ルネサスエレクトロニクス
Renesas Electronics Corporation
最終更新日: 2026年4月30日
車載マイコン世界首位級の技術力を武器に、M&Aで半導体の枠を超えたソリューション企業への変革を推進
半導体とソフトウェアの融合により、あらゆるモノに知能を吹き込み、持続可能な社会の実現に貢献する
この会社ってなに?
ルネサスの半導体は、自動車のエンジン制御・ADAS(先進運転支援システム)・エアコン・メーターなどに組み込まれており、日本車を中心に世界中の自動車に搭載されています。家電のモーター制御、工場の産業ロボット、スマートメーターなどIoT機器にも幅広く使われ、私たちの生活を見えないところで支えています。最近はAltium買収によりプリント基板設計ツールも提供し、電子機器の設計から製造まで一気通貫で支援する体制を構築しつつあります。
ルネサスエレクトロニクスは、NEC・日立・三菱電機の半導体部門が統合して誕生した日本最大級の半導体メーカーです。車載マイコンで世界トップクラスのシェアを持ち、自動車の電子制御に欠かせない存在です。2019年のCEO柴田英利氏就任以降、IDT(約7,300億円)、Dialog(約6,400億円)、Altium(約9,000億円)と矢継ぎ早にM&Aを断行し、アナログ・パワー半導体やプリント基板設計ソフトまでポートフォリオを拡大。FY2022/12・FY2023/12には営業利益率26〜28%の高収益を実現しましたが、FY2025/12は半導体サイクルの下降局面とM&A関連の減損費用により最終赤字517億円に転落。巨額買収で積み上がった有利子負債1.6兆円の返済と、買収企業の統合(PMI)の成否が今後の焦点です。
会社概要
- 業種
- 電気機器
- 決算期
- 12月
- 本社
- 東京都江東区豊洲三丁目2番24号(豊洲フォレシア)
- 公式
- www.renesas.com
社長プロフィール

私たちは半導体という技術を通じて、自動車・産業・IoTの各分野でイノベーションを加速し、より安全で便利な社会の実現を目指します。IDT、Dialog、Altiumの統合により、ハードウェアからソフトウェアまで一気通貫のソリューションを提供できる唯一の半導体企業となりました。短期的な業績の浮き沈みはありますが、長期的な競争優位の構築に向けた投資は着実に実を結んでいます。
この会社のストーリー
日立製作所とNEC(のちに三菱電機も参画)の半導体部門が統合し、ルネサステクノロジが誕生。日本半導体産業再編の象徴的な出来事でした。
ルネサステクノロジとNECエレクトロニクスが統合し現在の社名に。車載マイコンで世界トップシェアを持つ一方、業績低迷と巨額赤字に苦しむ時代が続きました。
経営危機を受け、官民ファンドの産業革新機構(現INCJ)が約1,500億円を出資して筆頭株主に。大規模なリストラと工場閉鎖を断行し、構造改革を進めました。
元日本電産・元ルネサスCFOの柴田英利氏がCEOに就任。IDT(約7,300億円)を皮切りに、攻めのM&A戦略を展開し、企業文化を「守り」から「攻め」へ転換しました。
Dialog買収のシナジーが本格化し、営業利益率28.3%・ROE 16.7%を記録。かつて経営危機に陥った企業が高収益の優良企業に生まれ変わった瞬間でした。
プリント基板設計ソフト大手Altiumを約9,000億円で買収。半導体とソフトウェアの融合による「Renesas 365」プラットフォーム構想を発表。しかし半導体サイクル下降と減損費用で2025年12月期は赤字に転落し、新たな試練に直面しています。
注目ポイント
世界中の自動車に搭載される車載マイコンで圧倒的なシェアを持ちます。EV化・ADAS普及により1台あたりの半導体搭載量は増加傾向にあり、ルネサスの成長機会は長期的に拡大しています。
IDT・Dialog・Altiumの3件(総額約2.3兆円)の大型買収により、マイコン単体メーカーからアナログ・パワー・ソフトウェアまで幅広い製品を提供する総合半導体ソリューション企業に進化しました。
2013年の経営危機と官民ファンドの救済から、わずか10年でNon-GAAP営業利益率27%超の高収益企業に生まれ変わりました。日本の半導体産業における最大の復活劇として知られています。
サービスの実績は?
ひとめ診断
配当・優待はもらえる?
| 期 | 1株配当 | 配当性向 |
|---|---|---|
| FY2016/3 | 0円 | 0.0% |
| FY2017/3 | 0円 | 0.0% |
| FY2018/3 | 0円 | 0.0% |
| FY2019/3 | 0円 | 0.0% |
| FY2020/3 | 0円 | 0.0% |
| FY2021/3 | 0円 | 0.0% |
| FY2022/3 | 0円 | 0.0% |
| FY2023/3 | 28円 | 14.8% |
| FY2024/3 | 28円 | 22.9% |
| FY2025/3 | 28円 | - |
なし
ルネサスは2023年に初配当(年28円)を実施し、復配を果たしました。FY2023/12〜FY2025/12まで3期連続で年28円の安定配当を維持しています。FY2025/12は最終赤字にもかかわらず配当を維持したことで、株主還元への姿勢を示しました。配当利回りは約1.2%と低水準ですが、これは成長投資(M&A・設備投資)を優先する方針のためです。FY2026/12の配当予想は現時点で非開示。株主優待制度はありません。
同業比較(収益性)
電気機器の同業他社平均と比べると…
業績推移
儲かってるの?
ルネサスの業績は半導体サイクルとM&A戦略の影響が色濃く反映されています。FY2022/12にはIDT・Dialog買収のシナジーが本格化し、売上収益1.5兆円・営業利益率28.3%の過去最高を記録。しかしFY2024/12以降はサイクル下降局面に入り減収減益が続いています。FY2025/12は営業利益2,012億円(営業利益率15.2%)を確保したものの、Altium買収関連の減損費用等により最終損益が517億円の赤字に転落しました。FY2026/12 Q1予想ではNon-GAAP営業利益率32.0%と回復を見込んでいますが、通期予想は非開示です。
事業ごとの売上・利益
車載マイコン・SoC・パワー半導体。エンジン制御、ADAS、EV向けインバーターなど自動車の電子制御に不可欠な製品群。世界トップクラスの車載マイコンシェアが強み
FA(ファクトリーオートメーション)、再生可能エネルギー、スマートホーム、医療機器向け半導体。IDT・Dialog買収で製品ラインを大幅拡充
2024年6月買収のAltium(プリント基板設計ソフト)。クラウドベースの「Renesas 365」プラットフォーム構想の中核。買収初年度のためフル貢献はこれから
稼ぐ力はどのくらい?
| 期 | ROE | ROA | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 7.4% | 2.8% | - |
| FY2022/3 | 13.5% | 4.9% | - |
| FY2023/3 | 19.1% | 9.1% | - |
| FY2024/3 | 19.1% | 10.6% | 26.6% |
| FY2025/3 | 9.7% | 4.9% | 16.5% |
ルネサスの収益性は半導体サイクルとM&A効果に強く連動しています。FY2022/12にはIDT・Dialogの統合効果で営業利益率28.3%・ROE 16.7%と収益性のピークを記録。しかしFY2024/12以降は車載・産業向けの需要減速により利益率が低下し、FY2025/12は営業利益率15.2%に縮小。最終赤字によりROEは-2.1%に転落しました。Non-GAAPベースでは依然として高い利益率(Non-GAAP営業利益率27.1%)を維持しており、GAAP上の減損費用が収益性指標を押し下げている構造です。
財務は安全?
FY2024/12に総資産が3.2兆円から4.5兆円へ急増したのは、Altium買収(約9,000億円)に伴うのれん・無形資産の計上が主因です。この買収資金は主に有利子負債で賄われ、FY2025/12時点の有利子負債残高は1.6兆円に達しています。一方、自己資本比率は58.5%と健全な水準を維持。FY2025/12に純資産が減少(BPS 1,413.8円→1,347.3円)しているのは最終赤字と自社株買いの影響です。のれんの減損リスクが財務上の最大の潜在リスクとして注視されています。
お金の流れは?
| 期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | FCF |
|---|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| FY2022/3 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| FY2023/3 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| FY2024/3 | 4,966億円 | -2,675億円 | -1,812億円 | 2,291億円 |
| FY2025/3 | 3,405億円 | -1.3兆円 | 6,773億円 | -9,436億円 |
営業キャッシュフローは毎期3,000〜5,000億円規模で安定的に創出されており、半導体事業の高いキャッシュ創出力を示しています。FY2021/12とFY2024/12に投資CFが大幅マイナスとなっているのは、それぞれDialog買収(約6,400億円)とAltium買収(約9,000億円)によるもの。FY2024/12は買収資金調達のため財務CFが+6,773億円と大幅プラスに。FY2025/12には買収一巡でFCFが3,282億円と大幅黒字に転換し、有利子負債の返済原資を確保しています。
この会社のリスク
有価証券報告書に記載されている主なリスク要因です。投資判断の参考にしてください。
税金はいくら払ってる?
| 期 | 税引前利益 | 法人税等 | 実効税率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 652億円 | 196億円 | 30.0% |
| FY2022/3 | 1,427億円 | 232億円 | 16.2% |
| FY2023/3 | 3,623億円 | 1,057億円 | 29.2% |
| FY2024/3 | 4,222億円 | 851億円 | 20.2% |
| FY2025/3 | 2,638億円 | 447億円 | 17.0% |
FY2024/12の推定税引前利益は約2,750億円で、実効税率は約20.3%と法定税率(約30%)を下回っています。これは海外子会社の利益が税率の低い国で計上されていることや、繰延税金資産の影響によるものです。FY2025/12は営業利益2,012億円を確保したものの、M&A関連の減損損失等の非営業費用により税引前損益は赤字に。赤字にもかかわらず税金費用が発生しているのは、海外子会社での課税所得が存在するためです。
社員の給料はどのくらい?
| 期 | 平均年収 | 従業員数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 当期 | 810万円 | 22,711人 | - |
FY2024/12に平均年収が809万円に低下したのは、業績連動賞与の減少が主因。平均年齢48.5歳と高めなのは旧日立・三菱電機・NECからの転籍社員が中核を占めるため。単体約6,500名、連結では約2万名のグローバル半導体企業。
誰がこの会社の株を持ってる?
金融機関21.6%と事業法人10.2%(トヨタ自動車4.17%・デンソー4.17%を含む)を安定株主として分類。外国人投資家比率57.8%は海外機関投資家中心で、グローバル半導体企業としての高い流動性を確保。CEO・創業家の個人保有は存在せず、プロフェッショナル経営体制です。
日本マスタートラスト信託銀行が14.4%を筆頭に、機関投資家による保有が大半を占める典型的な大型グローバル株の株主構成です。外国人保有比率57.8%は日本の半導体企業の中でも高い水準で、海外機関投資家の注目度の高さを示しています。トヨタ自動車とデンソーが各4.17%を保有し、車載半導体ビジネスにおける戦略的パートナーとしての関係を反映。GIC(シンガポール政府投資公社)が2.69%を保有するなど、ソブリンファンドからの投資も入っています。
会社の公式開示情報
役員報酬
事業別の稼ぎ
| 事業名 | 売上 | 利益 | 利益率 |
|---|---|---|---|
| 車載半導体事業 | 約6,600億円 | 約1,200億円 | 18.2% |
| 産業・インフラ・IoT事業 | 約6,300億円 | 約1,000億円 | 15.9% |
| ソフトウェア・プラットフォーム | 約300億円 | 非開示 | - |
研究開発費
ルネサスは車載半導体と産業・IoT向け半導体の2本柱で事業を展開し、売上構成はほぼ半々です。車載事業では世界首位級のマイコンシェアを武器に、EV化・ADAS普及による半導体搭載量の増加を取り込む戦略。産業・IoT事業ではIDT・Dialog買収で獲得したアナログ・パワー・ミックスドシグナル製品を成長ドライバーに据えています。2024年のAltium買収によりソフトウェア・プラットフォーム事業が新たに加わり、ハードとソフトの融合による差別化を目指しています。R&D投資は売上高の約16%と高水準で、技術革新への積極投資を続けています。
この会社のガバナンスは?
女性役員比率は33.3%と高水準で、グローバル基準に即した多様性を確保しています。監査報酬は約2.5億円と適正水準を維持。平均勤続年数23.4年は旧日立・三菱電機・NEC出身者が多いことを反映しており、高い技術蓄積と人材定着が強みです。設備投資は900億円規模で車載・産業向け先端製造設備の増強を継続しています。
会社の計画は順調?
※ 会社が公表した計画に対する達成度の評価であり、投資についての評価・推奨ではありません
年度別の予想精度(計画を守れてる?)
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2024/12 | 1兆4,900億円 | — | 1兆3,485億円 | -9.5% |
| FY2025/12 | 非開示 | — | 1兆3,212億円 | - |
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2024/12 | 3,200億円 | — | 2,230億円 | -30.3% |
| FY2025/12 | 非開示 | — | 2,012億円 | - |
当初予想 = 期初に会社が発表した数字 / 乖離 = 予想と実績のズレ(+なら上振れ)
柴田CEOは正式な中期経営計画を開示せず、M&Aを軸とした長期成長戦略を掲げています。IDT(2019年)、Dialog(2021年)、Altium(2024年)の3件の大型買収により、マイコン中心のポートフォリオからアナログ・パワー・ソフトウェアまで事業領域を大幅に拡大。Non-GAAP営業利益率30%超の目標に対し、FY2022/12〜FY2023/12には達成に近づきましたが、サイクル下降で後退。2024年発表の「Renesas 365」プラットフォーム構想はまだ開発初期段階であり、収益貢献は今後の課題です。
この株を持っていたら儲かった?
この会社の株主総利回り(TSR)を、日本株全体の平均(TOPIX)と比較したグラフです。青い線が上にあるほど、平均より良い成績を出しています。
過去5年間のTSR(株主総利回り)は280.3%とTOPIX(182.5%)を大幅にアウトパフォームしています。FY2024にはM&A戦略への期待から+186ポイントの急騰を記録しましたが、FY2025は半導体サイクル下降と赤字転落により-63ポイントの反落。それでもTOPIXを約100ポイント上回る水準を維持しており、長期投資家に対しては十分なリターンを提供しています。今後はサイクル回復のタイミングとM&A統合の進捗がTSR改善の鍵となります。
※ 配当を含まない株価ベースのリターンです。過去の実績であり、将来のリターンを保証・示唆するものではありません。
もし5年前に投資していたら?
| 年度末時点 | 評価額 | 損益 | TSR |
|---|---|---|---|
| FY2021 | 143.9万円 | +43.9万円 | 43.9% |
| FY2022 | 189.7万円 | +89.7万円 | 89.7% |
| FY2023 | 157.8万円 | +57.8万円 | 57.8% |
| FY2024 | 343.6万円 | +243.6万円 | 243.6% |
| FY2025 | 280.3万円 | +180.3万円 | 180.3% |
※ 有価証券報告書記載のTSR(株主総利回り)に基づく仮定の計算です。配当再投資を含みます。将来のリターンを保証するものではありません。
株の売買状況と今後の予定
PERは19.3倍(直近12ヶ月の赤字により正式なPERは算出不可、会社予想Non-GAAPベースでの参考値)で、電気機器セクター平均(27.4倍)を下回る水準です。PBRは1.69倍とセクター平均並み。配当利回り1.23%はセクター平均(1.5%)をやや下回り、成長投資優先の姿勢を反映しています。信用倍率6.08倍は買い残優勢で、半導体サイクル回復への期待買いが根強い一方、短期的な需給面での重さも意識されます。
メディアでどれくらい注目されてる?
メディア露出
メディア分布
競合比較
どんな話題が多い?
最近の出来事
リョーサン菱洋HDに対し特約店契約の終了を申し入れ。販売チャネルの再編を進め、直販比率の向上とコスト構造の最適化を図る動き。
FY2025/12通期決算を発表。売上収益1兆3,212億円(前期比2.0%減)、営業利益2,012億円(同9.8%減)、最終損益は517億円の赤字(前期は2,191億円の黒字)。M&A関連の減損費用が重く、赤字転落。
FY2026/12 Q1予想を発表。Non-GAAP売上収益3,675〜3,825億円、売上総利益率58.5%、営業利益率32.0%と前年同期比で回復を見込む。通期予想は非開示。
FY2025/12上期決算を発表。連続M&Aの重荷で業績停滞が鮮明に。東洋経済が「成長戦略の息切れ」と報じるなど、M&A路線への懐疑的な見方が広がる。
豪プリント基板設計ソフト大手Altiumの買収を約9,000億円で完了。半導体とソフトウェアの融合による「Renesas 365」プラットフォーム構想を発表。過去最大のM&A。
最新ニュース
ルネサスエレクトロニクス まとめ
ひとめ診断
「車載マイコン世界首位級──M&A攻勢でアナログ・組込みソフトを統合し、半導体ソリューション企業への進化を目指すも、巨額買収の消化に苦戦」
※ 本ページの情報は投資助言ではありません。掲載データは正確性を保証するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。
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