グローリー
GLORY LTD.
最終更新日: 2026年4月7日
お金を「数える」技術で世界を制した姫路発のグローバルニッチトップ
通貨処理機を超えた「リテールテックカンパニー」として、100ヶ国超のグローバルネットワークで世界の小売・金融の効率化を支える
この会社ってなに?
スーパーのセルフレジ、銀行のATM横にある紙幣計数機、コンビニの自動釣銭機——これらを作っているのがグローリーです。2024年に発行された新しいお札に対応する機器の入れ替えでも大きな存在感を示しました。お金を扱う「当たり前」の裏側を支えるインフラ企業です。
グローリーは1918年創業の通貨処理機メーカーで、紙幣・硬貨の計数・選別・包装機、自動釣銭機、セルフレジなどを手がけます。国内の金融機関向け紙幣整理機でトップシェアを誇り、流通小売向けの自動釣銭機やセルフレジでも高いシェアを持ちます。海外ではヨーロッパ・北米を中心に流通・小売業向けの通貨処理ソリューションを展開し、売上の約3割を海外が占めます。FY2024/3期は日本の新紙幣発行に伴う特需で売上3,725億円・営業利益513億円と過去最高を記録しましたが、FY2025/3期はその反動で減収減益に転じ、FY2026/3期予想は売上3,400億円・営業利益215億円と正常化が進む見通しです。「2026中期経営計画」では海外事業の拡大と顔認証・データ連携などDX新事業の育成を柱に据え、通貨処理機メーカーからの脱却を目指しています。
会社概要
- 業種
- 機械
- 決算期
- 3月
- 公式
- www.glory.co.jp
社長プロフィール
通貨処理機メーカーから「リテールテックカンパニー」へ。お金を扱う技術を核に、顔認証やデータ連携で小売業のDXを支援し、新たな価値を創造していきます。
この会社のストーリー
兵庫県姫路市で硬貨計数機の製造を開始。「お金を正確に数える」技術で銀行業務を革新
日本銀行向けに紙幣計数・選別機を納入。金融機関向け通貨処理機のトップメーカーへ成長
欧州市場に参入。その後北米・アジアへと展開し、通貨処理機の世界シェア首位を獲得
流通・小売向け業務ソフト開発の英フルイド・トプコを約307億円で買収。DXソリューション事業を強化
20年ぶりの新紙幣発行で過去最高益を達成。原田明浩新社長のもとリテールテック企業への変革を推進
注目ポイント
紙幣・硬貨の計数・選別・包装機で世界No.1。100ヶ国以上で採用され、銀行やスーパーのお金の流れを支えるグローバルニッチトップ企業です
コンビニやスーパーのレジに欠かせない自動釣銭機で国内トップシェア。新紙幣対応で一気に入替え需要を獲得しました
顔認証、データコネクティング、遠隔接客など新事業を育成中。「お金を数える会社」から「リテールテックカンパニー」への変革を進めています
サービスの実績は?
ひとめ診断
配当・優待はもらえる?
| 期 | 1株配当 | 配当性向 |
|---|---|---|
| FY2016/3 | 56円 | 41.7% |
| FY2017/3 | 60円 | 37.4% |
| FY2018/3 | 82円 | 52.6% |
| FY2019/3 | 64円 | 32.2% |
| FY2020/3 | 66円 | 44.5% |
| FY2021/3 | 66円 | 69.9% |
| FY2022/3 | 68円 | 63.2% |
| FY2023/3 | 68円 | 0.4% |
| FY2024/3 | 106円 | 19.9% |
| FY2025/3 | 108円 | 37.5% |
なし
4期連続増配中で、FY2021/3の66円からFY2025/3は108円へと1.6倍に増加。FY2023/3期は赤字にもかかわらず68円を維持しており、減配をしない姿勢が明確です。配当性向は中計で40%以上を目標としており、FY2026/3期は112円(予想)で5期連続増配の見通し。利回り約2.7%は機械セクターでは高めの水準です。
同業比較(収益性)
機械の同業他社平均と比べると…
業績推移
儲かってるの?
FY2024/3期に新紙幣発行特需で売上3,725億円・営業利益513億円と過去最高を記録しましたが、FY2025/3期以降は反動減が続いています。FY2023/3期の赤字は英フルイド・トプコ買収(約307億円)に伴うのれん減損が主因。FY2026/3期は正常化途上の過渡期で、海外事業の回復と新事業の立ち上がりが焦点です。
事業ごとの売上・利益
銀行・信用金庫向けの紙幣整理機、硬貨包装機、出納システム。新紙幣対応の入替え需要が一巡し正常化
スーパー・コンビニ向け自動釣銭機、セルフレジ、券売機。省人化ニーズが追い風
欧米・アジアの流通小売・金融機関向け通貨処理ソリューション。フルイド・トプコのソフト事業を含む
パチンコホール向け台間玉貸機、メダル計数機。市場縮小傾向も高利益率を維持
顔認証システム、データコネクティングサービスなどDX新事業。成長フェーズ
稼ぐ力はどのくらい?
| 期 | ROE | ROA | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 5.4% | 1.7% | - |
| FY2022/3 | 5.3% | 1.8% | - |
| FY2023/3 | -0.2% | -2.5% | - |
| FY2024/3 | 19.7% | 6.3% | 13.7% |
| FY2025/3 | 11.1% | 3.6% | 9.5% |
FY2024/3期は新紙幣特需で営業利益率13.8%・ROE13.0%と飛躍的に改善しましたが、FY2025/3期は反動で低下。FY2023/3期の赤字(ROE -4.9%)は英フルイド・トプコ買収に伴うのれん減損が主因で、本業の収益力は毀損していません。中計では営業利益率8%台への回復を目指し、海外事業の収益改善が鍵です。
財務は安全?
自己資本比率は50%前後を安定的に維持。有利子負債は英フルイド・トプコ買収(2023年)で一時910億円に増加しましたが、FY2025/3期には792億円に圧縮しており、健全な財務体質です。FY2024/3期に総資産が4,671億円に膨張したのは新紙幣関連の売掛金増加が主因で、FY2025/3期には正常化。BPSは4,215円で株価(約4,300円)とほぼ同水準、PBR 1.0倍近辺で純資産価値に裏付けされた株価水準です。
お金の流れは?
| 期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | FCF |
|---|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 284億円 | -217億円 | -121億円 | 67.8億円 |
| FY2022/3 | 103億円 | -257億円 | -9.4億円 | -154億円 |
| FY2023/3 | -165億円 | -93.6億円 | 85.3億円 | -259億円 |
| FY2024/3 | 419億円 | -336億円 | -140億円 | 82.8億円 |
| FY2025/3 | 458億円 | -79.1億円 | -213億円 | 378億円 |
FY2025/3期は営業CF458億円と新紙幣特需の代金回収で潤沢なキャッシュを獲得。FCFも378億円と高水準で、自己株式取得(約66億円)や配当に充当しています。FY2023/3期の営業CFマイナスは英フルイド・トプコ買収に伴う運転資本増加が主因。投資CFが縮小傾向にあり、大型M&A一巡後のキャッシュ創出力が本格化しています。
この会社のリスク
有価証券報告書に記載されている主なリスク要因です。投資判断の参考にしてください。
税金はいくら払ってる?
| 期 | 税引前利益 | 法人税等 | 実効税率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 141億円 | 84.3億円 | 59.6% |
| FY2022/3 | 104億円 | 39.9億円 | 38.4% |
| FY2023/3 | -27.2億円 | 0円 | - |
| FY2024/3 | 483億円 | 187億円 | 38.7% |
| FY2025/3 | 284億円 | 124億円 | 43.5% |
実効税率は38〜44%で推移し、グローバル展開企業としてはやや高め。FY2021/3期の59.6%は海外子会社関連の税効果取崩しが影響。FY2026/3期予想の53.5%は下方修正後の保守的な見積もりで、実際にはこれより低くなる可能性があります。
社員の給料はどのくらい?
| 期 | 平均年収 | 従業員数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 当期 | 894万円 | 11,392人 | - |
平均年収894万円は機械業界で上位水準。従業員11,392名(連結)、平均年齢43.2歳、平均勤続年数19.1年と長期勤続者が多く、姫路の本社を中心とした安定した雇用環境が特徴です。
誰がこの会社の株を持ってる?
金融機関34.7%+事業法人10.3%+社員持株会4.5%+取引先持株会2.0%+ESOP信託2.8%+政府0.3%で安定株主約55%。従業員関連の安定保有が厚い
信託銀行経由の機関投資家(13.8%)と日本生命(5.9%)が上位を占め、安定的な株主構成です。グローリーグループ社員持株会(4.5%)が第4位の大株主で、従業員の帰属意識の高さを示しています。タツボーファッション(2.6%)は創業家関連の事業法人。外国人比率は23.1%と機械セクターとしては標準的で、海外の長期機関投資家が中心です。
会社の公式開示情報
役員報酬
事業別の稼ぎ
| 事業名 | 売上 | 利益 | 利益率 |
|---|---|---|---|
| 金融市場 | 約840億円 | 約100億円 | 約11.9% |
| 流通・交通市場 | 約650億円 | 約60億円 | 約9.2% |
| 海外市場 | 約1,050億円 | 約30億円 | 約2.9% |
| 遊技市場 | 約180億円 | 約50億円 | 約27.8% |
| その他 | 約100億円 | 約10億円 | 約10.0% |
金融市場と海外市場が二大柱で、合わせて売上の約7割を占めます。海外市場は売上規模こそ最大ですが利益率2.9%と低迷しており、収益改善が中計の最重要課題です。遊技市場は市場規模が縮小傾向ながら利益率27.8%と突出して高い収益貢献をしています。DX新事業(その他セグメント)は売上100億円規模ですが、今後の成長ドライバーとして育成中です。
この会社のガバナンスは?
取締役11名中、女性取締役2名(18.2%)。子会社92社を擁するグローバル企業体制。平均勤続年数19.1年は業界内でも長く、安定した組織基盤を持っています。社外取締役を含む多様な視点で経営の監督を行い、2024年4月には原田明浩氏が社長に就任し新体制がスタートしました。
会社の計画は順調?
※ 会社が公表した計画に対する達成度の評価であり、投資についての評価・推奨ではありません
年度別の予想精度(計画を守れてる?)
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2026/3 | 175億円 | 145億円 | - | -17.1% |
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2025/3 | 340億円 | - | 352億円 | +3.5% |
当初予想 = 期初に会社が発表した数字 / 乖離 = 予想と実績のズレ(+なら上振れ)
FY2024/3期に新紙幣特需で過去最高益を達成した反動で、FY2025/3期以降は減収減益が続いています。FY2026/3期は純利益を175億円→145億円に下方修正し、米国市場での商談遅延も重なりました。中計の売上3,600億円・営業利益300億円は、海外事業の回復なくして達成が困難な状況です。
株の売買状況と今後の予定
PERは24.0倍と業界平均を上回る一方、PBRは1.02倍と純資産価値とほぼ同等。信用倍率0.57倍と売り残が買い残を上回っており、株価の下値は限定的との見方があります。新紙幣特需の反動減を織り込み済みで、次の成長カタリスト(海外回復・DX事業化)待ちの状態です。
メディアでどれくらい注目されてる?
メディア露出
メディア分布
競合比較
どんな話題が多い?
最近の出来事
FY2026/3期Q3決算発表。売上高2,424億円(前年同期比-13.4%)、営業利益144億円(同-52.5%)と新紙幣特需の反動で大幅減益
FY2026/3期の純利益予想を175億円→145億円に下方修正。米国市場での商談延長が影響
FY2026/3期Q2決算発表。中間期の連結売上高は前年同期比-12.2%。新紙幣対応の反動減が鮮明に
FY2025/3期本決算発表。売上高3,690億円・営業利益352億円で新紙幣特需の前年には及ばないものの高水準を維持
新紙幣発行開始。金融機関・流通業の紙幣処理機入替え特需がピークを迎える
最新ニュース
グローリー まとめ
ひとめ診断
通貨処理機で世界シェア首位。新紙幣特需の反動減を乗り越え、海外とDXで次の成長へ
※ 本ページの情報は投資助言ではありません。掲載データは正確性を保証するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。
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