ジャパンディスプレイ
Japan Display Inc.
最終更新日: 2026年3月28日
次世代技術『eLEAP』で世界市場に再挑戦する、日本のディスプレイ技術の結晶
世界最高水準のディスプレイ技術を核に、新たな市場を創造し、人々の暮らしに革新をもたらすこと。
この会社ってなに?
あなたが毎日使っているスマートフォンの画面、手首につけたスマートウォッチの文字盤、そして運転中に見る自動車のカーナビやメーターパネル。実は、そのディスプレイの多くをジャパンディスプレイが作っているかもしれません。特に車載用ディスプレイでは高いシェアを誇っており、普段意識していなくても、私たちの生活の様々な場面で同社の技術に触れているのです。最先端のVRゴーグル用の超高精細ディスプレイなど、未来のデバイスの裏側でも活躍しています。
FY2025決算は売上高1,880.1億円、営業損失370.68億円と、依然として厳しい経営環境が続いています。これで5期連続の最終赤字となり、財務基盤の再構築が急務です。次世代有機EL技術「eLEAP」の事業化や米国での新工場建設計画が将来の成長ドライバーとして期待される一方、イノラックスとの提携解消など不透明感も強く、投資家はいちごトラストの支援のもと進む経営再建の行方を注視しています。
会社概要
- 業種
- 電気機器
- 決算期
- 3月
- 本社
- 東京都港区西新橋3-7-1 ランディック第2新橋ビル
- 公式
- www.j-display.com
社長プロフィール
株主、お取引先の皆様のご支援に心より感謝申し上げます。私たちは『BEYOND DISPLAY』戦略を掲げ、単なるディスプレイメーカーに留まらず、新たな価値創造に挑戦しています。これまでの困難を乗り越え、技術革新を通じて持続的な成長を目指します。
この会社のストーリー
ソニー、東芝、日立製作所の中小型液晶ディスプレイ事業を統合し、産業革新機構(現INCJ)の出資を受けて設立。日本の技術力を結集した国家プロジェクトとして始動した。
設立からわずか2年で東証一部(現プライム市場)への上場を果たす。高い技術力への期待から注目を集めたが、スマートフォン市場の変化の波に直面し始める。
スマートフォン向け液晶の需要減速と有機ELへのシフト遅れが響き、大規模な赤字を計上。事業再建に向け、工場の集約や人員削減などの構造改革に着手した。
独立系投資顧問会社のいちごアセットグループから大規模な金融支援を受け、資本提携を締結。財務基盤を強化し、経営再建を本格化させる新たな一歩を踏み出した。
従来の有機ELの弱点を克服する画期的な新技術『eLEAP』を発表。輝度や寿命を飛躍的に向上させ、業界の注目を集める。復活への狼煙となる技術革新だった。
明間純氏が代表執行役社長 CEOに就任。ディスプレイの先にある価値創造を目指す『BEYOND DISPLAY』戦略を掲げ、車載分野や新規事業への注力を加速させる。
日本政府から、対米投融資の候補として米国での最先端ディスプレイ工場の運営を打診される。国家的なプロジェクトへの関与が報じられ、再び大きな期待が寄せられている。
注目ポイント
従来の有機ELディスプレイの輝度・寿命を2倍以上に高める画期的な独自技術『eLEAP』を開発。低消費電力も実現し、ウェアラブルから車載、メタバース用デバイスまで幅広い応用が期待されています。
かつて「日の丸液晶」として誕生した経緯から、日本政府による米国での新工場建設プロジェクトの運営打診を受けるなど、その技術力に国家レベルの期待が寄せられています。これは大きな成長ポテンシャルを示唆します。
長年の経営不振から脱却し、いちごアセットグループの支援のもとで財務改善を推進。単なるパネルメーカーから脱却し、新たな価値を創造する企業へと生まれ変わる挑戦を続けています。
サービスの実績は?
ひとめ診断
配当・優待はもらえる?
| 期 | 1株配当 | 配当性向 |
|---|---|---|
| FY2021/3 | 0円 | 0.0% |
| FY2022/3 | 0円 | 0.0% |
| FY2023/3 | 0円 | 0.0% |
| FY2024/3 | 0円 | 0.0% |
| FY2025/3 | 0円 | 0.0% |
現在、株主優待制度は実施されていません。
同社は深刻な赤字経営と財務改善を優先しているため、創業以来無配を継続しており、配当方針についても利益還元より事業再建を最優先する姿勢を維持しています。株主への還元は将来の黒字化と安定した収益確保が実現した段階で検討される見込みです。現時点では配当や優待による直接的なインカムゲインは期待できない銘柄です。
同業比較(収益性)
電気機器の同業他社平均と比べると…
業績推移
儲かってるの?
ジャパンディスプレイは、液晶スマートフォン向けパネルの需要減少に伴う構造改革の影響で、5期連続の営業赤字が続いています。売上高はFY2021/3の約3,417億円からFY2025/3には約1,880億円まで縮小しており、事業ポートフォリオの転換が急務となっています。最新のFY2026/3予想においても、約317億円の営業赤字が見込まれるなど、収益基盤の回復に向けた道のりは依然として険しい状況です。
稼ぐ力はどのくらい?
| 期 | ROE | ROA | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | -102.1% | -19.0% | -7.7% |
| FY2022/3 | -11.1% | -3.1% | -2.9% |
| FY2023/3 | -20.7% | -11.6% | -16.4% |
| FY2024/3 | -51.7% | -19.8% | -14.3% |
| FY2025/3 | 160.4% | 7.2% | -19.7% |
売上規模の縮小と固定費の負担により、営業利益率は継続的にマイナス圏で推移しており、収益性は極めて低い水準に留まっています。特にFY2025/3には売上高営業利益率が約-19.7%まで悪化しており、本業によるキャッシュ創出能力の低下が鮮明です。経営再建に向けて次世代技術「eLEAP」への投資を進めていますが、現時点ではROEやROAといった収益性指標の大幅な改善には至っていません。
財務は安全?
度重なる赤字計上により純資産が圧迫され、FY2025/3時点の自己資本比率は4.5%まで急低下し、財務基盤の脆弱性が深刻化しています。一方で、有利子負債は約1,480億円まで積み上がっており、借入への依存度が高い構造が続いています。債務超過のリスクを抱えつつ、資産売却や資本提携を通じていかに財務の健全性を回復させるかが今後の最大の焦点です。
お金の流れは?
| 期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | FCF |
|---|---|---|---|---|
| FY2021/3 | -231億円 | -91.5億円 | 202億円 | -323億円 |
| FY2022/3 | -217億円 | 9,500万円 | 148億円 | -216億円 |
| FY2023/3 | -657億円 | 97.8億円 | 277億円 | -559億円 |
| FY2024/3 | -176億円 | -134億円 | 329億円 | -310億円 |
| FY2025/3 | -255億円 | -81.6億円 | 257億円 | -336億円 |
本業による営業キャッシュフローは恒常的にマイナスとなっており、事業継続による現金創出ができていない状況です。不足する資金は財務活動によるキャッシュフロー、主に外部からの調達で補填して事業を維持しています。フリーキャッシュフローも常に赤字であり、自己資本の減少と負債の拡大を伴いながら経営再建を進めている厳しい構図が読み取れます。
この会社のリスク
有価証券報告書に記載されている主なリスク要因です。投資判断の参考にしてください。
税金はいくら払ってる?
| 期 | 税引前利益 | 法人税等 | 実効税率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | -327億円 | 0円 | - |
| FY2022/3 | -79.6億円 | 0円 | - |
| FY2023/3 | -429億円 | 0円 | - |
| FY2024/3 | -332億円 | 0円 | - |
| FY2025/3 | -404億円 | 0円 | - |
長年にわたる赤字決算により、税引前利益が継続してマイナスであるため、法人税等の支払いは発生していません。FY2026/3予想においても営業赤字が続く見通しですが、一部の税負担が予測されており、これは繰延税金資産の取り崩しや個別会計上の調整が影響している可能性があります。現状では納税を通じた国や地域への貢献は難しく、まずは事業の黒字化が先決です。
社員の給料はどのくらい?
| 期 | 平均年収 | 従業員数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 当期 | 759万円 | 4,141人 | - |
平均年収は759万円で、電気機器業界としては標準的な水準です。長年にわたる構造改革や事業再編に伴う人員削減とコスト最適化が続いており、会社全体の業績連動というよりも、専門的な技術職の確保や定着を重視した水準と言えます。
誰がこの会社の株を持ってる?
浮動株比率が高く、株式の流動性が高い反面、株価変動が大きくなりやすい傾向があります。 外国人投資家の保有比率が高く、グローバルな投資家からの評価が反映されやすい銘柄です。 主な安定株主はいちごトラスト(常任代理人 香港上海銀行東京支店)。
筆頭株主であるいちごトラストが発行済株式の約78%を保有しており、極めて高い支配力を有しています。残りの株主構成は信託銀行や事業法人で占められ、個人投資家の比率は限定的であるため、経営の意思決定において大株主の意向が強く反映される構造です。
会社の公式開示情報
役員報酬
車載用ディスプレイやウェアラブル機器向けパネルを主力としつつ、現在は次世代技術「eLEAP」の商業化による経営再建を最優先としています。過去の多額の減損損失や赤字がリスク要因ですが、政府主導の対米投融資の検討など、外部環境の変化が今後の存続を左右する重要な局面です。
この会社のガバナンスは?
取締役会における女性役員比率は33.3%と高く、多様性の確保に努めています。一方で、筆頭株主に強く依存する資本構造下での経営判断が求められており、監査体制の強化とともに、抜本的な事業再生を通じた企業価値の向上と継続的な開示が喫緊の課題となっています。
会社の計画は順調?
※ 会社が公表した計画に対する達成度の評価であり、投資についての評価・推奨ではありません
年度別の予想精度(計画を守れてる?)
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2025 | 2,218億円 | — | 1,880億円 | -15.2% |
| FY2024 | 2,400億円 | — | 2,392億円 | -0.4% |
| FY2023 | 3,291億円 | — | 2,708億円 | -17.7% |
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2025 | -182億円 | — | -371億円 | 大幅未達 |
| FY2024 | -404億円 | — | -341億円 | +15.5% |
当初予想 = 期初に会社が発表した数字 / 乖離 = 予想と実績のズレ(+なら上振れ)
現行の中期経営計画「METAGROWTH 2026」は、次世代OLED「eLEAP」による成長を目指していますが、FY2025実績は売上・利益ともに計画を大幅に下回る厳しいスタートとなりました。過去の中計も未達に終わっており、業績予想の精度も低いことから、計画の実現性には疑問符がつきます。外部環境の変化や提携先の動向に業績が大きく左右されるため、計画通りに事業が進捗するかは極めて不透明と言わざるを得ません。
この株を持っていたら儲かった?
この会社の株主総利回り(TSR)を、日本株全体の平均(TOPIX)と比較したグラフです。青い線が上にあるほど、平均より良い成績を出しています。
TSR(株主総利回り)は、株価の低迷と無配が続くことにより、5年連続で市場平均であるTOPIXを大幅に下回る(アンダーパフォーム)状況です。特にFY2025は自社TSRが34.7%に対しTOPIXは213.4%と、その差は歴然です。これは、同期間に日本株市場全体が好調であったにもかかわらず、当社の抜本的な収益改善が進まず、株主への十分なリターンを提供できていないことを明確に示しています。
※ 配当を含まない株価ベースのリターンです。過去の実績であり、将来のリターンを保証・示唆するものではありません。
もし5年前に投資していたら?
| 年度末時点 | 評価額 | 損益 | TSR |
|---|---|---|---|
| FY2021 | 198.0万円 | +98.0万円 | 98.0% |
| FY2022 | 198.0万円 | +98.0万円 | 98.0% |
| FY2023 | 181.6万円 | +81.6万円 | 81.6% |
| FY2024 | 144.9万円 | +44.9万円 | 44.9% |
| FY2025 | 134.7万円 | +34.7万円 | 34.7% |
※ 有価証券報告書記載のTSR(株主総利回り)に基づく仮定の計算です。配当再投資を含みます。将来のリターンを保証するものではありません。
株の売買状況と今後の予定
慢性的な赤字経営のためPERは算出不能です。純資産が毀損しているにも関わらず、PBRは43.37倍と業界平均を大幅に上回り、極めて割高な水準です。これは将来の黒字化や大型提携への期待感が株価に含まれていることを示唆しますが、業績実態との乖離には注意が必要です。信用買い残が多く、需給面では上値が重くなる可能性も考えられます。
メディアでどれくらい注目されてる?
メディア露出
メディア分布
競合比較
どんな話題が多い?
最近の出来事
いちごトラストとの追加資本提携および資産売却による財務基盤の改善を発表。
業績悪化に伴い、役員報酬及び従業員賞与の減額を実施。
次世代有機EL「eLEAP」に関し、Innolux等との戦略的提携を開始。
最新ニュース
ジャパンディスプレイ まとめ
ひとめ診断
「『国策』という名の十字架を背負い、巨額赤字の沼から次世代技術『eLEAP』で這い上がろうとするディスプレイメーカー」
※ 本ページの情報は投資助言ではありません。掲載データは正確性を保証するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。
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