名村造船所
Namura Shipbuilding Co.,Ltd.
最終更新日: 2026年4月7日
海を渡る巨船を造り、世界の物流を支える
造船技術を核に、海上物流と環境保全の両立に貢献し、持続可能な海運の実現に挑戦する
この会社ってなに?
世界の物流を支える巨大な貨物船を造る会社です。日用品や食料品がスーパーに並ぶ裏には、名村造船が建造したバラ積み船が世界中の海を走っています。「海運」のインフラを支えるモノづくり企業です。
名村造船所は1911年創業、大阪に本社を置く造船準大手です。中大型のバラ積み船(バルクキャリア)を主力とし、傘下に佐世保重工業(修繕専業)と函館どつくを擁するグループ体制で新造船・修繕船・鉄構・機械の4事業を展開。売上高は約1,592億円(FY2025/3)で、新造船が約77%を占めます。FY2021-22の赤字から劇的にV字回復し、FY2025/3は営業利益295億円・営業利益率18.5%と過去最高を大幅に更新。世界的な船舶需要の回復と円安効果に加え、環境規制強化によるLNG・アンモニア燃料船など次世代船への受注が好調です。2025年には米中「海の覇権」争いを背景とした造船需要の高まりで防衛関連としても注目を集め、株価は2年で約3倍に上昇しました。
会社概要
- 業種
- 輸送用機器
- 決算期
- 3月
- 本社
- 大阪府大阪市西区立売堀2丁目1番9号
- 公式
- www.namura.co.jp
社長プロフィール

海運の未来を見据え、環境対応船や次世代燃料船の建造技術で世界の物流インフラに貢献してまいります。創業以来の造船技術を磨き続け、安全で高品質な船を世界に届けます。
この会社のストーリー
名村源太郎が大阪市此花区で名村造船鉄工所を創業。木造船から鉄船への転換期に事業を開始した
高度経済成長期に伊万里事業所(佐賀県)を開設。大型バラ積み船の建造を開始し、造船準大手として地位を確立
佐世保重工業を株式交換で完全子会社化。修繕船事業を取り込み、新造船+修繕船の一貫体制を構築
海運市況の低迷と受注減少で2期連続赤字。佐世保重工の構造改革と高採算船へのシフトで再建に着手
海運市況の回復と環境規制対応船の受注増加で営業利益295億円の過去最高益。防衛テーマでも注目され株価は2年で3倍に
注目ポイント
2期連続赤字から営業利益率18.5%へ劇的なV字回復。造船業としては異例の高利益率で、構造改革と市況回復が相乗効果を発揮しています
GHG排出規制の強化で旧型船の更新需要が拡大。LNG・アンモニア燃料対応船など環境規制対応船の受注が増加し、今後も高水準の需要が見込まれます
5年間で株価は約10倍に上昇。実質無借金経営で配当余力も大きく、配当性向の引き上げ余地が株主還元面でのサプライズ材料です
サービスの実績は?
ひとめ診断
配当・優待はもらえる?
| 期 | 1株配当 | 配当性向 |
|---|---|---|
| FY2016/3 | 20円 | 18.9% |
| FY2017/3 | 15円 | 0.1% |
| FY2018/3 | 10円 | 0.1% |
| FY2019/3 | 10円 | 111.2% |
| FY2020/3 | 8円 | 0.1% |
| FY2021/3 | 0円 | 0.0% |
| FY2022/3 | 0円 | 0.0% |
| FY2023/3 | 5円 | 3.1% |
| FY2024/3 | 20円 | 6.9% |
| FY2025/3 | 50円 | 13.2% |
株主優待制度なし
FY2021-22の赤字期は無配でしたが、黒字転換したFY2023/3に5円で復配し、FY2025/3には50円と急ピッチで増額。配当性向は13.2%とまだ低水準で、今後の増配余地は大きいと見られます。FY2026/3予想EPS 216円に対しても還元拡大の期待が持てます。株主優待はありませんが、業績回復に伴い総還元性向の引き上げが進む見通しです。
同業比較(収益性)
輸送用機器の同業他社平均と比べると…
業績推移
儲かってるの?
FY2021-22の2期連続赤字から劇的なV字回復を遂げ、FY2025/3には売上高1,592億円・営業利益295億円・営業利益率18.5%と過去最高を大幅に更新しました。海運市況の好転と円安効果に加え、高採算の環境規制対応船の受注が利益率を押し上げています。FY2026/3予想は減益見通しですが、これは保守的な為替前提(1ドル=140円台)によるもので、受注残は高水準を維持しています。
事業ごとの売上・利益
中大型バラ積み船が主力。伊万里事業所で建造。LNG・アンモニア燃料対応船の受注も拡大
佐世保重工が担当。修繕専業化で収益改善。バラスト水処理装置の装着需要が追い風
橋梁、水門などの鉄構造物。造船の技術を活用した非船舶分野
不動産賃貸、伊万里鉄鋼センターなどのグループ会社事業
稼ぐ力はどのくらい?
| 期 | ROE | ROA | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | -46.5% | -16.8% | - |
| FY2022/3 | -22.6% | -6.8% | - |
| FY2023/3 | 22.9% | 9.0% | - |
| FY2024/3 | 28.5% | 11.4% | 12.2% |
| FY2025/3 | 26.4% | 12.6% | 18.5% |
FY2021-22の赤字期から営業利益率18.5%(FY2025/3)へ劇的な改善を遂げました。ROEも25.0%と非常に高い水準で、資本効率の面でも優秀です。造船業は一般にマージンが低い業種ですが、高採算船の受注と円安効果が利益率を押し上げており、同業他社を大きく上回る収益性を実現しています。
財務は安全?
自己資本比率はFY2022/3の29.8%からFY2025/3には50.0%へ大幅に改善。BPSもFY2022/3の534円から1,505円へ約3倍に急増しており、過去最高益の蓄積で財務基盤が飛躍的に強化されました。有利子負債ゼロの実質無借金経営で、造船業特有の大型工事リスクに対する耐性は高い水準です。
お金の流れは?
| 期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | FCF |
|---|---|---|---|---|
| FY2021/3 | -266億円 | -40.6億円 | -1.2億円 | -307億円 |
| FY2022/3 | 151億円 | -7.2億円 | -25.0億円 | 144億円 |
| FY2023/3 | 90.0億円 | -12.6億円 | -33.8億円 | 77.4億円 |
| FY2024/3 | 274億円 | -19.2億円 | 5.7億円 | 255億円 |
| FY2025/3 | 377億円 | -52.6億円 | 22.9億円 | 325億円 |
営業CFはFY2021/3の▲266億円からFY2025/3は+377億円と大幅に改善。受注残の増加に伴う前受金の積み上がりがキャッシュ創出力を押し上げています。設備投資は年間10〜50億円程度と控えめで、FCFは325億円と潤沢。造船業は前受金ビジネスの特性があり、受注が好調な局面ではキャッシュフローが大きくプラスに振れます。
この会社のリスク
有価証券報告書に記載されている主なリスク要因です。投資判断の参考にしてください。
税金はいくら払ってる?
| 期 | 税引前利益 | 法人税等 | 実効税率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | -106億円 | 0円 | - |
| FY2022/3 | -82.4億円 | 0円 | - |
| FY2023/3 | 114億円 | 1.8億円 | 1.5% |
| FY2024/3 | 200億円 | 5,300万円 | 0.3% |
| FY2025/3 | 295億円 | 32.6億円 | 11.0% |
FY2023-24の実効税率が1〜0.3%と極端に低いのは、赤字期に計上した繰越欠損金を活用しているためです。FY2025/3は11.0%とやや正常化が進み、FY2026/3予想では28.6%と法定実効税率に近づく見通し。繰越欠損金の消化が進むにつれ税負担は増加しますが、業績好調により税引後利益は十分な水準を維持しています。
社員の給料はどのくらい?
| 期 | 平均年収 | 従業員数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 当期 | 658万円 | 2,297人 | - |
誰がこの会社の株を持ってる?
金融機関19.5%(信託口・銀行・保険)+事業法人30.6%(日本製鉄7.25%、商船三井2.98%、エア・ウォーター2.39%、大和工業2.34%、三菱重工2.04%等)で安定株主約50.3%
筆頭株主は日本マスタートラスト信託銀行(9.88%)、次いで日本製鉄(7.25%)、三菱UFJ銀行(3.22%)。事業パートナーとして商船三井2.98%・三菱重工2.04%が安定保有しており、鉄鋼大手の日本製鉄7.25%・大和工業2.34%も取引関係に基づく長期保有です。会長の名村建彦・社長の名村建介が創業家出身ですが、個人としての大株主上位には入っておらず、持株比率は限定的。外国法人はカストディアン経由が中心で約25%。信用倍率1.51倍と需給は比較的均衡しています。
会社の公式開示情報
役員報酬
事業別の稼ぎ
| 事業名 | 売上 | 利益 | 利益率 |
|---|---|---|---|
| 新造船 | 約1,226億円 | 約270億円 | 約22% |
| 修繕船 | 約223億円 | 約36億円 | 約16% |
| 鉄構・機械 | 約64億円 | 約1億円 | 約2% |
| その他 | 約79億円 | 約-12億円 | - |
セグメント別では新造船が売上の約77%・利益の大半を占める一本柱。営業利益率は推定22%と造船業としては異例の高水準で、高採算の環境規制対応船と円安効果が寄与。修繕船は佐世保重工の構造改革が奏功し利益率16%まで改善。鉄構・機械は利益貢献が小さく、事業ポートフォリオは新造船に大きく依存しています。
この会社のガバナンスは?
会社の計画は順調?
※ 会社が公表した計画に対する達成度の評価であり、投資についての評価・推奨ではありません
年度別の予想精度(計画を守れてる?)
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2025/3 | 160億円 | 275億円 | 295億円 | +7.3% |
| FY2024/3 | 90億円 | 155億円 | 165億円 | +6.5% |
当初予想 = 期初に会社が発表した数字 / 乖離 = 予想と実績のズレ(+なら上振れ)
FY2025/3の営業利益は当初予想160億円に対し295億円(+84%上振れ)と大幅超過。過去2期連続で期中に上方修正→さらに上振れの好循環が続いています。予想が保守的な傾向にある分、ポジティブサプライズが生じやすく、市場の信頼度は高まっています。
この株を持っていたら儲かった?
この会社の株主総利回り(TSR)を、日本株全体の平均(TOPIX)と比較したグラフです。青い線が上にあるほど、平均より良い成績を出しています。
5年間の累積TSRは1,157%でTOPIX(213%)を約940ポイント上回る圧倒的なアウトパフォーム。FY2024に造船市況の回復と防衛テーマで株価が急騰し、テンバガー(10倍株)に迫るリターンを達成。ただしFY2021-23はTOPIXと同水準であり、直近2年の急騰が全体を押し上げている点は認識が必要です。
※ 配当を含まない株価ベースのリターンです。過去の実績であり、将来のリターンを保証・示唆するものではありません。
もし5年前に投資していたら?
| 年度末時点 | 評価額 | 損益 | TSR |
|---|---|---|---|
| FY2021 | 108.8万円 | +8.8万円 | 8.8% |
| FY2022 | 160.8万円 | +60.8万円 | 60.8% |
| FY2023 | 173.0万円 | +73.0万円 | 73.0% |
| FY2024 | 988.7万円 | +888.7万円 | 888.7% |
| FY2025 | 1156.9万円 | +1056.9万円 | 1056.9% |
※ 有価証券報告書記載のTSR(株主総利回り)に基づく仮定の計算です。配当再投資を含みます。将来のリターンを保証するものではありません。
株の売買状況と今後の予定
PERは20.2倍でセクター平均の12倍を大幅に上回るプレミアム水準。防衛・造船テーマの成長期待が織り込まれています。PBR 2.90倍もセクター平均の1.0倍を大きく上回り、過去の赤字期から復活した成長ストーリーが評価されている形です。信用倍率1.51倍と需給は比較的均衡。
メディアでどれくらい注目されてる?
メディア露出
メディア分布
競合比較
どんな話題が多い?
最近の出来事
FY2026/3通期の連結業績予想を修正。3Q累計の経常利益は217億円(前年同期比-13.3%)と減益だが、通期予想は据え置き
FY2026/3 2Q累計の経常利益は114億円。上期時点で通期計画の過半を達成し堅調
米国の「造船法案」報道を受け、防衛関連として注目が集まり株価が上場来高値6,050円を更新
FY2025/3本決算で売上高1,592億円、営業利益295億円(+78.7%)と大幅増益。配当50円に増額
三菱重工と商船事業で提携協議。今治造船・大島造船所との連携で日本造船連合の形成が進む
最新ニュース
名村造船所 まとめ
ひとめ診断
造船準大手。中大型バラ積み船が主力。傘下に佐世保重工・函館どつく
※ 本ページの情報は投資助言ではありません。掲載データは正確性を保証するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。
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