PHCホールディングス
PHC Holdings Corporation
最終更新日: 2026年3月28日
パナソニック発、グローバルに展開するヘルスケアの技術集団
2030年に向け、精緻な技術でヘルスケアの未来を切り拓くリーダーとなることを目指します。
この会社ってなに?
あなたが病院やクリニックで診察を受けるとき、お医者さんが使っている電子カルテや、会計で受け取る診療明細書を作成するシステムの裏側で、この会社の技術が活躍しています。また、糖尿病の患者さんが毎日使う血糖値を測る機械も、PHCホールディングスの主力製品の一つです。さらに、薬局で薬の情報を管理するシステムや、最先端の研究施設で使われる超低温の冷凍庫なども手掛けています。普段は直接目にしなくても、私たちの健康を支える医療現場の様々な場面で、同社の製品やサービスが重要な役割を担っているのです。
パナソニックのヘルスケア事業を母体とする医療機器メーカー。FY2025は売上高3,615.9億円(前期比+2.2%)、営業利益225.80億円を達成し、最終利益104.85億円と上場後初の通期黒字化を果たしました。しかし、FY2026の会社予想は、血糖値測定器事業の伸び悩みなどから営業利益174.00億円(同22.9%減)と減益を見込んでいます。今後は診断・ライフサイエンス領域を核とした事業ポートフォリオ再編と、継続的な収益性改善が株価回復の鍵となります。
会社概要
- 業種
- 電気機器
- 決算期
- 3月
- 本社
- 東京都千代田区有楽町一丁目13番2号 第一生命日比谷ファースト15階
- 公式
- www.phchd.com
社長プロフィール

PHCグループは『健康を願うすべての人々に新たな価値を創造し、豊かな社会づくりに貢献する』という経営理念のもと、診断から治療、予防・未病までのヘルスケアサービスを提供しています。精緻な技術とたゆまぬ努力でヘルスケアの未来を切り拓き、社会全体のウェルビーイング向上に貢献してまいります。
この会社のストーリー
後のPHCグループの源流となる松下寿電子工業が設立。ヘルスケア事業の歴史がここから始まる。
パナソニックグループから独立し、KKRを新たな株主として迎え、パナソニック ヘルスケアホールディングス株式会社が誕生した。
グローバルな事業基盤を強化するため、Bayer AGの糖尿病ケア事業を買収。血糖値モニタリングシステム「CONTOUR®」シリーズが製品ラインナップに加わった。
グローバルヘルスケア企業としてのブランドアイデンティティを確立するため、現在のPHCホールディングス株式会社へと社名を変更した。
診断事業を強化するため、臨床検査大手のLSIメディエンスを買収。事業ポートフォリオをさらに拡大した。
持続的な成長と経営基盤の強化を目指し、東京証券取引所市場第一部(現:プライム市場)への上場を果たした。
事業ポートフォリオの最適化などが奏功し、2024年3月期決算で上場後初の最終黒字を達成。成長軌道への回帰を示した。
「診断・ライフサイエンス領域」を核とした成長戦略を掲げ、2027年度の営業利益320億円達成を目指し、企業価値の向上を追求する。
注目ポイント
糖尿病マネジメント、ヘルスケアソリューション、診断・ライフサイエンスの3本柱で事業を展開。世界125カ国以上で製品・サービスを提供し、グローバルに人々の健康を支えています。
パナソニックグループで培われた精緻なものづくりの技術が強み。血糖値測定器や電子カルテ、バイオメディカル製品など、高品質な製品で医療現場のニーズに応えています。
選択と集中を進める事業ポートフォリオ改革により、上場後初の黒字化を達成。中期経営計画では更なる成長を目指しており、今後のV字回復と企業価値向上が期待されます。
サービスの実績は?
ひとめ診断
配当・優待はもらえる?
| 期 | 1株配当 | 配当性向 |
|---|---|---|
| FY2022/3 | 38円 | 0.2% |
| FY2023/3 | 72円 | 0.2% |
| FY2024/3 | 54円 | 0.2% |
| FY2025/3 | 42円 | 50.5% |
現在、株主優待制度は実施していません。
同社は株主への利益還元を重視しており、配当性向30%〜50%を目安とした安定的な配当実施を基本方針として掲げています。業績連動型の配当政策を採用しており、収益の回復とともに健全な還元姿勢を維持しています。配当利回りは3%台後半を維持しており、インカムゲインを重視する投資家にとって一定の魅力があります。
同業比較(収益性)
電気機器の同業他社平均と比べると…
業績推移
儲かってるの?
同社は糖尿病マネジメントやヘルスケアソリューションを軸に事業を展開しており、FY2025/3には最終利益105億円を計上し、上場後初の通期黒字化を達成しました。過去数年間は構造改革費用や事業ポートフォリオの見直しに伴う一時的な減損が重なり純損失が続いていましたが、収益性の高い事業への集中が奏功しています。次期FY2026/3も売上高3,631億円を維持し、安定的な利益創出を目指す見通しです。
稼ぐ力はどのくらい?
| 期 | ROE | ROA | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| FY2022/3 | -6.2% | -1.4% | 2.4% |
| FY2023/3 | -2.3% | -0.6% | 5.6% |
| FY2024/3 | -9.3% | -2.3% | 0.4% |
| FY2025/3 | 7.4% | 2.0% | 6.2% |
収益性はFY2024/3まで構造改革等の影響で低迷していましたが、FY2025/3にはROE(自己資本利益率)が7.4%へと回復し、営業利益率も6.2%まで改善しました。不採算事業の譲渡やコスト構造の見直しにより、効率的な資産運用が可能になりつつあります。医療機器業界の中でも、精密機器技術を活用した高付加価値な製品提供が利益率を下支えしています。
財務は安全?
財務健全性は、有利子負債のコントロールが重要な課題となっていますが、自己資本比率はFY2025/3時点で26.6%まで改善傾向にあります。総資産約5,325億円に対して純資産は約1,412億円を確保しており、中長期的な安定基盤を構築中です。今後は営業活動によるキャッシュフローを活用し、負債の圧縮と成長投資のバランスを取る財務戦略が求められます。
お金の流れは?
| 期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | FCF |
|---|---|---|---|---|
| FY2022/3 | 511億円 | -125億円 | -70.2億円 | 385億円 |
| FY2023/3 | 214億円 | -175億円 | -408億円 | 38.6億円 |
| FY2024/3 | 413億円 | -211億円 | -391億円 | 202億円 |
| FY2025/3 | 419億円 | -84.7億円 | -391億円 | 335億円 |
営業キャッシュフローは安定して400億円前後を創出しており、強固な本業の稼ぐ力を証明しています。投資活動による支出を営業CFで十分に賄えており、余剰資金を有利子負債の返済や財務基盤の強化に充てるサイクルが確立されました。今後も継続的なキャッシュ創出により、さらなる財務の健全化が期待されます。
この会社のリスク
有価証券報告書に記載されている主なリスク要因です。投資判断の参考にしてください。
税金はいくら払ってる?
| 期 | 税引前利益 | 法人税等 | 実効税率 |
|---|---|---|---|
| FY2022/3 | 81.7億円 | 166億円 | 203.5% |
| FY2023/3 | 200億円 | 232億円 | 116.1% |
| FY2024/3 | 15.7億円 | 145億円 | 923.3% |
| FY2025/3 | 226億円 | 121億円 | 53.6% |
過去の年度では純利益が赤字となる一方で、会計上の税務負担が発生し実効税率が極めて高い数値を示していました。これは主に繰延税金資産の取り崩しや、海外事業における税務処理に伴う一時的な要因によるものです。FY2025/3以降は営業利益の黒字化に伴い、実効税率は適正化に向かって調整が進んでいます。
社員の給料はどのくらい?
| 期 | 平均年収 | 従業員数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 当期 | 918万円 | 9,041人 | - |
従業員平均年収は918万円と、日本の製造業および医療機器業界の水準と比較しても高水準にあります。背景には、グローバル展開を加速させるための専門的な人材確保や、高度な技術力を要する事業特性、そして持続的な業績改善に向けたインセンティブ設計が影響していると考えられます。
誰がこの会社の株を持ってる?
安定株主が一定の割合を占めており、経営基盤は比較的安定しています。 外国人投資家の保有比率が高く、グローバルな投資家からの評価が反映されやすい銘柄です。 主な安定株主はKKR PHC INVESTMENT L.P. (常任代理人 三菱UFJ銀行)・三井物産・生命科学インスティテュート。
PHCホールディングスは、投資ファンドのKKRグループが約38%を保有する筆頭株主であり、実質的な支配力を持っています。次いで三井物産、生命科学インスティテュート、パナソニックホールディングスといった大企業が主要株主として名を連ねており、安定した株主構成である一方、市場での流通株比率は限定的な傾向にあります。
会社の公式開示情報
役員報酬
EDINET開示情報によると、同社は糖尿病マネジメントやヘルスケアソリューションを主力事業としています。主な事業リスクとしては、医療技術の急激な変化や競合他社による新規開発競争が挙げられ、これらが収益性に与える影響を常に監視する必要があります。
この会社のガバナンスは?
同社は女性役員比率が27.3%と国内企業の中でも比較的高い水準を維持しており、多様性のある経営体制を推進しています。監査報酬として2億2,800万円を支出しており、コーポレート・ガバナンス体制の強化と透明性の確保に注力している企業規模に見合った統治を行っています。
会社の計画は順調?
※ 会社が公表した計画に対する達成度の評価であり、投資についての評価・推奨ではありません
年度別の予想精度(計画を守れてる?)
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2025 | 3,600億円 | — | 3,616億円 | +0.4% |
| FY2024 | 3,555億円 | — | 3,539億円 | -0.4% |
| FY2023 | 3,353億円 | — | 3,564億円 | +6.3% |
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2025 | 191億円 | — | 226億円 | +18.2% |
| FY2024 | 293億円 | — | 16億円 | -94.7% |
| FY2023 | 258億円 | — | 200億円 | -22.5% |
当初予想 = 期初に会社が発表した数字 / 乖離 = 予想と実績のズレ(+なら上振れ)
2022年に発表した旧中期経営計画は売上4,200億円、営業利益560億円という高い目標を掲げましたが、結果は大幅な未達に終わりました。これを受け、診断・ライフサイエンス領域を核とする新中計「中期経営計画2027」を策定し、より現実的な目標に修正しています。FY2025は予想を上回る着地となりましたが、FY2024の営業利益が期初予想を9割以上下回るなど、業績予想の精度に大きな課題があり、投資家からの信頼回復が急務です。
この株を持っていたら儲かった?
この会社の株主総利回り(TSR)を、日本株全体の平均(TOPIX)と比較したグラフです。青い線が上にあるほど、平均より良い成績を出しています。
TSR(株主総利回り)は、株価変動と配当を合算した総合的な投資リターンを示す指標です。当社のTSRはFY2023からFY2025にかけて3年連続でTOPIXを大幅に下回る結果(アンダーパフォーム)となっています。これは、配当は実施しているものの、それを大きく上回るペースで株価が下落し続けたことが主な原因です。特にIPO以降の長期的な株価低迷が響いており、株主価値創造が大きな経営課題であることを示しています。
※ 配当を含まない株価ベースのリターンです。過去の実績であり、将来のリターンを保証・示唆するものではありません。
もし5年前に投資していたら?
| 年度末時点 | 評価額 | 損益 | TSR |
|---|---|---|---|
| FY2023 | 85.3万円 | -14.7万円 | -14.7% |
| FY2024 | 77.4万円 | -22.6万円 | -22.6% |
| FY2025 | 67.9万円 | -32.1万円 | -32.1% |
※ 有価証券報告書記載のTSR(株主総利回り)に基づく仮定の計算です。配当再投資を含みます。将来のリターンを保証するものではありません。
株の売買状況と今後の予定
PER、PBRともに業界平均と比較して割安な水準にあり、市場からの成長期待が低いことを示唆しています。一方で、配当利回りは3.70%と業界平均を上回っており、株価の下支え要因となる可能性があります。信用取引では売り残が買い残を上回る「信用倍率0.63倍」となっており、将来の株価下落を見込む投資家が多いものの、株価が上昇した際には売り方の買い戻し(踏み上げ)が株価を押し上げる可能性も秘めています。
メディアでどれくらい注目されてる?
メディア露出
メディア分布
競合比較
どんな話題が多い?
最近の出来事
連結子会社ウィーメックスとウィーメックスヘルスケアシステムズの吸収合併を完了。
第2四半期における為替差損の影響等により、通期業績予想の下方修正を発表。
アセンシア社によるEversense販売事業の移管を通じ、糖尿病マネジメント事業の収益構造を改善。
最新ニュース
PHCホールディングス まとめ
ひとめ診断
「パナソニック由来のヘルスケア大手が、M&Aと事業再編で黒字化を目指す再建フェーズ」
※ 本ページの情報は投資助言ではありません。掲載データは正確性を保証するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。
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