ニチコン
NICHICON CORPORATION
最終更新日: 2026年3月28日
コンデンサの巨人から、クリーンエネルギー社会の立役者へ
独自のエネルギー制御技術を核に、誰もが安心してクリーンエネルギーを使える社会を創造し、持続可能な未来の実現に貢献します。
この会社ってなに?
あなたが普段お使いのスマートフォンやパソコン、テレビ、エアコンといった家電製品の中には、電気を安定して供給するための「コンデンサー」という小さな部品がたくさん使われています。ニチコンは、この目立たないけれど非常に重要な部品で世界トップクラスのシェアを誇る会社です。さらに最近では、電気自動車(EV)に貯めた電気を家庭で使えるようにする「V2H」というシステムや、太陽光発電の電気を夜間に使うために貯めておく家庭用蓄電システムも手掛けています。普段の生活を支える電子部品から、未来のエネルギーインフラまで、ニチコンの技術はあなたの暮らしのすぐそばで活躍しています。
コンデンサー世界大手のニチコンは、直近のFY2025決算で売上高1,757.5億円(前期比3.2%減)、営業利益52.03億円(同41.6%減)と減収減益を記録しました。これは中国経済の減速やFA・産機市場の調整による主力のコンデンサー需要の低迷が響いた形です。一方で、EVと家庭を繋ぐV2Hシステムや家庭用蓄電システム、AIサーバー向け製品といった成長分野への期待は高く、今後の収益の柱となるかが注目されます。累進配当方針のもとFY2025は年間35円への増配を予定しており、株主還元への意識は高い企業です。
会社概要
- 業種
- 電気機器
- 決算期
- 3月
- 本社
- 京都市中京区烏丸通御池上る二条殿町551番地
- 公式
- www.nichicon.co.jp
社長プロフィール
当社はコンデンサで培ったコア技術を基盤に、エレクトロニクスから電力、新エネルギーまで幅広い分野で社会の発展に貢献してきました。特に、世界に先駆けて開発したV2Hシステムや家庭用蓄電システムは、持続可能な社会の実現に不可欠な製品です。これからも「価値ある製品」を創造し続け、明るい未来づくりに貢献してまいります。
この会社のストーリー
各種電気機械器具の製造販売を目的に、京都で創業を開始。コンデンサ事業の長い歴史がここから始まりました。
大阪証券取引所市場第二部、京都証券取引所、東京証券取引所市場第二部に株式を上場。企業としての信頼と成長の基盤を築きました。
小型・高性能なコンデンサを次々と開発し、家電や電子機器の発展を支えました。この時期に、アルミ電解コンデンサの分野で世界的な地位を確立します。
電気自動車(EV)の大容量バッテリーを家庭用電源として活用する「V2Hシステム」を世界で初めて開発・発売。エネルギーの新しい使い方を提案しました。
V2Hシステムと並行して、家庭用蓄電システムの開発・販売を開始。再生可能エネルギーの普及とエネルギー自給自足の実現に貢献する事業の柱を確立しました。
オートローン最大手のオリエントコーポレーションと提携し、V2Hシステムの販売を強化。EVシフトの波に乗り、さらなる市場拡大を目指します。
自然電力との共同実証を開始し、家庭に設置された蓄電池を束ねて電力需給を安定させる「需給調整市場」への参入を目指します。エネルギーインフラの未来を創造します。
注目ポイント
電気自動車(EV)の電気を家庭で使えるようにする「V2H」システムを世界で初めて開発。EVを「走る蓄電池」に変える革新的な技術で、エネルギーの未来をリードしています。
太陽光発電と相性抜群の家庭用蓄電システムでも高いシェアを誇ります。再生可能エネルギーを無駄なく使い、環境に優しく災害にも強い暮らしを支えるキープレイヤーです。
「連結配当性向30%」を目安に、持続的な利益成長に応じて配当を増やす累進配当を宣言。安定した株主還元を目指す姿勢は、長期投資家にとって心強いポイントです。
サービスの実績は?
ひとめ診断
配当・優待はもらえる?
| 期 | 1株配当 | 配当性向 |
|---|---|---|
| FY2021/3 | 25円 | 100.4% |
| FY2022/3 | 27円 | 23.4% |
| FY2023/3 | 30円 | 26.3% |
| FY2024/3 | 33円 | 27.4% |
| FY2025/3 | 35円 | 40.7% |
現在、株主優待制度は実施していません。
ニチコンは株主還元を経営の重要課題と位置づけ、連結配当性向30%を目標としています。持続的な利益成長に応じた配当の増加を目指す累進配当的な考え方を基本方針として掲げています。業績が停滞する局面でも、可能な限り安定的な配当維持に努める姿勢が見て取れます。
同業比較(収益性)
電気機器の同業他社平均と比べると…
業績推移
儲かってるの?
ニチコンの業績は、車載用や産業機器向けコンデンサーおよび蓄電システムの需要変動により推移しています。FY2023/3には売上高が約1,847億円まで拡大し過去最高水準を記録しましたが、直近のFY2025/3は市場環境の逆風を受け、売上高1,758億円、営業利益52億円の減収減益となりました。FY2026/3期は、蓄電システム等の成長分野での挽回を図り、緩やかな利益回復を見込んでいます。
稼ぐ力はどのくらい?
| 期 | ROE | ROA | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 1.9% | 1.1% | 1.4% |
| FY2022/3 | 8.3% | 4.6% | 4.5% |
| FY2023/3 | 7.7% | 4.1% | 6.9% |
| FY2024/3 | 7.2% | 4.0% | 4.9% |
| FY2025/3 | 5.2% | 3.1% | 3.0% |
収益性は、高付加価値製品への転換を進める一方で、原材料費や開発コストの影響を強く受けています。特にFY2023/3には営業利益率が6.9%まで向上しましたが、直近FY2025/3は営業利益率3.0%、ROE 5.2%まで低下しており、収益力の再構築が急務です。今後は主力製品の競争力強化と、製造コストの効率化による利益率改善が焦点となります。
財務は安全?
財務健全性は、自己資本比率が50%台後半で推移しており、一定の安定性を維持しています。FY2024/3以降は設備投資や事業拡大に向けた資金需要から有利子負債が約489億円から619億円へと増加していますが、実質的な資産規模に対し健全な資本構成を保っています。強固な財務基盤を背景に、成長分野への戦略的な投資を継続する姿勢です。
お金の流れは?
| 期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | FCF |
|---|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 71.0億円 | -40.1億円 | -21.3億円 | 30.8億円 |
| FY2022/3 | 52.6億円 | -59.7億円 | -23.0億円 | -7.1億円 |
| FY2023/3 | 91.9億円 | -81.2億円 | 54.4億円 | 10.7億円 |
| FY2024/3 | 163億円 | -127億円 | -5.7億円 | 35.9億円 |
| FY2025/3 | 183億円 | -83.6億円 | -143億円 | 99.8億円 |
営業キャッシュフローは、主力の電子部品事業の稼ぎにより安定的なプラスを確保しており、FY2025/3には約183億円まで拡大しました。一方で、積極的な設備投資や蓄電システム開発に伴う投資キャッシュフローの流出が恒常的に発生しています。直近では財務CFが大幅なマイナスとなっており、借入金の返済や株主還元を優先させるフェーズへと移行しています。
この会社のリスク
有価証券報告書に記載されている主なリスク要因です。投資判断の参考にしてください。
税金はいくら払ってる?
| 期 | 税引前利益 | 法人税等 | 実効税率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 30.1億円 | 13.1億円 | 43.5% |
| FY2022/3 | 85.9億円 | 6.9億円 | 8.1% |
| FY2023/3 | 153億円 | 74.5億円 | 48.8% |
| FY2024/3 | 114億円 | 31.5億円 | 27.6% |
| FY2025/3 | 75.1億円 | 16.3億円 | 21.8% |
法人税等の支払額は、税引前利益の増減に伴って変動する傾向にあります。FY2023/3には利益の拡大とともに納税額が約74億円とピークに達しましたが、その後は減益基調に合わせて納税額も縮小しています。実効税率については、繰延税金資産の取り崩しや税額控除等の影響で年度ごとに大きな差異が生じています。
社員の給料はどのくらい?
| 期 | 平均年収 | 従業員数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 当期 | 689万円 | 5,242人 | - |
従業員の平均年収は689万円となっており、製造業としては標準的な水準を維持しています。近年は蓄電システムやEV関連製品の需要変動に伴う業績の影響を反映しつつも、人材確保に向けた処遇改善が継続的な課題となっています。
誰がこの会社の株を持ってる?
安定株主が一定の割合を占めており、経営基盤は比較的安定しています。 主な安定株主はニチコン取引先持株会・京都銀行・みずほ銀行。
株主構成は、日本マスタートラスト信託銀行を筆頭に金融機関や事業法人が上位を占める安定株主中心の構成です。ニチコン取引先持株会や主要銀行が名を連ねており、長期的な視点での経営基盤が安定している一方、浮動株比率は比較的限られる傾向にあります。
会社の公式開示情報
役員報酬
コンデンサ等の電子部品事業を軸に、近年はV2Hシステム等のエネルギー関連事業へ注力しています。蓄電システム等の需要急減に伴う業績のボラティリティが最大のリスク要因となっており、開示情報でも市場の変化に対する適応力が厳しく評価されています。
この会社のガバナンスは?
女性役員比率は17.0%であり、東証プライム上場企業として多様な経営体制の構築が進められています。監査報酬6,400万円を投じた厳格な監査体制のもと、21社の連結子会社を統括し、大規模な設備投資を通じた持続的なガバナンス強化を図っています。
会社の計画は順調?
※ 会社が公表した計画に対する達成度の評価であり、投資についての評価・推奨ではありません
年度別の予想精度(計画を守れてる?)
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2025 | 100億円 | — | 52億円 | -48.0% |
| FY2024 | 103億円 | — | 89億円 | -13.6% |
| FY2023 | 78億円 | — | 127億円 | +62.5% |
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2025 | 1,850億円 | — | 1,758億円 | -5.0% |
| FY2024 | 1,860億円 | — | 1,816億円 | -2.3% |
当初予想 = 期初に会社が発表した数字 / 乖離 = 予想と実績のズレ(+なら上振れ)
FY2025を最終年度とする中期経営計画「Vision 2025」は、売上高2,000億円、営業利益180億円を掲げていましたが、中国経済の減速など外部環境の悪化を受け、最終年度実績は売上高1,757億円、営業利益52億円と大幅な未達で着地しました。期初の会社予想に対しても、特に利益面での下振れが目立ちます。FY2026の会社予想も増収増益を見込むものの、回復ペースは緩やかであり、成長ドライバーであるNECST事業が本格的に収益貢献できるかが今後の計画達成の鍵となります。
この株を持っていたら儲かった?
この会社の株主総利回り(TSR)を、日本株全体の平均(TOPIX)と比較したグラフです。青い線が上にあるほど、平均より良い成績を出しています。
TSR(株主総利回り)は、配当と株価上昇を合わせた総合的な投資リターンを示す指標です。ニチコンのTSRは、FY2022からFY2025まで4期連続でTOPIXを上回るパフォーマンス(アウトパフォーム)を達成しています。これは、厳しい事業環境の中でも累進配当を維持・増配する株主還元姿勢と、EV関連や蓄電システムといった将来性への期待が株価を下支えした結果と考えられます。特に、株価が大きく変動する中でも安定した配当がTSRの向上に寄与しています。
※ 配当を含まない株価ベースのリターンです。過去の実績であり、将来のリターンを保証・示唆するものではありません。
もし5年前に投資していたら?
| 年度末時点 | 評価額 | 損益 | TSR |
|---|---|---|---|
| FY2021 | 169.5万円 | +69.5万円 | 69.5% |
| FY2022 | 181.5万円 | +81.5万円 | 81.5% |
| FY2023 | 216.3万円 | +116.3万円 | 116.3% |
| FY2024 | 207.1万円 | +107.1万円 | 107.1% |
| FY2025 | 203.3万円 | +103.3万円 | 103.3% |
※ 有価証券報告書記載のTSR(株主総利回り)に基づく仮定の計算です。配当再投資を含みます。将来のリターンを保証するものではありません。
株の売買状況と今後の予定
同業他社比較では、PER・PBRともに業界平均を下回っており、株価には割安感があると判断できます。信用倍率は1.63倍と比較的落ち着いており、需給バランスは安定しています。今後の決算発表で、市場の期待を上回る回復を示すことができれば、バリュエーションが見直され、株価が上昇する可能性があります。次回の通期決算発表が重要な試金石となるでしょう。
メディアでどれくらい注目されてる?
メディア露出
メディア分布
競合比較
どんな話題が多い?
最近の出来事
オリエントコーポレーションとV2Hシステム普及に向けた包括提携を締結し、販路拡大を図る。
決算説明会にてAIサーバー向け製品の今後の成長見通しを公表し、株価の上昇要因となった。
単機能蓄電システム「ESS-U5シリーズ」を市場投入し、家庭用蓄電市場でのシェア維持を狙う。
最新ニュース
ニチコン まとめ
ひとめ診断
「コンデンサーの老舗が、EV向け製品と家庭用蓄電システムで脱炭素時代の電力インフラを担う」
※ 本ページの情報は投資助言ではありません。掲載データは正確性を保証するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。
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