パナソニック ホールディングス
Panasonic Holdings Corporation
最終更新日: 2026年4月30日
「手を打たねばいずれ滅ぶ」──100年企業の覚悟の構造改革で、日本のモノづくりの未来を切り拓く
「物と心が共に豊かな理想の社会」の実現に向け、一人ひとりのくらしを、一つひとつ、よくしていく。
この会社ってなに?
パナソニックの製品は私たちの日常に深く根づいています。冷蔵庫・洗濯機・エアコン・ドライヤーなどの白物家電から、照明・換気扇・トイレ・キッチンなどの住宅設備、テスラをはじめとするEV向け車載電池、工場の電子部品まで、「見えないところで暮らしを支えるインフラ企業」です。スーパーやコンビニの業務用冷蔵ショーケース、空港の手荷物預けシステム、スタジアムの映像システムなど、外出先でも実はパナソニック製品に囲まれて生活しています。
パナソニック ホールディングスは、松下幸之助が1918年に創業した日本を代表する総合電機メーカーです。2022年に持株会社体制へ移行し、くらし事業(家電・空調・照明)、コネクト(現場ソリューション・ブルーヨンダー)、インダストリー(電子部品・FA)、エナジー(車載電池・産業用電池)の4事業を中核に展開。FY2025/3は売上高8兆4,582億円(前期比0.5%減)と微減収ながら、営業利益4,265億円(同18.2%増)と増益を確保し、4年連続増配(1株48円)を実現しました。一方、2025年12月には1万人規模の人員削減を含む構造改革を発表し、2026年4月には新パナソニック株式会社の発足、コネクト社への初の外国人CEO就任、住設子会社のYKKグループ移管と、過去最大規模の事業再編を断行しています。
会社概要
- 業種
- 電気機器
- 決算期
- 3月
- 本社
- 大阪府門真市大字門真1006番地
- 公式
- holdings.panasonic
社長プロフィール

パナソニックは創業から100年以上、「社会生活の改善と向上」を使命に歩んできました。しかし、過去30年間の成長停滞は事実です。私はこの現実から目を背けず、「黒字のうちに手を打つ」という覚悟で構造改革に踏み切りました。1万人の人員削減は痛みを伴う決断ですが、社員一人ひとりが競争力のある仕事に集中できる環境を整えることが、長期的に全員の雇用を守ることにつながると信じています。くらし事業とエナジー事業を成長の柱に、お客様の暮らしに本当に役立つ価値を提供し続ける会社に生まれ変わります。
この会社のストーリー
大阪市で松下幸之助が松下電気器具製作所を創業。二股ソケットから事業をスタートし、「水道哲学」のもと安価で良質な家電を大量生産する思想を確立。
テレビ・冷蔵庫・洗濯機の「三種の神器」で日本の家庭に浸透。ナショナルブランドは信頼の代名詞となり、総合家電メーカーとしての地位を確立。
グローバル展開を見据えてナショナル・パナソニックの二ブランドを「Panasonic」に統一。プラズマテレビに巨額投資するも、液晶に敗北し巨額赤字に。
技術畑出身の楠見雄規が社長CEOに就任。2022年に持株会社体制へ移行し、事業会社の自主責任経営を推進。ブルーヨンダーを約8,000億円で買収。
1万人規模の人員削減、PAS売却、住設子会社移管を矢継ぎ早に実行。「手を打たねばいずれ滅ぶ」と危機感を示し、くらし・エナジーを軸とした成長フェーズへの転換を宣言。
注目ポイント
冷蔵庫・洗濯機・エアコン・ドライヤーから住宅設備まで、日本の家庭に最も深く根づいたブランドのひとつ。製品の品質と耐久性への信頼は世代を超えて受け継がれています。
テスラ向けを中心に円筒形リチウムイオン電池で世界トップクラスのシェア。IRA補助金の追い風で高利益率を実現し、AIサーバー向け電源にも展開を開始。
楠見CEOのもと、黒字のうちに手を打つ先手改革を断行。PAS売却・住設移管・1万人削減と聖域なき事業再編で、成長分野への経営資源集中を進めています。
サービスの実績は?
ひとめ診断
配当・優待はもらえる?
| 期 | 1株配当 | 配当性向 |
|---|---|---|
| FY2016/3 | 25円 | 30.0% |
| FY2017/3 | 25円 | 38.9% |
| FY2018/3 | 30円 | 29.6% |
| FY2019/3 | 30円 | 24.6% |
| FY2020/3 | 30円 | 31.0% |
| FY2021/3 | 20円 | 28.3% |
| FY2022/3 | 30円 | 27.4% |
| FY2023/3 | 30円 | 26.4% |
| FY2024/3 | 35円 | 18.4% |
| FY2025/3 | 48円 | 30.6% |
なし
FY2025/3は1株48円と前期比37.1%の大幅増配を実施。FY2021/3の20円から4年で2.4倍に増加しました。ただしFY2026/3予想は40円と減配見込み。PAS連結除外による減益が主因で、配当性向30%程度を維持する方針に沿った水準です。現在の株価2,715円に対する予想配当利回りは約1.5%と、総合電機セクターでは平均的な水準です。構造改革の成果が出れば、再度の増配基調に戻る可能性があります。
同業比較(収益性)
電気機器の同業他社平均と比べると…
業績推移
儲かってるの?
パナソニックHDの業績は構造改革の過渡期にあります。FY2024/3はIRA補助金(米インフレ抑制法)の恩恵でエナジー事業が好調、純利益4,440億円と過去最高水準を記録。FY2025/3は売上微減ながらコスト削減効果で営業利益は18.2%増の4,265億円を確保しました。一方、FY2026/3予想は売上高7.8兆円(7.8%減)と大幅減収を見込みます。これはPAS(車載事業)の連結除外が主因で、営業利益も3,700億円(13.2%減)と減益予想。事業ポートフォリオの入替期であり、くらし事業とエナジーを柱とした新体制での成長が問われます。
事業ごとの売上・利益
家電・空調・照明・住宅設備など。2026年4月に新パナソニック(株)として再発足。白物家電は国内トップクラスだが、海外では中国メーカーとの競争が激化。
現場プロセスイノベーション事業とSCMソフトのブルーヨンダー。ブルーヨンダーの収益化が課題だが、生成AI活用による差別化を模索中。2026年4月に外国人CEOが就任。
電子部品・FA機器・電子材料。車載向け・産業機器向けの需要に依存。半導体サイクルの影響を受けやすい。
テスラ向けを中心としたEV用円筒形リチウムイオン電池と産業用電池。IRA補助金により高利益率を実現。AIサーバー向け電源にも注力し始めている。
車載インフォテインメント・ADAS関連。2024年12月にPAS株式の8割を米アポロに売却し、FY2026/3からは連結から外れる。
稼ぐ力はどのくらい?
| 期 | ROE | ROA | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 7.2% | 2.4% | - |
| FY2022/3 | 8.9% | 3.2% | - |
| FY2023/3 | 7.8% | 3.3% | - |
| FY2024/3 | 10.9% | 4.7% | 4.2% |
| FY2025/3 | 7.9% | 3.9% | 5.0% |
パナソニックHDの収益性は総合電機として標準的な水準ですが、改善基調にあります。営業利益率はFY2023/3の3.4%を底にFY2025/3は5.0%まで回復。ROEは楠見CEO就任以降、7〜9%台で推移しており、目標の10%にはまだ距離があります。FY2024/3のROE 9.4%はIRA補助金によるエナジー事業の利益押上げが主因で、構造的な改善かどうかは今後の推移を見る必要があります。構造改革による固定費削減が進めば、FY2027/3以降のマージン改善が期待されます。
財務は安全?
総資産9.3兆円の巨大なバランスシートを持ちます。自己資本比率は37.9%→50.2%と着実に改善しており、財務健全性は向上。有利子負債は約2.86兆円と高水準ですが、これはブルーヨンダー買収(2021年、約8,000億円)に伴う借入が主因。PAS売却で得たキャッシュの一部を返済に充てる見通しです。BPS(1株純資産)は2,010円とPBR 1.35倍水準で、資産価値に対してやや割安な評価と言えます。
お金の流れは?
| 期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | FCF |
|---|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| FY2022/3 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| FY2023/3 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| FY2024/3 | 8,669億円 | -5,788億円 | -835億円 | 2,881億円 |
| FY2025/3 | 7,961億円 | -8,599億円 | -1,903億円 | -638億円 |
営業CFは安定的に5,000〜8,000億円を創出しており、キャッシュ創出力は高い水準です。FY2022/3の投資CF大幅マイナスはブルーヨンダー買収(約8,000億円)が主因。FY2025/3は投資CFが-8,599億円と再び大きなマイナスとなっていますが、これはEV電池工場への設備投資が主因です。FCFはFY2025/3に-638億円とマイナス転換しましたが、大型投資の一巡後はFCF黒字化が見込まれます。
この会社のリスク
有価証券報告書に記載されている主なリスク要因です。投資判断の参考にしてください。
税金はいくら払ってる?
| 期 | 税引前利益 | 法人税等 | 実効税率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 2,608億円 | 957億円 | 36.7% |
| FY2022/3 | 3,604億円 | 1,051億円 | 29.2% |
| FY2023/3 | 3,164億円 | 509億円 | 16.1% |
| FY2024/3 | 4,252億円 | 0円 | 0.0% |
| FY2025/3 | 4,863億円 | 1,201億円 | 24.7% |
FY2026/3予想の実効税率は16.2%と低水準ですが、これはIRA補助金(米インフレ抑制法の税額控除)がエナジー事業の税負担を軽減していることが主因です。米国の北米EV電池工場で生産する電池に対する生産税額控除(45X)が大きく寄与しており、通常の法定税率(約30%)を大幅に下回っています。IRA補助金の政策変更リスクには注意が必要です。
社員の給料はどのくらい?
| 期 | 平均年収 | 従業員数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 当期 | 956万円 | 207,548人 | - |
2022年4月のホールディングス化に伴い、FY2023/3から持株会社単体の従業員約1,400名のデータに変更。HD社員は経営企画・財務等の幹部人材が中心のため平均年収は956万円と高水準。グループ全体(約23万人)の実態を示すFY2022/3の758万円も参考値として重要。
誰がこの会社の株を持ってる?
金融機関30.9%と事業法人4.9%を安定株主として分類。松下不動産(創業家関連)が1.24%を保有するものの、創業家の直接的な経営関与はなく、プロフェッショナル経営体制。外国人投資家38.8%は海外機関投資家が中心で、グローバル大型株としての高い流動性を維持。
日本マスタートラスト信託銀行が16.3%を筆頭に、日本カストディ銀行8.6%と、信託銀行経由の機関投資家保有が大半を占める典型的な大型株の株主構成です。日本生命・住友生命など生保が合計約3.7%、松下不動産(創業家関連)が1.24%を保有し、松下家の持分は象徴的な水準にとどまります。外国人比率38.8%はノルウェー政府年金基金(1.52%)をはじめ海外年金・SWFが主体。個人投資家比率22.2%は大型電機としてはやや高く、配当増配による個人マネー流入が見られます。
会社の公式開示情報
役員報酬
事業別の稼ぎ
| 事業名 | 売上 | 利益 | 利益率 |
|---|---|---|---|
| くらし事業 | 約3兆3,800億円 | 約1,279億円 | 3.8% |
| コネクト | 約1兆2,600億円 | 約772億円 | 6.1% |
| インダストリー | 約9,200億円 | 約432億円 | 4.7% |
| エナジー | 約8,285億円 | 約1,202億円 | 14.5% |
| オートモーティブ | 約8,000億円 | 約301億円 | 3.8% |
研究開発費
パナソニックHDのセグメント構成はくらし事業(売上構成比40%)とエナジー(利益構成比30%超)が二本柱です。特にエナジー事業はIRA補助金により営業利益率14.5%と突出した高収益を実現し、グループ利益の牽引役。コネクト事業はブルーヨンダーの統合効果が徐々に表れ利益率6.1%に改善。一方、PAS売却後のFY2026/3からはオートモーティブが連結対象外となり、くらし・コネクト・インダストリー・エナジーの4事業体制に移行します。
この会社のガバナンスは?
同社はガバナンス体制の強化を経営の最優先事項とし、女性役員比率16.7%を達成するなど、多様性のある意思決定プロセスを構築しています。監査体制についても指名・報酬諮問委員会を通じて透明性を担保しており、日本を代表する巨大企業として厳格なリスク管理とコンプライアンスを両立させています。
会社の計画は順調?
※ 会社が公表した計画に対する達成度の評価であり、投資についての評価・推奨ではありません
年度別の予想精度(計画を守れてる?)
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2025/3 | 8兆6,000億円 | — | 8兆4,582億円 | -1.7% |
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2025/3 | 3,800億円 | — | 4,265億円 | +12.2% |
当初予想 = 期初に会社が発表した数字 / 乖離 = 予想と実績のズレ(+なら上振れ)
楠見CEO就任以降、パナソニックHDは「計画未達の常態化」からの脱却を最重要課題に掲げています。累積営業CF目標2兆円は達成し、PAS売却・住設移管など大胆な事業ポートフォリオ再編も実行。しかしROE 10%目標は未達が続いており、東洋経済は「計画未達、前言撤回が相次ぎ迷走する経営」と厳しく評しています。FY2025/3の営業利益は期初予想3,800億円に対し4,265億円と12.2%上振れたものの、FY2026/3は事業再編の過渡期で減収減益予想。真価が問われるのはFY2027/3以降の再成長局面です。
この株を持っていたら儲かった?
この会社の株主総利回り(TSR)を、日本株全体の平均(TOPIX)と比較したグラフです。青い線が上にあるほど、平均より良い成績を出しています。
パナソニックHDのTSR(株主総利回り)は5年累積で234.5%とTOPIX(213.4%)を約21ポイント上回りました。FY2023〜FY2024にかけてはTOPIXに劣後していましたが、FY2025に構造改革期待で急回復し、逆転。配当込みベースでは投資元本が2.3倍以上になっており、近年の株価上昇と増配の恩恵が大きく表れています。
※ 配当を含まない株価ベースのリターンです。過去の実績であり、将来のリターンを保証・示唆するものではありません。
もし5年前に投資していたら?
| 年度末時点 | 評価額 | 損益 | TSR |
|---|---|---|---|
| FY2021 | 176.2万円 | +76.2万円 | 76.2% |
| FY2022 | 150.1万円 | +50.1万円 | 50.1% |
| FY2023 | 153.0万円 | +53.0万円 | 53.0% |
| FY2024 | 189.2万円 | +89.2万円 | 89.2% |
| FY2025 | 234.5万円 | +134.5万円 | 134.5% |
※ 有価証券報告書記載のTSR(株主総利回り)に基づく仮定の計算です。配当再投資を含みます。将来のリターンを保証するものではありません。
株の売買状況と今後の予定
信用倍率0.98倍と売り残が買い残をわずかに上回る珍しい状況で、株価上昇に伴う空売り増加を反映。PER 20.4倍は電気機器セクター平均(18.5倍)をやや上回り、構造改革による将来の利益成長を織り込みつつあります。PBR 1.35倍はBPS 2,010円に対して妥当な水準。次回決算(FY2026/3本決算)は2026年5月上旬に発表予定で、構造改革費用の計上と来期見通しが焦点です。
メディアでどれくらい注目されてる?
メディア露出
メディア分布
競合比較
どんな話題が多い?
最近の出来事
くらし事業を主体とする新パナソニック株式会社が発足。同時にパナソニック HVAC&CC株式会社が発足、コネクト社にはグループ初の外国人CEOが就任。グローバル経営体制への転換を加速。
パナソニック ハウジングソリューションズをYKKグループへ移管。かつての成長事業だったが、グループ内でのシナジー限界と判断し、切り離しを決断。
楠見CEO主導で1万人規模の人員削減と低収益事業の整理を含む構造改革を発表。「手を打たねばいずれ滅ぶ」と危機感を示し、黒字下での先手改革を断行。
FY2025/3通期決算を発表。売上高8兆4,582億円(前期比0.5%減)、営業利益4,265億円(同18.2%増)。コスト削減効果が表れ営業増益を確保。配当は1株48円へ増配。
車載事業子会社パナソニック オートモーティブシステムズ(PAS)の発行済み株式の8割を米アポロに売却。選択と集中を進め、エナジー事業に経営資源を集中。
最新ニュース
パナソニック ホールディングス まとめ
ひとめ診断
「総合家電の巨人──構造改革と事業再編で『選択と集中』を断行、エナジー・くらし事業を軸に成長フェーズへの転換を目指す」
※ 本ページの情報は投資助言ではありません。掲載データは正確性を保証するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。
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