日本製鋼所
The Japan Steel Works,Ltd.
最終更新日: 2026年3月22日
世界のモノづくりと日本の安全保障を支える100年企業の新たな挑戦
世界トップクラスの技術力を活かし、素材・エネルギー・環境の分野で社会の発展に貢献する。
この会社ってなに?
日本製鋼所は、私たちの暮らしを間接的に支えている会社です。ペットボトルやスマホケースなどのプラスチック製品を作る射出成形機は同社の主力製品であり、原子力発電所の圧力容器に使われる大型鍛鋼品は世界でも限られたメーカーしか製造できません。また防衛装備品の製造を通じて日本の安全保障にも貢献しています。
日本製鋼所は、樹脂製造・加工機械(二軸混練押出機・射出成形機)で世界トップクラスのシェアを誇り、防衛関連機器や大型鋳鍛鋼品も手がける総合重工メーカーです。FY2025/3は売上高2,486億円に対し営業利益228億円と過去最高を更新、営業利益率は9.2%まで向上しました。FY2026/3予想では売上高2,900億円・純利益185億円を見込み、産業機械事業の堅調な受注と防衛関連の拡大が業績を牽引しています。PER39.4倍・PBR3.77倍と成長プレミアムが織り込まれた水準で、原発部材の世界的需要回復も追い風となっています。
会社概要
- 業種
- 機械
- 決算期
- 3月
- 本社
- 東京都品川区大崎1丁目11番1号 ゲートシティ大崎ウエストタワー
- 公式
- www.jsw.co.jp
社長プロフィール
日本製鋼所は1907年の創業以来、ものづくりの力で社会に貢献してきました。中期経営計画JGP2028のもと、産業機械事業のさらなるグローバル展開と新事業領域の開拓を通じて、持続的な成長を実現していきます。
この会社のストーリー
英国のアームストロング・ウィットワース社と北海道炭礦汽船の合弁として設立。鋼材の製造と兵器の生産を開始しました。
戦後の財閥解体を経て再建。産業機械や鋳鍛鋼品の製造へ転換し、日本の復興と高度経済成長を支えました。
プラスチック製造に不可欠な二軸混練押出機の開発・改良を重ね、世界トップクラスのシェアを確立しました。
福島原発事故により原子力関連事業が大きな打撃を受けました。事業ポートフォリオの見直しを迫られる転換点となりました。
安全保障環境の変化による防衛関連需要の拡大と、世界的な脱炭素潮流での原子力再評価により、事業環境が大きく好転しました。
中期経営計画JGP2028を策定し、M&Eの吸収合併による組織再編と事業拡大を通じて、売上高5,000億円以上の長期目標に挑戦しています。
注目ポイント
プラスチック原料の製造に欠かせない二軸混練押出機で世界首位級のシェアを持ち、EV用バッテリー材料やリサイクル樹脂の需要増が新たな成長機会となっています。
原子力発電所の圧力容器用大型鍛鋼品は世界でも数社しか製造できない独占的技術。脱炭素の切り札として原発再評価が進む中、受注回復が加速しています。
自己資本比率48%超の健全な財務体質のもと、配当は4年間で約2.5倍に増額。配当性向35%以上を目標に掲げ、業績成長と株主還元の両立を目指しています。
サービスの実績は?
ひとめ診断
配当・優待はもらえる?
| 期 | 1株配当 | 配当性向 |
|---|---|---|
| FY2015/3 | 4円 | 0.3% |
| FY2016/3 | 5円 | 0.3% |
| FY2018/3 | 37.5円 | 25.7% |
| FY2019/3 | 55円 | 20.2% |
| FY2020/3 | 45円 | 35.5% |
| FY2021/3 | 35円 | 37.3% |
| FY2022/3 | 57円 | 30.1% |
| FY2023/3 | 58円 | 35.6% |
| FY2024/3 | 59円 | 30.4% |
| FY2025/3 | 86円 | 35.2% |
なし
配当はFY2021/3の35円からFY2025/3の86円へと4期連続で増配しており、配当額は約2.5倍に増加しています。中期経営計画JGP2028では「連結配当性向35%以上」を目標とし、「DOE(連結株主資本配当率)2.5%」を下限とする方針を明示しています。FY2026/3は88円(予想)とさらなる増配を見込んでいます。株主優待制度は実施しておらず、配当を通じた直接的な利益還元を基本方針としています。
同業比較(収益性)
機械の同業他社平均と比べると…
業績推移
儲かってるの?
日本製鋼所の業績は、FY2021/3の売上高1,980億円からFY2025/3の2,486億円へと着実に拡大してきました。特に営業利益はFY2021/3の102億円からFY2025/3の228億円へ倍増し、営業利益率は5.2%から9.2%へと大幅に改善しています。FY2026/3予想では売上高2,900億円と過去最高を見込み、産業機械事業の旺盛な需要と防衛関連の受注拡大が成長ドライバーです。
事業ごとの売上・利益
二軸混練押出機、射出成形機、フィルム・シート成形機などの樹脂製造・加工機械。世界トップクラスのシェア
原子力・火力発電向け大型鋳鍛鋼品、クラッド鋼板、風力発電部品
防衛装備品(火砲・弾薬等)、電子デバイス関連機器、不動産賃貸
稼ぐ力はどのくらい?
| 期 | ROE | ROA | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 8.8% | 2.2% | - |
| FY2022/3 | 7.7% | 4.1% | - |
| FY2023/3 | 9.5% | 3.4% | - |
| FY2024/3 | 7.2% | 3.9% | 7.1% |
| FY2025/3 | 7.7% | 4.5% | 9.2% |
ROEはFY2021/3の4.9%からFY2025/3には9.2%へと着実に改善しており、資本効率の向上が進んでいます。営業利益率も5.2%から9.2%へ大幅に向上し、高付加価値な産業機械セグメントの利益貢献度が高まっています。ROAも2.2%から4.5%へ倍増し、資産効率と収益性の両面で改善トレンドが鮮明です。
財務は安全?
総資産は3,981億円に拡大し、自己資本比率は44〜49%の健全な水準で安定推移しています。BPSはFY2021/3の1,909円からFY2025/3の2,625円へと4年間で約38%増加しており、内部留保の積み上がりが着実です。FY2024/3以降に有利子負債が増加していますが、これは成長投資に伴うものであり、自己資本比率48%台と財務の健全性は十分に維持されています。
お金の流れは?
| 期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | FCF |
|---|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 147億円 | -32.4億円 | 27.7億円 | 115億円 |
| FY2022/3 | 223億円 | -29.8億円 | -28.6億円 | 193億円 |
| FY2023/3 | -9.9億円 | 9.5億円 | -201億円 | -3,900万円 |
| FY2024/3 | 217億円 | -68.4億円 | -49.0億円 | 149億円 |
| FY2025/3 | -45.7億円 | -123億円 | -57.2億円 | -168億円 |
営業CFは年度ごとに変動が大きい特徴があります。FY2022/3は223億円、FY2024/3は217億円と潤沢なキャッシュを創出した一方、FY2023/3とFY2025/3はマイナスとなっています。これは大型受注案件の前払い支出や運転資本の増減が影響しており、受注生産型ビジネスに特有の変動パターンです。FY2025/3の投資CFは-123億円と積極的な設備投資を実施しており、中長期の成長に向けた投資を継続しています。
この会社のリスク
有価証券報告書に記載されている主なリスク要因です。投資判断の参考にしてください。
税金はいくら払ってる?
| 期 | 税引前利益 | 法人税等 | 実効税率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 107億円 | 38.3億円 | 35.7% |
| FY2022/3 | 168億円 | 28.2億円 | 16.8% |
| FY2023/3 | 150億円 | 29.8億円 | 19.9% |
| FY2024/3 | 199億円 | 56.7億円 | 28.4% |
| FY2025/3 | 235億円 | 55.3億円 | 23.6% |
税引前利益はFY2021/3の107億円からFY2025/3の235億円へと倍増しており、法人税等の納付額も増加傾向にあります。実効税率はFY2022/3に16.8%と低水準となっていますが、これは繰延税金資産の計上や税務上の調整項目によるもので、その後は20〜28%の範囲に落ち着いています。FY2026/3予想では税引前利益245億円に対し60億円の納税を見込んでいます。
社員の給料はどのくらい?
| 期 | 平均年収 | 従業員数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 当期 | 694万円 | 5,283人 | - |
単体の平均年収は694万円で、機械業界の平均的な水準です。平均年齢38.8歳と比較的若い組織構成となっており、従業員数は約5,300名(単体)です。連結では子会社を含めさらに多くの従業員を擁しています。中期経営計画では人的資本投資の強化を掲げており、今後の処遇改善が期待されます。
誰がこの会社の株を持ってる?
安定株主が一定の割合を占めており、経営基盤は比較的安定しています。 外国人投資家の保有比率が高く、グローバルな投資家からの評価が反映されやすい銘柄です。 主な安定株主は大樹生命保険。
機関投資家中心の安定した株主構成が特徴です。筆頭株主の日本マスタートラスト信託銀行が18.1%、日本カストディ銀行が10.1%と信託口が上位を占めています。三菱重工業が1.37%を保有しており、歴史的な資本関係が残っている点も注目されます。金融機関比率41.9%・外国法人32.6%と、国内外の機関投資家から幅広い支持を得ています。
会社の公式開示情報
役員報酬
事業別の稼ぎ
| 事業名 | 売上 | 利益 | 利益率 |
|---|---|---|---|
| 産業機械 | 約1,434億円 | 約160億円 | 11.2% |
| 素形材・エンジニアリング | 約750億円 | 約55億円 | 7.3% |
| その他(防衛関連等) | 約300億円 | 約13億円 | 4.3% |
EDINET開示情報によると、産業機械セグメントが全社売上の約6割・利益の約7割を占める収益の柱です。二軸混練押出機を中心に世界トップクラスのシェアを持ち、営業利益率11%超と高い収益性を実現しています。素形材・エンジニアリング部門は原子力ルネサンスの恩恵を受け、大型鋳鍛鋼品の受注が回復基調にあります。防衛関連は日本の安全保障環境の変化を背景に今後の拡大が期待されています。
この会社のガバナンスは?
取締役14名中3名が女性で、女性役員比率21.4%と多様性の確保が進んでいます。連結子会社32社を擁するグループ体制で、設備投資額は181.5億円と成長に向けた積極投資を継続しています。平均勤続年数12.5年は適度な人材流動性と定着のバランスを示しています。
会社の計画は順調?
※ 会社が公表した計画に対する達成度の評価であり、投資についての評価・推奨ではありません
年度別の予想精度(計画を守れてる?)
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2024 | 2,800億円 | — | 2,525億円 | -9.8% |
| FY2025 | 2,650億円 | — | 2,486億円 | -6.2% |
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2024 | 140億円 | — | 143億円 | +2.0% |
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2025 | 200億円 | — | 228億円 | +14.1% |
当初予想 = 期初に会社が発表した数字 / 乖離 = 予想と実績のズレ(+なら上振れ)
日本製鋼所はJGP2025で掲げた売上高2,700億円の目標にはFY2025/3時点で92%の到達率にとどまりましたが、営業利益率は10%近くまで改善し収益性は目標に迫っています。2024年6月に策定した新中計JGP2028では売上高5,000億円以上という野心的な長期目標を設定し、配当性向35%以上・DOE2.5%下限の株主還元方針を明確にしています。
この株を持っていたら儲かった?
この会社の株主総利回り(TSR)を、日本株全体の平均(TOPIX)と比較したグラフです。青い線が上にあるほど、平均より良い成績を出しています。
自社TSRはFY2025において422.9%を記録し、TOPIX(213.4%)を大幅にアウトパフォームしています。原子力部材の世界的需要回復、産業機械事業の堅調な業績、そして防衛関連の期待感が株主に高いリターンをもたらしています。5年間累積で投資元本の4倍超のリターンを実現しており、市場平均を大きく上回る株主価値創造を達成しています。
※ 配当を含まない株価ベースのリターンです。過去の実績であり、将来のリターンを保証・示唆するものではありません。
もし5年前に投資していたら?
| 年度末時点 | 評価額 | 損益 | TSR |
|---|---|---|---|
| FY2021 | 203.5万円 | +103.5万円 | 103.5% |
| FY2022 | 299.1万円 | +199.1万円 | 199.1% |
| FY2023 | 201.0万円 | +101.0万円 | 101.0% |
| FY2024 | 275.0万円 | +175.0万円 | 175.0% |
| FY2025 | 422.9万円 | +322.9万円 | 322.9% |
※ 有価証券報告書記載のTSR(株主総利回り)に基づく仮定の計算です。配当再投資を含みます。将来のリターンを保証するものではありません。
株の売買状況と今後の予定
PER39.4倍・PBR3.77倍と業界平均を大幅に上回るプレミアム評価を受けており、原子力ルネサンスや防衛関連の成長期待が高いバリュエーションを支えています。信用倍率6.09倍は買い残が売り残の約6倍で、個人投資家の強い買い意欲を反映しています。配当利回り0.87%は業界平均より低いものの、これは株価上昇の結果であり、配当額自体は増加傾向です。
メディアでどれくらい注目されてる?
メディア露出
メディア分布
競合比較
どんな話題が多い?
最近の出来事
中期経営計画「JGP2028」を策定し、売上高5,000億円以上という長期目標と営業利益率の向上を柱とする成長戦略を発表しました。
FY2025/3通期の経常利益を10%上方修正し、産業機械事業と防衛関連の好調な受注が寄与しました。
子会社の日本製鋼所M&Eを吸収合併し、室蘭製作所を含む製造拠点の一体運営による効率化を推進しました。
FY2025/3第3四半期累計の売上高は前年同期比16.4%増の2,011億円と大幅増収を記録しました。
最新ニュース
日本製鋼所 まとめ
ひとめ診断
産業機械と防衛の二本柱で営業利益が過去最高を更新し続ける老舗重工メーカー
※ 本ページの情報は投資助言ではありません。掲載データは正確性を保証するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。
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