セイコーエプソン6724
SEIKO EPSON CORPORATION
まずこの会社は何者?
事業内容や経営者、企業の魅力をひと目でつかむ
ひとめ診断
この会社ってなに?
あなたが自宅やオフィスで書類や写真を印刷するとき、そのプリンターはエプソン製かもしれません。また、コンビニで買い物をして受け取るレシート、その印刷機にもエプソンの技術が使われています。さらに、会議室や学校の授業で使われるプロジェクターの多くもエプソンが世界トップシェアを誇る製品です。腕にはめている腕時計、特に「グランドセイコー」のような高級時計の精密な部品も、実はエプソンの「省・小・精」の技術から生まれているなど、気づかないうちに私たちの生活の様々な場面を支えている会社です。
セイコーエプソンは、2025期に売上高1兆3,629億円(前期比+3.7%)、営業利益751億円(同+30.5%)と増収増益を達成しました。主力のプリンティング事業は堅調ですが、ペーパーレス化の逆風も見据え、ポートフォリオ変革を急いでいます。2024年には米Fiery社を約845億円で買収しソフトウェアを強化、新中期経営計画では商業・産業印刷や水晶デバイスといった成長領域へ2,800億円を投じる計画で、脱・家庭用プリンター依存の姿勢を鮮明にしています。
会社概要
- 業種
- 電気機器
- 決算期
- 3月
- 本社
- 長野県諏訪市大和三丁目3番5号
サービスの実績は?
なぜ伸びるの?
売上・利益・成長性の数字から、稼ぐ力を読み解く
稼ぐ力はどのくらい?
| 会計期 | ROE | ROA | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| 2021/03期 | 5.6% | 2.7% | - |
| 2022/03期 | 15.2% | 7.6% | - |
| 2023/03期 | 10.8% | 5.8% | - |
| 2024/03期 | 6.8% | 3.8% | 4.4% |
| 2025/03期 | 6.8% | 3.8% | 5.5% |
| 3Q FY2026/3 | 4.3%(累計) | 2.4%(累計) | 5.6% |
収益性指標を見ると、2022年3月期にROEが13.9%、営業利益率が8.4%へと大きく向上しましたが、その後は生産性向上のための投資やインフレ圧力に伴うコスト増が重なり、近年は営業利益率が5%前後の水準で推移しています。ROA(総資産利益率)も同様に低下傾向にあり、資産の効率的な活用と高付加価値製品へのシフトによる利益率の再浮上が課題です。長期的には、資本効率を重視した経営(ROIC経営)を掲げ、事業ポートフォリオの見直しによる収益力の強化を目指しています。
儲かってるの?
| 会計期 | 売上高 | 営業利益 | 当期純利益 | EPS | YoY |
|---|---|---|---|---|---|
| 2021/03期 | 9,959億円 | — | 309億円 | 89.4円 | - |
| 2022/03期 | 1.1兆円 | — | 923億円 | 266.7円 | +13.4% |
| 2023/03期 | 1.3兆円 | — | 750億円 | 220.8円 | +17.8% |
| 2024/03期 | 1.3兆円 | 575億円 | 526億円 | 158.7円 | -1.2% |
| 2025/03期 | 1.4兆円 | 751億円 | 552億円 | 168.8円 | +3.7% |
当社の売上高は安定した推移を辿っていますが、2024年3月期以降はインクジェットプリンターやプロジェクター等の主力事業における需要の変化やコスト増の影響により、営業利益が押し下げられる局面が見られました。2025年3月期には売上高が約1兆3,629億円へと拡大し回復傾向にありますが、競合激化や原材料費の変動といった外部環境は依然として厳しい状況です。今後の業績は、成長領域への戦略的な投資とデジタル印刷ソフトウェア企業であるFiery社の買収によるシナジー効果が、利益水準の改善にどこまで寄与するかが注目されます。 【3Q 2026/03期実績】売上1.0兆円(通期予想比79%)、営業利益584億円(同93%)、純利益354億円(同86%)。
業績の推移
売上高(青)と営業利益(緑)の年度別の伸び。バーが右肩上がりなら成長中。
同業比較(収益性)
電気機器の同業他社平均と比べると…
将来どうなりそう?
公式情報・ニュース・メディアから今後を読み解く
会社の公式開示情報
役員報酬
プリンティングソリューションズ事業を核としつつ、産業用ロボットや水晶デバイス等の成長分野へ注力するポートフォリオ転換を推進しています。近年では為替変動やグローバルな需要変化を主なリスク要因として開示しており、インクジェット技術の多角化による収益安定化を図っています。
会社の計画は順調?
※ 会社が公表した計画に対する達成度の評価であり、投資についての評価・推奨ではありません
年度別の予想精度(計画を守れてる?)
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| 2022期 | 1兆700億円 | — | 1兆1,289億円 | +5.5% |
| 2023期 | 1兆3,200億円 | — | 1兆3,303億円 | +0.8% |
| 2024期 | 1兆3,600億円 | — | 1兆3,140億円 | -3.4% |
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| 2022期 | 570億円 | — | 945億円 | +65.8% |
| 2025期 | 630億円 | — | 751億円 | +19.2% |
当初予想 = 期初に会社が発表した数字 / 乖離 = 予想と実績のズレ(+なら上振れ)
2026年3月に新たな長期ビジョンと中期経営計画「Phase1」(FY26-28)を発表。最終年度である2028期に売上収益1.5兆円、事業利益1,500億円を目標に掲げ、従来のプリンター事業への依存から脱却し、商業・産業印刷などの成長領域へ舵を切る方針です。過去の業績予想は、利益面で保守的な予想から上振れする傾向が見られますが、売上高は目標に届かないケースもあり、トップラインの成長力が今後の課題と言えるでしょう。
最新ニュース
どんな話題が多い?
メディアでどれくらい注目されてる?
メディア露出
メディア分布
競合比較
この会社のストーリー
創業から現在までの歩みと、代表者の姿
出来事の年表
医療DX支援企業であるOPEReと資本業務提携を締結し、ヘルスケア領域での連携を開始しました。
米国のソフトウェアメーカーFiery社を約845億円で買収し、商業印刷事業の競争力強化を図りました。
長期ビジョンおよび中期経営計画 Phase1を発表し、成長領域へ2800億円の投資を行う方針を示しました。
社長プロフィール
安心して投資できる?
財務・透明性・株主構成・リスクを点検
財務は安全?
財務状況は非常に堅調であり、自己資本比率は55%前後と高い水準を維持しています。2024年3月期から有利子負債が1,500億円規模で発生していますが、これは戦略的なM&Aや事業投資に伴う一時的なものであり、潤沢な現預金と高い自己資本により盤石な基盤を保っています。資産構成としては、グローバルに展開する生産・販売拠点に関連する有形固定資産の割合が高い一方で、無形資産の積み上げによる将来の成長投資が進行中です。 【3Q 2026/03期】総資産1.5兆円、純資産8561億円、自己資本比率56.1%。
お金の流れは?
| 会計期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | FCF |
|---|---|---|---|---|
| 2021/03期 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| 2022/03期 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| 2023/03期 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| 2024/03期 | 1,656億円 | 590億円 | 654億円 | 1,066億円 |
| 2025/03期 | 1,381億円 | 1,508億円 | 451億円 | 127億円 |
営業活動によるキャッシュフローは概ね1,000億円から1,600億円規模で安定して創出されており、本業の稼ぐ力は強力です。一方で、2025年3月期には大型買収等の投資活動により投資CFが1,500億円規模の流出となり、フリーキャッシュフローは一時的にマイナスとなりました。今後は買収した資産からのリターンを最大化させることで、再び持続的なキャッシュ創出能力を高めるフェーズに入ります。
この会社のガバナンスは?
女性役員比率は18.2%と多様性の確保を進めており、監査等委員会設置会社として透明性の高い経営体制を構築しています。連結従業員約7.5万人を抱える巨大組織として、グローバルなガバナンスとコンプライアンスの強化を継続しています。
この会社のリスク
有価証券報告書に記載されている主なリスク要因です。投資判断の参考にしてください。
社員の給料はどのくらい?
| 期 | 平均年収 | 従業員数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 当期 | 794万円 | 75,352人 | - |
従業員平均年収は794万円と、製造業の中でも高水準を維持しています。長年の精密機器製造で培われた技術者への厚遇や、グローバル展開による収益性が安定した報酬水準を支える背景となっています。
株主リターン・投資成果
リターン・配当・市場データを確認
平均よりも稼げてる?
この会社の株を持っていた場合のリターン(青)を、日本株全体の平均(TOPIX、灰)と比較。青い線が上にあれば、平均より良い成績です。
TSR(株主総利回り)は、2021期から2025期までの5年間、継続してTOPIXを上回っており、アウトパフォームしています。これは、安定した配当と、特に2024期から2025期にかけての株価回復が大きく寄与しています。プリンター市場の成熟が懸念される中でも、安定したキャッシュ創出力と株主還元策が、市場平均を上回るトータルリターンにつながっていることを示しています。
※ 配当を含まない株価ベースのリターンです。過去の実績であり、将来のリターンを保証するものではありません。
配当・優待はもらえる?
| 期 | 1株配当 | 配当性向 |
|---|---|---|
| 2016/03期 | 60円 | 46.9% |
| 2017/03期 | 60円 | 43.9% |
| 2018/03期 | 62円 | 52.2% |
| 2019/03期 | 62円 | 40.7% |
| 2020/03期 | 62円 | 278.5% |
| 2021/03期 | 62円 | 69.4% |
| 2022/03期 | 62円 | 23.2% |
| 2023/03期 | 72円 | 32.6% |
| 2024/03期 | 74円 | 46.6% |
| 2025/03期 | 74円 | 43.9% |
株主優待制度は実施していません。
当社は株主還元を重要な経営課題と位置づけており、連結配当性向40%を目安としつつ、業績に応じた利益配分を継続しています。過去には利益変動に伴い配当性向が一時的に跳ね上がることもありましたが、近年は安定的な増配姿勢を見せています。株主優待制度は導入しておらず、配当金という直接的な形での還元に注力している点が特徴です。
もし5年前に投資していたら?
| 年度末時点 | 評価額 | 損益 | TSR |
|---|---|---|---|
| 2021期 | 159.1万円 | 59.1万円 | 59.1% |
| 2022期 | 167.9万円 | 67.9万円 | 67.9% |
| 2023期 | 177.5万円 | 77.5万円 | 77.5% |
| 2024期 | 249.2万円 | 149.2万円 | 149.2% |
| 2025期 | 233.4万円 | 133.4万円 | 133.4% |
※ 有価証券報告書記載のTSR(株主総利回り)に基づく仮定の計算です。配当再投資を含みます。将来のリターンを保証するものではありません。
株の売買状況と今後の予定
PBRは0.80倍と解散価値である1倍を割り込み、PERも業界平均に比べて低く、株価は割安圏にあると評価できます。配当利回りは3.73%と業界平均を上回り、株主還元への意識も評価できます。信用倍率は1.27倍と拮抗しており、短期的な需給の偏りは大きくありません。今後は新中期経営計画の進捗が、割安な株価指標の是正につながるかどうかの焦点となります。
税金はいくら払ってる?
| 期 | 税引前利益 | 法人税等 | 実効税率 |
|---|---|---|---|
| 2021/03期 | 449億円 | 140億円 | 31.2% |
| 2022/03期 | 972億円 | 48.7億円 | 5.0% |
| 2023/03期 | 1,038億円 | 287億円 | 27.7% |
| 2024/03期 | 701億円 | 175億円 | 24.9% |
| 2025/03期 | 784億円 | 232億円 | 29.6% |
法人税等の支払額は年度により変動しており、過去には繰延税金資産の取崩しや税効果会計の影響によって実効税率が大きく低下する年がありました。直近では税負担率が標準的な水準へ回帰する傾向にあります。将来の業績予想に基づく実効税率は約35%を見込んでおり、税務コストを含めた着実な利益確保が求められています。
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セイコーエプソン まとめ
「プリンターの巨人がインク依存から脱却し、商業・産業印刷と精密技術で未来を描く」
※ 本ページの情報は投資助言ではありません。掲載データは正確性を保証するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。