セイコーエプソン
SEIKO EPSON CORPORATION
最終更新日: 2026年3月28日
「省・小・精」の技術で世界をリードし、プリンターの先へ進化を続ける技術革新カンパニー
私たちは、「省・小・精」から生み出す価値で人と地球を豊かに彩ります。
この会社ってなに?
あなたが自宅やオフィスで書類や写真を印刷するとき、そのプリンターはエプソン製かもしれません。また、コンビニで買い物をして受け取るレシート、その印刷機にもエプソンの技術が使われています。さらに、会議室や学校の授業で使われるプロジェクターの多くもエプソンが世界トップシェアを誇る製品です。腕にはめている腕時計、特に「グランドセイコー」のような高級時計の精密な部品も、実はエプソンの「省・小・精」の技術から生まれているなど、気づかないうちに私たちの生活の様々な場面を支えている会社です。
セイコーエプソンは、FY2025に売上高1兆3,629億円(前期比+3.7%)、営業利益751億円(同+30.5%)と増収増益を達成しました。主力のプリンティング事業は堅調ですが、ペーパーレス化の逆風も見据え、ポートフォリオ変革を急いでいます。2024年には米Fiery社を約845億円で買収しソフトウェアを強化、新中期経営計画では商業・産業印刷や水晶デバイスといった成長領域へ2,800億円を投じる計画で、脱・家庭用プリンター依存の姿勢を鮮明にしています。
会社概要
- 業種
- 電気機器
- 決算期
- 3月
- 本社
- 長野県諏訪市大和三丁目3番5号
- 公式
- corporate.epson
社長プロフィール

創業以来受け継ぐ「省・小・精」の技術を基に、お客様の期待を超える価値を提供し続けます。インクジェット、ビジュアル、ウエアラブル、ロボティクスの領域でイノベーションを創出し、持続可能でこころ豊かな社会の実現を目指します。
この会社のストーリー
長野県諏訪市に前身である有限会社大和工業が設立。時計(ウオッチ)の部品製造・組立を手掛け、「省・小・精」の技術の礎を築く。
電子式卓上計算機用の小型プリンター「EP-101」を開発。これが大ヒットし、後の「エプソン(EPSON)」ブランドの由来となる。
小型化、省電力化技術を結集し、従来の機械式時計の常識を覆す高精度を実現。時計史に大きな足跡を残す。
独自のマイクロピエゾ技術により、高画質・高速印刷を実現するカラーインクジェットプリンターを発売。家庭やオフィスでの印刷文化を大きく変える。
社会からの信頼を高め、さらなる成長を目指して東証一部に上場。公募価格を40%以上上回る初値をつけ、市場の大きな期待を集める。
プリンター向けソフトウェア大手のFiery社を約845億円で買収。ハードウェアだけでなくソフトウェア・サービス領域を強化し、脱プリンター依存と事業の多角化を推進する。
長期ビジョン「Epson 25 Renewed」のもと、新中期経営計画を発表。商業・産業印刷やマイクロデバイスなどの成長領域に3年間で2800億円を投資し、持続的な企業価値向上を目指す。
注目ポイント
世界トップシェアのプリンターで培った「省・小・精」の技術を、プロジェクター、産業用ロボット、水晶デバイスなど多様な分野に応用。見えないところで社会を支える技術力が魅力です。
大容量インクタンクモデル「エコタンク」は、カートリッジ交換の手間とコストを削減し、プラスチック廃棄物も大幅に削減。環境負荷低減と利便性を両立する姿勢が推せます。
2035年を見据えた長期ビジョンを掲げ、商業・産業印刷などの成長領域に大規模な投資を計画。既存事業に安住せず、常に未来を見据えて事業ポートフォリオを変革し続ける挑戦的な企業です。
サービスの実績は?
ひとめ診断
配当・優待はもらえる?
| 期 | 1株配当 | 配当性向 |
|---|---|---|
| FY2021/3 | 62円 | 69.4% |
| FY2022/3 | 62円 | 23.2% |
| FY2023/3 | 72円 | 32.6% |
| FY2024/3 | 74円 | 46.6% |
| FY2025/3 | 74円 | 43.9% |
株主優待制度は実施していません。
当社は株主還元を重要な経営課題と位置づけており、連結配当性向40%を目安としつつ、業績に応じた利益配分を継続しています。過去には利益変動に伴い配当性向が一時的に跳ね上がることもありましたが、近年は安定的な増配姿勢を見せています。株主優待制度は導入しておらず、配当金という直接的な形での還元に注力している点が特徴です。
同業比較(収益性)
電気機器の同業他社平均と比べると…
業績推移
儲かってるの?
当社の売上高は安定した推移を辿っていますが、2024年3月期以降はインクジェットプリンターやプロジェクター等の主力事業における需要の変化やコスト増の影響により、営業利益が押し下げられる局面が見られました。2025年3月期には売上高が約1兆3,629億円へと拡大し回復傾向にありますが、競合激化や原材料費の変動といった外部環境は依然として厳しい状況です。今後の業績は、成長領域への戦略的な投資とデジタル印刷ソフトウェア企業であるFiery社の買収によるシナジー効果が、利益水準の改善にどこまで寄与するかが注目されます。
稼ぐ力はどのくらい?
| 期 | ROE | ROA | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 5.6% | 2.7% | 4.8% |
| FY2022/3 | 13.9% | 7.3% | 8.4% |
| FY2023/3 | 10.3% | 5.6% | 7.3% |
| FY2024/3 | 6.5% | 3.7% | 4.4% |
| FY2025/3 | 6.9% | 3.8% | 5.5% |
収益性指標を見ると、2022年3月期にROEが13.9%、営業利益率が8.4%へと大きく向上しましたが、その後は生産性向上のための投資やインフレ圧力に伴うコスト増が重なり、近年は営業利益率が5%前後の水準で推移しています。ROA(総資産利益率)も同様に低下傾向にあり、資産の効率的な活用と高付加価値製品へのシフトによる利益率の再浮上が課題です。長期的には、資本効率を重視した経営(ROIC経営)を掲げ、事業ポートフォリオの見直しによる収益力の強化を目指しています。
財務は安全?
財務状況は非常に堅調であり、自己資本比率は55%前後と高い水準を維持しています。2024年3月期から有利子負債が1,500億円規模で発生していますが、これは戦略的なM&Aや事業投資に伴う一時的なものであり、潤沢な現預金と高い自己資本により盤石な基盤を保っています。資産構成としては、グローバルに展開する生産・販売拠点に関連する有形固定資産の割合が高い一方で、無形資産の積み上げによる将来の成長投資が進行中です。
お金の流れは?
| 期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | FCF |
|---|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 1,332億円 | -574億円 | 232億円 | 758億円 |
| FY2022/3 | 1,108億円 | -441億円 | -518億円 | 667億円 |
| FY2023/3 | 613億円 | -616億円 | -793億円 | -2.9億円 |
| FY2024/3 | 1,656億円 | -590億円 | -654億円 | 1,066億円 |
| FY2025/3 | 1,381億円 | -1,508億円 | -451億円 | -127億円 |
営業活動によるキャッシュフローは概ね1,000億円から1,600億円規模で安定して創出されており、本業の稼ぐ力は強力です。一方で、2025年3月期には大型買収等の投資活動により投資CFが1,500億円規模の流出となり、フリーキャッシュフローは一時的にマイナスとなりました。今後は買収した資産からのリターンを最大化させることで、再び持続的なキャッシュ創出能力を高めるフェーズに入ります。
この会社のリスク
有価証券報告書に記載されている主なリスク要因です。投資判断の参考にしてください。
税金はいくら払ってる?
| 期 | 税引前利益 | 法人税等 | 実効税率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 477億円 | 167億円 | 35.1% |
| FY2022/3 | 945億円 | 21.9億円 | 2.3% |
| FY2023/3 | 970億円 | 220億円 | 22.7% |
| FY2024/3 | 575億円 | 49.2億円 | 8.5% |
| FY2025/3 | 751億円 | 199億円 | 26.5% |
法人税等の支払額は年度により変動しており、過去には繰延税金資産の取崩しや税効果会計の影響によって実効税率が大きく低下する年がありました。直近では税負担率が標準的な水準へ回帰する傾向にあります。将来の業績予想に基づく実効税率は約35%を見込んでおり、税務コストを含めた着実な利益確保が求められています。
社員の給料はどのくらい?
| 期 | 平均年収 | 従業員数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 当期 | 794万円 | 75,352人 | - |
従業員平均年収は794万円と、製造業の中でも高水準を維持しています。長年の精密機器製造で培われた技術者への厚遇や、グローバル展開による収益性が安定した報酬水準を支える背景となっています。
誰がこの会社の株を持ってる?
安定株主が一定の割合を占めており、経営基盤は比較的安定しています。 主な安定株主はセイコーグループ。
主要株主には日本マスタートラスト信託銀行や日本カストディ銀行といった信託口が上位を占めており、機関投資家による保有割合が高い構成です。また、セイコーグループや創業者一族に関連する持株会・個人株主も名を連ねており、創業家と機関投資家の双方から安定的な関心を集めています。
会社の公式開示情報
役員報酬
プリンティングソリューションズ事業を核としつつ、産業用ロボットや水晶デバイス等の成長分野へ注力するポートフォリオ転換を推進しています。近年では為替変動やグローバルな需要変化を主なリスク要因として開示しており、インクジェット技術の多角化による収益安定化を図っています。
この会社のガバナンスは?
女性役員比率は18.2%と多様性の確保を進めており、監査等委員会設置会社として透明性の高い経営体制を構築しています。連結従業員約7.5万人を抱える巨大組織として、グローバルなガバナンスとコンプライアンスの強化を継続しています。
会社の計画は順調?
※ 会社が公表した計画に対する達成度の評価であり、投資についての評価・推奨ではありません
年度別の予想精度(計画を守れてる?)
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2022 | 1兆700億円 | — | 1兆1,289億円 | +5.5% |
| FY2023 | 1兆3,200億円 | — | 1兆3,303億円 | +0.8% |
| FY2024 | 1兆3,600億円 | — | 1兆3,140億円 | -3.4% |
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2022 | 570億円 | — | 945億円 | +65.8% |
| FY2025 | 630億円 | — | 751億円 | +19.2% |
当初予想 = 期初に会社が発表した数字 / 乖離 = 予想と実績のズレ(+なら上振れ)
2026年3月に新たな長期ビジョンと中期経営計画「Phase1」(FY26-28)を発表。最終年度であるFY2028に売上収益1.5兆円、事業利益1,500億円を目標に掲げ、従来のプリンター事業への依存から脱却し、商業・産業印刷などの成長領域へ舵を切る方針です。過去の業績予想は、利益面で保守的な予想から上振れする傾向が見られますが、売上高は目標に届かないケースもあり、トップラインの成長力が今後の課題と言えるでしょう。
この株を持っていたら儲かった?
この会社の株主総利回り(TSR)を、日本株全体の平均(TOPIX)と比較したグラフです。青い線が上にあるほど、平均より良い成績を出しています。
TSR(株主総利回り)は、FY2021からFY2025までの5年間、継続してTOPIXを上回っており、アウトパフォームしています。これは、安定した配当と、特にFY2024からFY2025にかけての株価回復が大きく寄与しています。プリンター市場の成熟が懸念される中でも、安定したキャッシュ創出力と株主還元策が、市場平均を上回るトータルリターンにつながっていることを示しています。
※ 配当を含まない株価ベースのリターンです。過去の実績であり、将来のリターンを保証・示唆するものではありません。
もし5年前に投資していたら?
| 年度末時点 | 評価額 | 損益 | TSR |
|---|---|---|---|
| FY2021 | 159.1万円 | +59.1万円 | 59.1% |
| FY2022 | 167.9万円 | +67.9万円 | 67.9% |
| FY2023 | 177.5万円 | +77.5万円 | 77.5% |
| FY2024 | 249.2万円 | +149.2万円 | 149.2% |
| FY2025 | 233.4万円 | +133.4万円 | 133.4% |
※ 有価証券報告書記載のTSR(株主総利回り)に基づく仮定の計算です。配当再投資を含みます。将来のリターンを保証するものではありません。
株の売買状況と今後の予定
PBRは0.80倍と解散価値である1倍を割り込み、PERも業界平均に比べて低く、株価は割安圏にあると評価できます。配当利回りは3.73%と業界平均を上回り、株主還元への意識も評価できます。信用倍率は1.27倍と拮抗しており、短期的な需給の偏りは大きくありません。今後は新中期経営計画の進捗が、割安な株価指標の是正につながるかどうかの焦点となります。
メディアでどれくらい注目されてる?
メディア露出
メディア分布
競合比較
どんな話題が多い?
最近の出来事
医療DX支援企業であるOPEReと資本業務提携を締結し、ヘルスケア領域での連携を開始しました。
米国のソフトウェアメーカーFiery社を約845億円で買収し、商業印刷事業の競争力強化を図りました。
長期ビジョンおよび中期経営計画 Phase1を発表し、成長領域へ2800億円の投資を行う方針を示しました。
最新ニュース
セイコーエプソン まとめ
ひとめ診断
「プリンターの巨人がインク依存から脱却し、商業・産業印刷と精密技術で未来を描く」
※ 本ページの情報は投資助言ではありません。掲載データは正確性を保証するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。
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