シスメックス
SYSMEX CORPORATION
最終更新日: 2026年4月30日
血液検査で世界の医療を支える、神戸発のグローバルヘルスケアリーダー
ヘルスケアの進化をデザインする。
この会社ってなに?
病院で血液検査を受けたことはありませんか?採血後に渡される検査結果の裏側で、血液中の赤血球・白血球・血小板の数を瞬時に数えている装置を作っているのがシスメックスです。世界190以上の国や地域の病院で使われており、検査装置を一度導入すると、継続的に試薬(検査に必要な薬品)を購入し続ける仕組みのため、プリンターのインクのように安定した収益を生み出しています。あなたの健康診断の結果も、シスメックスの技術が支えているかもしれません。
シスメックスは血球計数検査で世界シェア50%超を誇る検体検査機器・試薬のグローバルリーダーです。試薬・サービスが売上の約8割を占める安定収益モデルを持ち、FY2025/3期は売上高5,086億円(前期比+10.2%)、営業利益876億円(同+11.7%)と増収増益を達成しました。しかしFY2026/3期は中国政府の医療費抑制政策による同地域の販売不振が響き、通期予想を3度にわたり下方修正。売上高5,000億円(同-1.7%)、営業利益620億円(同-29.2%)と一転して大幅減益の見通しです。2026年4月には松井石根氏が新社長に就任し、「稼ぐ力を取り戻す」と宣言。日本電子の生化学検査事業買収(シスメックスBioMajesty)による事業領域拡大も始動しています。
会社概要
- 業種
- 電気機器
- 決算期
- 3月
- 本社
- 兵庫県神戸市中央区脇浜海岸通1丁目5番1号
- 公式
- www.sysmex.co.jp
社長プロフィール
シスメックスの『稼ぐ力』が弱っていると感じています。これを取り戻すことが私の最大の使命です。これまでの事業の拡散路線から『極める』経営へ舵を切り、検体検査というコア領域での競争力を徹底的に磨き上げます。次なる飛躍に向けて、全社一丸となって挑戦してまいります。
この会社のストーリー
創業者・中谷太郎が血球計数装置の国産化を目指し設立。「検査の自動化で医療に貢献する」という志のもとスタート。
ドイツに初の海外拠点を設立し、グローバル展開の第一歩を踏み出す。以後、世界各地に販売・サービス網を拡大。
大阪証券取引所に続き東京証券取引所に上場。企業としての信頼性を大きく向上させ、グローバル展開を加速。
グローバルブランドの統一を図り、東亜医用電子からシスメックスに社名変更。世界共通のブランドアイデンティティを確立。
血球計数検査分野でグローバルシェア首位を獲得。「日本発の世界No.1メーカー」としてのポジションを確立。
国産初の手術支援ロボットを上市し、治療領域への進出を果たす。検査から治療まで一貫した医療貢献を目指す新たな挑戦。
投資しやすい株価水準を実現するため1株を3株に分割。個人投資家層の拡大を図る。
松井石根氏が新社長に就任し「稼ぐ力の再建」を宣言。日本電子から生化学検査事業を買収し、IVDフルラインナップ化を推進。
注目ポイント
ヘマトロジー(血球計数検査)分野でグローバルNo.1。世界190以上の国・地域で使われており、米国顧客満足度調査では18年連続首位の実績を誇ります。
売上の約80%が試薬・サービスのリカーリング(継続的)収益。装置を一度導入すると試薬を継続購入する仕組みにより、景気変動に強い安定した収益基盤を構築しています。
FY2026/3期から配当性向40%目途の累進配当方針を導入。減益局面でも増配を継続する姿勢で、5期連続の増配を実現しています。
サービスの実績は?
ひとめ診断
配当・優待はもらえる?
| 期 | 1株配当 | 配当性向 |
|---|---|---|
| FY2016/3 | 17.2円 | 29.8% |
| FY2017/3 | 19.2円 | 29.7% |
| FY2018/3 | 21.9円 | 35.0% |
| FY2019/3 | 23.3円 | 35.5% |
| FY2020/3 | 23.9円 | 43.0% |
| FY2021/3 | 24円 | 45.5% |
| FY2022/3 | 25.3円 | 36.0% |
| FY2023/3 | 27.3円 | 37.4% |
| FY2024/3 | 84円 | 106.0% |
| FY2025/3 | 32円 | 37.2% |
株主優待制度は導入されていません。
FY2026/3期より配当性向40%目途の累進配当方針を導入。「減配しない」という累進方針のもと、FY2026/3期は減益にもかかわらず前期比+6円増配の年間38円を予想しています。配当性向は一時的に58%に上昇しますが、業績回復に伴い正常化する見通しです。5期連続増配を継続中であり、株主還元への強い姿勢が示されています。なお、2024年4月に株式3分割を実施しており、過去の配当額は分割後ベースに換算しています。
同業比較(収益性)
電気機器の同業他社平均と比べると…
業績推移
儲かってるの?
FY2021/3からFY2025/3まで5期連続の増収を達成し、売上高は5,086億円に到達。しかしFY2026/3期は中国の医療費抑制策(VBP=集中購買政策)による同地域での販売不振が直撃し、通期予想を3度にわたり下方修正。営業利益は前期比29%減の620億円と大幅減益の見通しです。中国以外の地域は堅調に推移しており、中国依存度の低減と臨床化学分野への事業拡大が回復の鍵となります。
事業ごとの売上・利益
世界シェア50%超の主力事業。装置販売に加え、試薬・サービスのリカーリング収益が安定成長を支える。米国顧客満足度調査で18年連続1位
凝固検査は世界シェア1位。尿沈渣検査も同様。免疫検査は後発ながらシェア拡大中。臨床化学はBioMajesty買収で本格参入
手術支援ロボット「hinotori」、再生細胞医療、遺伝子検査など成長投資領域。現在は先行投資フェーズで赤字だが、中長期の成長ドライバーとして位置づけ
稼ぐ力はどのくらい?
| 期 | ROE | ROA | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 10.9% | 7.5% | - |
| FY2022/3 | 13.5% | 9.1% | - |
| FY2023/3 | 12.4% | 8.6% | - |
| FY2024/3 | 12.1% | 8.0% | 17.0% |
| FY2025/3 | 12.0% | 8.1% | 17.2% |
営業利益率は17〜18%台で安定推移しており、検体検査という高い参入障壁を持つ事業の収益性の高さを示しています。ROEも10〜12%台と資本効率は良好です。ただしFY2026/3期は中国事業の不振で営業利益率が12.4%まで低下する見通しであり、新社長のもとで「稼ぐ力」の再建が急務となっています。
財務は安全?
自己資本比率は約70%と極めて高水準を維持しており、実質無借金経営の堅牢な財務体質が特徴です。総資産は5年間で約56%成長し、6,652億円に拡大。純資産も着実に積み上がっており、BPS(1株純資産)は5年で約51%増加しています。2024年4月の株式3分割を反映し、BPSは分割後ベースに統一しています。
お金の流れは?
| 期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | FCF |
|---|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| FY2022/3 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| FY2023/3 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| FY2024/3 | 639億円 | -550億円 | -90.1億円 | 89.3億円 |
| FY2025/3 | 882億円 | -525億円 | -243億円 | 358億円 |
営業キャッシュフローは一貫して500〜800億円台のプラスを維持しており、試薬・サービスのリカーリング収益モデルの強さを反映しています。FY2025/3期は882億円と過去最高水準を記録。一方、R&Dや設備投資への積極的な投資を継続しており、投資CFは毎期500億円前後の支出となっています。FCF(フリーキャッシュフロー)はFY2025/3期に358億円まで回復しました。
この会社のリスク
有価証券報告書に記載されている主なリスク要因です。投資判断の参考にしてください。
税金はいくら払ってる?
| 期 | 税引前利益 | 法人税等 | 実効税率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 463億円 | 143億円 | 31.0% |
| FY2022/3 | 643億円 | 203億円 | 31.5% |
| FY2023/3 | 687億円 | 229億円 | 33.4% |
| FY2024/3 | 746億円 | 250億円 | 33.5% |
| FY2025/3 | 792億円 | 256億円 | 32.3% |
実効税率は31〜35%の範囲で安定的に推移しています。グローバル展開による各国の税率差異を反映し、日本の法定実効税率(約30%)をやや上回る水準です。FY2026/3期は税引前利益が590億円に減少する見通しですが、税率自体は30.5%と安定しています。
社員の給料はどのくらい?
| 期 | 平均年収 | 従業員数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 当期 | 913万円 | 10,533人 | - |
平均年収は4年間で78万円上昇し913万円に到達。医療機器業界の中でもトップクラスの給与水準です。FY2025/3期には連結ベースでの従業員数が10,533名に拡大しており、グローバル展開に伴う積極採用が続いています。平均年齢42.3歳、平均勤続年数12.7年と安定した雇用環境が特徴です。
誰がこの会社の株を持ってる?
創業者・中谷家の財団法人・資産管理会社が合計17%超を保有し、安定的な株主基盤を形成。会長家族も大株主として名を連ねます。信託口経由の機関投資家保有も一定割合を占め、バランスの取れた株主構成です。
シスメックスの株主構成は創業者・中谷家に関連する財団法人・事業法人が合計約17%を保有する安定的な構造です。中谷財団(6.16%)、神戸やまぶき財団(5.73%)、中谷興産(5.47%)が創業家関連の中核株主。家次和子氏(3.33%)は代表取締役会長・家次恒氏の親族であり実質的な安定株主です。信託口を通じた機関投資家の保有(日本マスタートラスト12.39%、日本カストディ5.99%)も大きく、国内外の機関投資家の関心が高い銘柄です。
会社の公式開示情報
役員報酬
事業別の稼ぎ
| 事業名 | 売上 | 利益 | 利益率 |
|---|---|---|---|
| ヘマトロジー(血球計数検査) | 約3,300億円 | 約730億円 | 約22% |
| 凝固・尿・免疫検査 | 約1,500億円 | 約230億円 | 約15% |
| ライフサイエンス・その他 | 約290億円 | 約-80億円 | 約-28% |
シスメックスの事業の柱はヘマトロジー(血球計数検査)であり、世界シェア50%超のグローバルNo.1の地位を確立しています。装置を一度導入すると継続的に試薬を購入する「レーザープリンターモデル」により、売上の約80%が安定的なリカーリング収益です。2026年4月には日本電子から臨床化学事業を買収し、IVD(体外診断)のフルラインナップ化を推進。手術支援ロボット「hinotori」など新領域への投資も継続しています。
この会社のガバナンスは?
取締役12名中、女性は1名(8.3%)とプライム市場企業としてはダイバーシティに課題が残ります。2026年4月には松井石根氏が新社長に昇格し、家次恒氏はCEO留任の体制に移行。監査報酬は1億6,000万円で、連結子会社76社を擁するグローバル企業として適正な監査体制を敷いています。設備投資は年間約300億円規模で、R&D投資と合わせて積極的な成長投資を継続しています。
会社の計画は順調?
※ 会社が公表した計画に対する達成度の評価であり、投資についての評価・推奨ではありません
年度別の予想精度(計画を守れてる?)
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2026/3 | 5,350億円 | 5,000億円 | — | -6.5% |
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2026/3 | 915億円 | 620億円 | — | -32.2% |
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2026/3 | 570億円 | 410億円 | — | -28.1% |
当初予想 = 期初に会社が発表した数字 / 乖離 = 予想と実績のズレ(+なら上振れ)
2023年5月に策定した長期経営戦略ではFY2033に売上高1兆円・営業利益率20%を目標としています。FY2025/3期は売上5,086億円と目標の約51%まで到達しましたが、FY2026/3期は中国事業の失速により一転減収となり、計画の進捗にブレーキがかかっています。同期の業績予想は3度にわたり下方修正され、営業利益は当初計画比32%減と大幅な乖離が生じました。新社長のもとで「拡散から極める」への方針転換が進められており、計画の信頼性回復が課題です。
この株を持っていたら儲かった?
この会社の株主総利回り(TSR)を、日本株全体の平均(TOPIX)と比較したグラフです。青い線が上にあるほど、平均より良い成績を出しています。
直近5年間のTSR(株主総利回り)は113.7%と、TOPIXの213.4%を大幅に下回る「アンダーパフォーム」の状況です。FY2021期にはTOPIXを上回っていましたが、その後は成長鈍化と株価下落により差が拡大。特にFY2024以降、TOPIXが日本株全体の上昇に乗る中で同社株は低迷が続いており、中国リスクの顕在化が最大の要因です。配当を含めてもTOPIXに対し約100ポイントの劣後となっています。
※ 配当を含まない株価ベースのリターンです。過去の実績であり、将来のリターンを保証・示唆するものではありません。
もし5年前に投資していたら?
| 年度末時点 | 評価額 | 損益 | TSR |
|---|---|---|---|
| FY2021 | 152.9万円 | +52.9万円 | 52.9% |
| FY2022 | 115.6万円 | +15.6万円 | 15.6% |
| FY2023 | 113.1万円 | +13.1万円 | 13.1% |
| FY2024 | 105.8万円 | +5.8万円 | 5.8% |
| FY2025 | 113.7万円 | +13.7万円 | 13.7% |
※ 有価証券報告書記載のTSR(株主総利回り)に基づく仮定の計算です。配当再投資を含みます。将来のリターンを保証するものではありません。
株の売買状況と今後の予定
信用倍率は8.46倍と買い残が大幅に優勢で、個人投資家を中心に「底値圏での反発狙い」の買いが入っている構図です。PERは21.7倍と電気機器セクター平均並みですが、これは減益予想を反映した水準。PBRは1.92倍とグロース銘柄としてはやや割安な水準に調整されています。52週安値1,268円(実質約11年ぶり安値)をつけた後、やや回復して推移中です。
メディアでどれくらい注目されてる?
メディア露出
メディア分布
競合比較
どんな話題が多い?
最近の出来事
松井石根氏が代表取締役社長に就任。同時に日本電子の生化学検査事業を子会社化し「シスメックスBioMajesty」として事業開始。
FY2026/3期Q3決算で通期予想を再度下方修正。営業利益は当初予想比32%減の620億円に。株価は実質ベースで約11年ぶりの安値を記録。
中国地域の不振が鮮明化し、通期営業利益予想を915億円→760億円に下方修正。純利益予想も24%減に引き下げ。
Q1決算で通期業績予想を初めて下方修正。中国の医療費抑制政策による検査機器・試薬販売の鈍化が主因。
FY2025/3期は売上高5,086億円(+10.2%)、営業利益876億円(+11.7%)と増収増益を達成。過去最高売上を更新。
最新ニュース
シスメックス まとめ
ひとめ診断
「血液検査のグローバル王者、中国失速と社長交代で稼ぐ力の再建を急ぐ」
※ 本ページの情報は投資助言ではありません。掲載データは正確性を保証するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。
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