日本電子
JEOL Ltd.
最終更新日: 2026年3月28日
見えないものを見る技術で、世界の科学技術を支えるトップランナー
最先端の科学技術で新たな地平を切り拓き、持続可能な社会の発展に貢献する、世界トップのソリューションサプライヤーであり続けること。
この会社ってなに?
あなたが毎日使うスマートフォン。その中に入っている超高性能な半導体チップは、肉眼では見えないほど細かい回路でできています。日本電子の「電子顕微鏡」は、このミクロの世界を覗き込み、チップが正しく作られているかを確認する『最強の眼』として活躍しています。また、新しい薬や高機能な素材が開発されるとき、その原子や分子レベルの構造を解き明かすのも同社の装置です。私たちの生活を豊かにする最先端技術の多くは、日本電子の製品がなければ生まれないかもしれません。
電子顕微鏡で世界首位を誇り、半導体関連装置も手掛ける研究開発型企業。FY2025は売上高1,967.0億円、営業利益355.01億円と好調を維持しましたが、続くFY2026は市況変動を背景に売上高1,810億円、営業利益240億円と減益を予想しています。近年は医用機器事業をシスメックスに譲渡するなど、選択と集中を加速。2029年度に売上高2,250億円、営業利益450億円を目指す新中期経営計画を始動し、次の成長ステージへの準備を進めています。
会社概要
- 業種
- 電気機器
- 決算期
- 3月
- 本社
- 東京都昭島市武蔵野3丁目1番2号
- 公式
- www.jeol.co.jp
社長プロフィール

中期経営計画「Evolving Growth 2.0 -A New Horizon-」のもと、コア事業の「稼ぐ力」を強化し、持続的な成長を目指します。研究開発力、ものづくり力、サービス力を向上させ、顧客満足度を高めることで、新たな地平を切り拓いていきます。
この会社のストーリー
電子顕微鏡の国産化を目指し、日本電子光学研究所として創業。同年、国産初の電子顕微鏡「JEM-1」を開発し、日本の科学技術の礎を築いた。
事業の拡大と社会的な信用の向上を目指し、東京証券取引所市場第二部に上場。企業としての成長基盤を固めた。
分析・計測技術を応用し、初の生化学自動分析装置を開発。医用機器事業へ進出し、事業領域を拡大した。
2018年度の売上高1,200億円、営業利益100億円を目標とする中期経営計画を発表。収益構造の強化と持続的成長に向けた改革を本格化させた。
半導体関連装置の需要拡大を背景に業績が好調に推移し、株価が9,840円の過去最高値を記録。市場からの高い評価を獲得した。
事業ポートフォリオの最適化を目指し、長年続いた医用機器事業をシスメックス株式会社へ譲渡することを決定。コア事業への集中を明確にした。
「Evolving Growth 2.0 -A New Horizon-」を策定。2029年度に売上高2,250億円、営業利益450億円という挑戦的な目標を掲げ、新たな成長ステージを目指す。
注目ポイント
電子顕微鏡分野で世界トップの技術力とシェアを誇り、ノーベル賞受賞者など世界中の研究者から支持されています。科学技術の最先端を支える存在です。
半導体製造に不可欠なマルチビーム描画装置が急成長中。微細化が進む半導体業界において、同社の技術はますます重要性を増しています。
2029年度に売上高2,250億円、営業利益450億円を目指す意欲的な中期経営計画を策定。明確なビジョンと戦略で、持続的な企業価値向上に期待が持てます。
サービスの実績は?
ひとめ診断
配当・優待はもらえる?
| 期 | 1株配当 | 配当性向 |
|---|---|---|
| FY2021/3 | 24円 | 31.0% |
| FY2022/3 | 50円 | 20.3% |
| FY2023/3 | 66円 | 18.9% |
| FY2024/3 | 102円 | 24.0% |
| FY2025/3 | 106円 | 29.0% |
現在、株主優待制度は実施していません。
配当方針として安定的な利益還元を重視しており、近年の業績拡大に合わせて配当金を大幅に増額し、株主還元を強化しています。配当性向は20%〜30%のレンジで推移しており、将来の成長投資と株主への直接還元のバランスを意識した経営を行っています。今後も持続的な増配による還元水準の向上を目指す方針です。
同業比較(収益性)
電気機器の同業他社平均と比べると…
業績推移
儲かってるの?
当社の売上高はFY2021/3の約1,104億円からFY2025/3には約1,967億円まで伸長しており、半導体製造装置や理科学機器の需要拡大に伴い右肩上がりの成長を遂げています。一方で、FY2026/3予想では売上高1,810億円、純利益180億円を見込んでおり、一時的な市場環境の軟化や医用機器事業の譲渡が影響し減収減益となる見通しです。過去数年間の利益成長は著しく、高付加価値な製品群の販売好調が業績を大きく底上げしてきました。
稼ぐ力はどのくらい?
| 期 | ROE | ROA | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 7.3% | 2.6% | 4.7% |
| FY2022/3 | 14.3% | 6.5% | 10.2% |
| FY2023/3 | 17.5% | 8.9% | 14.8% |
| FY2024/3 | 17.3% | 9.4% | 15.8% |
| FY2025/3 | 13.7% | 8.4% | 18.0% |
売上高営業利益率はFY2021/3の4.7%からFY2025/3には18.0%へと大幅に改善しており、製造効率の向上と高利益率製品へのシフトが収益構造を強化しています。ROEもFY2023/3には17.5%に達するなど、効率的な資本活用が進んでいますが、今後は医用機器事業の譲渡完了に伴い、残存するコア事業での更なる利益率向上が鍵となります。安定した収益基盤の構築により、業界内でも高い収益性を維持している点が特徴です。
財務は安全?
自己資本比率はFY2021/3の34.8%からFY2025/3には61.4%まで向上しており、極めて強固な財務体質を構築しています。かつて存在した有利子負債も着実に削減または解消を進め、手元流動性を高めることで研究開発や成長投資への余力を確保しました。総資産の効率的な活用と純資産の増大により、中長期的な事業リスクに対する耐性は盤石であると判断されます。
お金の流れは?
| 期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | FCF |
|---|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 33.6億円 | -69.9億円 | 33.0億円 | -36.3億円 |
| FY2022/3 | 226億円 | -6.5億円 | 55.2億円 | 220億円 |
| FY2023/3 | 33.5億円 | -57.3億円 | -87.3億円 | -23.8億円 |
| FY2024/3 | 153億円 | -180億円 | -8.0億円 | -27.3億円 |
| FY2025/3 | 231億円 | -8.6億円 | -171億円 | 222億円 |
営業キャッシュフローは、業績拡大に伴いFY2025/3には約231億円を創出するなど高い稼ぐ力を証明しています。投資キャッシュフローは、将来の成長を見据えた設備投資や研究開発に継続的に資金を充当している一方で、FY2025/3は財務活動において大規模な自己株買いなどを実施し、株主還元を強化しています。総じて、稼いだキャッシュを成長投資と株主還元に最適配分する健全な循環を維持しています。
この会社のリスク
有価証券報告書に記載されている主なリスク要因です。投資判断の参考にしてください。
税金はいくら払ってる?
| 期 | 税引前利益 | 法人税等 | 実効税率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 65.5億円 | 28.1億円 | 42.8% |
| FY2022/3 | 163億円 | 40.4億円 | 24.7% |
| FY2023/3 | 235億円 | 56.7億円 | 24.1% |
| FY2024/3 | 300億円 | 83.2億円 | 27.7% |
| FY2025/3 | 344億円 | 157億円 | 45.7% |
税引前利益の拡大に合わせて法人税等の支払い額も増加しており、適正な納税が行われています。FY2025/3の実効税率が45.7%と高水準なのは、事業譲渡に関連する特殊要因等が影響した可能性があります。通常時は20%台後半で推移しており、業績見通しに基づく予想実効税率は25.0%と標準的な水準を見込んでいます。
社員の給料はどのくらい?
| 期 | 平均年収 | 従業員数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 当期 | 828万円 | 3,604人 | - |
従業員の平均年収は828万円と製造業の中でも高い水準にあります。電子顕微鏡や分析機器で世界トップシェアを誇る高い技術力を背景に、付加価値の高い製品開発が収益に直結し、社員への好待遇を支えていると考えられます。
誰がこの会社の株を持ってる?
安定株主が一定の割合を占めており、経営基盤は比較的安定しています。 外国人投資家の保有比率が高く、グローバルな投資家からの評価が反映されやすい銘柄です。 主な安定株主はニコン・MISAKI ENGAGEMENT MASTER FUND (常任代理人 香港上海銀行)。
同社は機関投資家が上位を占める構成で、日本マスタートラスト信託銀行などの信託口が約2割を占め、安定株主としての側面が強いです。事業会社では株式会社ニコンが4.47%を保有する主要株主であり、技術提携等の関係性が示唆されます。
会社の公式開示情報
役員報酬
理科学・計測機器を核としつつも、医用機器事業をシスメックスへ譲渡する方針を固めるなど、事業ポートフォリオの最適化を進めています。研究開発型企業特有の技術陳腐化リスクに加え、為替や半導体市場の影響を受ける構造的課題を抱えています。
この会社のガバナンスは?
女性役員比率は7.7%と改善の余地があり、さらなるダイバーシティの推進が課題です。社外取締役比率は44%と高く、監査機能の強化を含め、透明性の高い経営体制への移行を積極的に進めています。
会社の計画は順調?
※ 会社が公表した計画に対する達成度の評価であり、投資についての評価・推奨ではありません
年度別の予想精度(計画を守れてる?)
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2025 | 1,830億円 | — | 1,967億円 | +7.5% |
| FY2024 | 1,670億円 | — | 1,743億円 | +4.4% |
| FY2023 | 1,525億円 | — | 1,627億円 | +6.7% |
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2025 | 300億円 | — | 355億円 | +18.3% |
| FY2024 | 210億円 | — | 275億円 | +31.1% |
| FY2023 | 195億円 | — | 242億円 | +23.9% |
当初予想 = 期初に会社が発表した数字 / 乖離 = 予想と実績のズレ(+なら上振れ)
2025年5月に新中期経営計画「Evolving Growth 2.0」を発表し、2029年度に売上高2,250億円、営業利益450億円という高い目標を掲げました。これはFY2025実績比で売上1.1倍、営業利益1.3倍の成長を目指すものです。過去の業績予想は保守的な傾向があり、直近3期連続で期初予想を大幅に超過達成している実績は、目標達成への信頼感を高めています。一方で、市況の変動性が高い半導体関連事業の比重が高まっており、外部環境が計画に与える影響は注視が必要です。
この株を持っていたら儲かった?
この会社の株主総利回り(TSR)を、日本株全体の平均(TOPIX)と比較したグラフです。青い線が上にあるほど、平均より良い成績を出しています。
TSR(株主総利回り)は、株価変動と配当を合わせた総合的な投資リターンを示す指標です。FY2025は自社TSRが186.9%に対しTOPIXは213.4%と、市場平均を若干下回る結果となりました。これは、半導体市場の先行き不透明感から株価が軟調に推移したことが主な要因です。しかし、FY2022やFY2024のように、好況期にはTOPIXを大幅にアウトパフォームする実績もあり、市況サイクルによる変動が大きい銘柄特性を反映しています。
※ 配当を含まない株価ベースのリターンです。過去の実績であり、将来のリターンを保証・示唆するものではありません。
もし5年前に投資していたら?
| 年度末時点 | 評価額 | 損益 | TSR |
|---|---|---|---|
| FY2021 | 167.4万円 | +67.4万円 | 67.4% |
| FY2022 | 263.3万円 | +163.3万円 | 163.3% |
| FY2023 | 166.3万円 | +66.3万円 | 66.3% |
| FY2024 | 246.5万円 | +146.5万円 | 146.5% |
| FY2025 | 186.9万円 | +86.9万円 | 86.9% |
※ 有価証券報告書記載のTSR(株主総利回り)に基づく仮定の計算です。配当再投資を含みます。将来のリターンを保証するものではありません。
株の売買状況と今後の予定
PER、PBRともに電気機器セクターの平均と比較してやや割安な水準にあります。これは、短期的な業績の変動性を市場が織り込んでいる可能性を示唆しています。信用倍率は6.23倍と買い残が多く、将来の株価上昇を期待する投資家が多い一方で、需給面では上値が重くなる可能性も秘めています。次回の決算発表は8月上旬に予定されており、新中期経営計画の初年度の進捗が注目されます。
メディアでどれくらい注目されてる?
メディア露出
メディア分布
競合比較
どんな話題が多い?
最近の出来事
医用機器事業をシスメックスへ譲渡することを発表し、事業ポートフォリオの最適化を推進。
上期決算にて経常利益が前年同期比8%減となり、売上営業利益率の低下が顕在化。
自己株式の公開買付けを完了させ、資本効率の向上と需給改善を図る姿勢を強調。
最新ニュース
日本電子 まとめ
ひとめ診断
「ノーベル賞級の研究を支える『最強の眼』で、半導体市場のど真ん中を狙う技術者集団」
※ 本ページの情報は投資助言ではありません。掲載データは正確性を保証するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。
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