲得によりFY2024/3には約170億円の大幅な黒字を計上しました。投資活動においては熱交換器製造に向けた設備投資が継続的に行われていますが、営業CFの範囲内で賄うことを基本としています。財務CFは借入金の返済や積極的な株主還元に伴う支出が先行する時期もありましたが、全体としてバランスの取れた資金運用を実践しています。
この会社のリスク
有価証券報告書に記載されている主なリスク要因です。投資判断の参考にしてください。
税金はいくら払ってる?
| 期 | 税引前利益 | 法人税等 | 実効税率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 15.4億円 | 27.8億円 | 180.5% |
| FY2022/3 | 60.0億円 | 24.0億円 | 40.0% |
| FY2023/3 | 20.8億円 | 56.8億円 | 272.6% |
| FY2024/3 | 53.4億円 | 40.9億円 | 76.7% |
| FY2025/3 | 81.0億円 | 38.5億円 | 47.5% |
実効税率は、過去の赤字計上や繰延税金資産の取り崩しといった会計上の処理の影響を受け、年度によって大きく変動する傾向があります。特に損益が低迷した期には税負担率が異常値を示すことがありましたが、業績の回復とともに標準的な水準への回帰が期待されます。今後も適正な納税を行いながら、事業成長に伴う利益確保と税効率の向上を両立させる方針です。
社員の給料はどのくらい?
| 期 | 平均年収 | 従業員数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 当期 | 637万円 | 4,270人 | - |
従業員平均年収は637万円で、製造業の中では安定した水準を維持しています。近年、業績の大幅な拡大に伴う報酬改定や利益還元策の強化が進んでおり、これが従業員への待遇にもポジティブな影響を与えていると考えられます。
誰がこの会社の株を持ってる?
安定株主が一定の割合を占めており、経営基盤は比較的安定しています。 事業法人の持合い比率が高く、安定した株主構成が特徴です。 主な安定株主は陣屋コネクト・ティラド取引先持株会・山崎金属産業。
筆頭株主である株式会社陣屋コネクトが34.62%を保有しており、経営に対する強力な影響力を有する構造です。信託口等の機関投資家が上位を占める一方で、取引先持株会や自社株投資会が一定割合を保持しており、独立系熱交換器メーカーとして安定した関係性を維持する意図が見受けられます。
会社の公式開示情報
役員報酬
熱交換器専業として世界的なサプライチェーンを構築しており、売上高1,500億円規模を有します。開示資料では為替変動や原材料価格の高騰といった事業リスクを明記しつつ、中期経営計画『T.RAD-2025』を通じた高収益体質への転換と、成長投資を加速させています。
この会社のガバナンスは?
女性役員比率は11.0%であり、今後さらなる登用が期待されます。独立した監査体制を整備し、連結子会社13社を抱えるグローバル企業として適切なリスク管理を行っています。企業規模に見合ったガバナンス体制を敷き、成長と持続可能性の両立を目指しています。
会社の計画は順調?
※ 会社が公表した計画に対する達成度の評価であり、投資についての評価・推奨ではありません
年度別の予想精度(計画を守れてる?)
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2025 | 1,590億円 | — | 1,592億円 | +0.1% |
| FY2024 | 1,500億円 | — | 1,587億円 | +5.8% |
| FY2023 | 1,584億円 | — | 1,494億円 | -5.7% |
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2025 | 40億円 | — | 73億円 | +82.9% |
| FY2024 | 18億円 | — | 44億円 | +141.7% |
| FY2023 | 42億円 | — | 11億円 | -75.0% |
当初予想 = 期初に会社が発表した数字 / 乖離 = 予想と実績のズレ(+なら上振れ)
ティラドは過去の中計「T.RAD-12」で売上高とROE目標を達成しましたが、利益率目標は未達でした。しかし、直近2期(FY2024、FY2025)の業績予想は期初計画を大幅に上回る着地となっており、特に利益面での上振れが顕著です。現在は2030年度に売上高2,000億円、ROE15%を目指す新計画「T.RAD-2025」が進行中で、既にPBR1倍超えを前倒しで達成するなど、着実な進捗を見せています。保守的な期初予想から大幅に上方修正する傾向があり、市場の期待を良い意味で裏切る実行力が評価できます。
この株を持っていたら儲かった?
この会社の株主総利回り(TSR)を、日本株全体の平均(TOPIX)と比較したグラフです。青い線が上にあるほど、平均より良い成績を出しています。
TSR(株主総利回り)は、配当と株価上昇を合わせた総合的な投資リターンを示す指標です。ティラドのTSRは、FY2021からFY2025までの5年間、一貫してTOPIXを大幅に上回るパフォーマンスを記録しています。特にFY2024には自社TSRが357.9%(TOPIXは197.3%)に達するなど、その差は歴然です。これは、好調な業績を背景とした株価の急騰と、3期連続増配に代表される積極的な株主還元策の両輪が、株主価値の最大化に直結したことを明確に示しています。
※ 配当を含まない株価ベースのリターンです。過去の実績であり、将来のリターンを保証・示唆するものではありません。
もし5年前に投資していたら?
| 年度末時点 | 評価額 | 損益 | TSR |
|---|---|---|---|
| FY2021 | 171.6万円 | +71.6万円 | 71.6% |
| FY2022 | 221.3万円 | +121.3万円 | 121.3% |
| FY2023 | 215.5万円 | +115.5万円 | 115.5% |
| FY2024 | 357.9万円 | +257.9万円 | 257.9% |
| FY2025 | 354.7万円 | +254.7万円 | 254.7% |
※ 有価証券報告書記載のTSR(株主総利回り)に基づく仮定の計算です。配当再投資を含みます。将来のリターンを保証するものではありません。
株の売買状況と今後の予定
同社のPERは26.4倍と業界平均を上回っており、成長期待の高さが株価に織り込まれています。一方、PBRは業界平均並みで、資産価値から見た割高感は限定的です。信用倍率は23.19倍と高く、信用買い残が積み上がっているため、将来的な需給悪化には注意が必要です。今後の決算発表で市場の期待を超える成長を示し続けられるかが、株価を維持・向上させる上での焦点となります。
メディアでどれくらい注目されてる?
メディア露出
メディア分布
競合比較
どんな話題が多い?
最近の出来事
電通総研と販売代理店契約を締結し、「T.RADコネクト」による製造業の業務効率化支援を加速。
第2四半期決算にて営業利益・純利益が前年比三桁増の大幅成長を達成。
第3四半期累計の連結経常利益が前年同期比2.2倍の92.2億円となり、通期見通しの上方修正を発表。
最新ニュース
ティラド まとめ
ひとめ診断
「自動車の心臓部を冷やす老舗メーカーが、絶好調の業績を追い風に35年ぶりの株価高値で『再沸騰』している状態」
※ 本ページの情報は投資助言ではありません。掲載データは正確性を保証するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。
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