TDK
TDK Corporation
最終更新日: 2026年4月30日
フェライトから電池・センサーへ──見えないところで世界のテクノロジーを動かすモノづくりの匠
社会の変革を支えるソリューションの創出を通じて、持続可能な未来に貢献する
この会社ってなに?
あなたのスマートフォンに入っているリチウムイオン電池やカメラの手ぶれ補正センサー、EVの電力制御に使われるコンデンサー、PCのHDDに搭載された磁気ヘッド──TDKの電子部品は日常のあらゆるデジタル機器の中で静かに働いています。Apple・Samsung・テスラなど世界のテック企業がTDKの部品なしには製品を作れないほど、現代のテクノロジーを根幹から支えている会社です。
TDKは1935年にフェライトの工業化を目的に創業し、現在はリチウムイオン電池(子会社ATL)・MLCC(積層セラミックコンデンサ)・各種センサー・HDDヘッドなど幅広い電子部品を展開するグローバル企業です。FY2025/3は売上高2兆2,048億円(前期比+4.8%)、営業利益2,242億円(同+29.7%)と過去最高を更新しました。FY2026/3はさらに売上高2兆4,700億円・営業利益2,650億円への上方修正予想を掲げ、ICT市場の回復とEV・AI需要の拡大が成長を牽引しています。2024年5月に発表した中期経営計画「TDK Transformation」ではROIC経営とキャッシュフロー最大化を柱に据え、配当性向も30%から35%へ引き上げる方針です。2026年3月にはAppleとの協業でTMRセンサーの米国生産を開始するなど、グローバルサプライチェーンの再構築でも存在感を発揮しています。
会社概要
- 業種
- 電気機器
- 決算期
- 3月
- 本社
- 東京都中央区日本橋2-5-1
- 公式
- www.tdk.com
社長プロフィール
TDKは「創造によって文化、産業に貢献する」という創業以来の社是のもと、フェライトの工業化から始まり、磁気テープ、電子部品、そして今日のリチウムイオン電池・センサーへと常に変革を続けてきました。中期経営計画「TDK Transformation」では、キャッシュフロー経営とROIC重視のポートフォリオ管理を徹底し、EV・AI・IoTという成長市場で確固たるポジションを築きます。配当性向を35%に引き上げるとともに、成長投資を加速し、株主の皆さまとともに企業価値の持続的な向上を実現してまいります。
この会社のストーリー
東京工業大学の加藤与五郎・武井武両博士が発明したフェライトを工業化するため、東京電気化学工業として設立。世界で初めてフェライトコアの量産化に成功した。
社名をTDKに変更し、カセットテープやビデオテープで世界的なブランドを確立。「磁性技術の会社」として広く認知される。
香港のAmperex Technology Limited(ATL)を約100億円で買収し、リチウムイオン電池事業に本格参入。この買収が後のTDKの大黒柱に成長する転機となった。
米InvenSenseを約1,400億円で買収し、MEMS・モーションセンサー技術を獲得。電池とセンサーの二本柱で成長する体制を構築。
海外営業畑出身の齋藤昇が社長に就任。グローバル視点でのポートフォリオ改革とROIC経営を推進し、EV・AI時代への対応を加速。
FY2025/3に売上高2.2兆円・営業利益2,242億円と過去最高を更新。中計「TDK Transformation」で配当性向35%・ROIC 7%以上を目標に掲げ、さらなる成長を目指す。
注目ポイント
子会社ATLのリチウムイオン電池はApple・Samsung等のスマートフォンに搭載され、世界トップシェアを誇ります。約100億円の買収が今や1兆円超の事業に成長した「カメレオン経営」の象徴です。
EV1台にMLCC数千個が必要とされる時代、TDKの受動部品とセンサーは自動車・スマートフォン・データセンターの心臓部で不可欠な存在です。Apple向けTMRセンサーの米国生産も開始予定。
FY2025/3に営業利益2,242億円と過去最高を更新し、5期連続増配を実現。配当性向を35%に引き上げる新中計のもと、成長投資と株主還元の両立を目指しています。
サービスの実績は?
ひとめ診断
配当・優待はもらえる?
| 期 | 1株配当 | 配当性向 |
|---|---|---|
| FY2016/3 | 8円 | 23.3% |
| FY2017/3 | 8円 | 10.4% |
| FY2018/3 | 8.7円 | 26.0% |
| FY2019/3 | 10.7円 | 24.7% |
| FY2020/3 | 12円 | 39.3% |
| FY2021/3 | 12円 | 28.7% |
| FY2023/3 | 21.2円 | 35.2% |
| FY2024/3 | 23.2円 | 35.3% |
株主優待制度なし(配当金による利益還元が基本方針)
5期連続増配を継続中で、FY2021/3の12円からFY2026/3予想の34円へと約2.8倍に増加しています。配当性向は中計「TDK Transformation」で従来の30%から35%へ引き上げが発表され、FY2023/3以降は34〜35%で安定推移。FY2026/3は中間16円・期末18円の年間34円(会社予想)を見込みます。株主優待制度はなく、配当による還元に集中する方針です。EPSの成長と配当性向の引き上げにより、今後も着実な増配が期待されます。
同業比較(収益性)
電気機器の同業他社平均と比べると…
業績推移
儲かってるの?
売上高はFY2023/3に初の2兆円超えを達成して以降、堅調に成長を続けています。FY2024/3は自動車向け受動部品の需要減で一時的に減収となりましたが、FY2025/3にはICT市場の回復とエナジー事業の拡大で売上高・営業利益ともに過去最高を更新しました。営業利益率はFY2021/3の7.5%からFY2025/3の10.2%へ改善し、FY2026/3予想では10.7%に達する見込みです。EPS・配当は2024年10月の1:5株式分割後の調整値で統一しています(2021年10月の1:3分割も反映済み)。
事業ごとの売上・利益
リチウムイオン電池(子会社ATL)が主力。スマートフォン・タブレット向けで世界トップシェア。EV用・蓄電用バッテリーにも展開拡大中。売上構成比約56%の最大セグメント。
MLCC(積層セラミックコンデンサ)、インダクタ、高周波部品、圧電製品など。自動車・産機・ICT向けに幅広く展開。車載向け需要の回復が今後の成長ドライバー。
HDDヘッド・HDDサスペンション、マグネットなど。HDD市場の回復により営業黒字に転換。データセンター向け大容量HDDの需要増が追い風。
TMRセンサー(磁気センサー)、温度・圧力センサー、MEMSセンサーなど。自動車・スマートフォン向けが中心。Apple向けTMRセンサーの米国生産も開始予定。
稼ぐ力はどのくらい?
| 期 | ROE | ROA | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 8.6% | 3.2% | - |
| FY2022/3 | 15.6% | 4.3% | - |
| FY2023/3 | 8.3% | 3.6% | - |
| FY2024/3 | 7.9% | 3.7% | 8.2% |
| FY2025/3 | 9.5% | 4.7% | 10.2% |
ROEはFY2022/3に10.1%を記録した後、FY2023-2024/3は7〜8%台に低下しましたが、FY2025/3に9.2%へ回復しました。中計「TDK Transformation」ではROIC経営を重視し、FY2025/3のROICは6.7%を達成。営業利益率はFY2025/3に10.2%と初めて2桁に到達し、エナジー事業の高成長と受動部品の収益改善が寄与しています。FY2026/3予想では営業利益率10.7%とさらなる改善が見込まれます。
財務は安全?
総資産は約3.5兆円と5期で1.5倍に拡大しており、エナジー事業(ATL)の急成長に伴う設備投資が反映されています。自己資本比率はFY2021/3の41.8%からFY2025/3の50.8%へ着実に改善し、財務の安定性は高水準です。有利子負債は約8,280億円ですが、FY2025/3の営業CF 4,458億円でカバーされており、ネットD/Eレシオも健全な水準を維持。BPSは2021年10月の1:3分割・2024年10月の1:5分割後の調整値で統一しています。
お金の流れは?
| 期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | FCF |
|---|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| FY2022/3 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| FY2023/3 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| FY2024/3 | 4,470億円 | -2,166億円 | -1,464億円 | 2,304億円 |
| FY2025/3 | 4,458億円 | -2,448億円 | -1,433億円 | 2,010億円 |
FY2024-2025/3の営業CFは2期連続で約4,450億円と高水準を維持し、キャッシュ創出力が大幅に向上しています。FY2021-2022/3はATLの大規模設備投資でFCFがマイナスでしたが、FY2023/3以降は3期連続でプラスに転換。中計では3年間の累計営業CFを当初1兆2,500億円と計画していましたが、400億円上振れの約1兆2,900億円に達する見通しで、増産投資と株主還元の原資を十分に確保しています。
この会社のリスク
有価証券報告書に記載されている主なリスク要因です。投資判断の参考にしてください。
税金はいくら払ってる?
| 期 | 税引前利益 | 法人税等 | 実効税率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 1,173億円 | 426億円 | 36.3% |
| FY2022/3 | 1,725億円 | 412億円 | 23.9% |
| FY2023/3 | 1,672億円 | 530億円 | 31.7% |
| FY2024/3 | 1,792億円 | 546億円 | 30.4% |
| FY2025/3 | 2,378億円 | 706億円 | 29.7% |
実効税率は約28〜30%で安定的に推移しています。FY2025/3は約708億円の法人税を納付。グローバルに事業展開しており、各国の税制や移転価格に対応しつつ適切な納税を行っています。FY2026/3は業績の上方修正に伴い税引前利益2,650億円、法人税約750億円と、社会への貢献度がさらに増す見込みです。
社員の給料はどのくらい?
| 期 | 平均年収 | 従業員数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 当期 | 830万円 | 105,067人 | - |
平均年収は830万円(FY2025/3)で電気機器業界の中では高水準です。直近は+6.0%の大幅昇給を実施し、人材獲得競争への対応を強化しています。単体従業員数は4年間で522名増加しており、成長投資と人材確保を両立。連結ベースでは世界30カ国超に約10.5万人が在籍するグローバル企業です。
誰がこの会社の株を持ってる?
金融機関42.9%と事業法人0.6%を安定株主として分類。外国法人44.9%は海外機関投資家(カストディアン経由)が大半で、グローバル大型電子部品メーカーとして高い国際的評価を反映。特定のオーナー・創業家株主は存在せず、機関投資家中心の安定した株主構成。
筆頭株主の日本マスタートラスト信託銀行が26.9%を保有し、日本カストディ銀行12.7%と合わせて信託銀行2行で約40%を占めます。3位以下はJP MORGAN CHASE BANK(3.4%)、STATE STREET BANK各口座(計4.7%)、CITIBANK(1.8%)など海外カストディアン経由の機関投資家が名を連ねます。ノルウェー政府年金基金(1.6%)やJPモルガン証券(1.3%)も上位株主に入っており、グローバルな長期投資家からの信頼の厚さが伺えます。創業家やオーナー株主は存在せず、プロフェッショナル経営体制による独立性の高いガバナンスが特徴です。
会社の公式開示情報
役員報酬
事業別の稼ぎ
| 事業名 | 売上 | 利益 | 利益率 |
|---|---|---|---|
| エナジー応用製品 | 約1兆2,321億円 | 約1,220億円 | 9.9% |
| 受動部品 | 約5,596億円 | 約700億円 | 12.5% |
| 磁気応用製品 | 約2,236億円 | 約70億円 | 3.1% |
| センサ応用製品 | 約1,895億円 | 約150億円 | 7.9% |
エナジー応用製品(ATL電池)が売上の約56%を占める最大セグメントで、TDKの成長エンジンとなっています。一方で受動部品の営業利益率12.5%が最も高く、安定した収益基盤を提供しています。磁気応用製品はHDD市場の構造的縮小に直面していましたが、大容量HDD需要の回復で黒字転換を果たしました。センサ応用製品はTMRセンサーを中心にApple・自動車メーカー向けの成長が期待されます。中計では事業ポートフォリオをROIC基準で管理し、低収益事業の改善を推進しています。
この会社のガバナンスは?
取締役12名中女性2名(比率16.7%)と、ダイバーシティの向上を段階的に推進しています。監査法人報酬は4億4,600万円で、グローバル事業規模に見合った監査体制を構築。平均勤続年数17.2年は電子部品業界平均を上回り、技術者の定着率の高さがイノベーション創出の基盤となっています。設備投資は2,253億円と積極的で、次世代電池やセンサの生産能力増強に充当されています。
会社の計画は順調?
※ 会社が公表した計画に対する達成度の評価であり、投資についての評価・推奨ではありません
年度別の予想精度(計画を守れてる?)
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2025/3 | 1,800億円 | — | 2,242億円 | +24.6% |
| FY2026/3 | 2,450億円 | — | → 2,650億円(上方修正) | +8.2% |
当初予想 = 期初に会社が発表した数字 / 乖離 = 予想と実績のズレ(+なら上振れ)
前中計「Value Creation 2023」では売上高2兆円の目標をFY2023/3に前倒し達成しました。現行の「TDK Transformation」では営業利益率10%以上を初年度にクリアし、配当性向も35%目標に対し34.1%とほぼ達成水準。ROIC 7%目標は6.7%とわずかに未達ですが、事業ポートフォリオのROIC管理を推進中です。営業CF目標は3年計画に対し初年度で計画を上振れており、増産投資と株主還元のバランスが取れた計画実行力を示しています。
この株を持っていたら儲かった?
この会社の株主総利回り(TSR)を、日本株全体の平均(TOPIX)と比較したグラフです。青い線が上にあるほど、平均より良い成績を出しています。
過去5期にわたりTOPIXを一貫してアウトパフォームしています。FY2025のTSRは295.0%に達し、TOPIX(213.4%)を約82ポイント上回りました。FY2022に一時的にTOPIXとの差が縮小しましたが、FY2024以降はエナジー事業の成長期待とEV・AI関連銘柄としての評価が急上昇し、大幅なアウトパフォーマンスを実現しました。長期投資家に優れたリターンを提供し続けている銘柄です。
※ 配当を含まない株価ベースのリターンです。過去の実績であり、将来のリターンを保証・示唆するものではありません。
もし5年前に投資していたら?
| 年度末時点 | 評価額 | 損益 | TSR |
|---|---|---|---|
| FY2021 | 185.1万円 | +85.1万円 | 85.1% |
| FY2022 | 164.6万円 | +64.6万円 | 64.6% |
| FY2023 | 177.9万円 | +77.9万円 | 77.9% |
| FY2024 | 280.7万円 | +180.7万円 | 180.7% |
| FY2025 | 295.0万円 | +195.0万円 | 195.0% |
※ 有価証券報告書記載のTSR(株主総利回り)に基づく仮定の計算です。配当再投資を含みます。将来のリターンを保証するものではありません。
株の売買状況と今後の予定
PER20.1倍は電気機器業界平均(18.5倍)をやや上回る水準で、エナジー事業を中心とした成長期待がプレミアムとして織り込まれています。PBR2.12倍も業界平均を上回り、ROE改善と成長投資への評価を反映。配当利回りは1.69%と業界平均をやや下回りますが、配当性向35%目標とEPS成長による改善が期待されます。信用倍率は24倍台と買い残が多く、個人投資家の成長期待の高さを示しています。
メディアでどれくらい注目されてる?
メディア露出
メディア分布
競合比較
どんな話題が多い?
最近の出来事
日本化学工業とコンデンサー材料の共同出資会社を設立(TDK 51%出資)。MLCC向けの誘電体セラミック材料の開発・供給を強化。
Appleの米国部品調達計画でTDKがTMRセンサーを米国で生産することが発表。30年以上の協業関係をさらに深化。
FY2026/3 Q3累計で営業利益が大幅増。通期業績予想を上方修正し、売上高2兆4,700億円・営業利益2,650億円へ。期末配当も増額。
AR関連スタートアップの米SoftEyeを買収し完全子会社化。スマートグラスへのAI導入技術を獲得し、センサーAIエコシステムを強化。
FY2025/3通期決算を発表。売上高2兆2,048億円、営業利益2,242億円と過去最高を更新。ICT市場回復とエナジー事業の成長が牽引。
最新ニュース
TDK まとめ
ひとめ診断
「フェライトから電池・センサーへ──スマホ・EV・AIを裏側から動かす世界屈指の電子部品メーカー」
※ 本ページの情報は投資助言ではありません。掲載データは正確性を保証するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。
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