日本精工
NSK Ltd.
最終更新日: 2026年4月7日
日本初のベアリングから108年、世界の「動き」を支える精密部品の巨人
あたらしい動きをつくる——モーション&コントロール技術で社会の変革に貢献する
この会社ってなに?
自動車のハンドルを切る時、エアコンのファンが回る時、電車が走る時——すべての「回転」や「直線運動」にベアリングが使われています。NSKの製品は目に見えないけれど、あなたの生活のあらゆる「動き」を静かに支えている縁の下の力持ちです。
日本精工(NSK)は1916年に日本初のベアリング(軸受)を製造して以来、100年以上にわたり「動き」を支える精密部品メーカーです。産業機械向けベアリング・精機製品と自動車向けベアリング・ステアリングの二事業を柱に、世界30カ国以上で事業を展開。FY2025/3期は売上高7,967億円・営業利益285億円を計上し、FY2026/3期は売上高9,000億円・営業利益370億円と大幅増益を見込んでいます。ステアリング子会社の完全子会社化で連結売上が拡大するほか、米国での追加投資(50億円規模)や英国拠点の構造改革など、グローバル事業の最適化を加速中です。
会社概要
- 業種
- 機械
- 決算期
- 3月
- 本社
- 東京都品川区大崎1-6-3 日精ビル
- 公式
- www.nsk.com
社長プロフィール
NSKは『あたらしい動きをつくる。』をブランドメッセージに掲げ、自動車の電動化や産業のDX、ロボティクスなど、社会の変化に応える新しい価値を創造し続けます。100年を超える技術の蓄積を土台に、次の100年へ向けた変革に挑みます。
この会社のストーリー
山口武彦らが日本精工を設立。日本初の国産ベアリングを製造し、輸入品に依存していた日本の機械産業の自立に貢献
高度経済成長期にモータリゼーションの波に乗り、自動車向けベアリング・ステアリングの供給を急拡大。国内シェア首位に
北米・欧州・アジアに製造拠点を設立。世界30カ国以上に事業網を構築し、グローバルベアリングメーカーとしての地位を確立
自動車需要の拡大と円安を追い風に業績・株価ともに絶頂期を迎えるも、その後は長期低迷に
ステアリング子会社の完全子会社化、英国工場撤退、米国投資強化、人事制度改革など、抜本的な変革に着手。新中計を策定中
注目ポイント
1916年に日本初のベアリングを製造して以来108年。自動車・産業機械・家電・鉄道・風力発電など、あらゆる「回転運動」に不可欠な精密部品で世界トップクラスのシェアを誇ります
世界30カ国以上に製造・販売拠点を展開。米国への50億円追加投資、英国の構造改革など、地政学リスクに対応したグローバル生産体制の最適化を推進中
減益局面でも配当を維持・増額し、4期連続の増配を実現。利回り3.03%はPBR0.84倍の割安評価と相まって、バリュー投資の対象としても注目されています
サービスの実績は?
ひとめ診断
配当・優待はもらえる?
| 期 | 1株配当 | 配当性向 |
|---|---|---|
| FY2016/3 | 34円 | 28.0% |
| FY2017/3 | 38円 | 44.1% |
| FY2018/3 | 40円 | 30.5% |
| FY2019/3 | 40円 | 37.2% |
| FY2020/3 | 30円 | 88.2% |
| FY2021/3 | 20円 | 2898.6% |
| FY2022/3 | 25円 | 77.3% |
| FY2023/3 | 30円 | 83.6% |
| FY2024/3 | 30円 | 173.7% |
| FY2025/3 | 34円 | 156.1% |
株主優待制度はありません
4期連続増配で20円→34円に。配当性向はFY2023/3以降80〜170%超と利益を上回る配当を実施しており、減益局面でも株主還元を重視する姿勢が鮮明です。利回り3.03%は機械セクターの中では比較的高水準。ただし持続性の観点では、業績回復による配当性向の正常化が課題です。株主優待は実施していません。
同業比較(収益性)
機械の同業他社平均と比べると…
業績推移
儲かってるの?
FY2021/3はコロナ禍で営業利益64億円・純利益わずか3.6億円まで落ち込みましたが、FY2022/3〜FY2023/3は自動車生産の回復と円安で急回復。FY2024/3はIFRS移行に伴うステアリング事業の連結除外で減収となりましたが、FY2026/3は同事業の完全子会社化で再連結され、売上9,000億円・営業利益370億円と大幅増益を見込みます。
事業ごとの売上・利益
工作機械・半導体製造装置・風力発電向けベアリング、ボールねじ・リニアガイド等の精機製品。半導体・ロボット需要の回復で成長
ハブユニット・トランスミッション用軸受・電動パワーステアリング等。ステアリング子会社の完全子会社化でFY2026/3から売上大幅増
鋼球・ローラー等の素形材事業、情報システム関連など
稼ぐ力はどのくらい?
| 期 | ROE | ROA | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 6.2% | 0.5% | - |
| FY2022/3 | 12.2% | 2.4% | - |
| FY2023/3 | 16.3% | 3.5% | - |
| FY2024/3 | 19.2% | 2.0% | 7.1% |
| FY2025/3 | 8.7% | 2.1% | 0.4% |
ROEは1〜3%と機械業界平均(約8%)を大幅に下回り、資本効率に課題があります。営業利益率も3.5%前後と低水準で推移。FY2021/3はコロナの影響で営業利益率0.9%まで落ち込みました。PBR0.84倍と1倍を割り込んでおり、資本コストを上回るリターンの実現が東証の要請を受けた経営課題となっています。
財務は安全?
自己資本比率は47〜53%で安定推移。BPSは1,333円で、PBR0.84倍は解散価値を下回る水準です。総資産1.2兆円規模の大企業で、自動車・産業機械向けに大規模な設備投資(年間565億円)を行いながらも財務健全性を維持。有利子負債はEDINET開示データ上は0表示ですが、実際にはIFRSベースでリース負債等を計上しています。
お金の流れは?
| 期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | FCF |
|---|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| FY2022/3 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| FY2023/3 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| FY2024/3 | 998億円 | -908億円 | -248億円 | 90.0億円 |
| FY2025/3 | 822億円 | -588億円 | -337億円 | 234億円 |
営業CFは年間230〜1,000億円と安定して黒字を確保。FY2024/3は998億円の高水準で、投資CF908億円を営業CFで十分にカバー。FY2025/3もFCF234億円とプラスを確保。設備投資は年間500〜900億円規模と大きいものの、装置産業としてのキャッシュ創出力は健全です。
この会社のリスク
有価証券報告書に記載されている主なリスク要因です。投資判断の参考にしてください。
税金はいくら払ってる?
| 期 | 税引前利益 | 法人税等 | 実効税率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 153億円 | 94.4億円 | 61.6% |
| FY2022/3 | 268億円 | 0円 | 0.0% |
| FY2023/3 | 527億円 | 94.4億円 | 17.9% |
| FY2024/3 | 396億円 | 134億円 | 33.8% |
| FY2025/3 | 340億円 | 88.8億円 | 26.1% |
FY2026/3予想の実効税率68.2%は異常に高く見えますが、ステアリング子会社の完全子会社化に伴う一時的な税務影響や、海外子会社の税率差異が反映されています。通常の実効税率は30〜35%程度で推移すると見込まれます。
社員の給料はどのくらい?
| 期 | 平均年収 | 従業員数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 当期 | 764万円 | 24,057人 | - |
平均年収764万円は機械業界の中でやや高い水準。連結従業員24,057名、臨時従業員2,847名を含めると約2.7万人規模のグローバル企業です。平均年齢41.9歳、平均勤続年数16.7年と長期雇用が定着。2025年に25年ぶりの人事制度改革を実施し、ポスト・等級制度を柔軟化しました。
誰がこの会社の株を持ってる?
生保3社(明治安田・富国・日本生命)で計14.5%、みずほ銀行2.75%、事業法人4.6%、持株会(取引先+社員)4.1%で安定株主52.6%
筆頭株主は日本マスタートラスト信託銀行(16.2%)で年金基金・投信の受託分。実質的な安定株主は明治安田生命(5.6%)・富国生命(4.5%)・日本生命(4.4%)の生保3社で計14.5%、みずほ銀行(2.8%)、取引先持株会(2.2%)、社員持株会(1.9%)が安定保有。外国人投資家19.3%は海外機関投資家が中心で、創業家の個人保有は見られません。伝統的な日本型株主構成の典型例です。
会社の公式開示情報
役員報酬
事業別の稼ぎ
| 事業名 | 売上 | 利益 | 利益率 |
|---|---|---|---|
| 産業機械事業 | 約3,200億円 | 約170億円 | 約5.3% |
| 自動車事業 | 約4,700億円 | 約170億円 | 約3.6% |
| その他 | 約100億円 | 約5億円 | 約5.0% |
売上の約60%が自動車事業で、ステアリング子会社の再連結によりFY2026/3からさらに比率が上昇。産業機械事業は利益率5.3%と相対的に高く、半導体装置・ロボット向けの高付加価値製品が牽引。全体として利益率3.6%は競合を大きく下回っており、製品ミックスの改善と価格転嫁の強化が最重要課題です。
この会社のガバナンスは?
取締役13名中、女性1名(7.7%)とダイバーシティは課題。設備投資565億円は産業機械・自動車向け製造設備の更新と増強に充当。監査報酬2.48億円は連結規模に見合った水準です。2025年に25年ぶりの人事制度改革を実施し、ジョブ型的な要素を導入しています。
会社の計画は順調?
※ 会社が公表した計画に対する達成度の評価であり、投資についての評価・推奨ではありません
年度別の予想精度(計画を守れてる?)
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2026/3 | 300億円 | 370億円 | 未発表 | - |
| FY2025/3 | 260億円 | 285億円 | 285億円 | 0.0% |
当初予想 = 期初に会社が発表した数字 / 乖離 = 予想と実績のズレ(+なら上振れ)
現行の中期経営計画は期間満了を迎え、2026年5月に新中計を発表予定。ROE1.6%・営業利益率3.6%は東証が求める「資本コスト・株価を意識した経営」の水準に達しておらず、PBR1倍回復に向けた具体策が市場の最大関心事です。FY2026/3の業績予想は2度の上方修正で信頼性は改善しています。
この株を持っていたら儲かった?
この会社の株主総利回り(TSR)を、日本株全体の平均(TOPIX)と比較したグラフです。青い線が上にあるほど、平均より良い成績を出しています。
5年間のTSRは+12%(配当込み)と、TOPIXの+113%を大幅に下回ります。FY2021に166%まで上昇した後は下落基調で、FY2025は+12%にとどまっています。低ROE・低利益率が株価のディスカウント要因となっており、構造改革による収益力改善が株価回復の必要条件です。
※ 配当を含まない株価ベースのリターンです。過去の実績であり、将来のリターンを保証・示唆するものではありません。
もし5年前に投資していたら?
| 年度末時点 | 評価額 | 損益 | TSR |
|---|---|---|---|
| FY2021 | 166.4万円 | +66.4万円 | 66.4% |
| FY2022 | 112.5万円 | +12.5万円 | 12.5% |
| FY2023 | 119.7万円 | +19.7万円 | 19.7% |
| FY2024 | 142.5万円 | +42.5万円 | 42.5% |
| FY2025 | 112.0万円 | +12.0万円 | 12.0% |
※ 有価証券報告書記載のTSR(株主総利回り)に基づく仮定の計算です。配当再投資を含みます。将来のリターンを保証するものではありません。
株の売買状況と今後の予定
PER78.3倍は一時的な減益により異常に高く見えますが、FY2026/3の予想EPS40.9円ベースでは約27倍と改善見込み。PBR0.84倍は1倍割れで、純資産(BPS 1,333円)に対し株価がディスカウントされている状態。信用倍率6.88倍と買い残が優勢で、業績回復への期待が反映されています。
メディアでどれくらい注目されてる?
メディア露出
メディア分布
競合比較
どんな話題が多い?
最近の出来事
英国ニューアーク・オン・トレント地区からの生産撤退計画を発表。欧州事業の構造改革として労組と協議開始
FY2026/3 Q3決算発表。累計純利益135億円(前年同期比3.4倍)に急増。通期最終利益予想を25%上方修正
米国工場に50億円規模の追加投資を決定。関税影響を見据えた現地生産体制の強化
FY2026/3通期予想を一転増益に上方修正。営業利益300億→370億円へ。ステアリング子会社の完全子会社化が寄与
25年ぶりの人事制度改定を実施。課長クラスでも部長ポストに就ける柔軟な等級制度に刷新
最新ニュース
日本精工 まとめ
ひとめ診断
ベアリング国内首位・世界第3位。産業機械と自動車向けの二本柱で世界30カ国超に展開
※ 本ページの情報は投資助言ではありません。掲載データは正確性を保証するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。
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