IHI
IHI Corporation
最終更新日: 2026年3月28日
空から深海、そして宇宙まで。技術力で未来を拓く総合重工メーカー
自然と技術が調和する豊かな社会を実現することを目指し、地球規模のエネルギー・環境問題や社会インフラの課題解決に貢献します。
この会社ってなに?
あなたが海外旅行で飛行機に乗るとき、その翼についているジェットエンジンの一部はIHIが手掛けているかもしれません。同社は世界の航空機エンジンの主要メーカーの一つです。また、私たちが毎日使う電気を生み出す発電所の設備や、高速道路の大きな橋の建設など、社会を支えるインフラの裏側でIHIの技術が活躍しています。最近では、環境に優しい次世代エネルギーとして注目されるアンモニアを燃料として使う技術開発も進めており、未来のクリーンな社会づくりにも貢献しようとしています。
総合重工業大手IHIは、航空エンジン事業を中核に据え、FY2025には売上高1兆6268.3億円、営業利益1435.17億円とV字回復を遂げました。前年度(FY2024)は航空エンジンの品質問題で701.38億円の営業赤字を計上しましたが、主力の民間航空エンジン事業の回復や防衛関連事業の伸長が寄与しています。今後は、アンモニア燃焼技術や次世代原子炉(SMR)といった脱炭素ソリューションを新たな成長ドライバーとすべく、積極的な研究開発投資を進める方針です。
会社概要
- 業種
- 機械
- 決算期
- 3月
- 本社
- 東京都江東区豊洲3丁目1番1号
- 公式
- www.ihi.co.jp
社長プロフィール

『技術をもって社会の発展に貢献する』という経営理念のもと、気候変動対策や防災・減災といった社会課題の解決に挑戦しています。お客さまや社会にとって『なくてはならない存在』となることを目指し、未来を創造するソリューションを提供し続けます。
この会社のストーリー
水戸藩が石川島(現在の東京都中央区)に石川島造船所を創設。これがIHIの原点となり、日本の近代化を造船技術で支え始めました。
石川島重工業と播磨造船所が合併し、「石川島播磨重工業株式会社」が誕生。造船だけでなく、陸上機械やプラントへと事業を拡大し、総合重工業メーカーとしての道を歩み始めました。
防衛庁(当時)向けのジェットエンジンの生産を開始し、航空宇宙事業に本格参入。以来、民間航空機用エンジンでも世界的な地位を確立しています。
創業から半世紀以上親しまれてきた略称「IHI」を正式社名に変更。グローバル市場でのブランドイメージを統一し、さらなる飛躍を目指す意思を表明しました。
カーボンニュートラル社会の実現に向け、アンモニアを燃料として利用する技術開発を本格化。石炭火力発電での混焼技術実証に成功するなど、世界をリードする取り組みを進めています。
航空エンジンやアンモニア関連事業を中核に据え、事業の選択と集中を加速。収益性の高い事業構造への転換を図り、持続的な成長を目指しています。
次世代小型原子炉(SMR)を開発する米新興企業との協業を検討開始。アンモニアに続く新たな脱炭素ソリューションとして、未来のエネルギー供給網の構築に貢献します。
注目ポイント
燃焼してもCO2を排出しないアンモニアを燃料として活用する技術開発で世界をリード。石炭火力発電での混焼など、脱炭素社会の実現に向けたキーテクノロジーを社会実装しています。
世界の旅客機の多くに搭載されるジェットエンジンの国際共同開発に参加。さらに、国産ロケットのエンジンターボポンプなど、日本の航空宇宙開発を支える核心技術を担っています。
航空エンジンや脱炭素関連の成長分野に経営資源を集中させ、事業構造改革を推進中。安定した財務基盤を背景に、配当などを通じた株主への利益還元も着実に行っています。
サービスの実績は?
ひとめ診断
配当・優待はもらえる?
| 期 | 1株配当 | 配当性向 |
|---|---|---|
| FY2021/3 | 0円 | 0.0% |
| FY2022/3 | 10円 | 15.9% |
| FY2023/3 | 12.86円 | 30.6% |
| FY2024/3 | 14.29円 | 0.2% |
| FY2025/3 | 17.14円 | 16.1% |
現在、株主優待制度は実施していません。
配当方針として、業績の成長に応じた安定的な増配を基本とし、キャッシュフローの状況を考慮した株主還元を推進しています。特に近年は収益拡大を背景に増配を重ね、FY2025/3には年間120円の配当を実施しました。今後は、成長事業への投資を先行させつつも、適切な配当性向を維持することで、株主への利益還元を継続していく計画です。
同業比較(収益性)
機械の同業他社平均と比べると…
業績推移
儲かってるの?
IHIの業績は、航空・宇宙・防衛部門を中心とした成長により、FY2025/3には売上高約1兆6,268億円、純利益約1,127億円を達成し大幅な増収増益を記録しました。前年度のFY2024/3には、特定プロジェクトにおける損失計上の影響で一時的に赤字に転落しましたが、迅速な事業再編とポートフォリオの見直しにより業績を回復させました。今後も航空エンジン事業の堅調な需要を背景に、FY2026/3期もさらなる収益拡大を予測しています。
稼ぐ力はどのくらい?
| 期 | ROE | ROA | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 4.0% | 0.7% | 2.5% |
| FY2022/3 | 16.2% | 3.5% | 6.9% |
| FY2023/3 | 9.8% | 2.3% | 6.1% |
| FY2024/3 | -17.0% | -3.3% | -5.3% |
| FY2025/3 | 22.2% | 5.0% | 8.8% |
収益性は、FY2025/3においてROE(自己資本利益率)が22.2%、営業利益率が8.8%へと劇的に改善し、高い資本効率を実現しています。過去の業績低迷期には営業利益率が低下する局面もありましたが、利益率の高いアフターマーケット事業の拡大や不採算事業の整理が奏功しました。現在は、高付加価値な製品・サービスへのシフトにより、業界平均を上回る収益構造への転換に成功しています。
財務は安全?
財務健全性は、積極的な投資に伴う有利子負債の増加により一時的に自己資本比率が低下したものの、FY2025/3時点で自己資本比率は21.5%まで回復しました。過去の無借金経営から、成長投資を加速させるための戦略的負債へと転換しており、資産規模も2兆2,403億円へと着実に拡大しています。今後も成長事業への投資を継続しつつ、収益力の向上を通じて強固なバランスシートの維持を目指す方針です。
お金の流れは?
| 期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | FCF |
|---|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 364億円 | -405億円 | -237億円 | -41.0億円 |
| FY2022/3 | 1,142億円 | 279億円 | -1,215億円 | 1,421億円 |
| FY2023/3 | 541億円 | -523億円 | -240億円 | 17.7億円 |
| FY2024/3 | 621億円 | -517億円 | -25.7億円 | 104億円 |
| FY2025/3 | 1,776億円 | -588億円 | -1,162億円 | 1,188億円 |
営業キャッシュフローは、航空エンジンのメインテナンス事業などの高収益な売上拡大により、FY2025/3には過去最高水準の約1,776億円を創出しました。投資活動においては、次世代エンジン開発や脱炭素技術への先行投資を継続しているものの、安定的な営業キャッシュフローがそれを十分にカバーしています。創出されたキャッシュを成長投資に優先配分することで、持続的な企業価値の向上を実現しています。
この会社のリスク
有価証券報告書に記載されている主なリスク要因です。投資判断の参考にしてください。
税金はいくら払ってる?
| 期 | 税引前利益 | 法人税等 | 実効税率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 280億円 | 149億円 | 53.2% |
| FY2022/3 | 815億円 | 154億円 | 18.9% |
| FY2023/3 | 820億円 | 374億円 | 45.7% |
| FY2024/3 | -701億円 | 0円 | - |
| FY2025/3 | 1,435億円 | 308億円 | 21.4% |
法人税等の支払額は税引前利益の変動に連動しており、FY2024/3の赤字期には納税が発生しませんでした。FY2025/3は業績急回復に伴い、約308億円の法人税等を計上し、税率は法定実効税率に近い水準で推移しています。今後の業績拡大に伴い、適切な納税を通じて社会貢献を果たすとともに、税効果会計を考慮した適切な利益管理を継続します。
社員の給料はどのくらい?
| 期 | 平均年収 | 従業員数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 当期 | 813万円 | 27,990人 | - |
従業員の平均年収は813万円と、製造業の中でも比較的高水準を維持しています。航空宇宙やエネルギーといった高付加価値な事業を展開しており、高い専門性と技術力を要する人材への還元がこの年収水準に反映されていると考えられます。
誰がこの会社の株を持ってる?
外国人・個人投資家の比率が高く、市場の需給が株価に反映されやすい構造です。 外国人投資家の保有比率が高く、グローバルな投資家からの評価が反映されやすい銘柄です。
上位株主には日本マスタートラスト信託銀行や日本カストディ銀行といった機関投資家の信託口が並んでおり、安定的な長期保有株主が中心です。また、自社関連の共栄会や従業員持株会も一定の割合を占めており、安定した経営基盤を維持する構成となっています。
会社の公式開示情報
役員報酬
IHIは航空・宇宙・防衛、資源・エネルギー・環境、社会基盤・産業システムを核とする多角的な事業構造を有しています。航空エンジン分野が収益の柱である一方、地政学リスクやサプライチェーンの変動を経営上の重要なリスク要因として開示しています。
この会社のガバナンスは?
女性役員比率が29.4%と多様な視点を取り入れたガバナンス体制を強化しています。監査報酬として約4.7億円を投じており、大規模なグローバル企業として監査体制の透明性と健全性が十分に確保されています。
会社の計画は順調?
※ 会社が公表した計画に対する達成度の評価であり、投資についての評価・推奨ではありません
年度別の予想精度(計画を守れてる?)
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2025 | 1兆6,000億円 | — | 1兆6,268億円 | +1.7% |
| FY2024 | 1兆4,500億円 | — | 1兆3,226億円 | -8.8% |
| FY2023 | 1兆3,000億円 | — | 1兆3,529億円 | +4.1% |
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2025 | 1,100億円 | — | 1,435億円 | +30.5% |
| FY2024 | 900億円 | — | -701億円 | 大幅未達 |
| FY2023 | 750億円 | — | 895億円 | +19.4% |
当初予想 = 期初に会社が発表した数字 / 乖離 = 予想と実績のズレ(+なら上振れ)
IHIは現在、具体的な中期経営計画の代わりに「グループ経営方針2023」を掲げ、年度ごとの業績目標を開示しています。FY2024は航空エンジン事業の品質問題に関連する一時的な損失で大幅な計画未達となりましたが、FY2025では民間航空需要の回復を追い風に売上・利益ともに期初予想を上回るV字回復を達成しました。2027年3月期からの次期中期経営計画では、成長事業への投資を優先する方針が示されており、今後の戦略に注目が集まります。
この株を持っていたら儲かった?
この会社の株主総利回り(TSR)を、日本株全体の平均(TOPIX)と比較したグラフです。青い線が上にあるほど、平均より良い成績を出しています。
FY2021からFY2025までの5年間、IHIのTSR(株主総利回り)は一貫してTOPIXを大幅にアウトパフォームしています。特にFY2025は、前年度の赤字からのV字回復と防衛関連株への注目を背景に株価が急騰し、TOPIXを大きく引き離しました。これは、航空宇宙・防衛という高成長・高収益セクターに事業の軸足を置くとともに、配当による株主還元を継続してきた経営戦略が、株主価値の向上に直結した結果と言えます。
※ 配当を含まない株価ベースのリターンです。過去の実績であり、将来のリターンを保証・示唆するものではありません。
もし5年前に投資していたら?
| 年度末時点 | 評価額 | 損益 | TSR |
|---|---|---|---|
| FY2021 | 177.9万円 | +77.9万円 | 77.9% |
| FY2022 | 239.3万円 | +139.3万円 | 139.3% |
| FY2023 | 275.8万円 | +175.8万円 | 175.8% |
| FY2024 | 345.4万円 | +245.4万円 | 245.4% |
| FY2025 | 847.9万円 | +747.9万円 | 747.9% |
※ 有価証券報告書記載のTSR(株主総利回り)に基づく仮定の計算です。配当再投資を含みます。将来のリターンを保証するものではありません。
株の売買状況と今後の予定
IHIのPER・PBRは業界平均を大幅に上回っており、市場から高い成長期待を寄せられていることが分かります。これは、航空宇宙・防衛関連事業の将来性や、アンモニア関連などの脱炭素技術への期待が株価に織り込まれているためと考えられます。信用倍率は3.22倍と標準的な水準ですが、株価が大きく上昇した局面では信用買い残の動向に注意が必要です。時価総額では競合の三菱重工業に次ぐ規模を誇ります。
メディアでどれくらい注目されてる?
メディア露出
メディア分布
競合比較
どんな話題が多い?
最近の出来事
IHI運搬機械の運搬システム事業の譲渡に関する吸収分割を実施。
カーリフト保守事業をジャパンエレベーターサービスホールディングスへ譲渡。
アンモニア燃焼技術と社会実装への取り組みで日本エネルギー学会賞技術部門を受賞。
最新ニュース
IHI まとめ
ひとめ診断
「日本の重工業の巨人が、航空宇宙と脱炭素技術の双発エンジンで未来へ離陸する」
※ 本ページの情報は投資助言ではありません。掲載データは正確性を保証するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。
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