新東工業
Sintokogio,Ltd.
最終更新日: 2026年3月28日
鋳造技術で世界を支え、表面処理で未来を彩るモノづくり企業
お客様や社会、そして地球とともに新しい価値を共創し、持続可能な未来を実現すること。
この会社ってなに?
あなたが毎日乗る自動車のエンジンや、道路で見かけるマンホールの蓋。これらは、溶かした金属を型に流し込んで作る「鋳造」という技術がなければ生まれません。新東工業は、この鋳造に必要な機械で国内トップシェアを誇る会社です。また、スマートフォンの滑らかな手触りや、飛行機の部品が錆びずに強度を保てるのも、実は「表面処理」という技術のおかげ。普段は目に見えないところで、私たちの安全で快適な暮らしを支える基盤技術を提供している、まさに縁の下の力持ちのような存在なのです。
鋳造・表面処理装置の国内最大手である新東工業は、FY2025に売上高1,502.2億円、営業利益30.04億円を計上しました。しかし、2026年3月期はフランスの買収子会社におけるのれん減損により最終損益が170億円の赤字に転落する見通しで、株価も軟調に推移しています。この一時的な特損を乗り越え、中期経営計画で掲げる「EBITDAマージン8%以上」の達成に向けた収益構造改革が急務です。PBRは0.42倍と解散価値を大きく下回っており、市場からは資本効率の抜本的な改善が強く求められています。
会社概要
- 業種
- 機械
- 決算期
- 3月
- 本社
- 愛知県名古屋市中村区名駅3丁目28番12号
- 公式
- www.sinto.co.jp
社長プロフィール

当社は創業以来の鋳造事業を核としながら、表面処理や環境事業などへ領域を拡大してきました。中期経営計画『「共創」~新しい価値を求めて~』を掲げ、お客様や社会と共に新たな価値を創造し、持続可能な未来に貢献することを目指します。
この会社のストーリー
創業者である久保田重太郎が名古屋市に「久保田製作所」を設立。鋳物機械の製造を開始し、日本のモノづくりの基盤を支える第一歩を踏み出した。
米国企業と技術提携し、金属表面を磨き上げるショットブラスト技術を導入。これが現在の主力事業である表面処理事業の礎となった。
現在の社名に変更するとともに、初の海外拠点として台湾に合弁会社を設立。グローバルメーカーへの道を歩み始める。
名古屋証券取引所市場第二部に株式を上場(その後、東京証券取引所にも上場)。企業としての信頼性を高め、さらなる成長のための基盤を築いた。
鋳造工場で培った集塵技術を応用し、環境事業を開始。公害問題が社会的な課題となる中、産業界の環境保全ニーズに応えた。
フランスのエラティコス社を約408億円で買収。欧州での表面処理事業を拡大し、グローバル市場での競争力を強化する大きな一手となった。
2026年度を最終年度とする新中期経営計画をスタート。「キャッシュを生み出す力」の強化を掲げ、持続的な成長と企業価値向上を目指す。
注目ポイント
自動車産業などを支える鋳造機械で国内首位の座を確立。日本の高品質なモノづくりを根底から支える、なくてはならない存在です。
近年、フランスやドイツの企業を大型買収するなど、積極的なM&Aで海外事業を拡大。世界市場で存在感を高めており、今後の成長が期待されます。
株主への利益還元を重視し、DOE(株主資本配当率)2.0%以上を下限とする安定配当を方針としています。QUOカードがもらえる株主優待も魅力です。
サービスの実績は?
ひとめ診断
配当・優待はもらえる?
| 期 | 1株配当 | 配当性向 |
|---|---|---|
| FY2016/3 | 16円 | 31.6% |
| FY2017/3 | 18円 | 28.5% |
| FY2018/3 | 21円 | 18.5% |
| FY2019/3 | 22円 | 21.6% |
| FY2020/3 | 24円 | 44.4% |
| FY2021/3 | 24円 | 210.7% |
| FY2022/3 | 26円 | 48.8% |
| FY2023/3 | 36円 | 30.5% |
| FY2024/3 | 44円 | 26.5% |
| FY2025/3 | 44円 | 83.7% |
| 権利確定月 | 9月 |
新東工業は株主還元を経営の重要課題と位置づけ、DOE(株主資本配当率)2.0%を下限とする安定的な配当を継続しています。業績が一時的に変動する局面でも配当額を維持することで、株主への利益還元を優先する方針を堅持しています。今後も資本効率を意識した還元を通じて、長期的な株主価値の向上を目指します。
同業比較(収益性)
機械の同業他社平均と比べると…
業績推移
儲かってるの?
新東工業の業績は、鋳造設備や表面処理装置の需要拡大を背景に、2024年3月期には売上高1,155億円、当期純利益87億円まで大きく伸長しました。2025年3月期は売上高1,502億円と過去最高を更新したものの、海外子会社の再編やのれん減損の影響により利益面で一時的な調整を余儀なくされています。2026年3月期は構造改革による効率化が進み、収益の回復軌道への回帰が見込まれる計画です。
稼ぐ力はどのくらい?
| 期 | ROE | ROA | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 2.0% | 0.4% | - |
| FY2022/3 | 1.8% | 1.7% | - |
| FY2023/3 | 6.7% | 3.6% | - |
| FY2024/3 | 7.4% | 4.6% | 4.7% |
| FY2025/3 | 3.8% | 1.2% | 2.0% |
収益性については、2024年3月期に営業利益率が4.7%まで改善し、ROE(自己資本利益率)も6.8%へと向上するなど、収益体質の強化に向けた改善傾向が鮮明となりました。しかし、2025年3月期は大型案件の消化や投資に伴うコスト負担、減損処理が重なり、一時的に営業利益率が2.0%、ROEが2.2%へと低下しています。今後は、高付加価値製品へのシフトを通じて、持続可能な利益率の向上を目指すフェーズにあります。
財務は安全?
財務の健全性は依然として強固であり、2024年3月期時点で自己資本比率は64.1%と高い水準を維持してきました。2025年3月期は積極的な成長投資や買収資金調達に伴い有利子負債が約1,154億円まで増加し、自己資本比率は50.5%へ変化しましたが、盤石な自己資本を基盤とした安定的な財務構造は維持されています。中長期的には、キャッシュフローの創出を通じて負債の圧縮とバランスシートの最適化を図る方針です。
お金の流れは?
| 期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | FCF |
|---|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 80.9億円 | -18.0億円 | -11.4億円 | 62.9億円 |
| FY2022/3 | 40.9億円 | -11.9億円 | -27.5億円 | 29.0億円 |
| FY2023/3 | 54.9億円 | -16.2億円 | -70.9億円 | 38.7億円 |
| FY2024/3 | 59.4億円 | -7.4億円 | -30.3億円 | 51.9億円 |
| FY2025/3 | 23.5億円 | -303億円 | 153億円 | -280億円 |
長年、営業キャッシュフローによる潤沢な資金で投資を賄う安定した構造を有してきましたが、2025年3月期は海外事業拡大に向けた大型買収により、投資キャッシュフローがマイナス約303億円と大きく流出しました。この資金需要は財務キャッシュフローで適切に調達されており、成長投資を優先する戦略的フェーズにあることを示しています。今後は創出した利益による投資の回収と、キャッシュ創出力のさらなる強化が求められます。
この会社のリスク
有価証券報告書に記載されている主なリスク要因です。投資判断の参考にしてください。
税金はいくら払ってる?
| 期 | 税引前利益 | 法人税等 | 実効税率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 30.7億円 | 24.6億円 | 80.3% |
| FY2022/3 | 44.8億円 | 16.4億円 | 36.7% |
| FY2023/3 | 39.5億円 | 0円 | 0.0% |
| FY2024/3 | 75.1億円 | 0円 | 0.0% |
| FY2025/3 | 32.3億円 | 4.7億円 | 14.5% |
過去数期において、繰越欠損金の解消や税効果会計の影響により、法人税等の負担額が一時的に大きく変動する局面がありました。特に2023年および2024年3月期は実効税率が0%となるなど、税務上の調整項目が利益に寄与しました。2026年3月期は通常の事業環境への回帰を見込み、法定実効税率に近い37.5%の税負担を計画しています。
社員の給料はどのくらい?
| 期 | 平均年収 | 従業員数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 当期 | 654万円 | 4,844人 | - |
従業員の平均年収は654万円であり、機械業界の平均的な水準を維持しています。近年は売上高が増加傾向にあるものの、大規模な事業買収に伴うのれん減損の影響で業績が変動しやすく、今後の収益改善が賞与を含む総報酬にどう反映されるかが注視されています。
誰がこの会社の株を持ってる?
安定株主が一定の割合を占めており、経営基盤は比較的安定しています。 主な安定株主は三菱UFJ銀行・りそな銀行・STATE STREET BANK AND TRUST COMPANY 505103 (常任代理人 みずほ銀行)。
大株主には日本マスタートラスト信託銀行や日本カストディ銀行といった信託口が名を連ねており、機関投資家による保有割合が高いのが特徴です。一方で、公益財団法人永井科学技術財団や社員持株会も一定の株式を保有しており、創業家や従業員による安定株主としての側面も維持されています。
会社の公式開示情報
役員報酬
鋳造機械および表面処理装置を核としてグローバル展開しており、76社の連結子会社を抱える大企業です。直近の業績ではフランス企業買収に関連するのれん減損により最終赤字へ転落する見通しを発表しており、持続的な成長のための収益構造改革が大きな経営課題となっています。
この会社のガバナンスは?
女性役員比率は6.7%とまだ改善の余地があるものの、指名・報酬委員会を設置して経営の透明性と客観性を高める取り組みを継続しています。連結子会社76社を統括する大規模な組織体制において、監査報酬を適正に支払うことで、グローバルな事業リスクを管理する監査体制を構築しています。
会社の計画は順調?
※ 会社が公表した計画に対する達成度の評価であり、投資についての評価・推奨ではありません
年度別の予想精度(計画を守れてる?)
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2025 | 58億円 | 30億円 | 30億円 | -48.2% |
| FY2024 | 60億円 | — | 54億円 | -9.8% |
| FY2023 | 43億円 | — | 22億円 | -47.9% |
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2025 | 1,470億円 | — | 1,502億円 | +2.2% |
| FY2024 | 1,150億円 | — | 1,155億円 | +0.4% |
当初予想 = 期初に会社が発表した数字 / 乖離 = 予想と実績のズレ(+なら上振れ)
現行の中期経営計画『「共創」』では、収益力の指標である「売上高EBITDA比率8%以上」を最重要目標に掲げています。しかし、FY2025実績は2.6%と目標に遠く、さらに大型買収したフランス子会社ののれん減損によりFY2026は最終赤字となる見込みで、計画達成は極めて困難な状況です。過去の業績予想を振り返っても、特に利益面での下方修正が目立ち、経営環境の変動に対する予測精度に課題を残しています。
この株を持っていたら儲かった?
この会社の株主総利回り(TSR)を、日本株全体の平均(TOPIX)と比較したグラフです。青い線が上にあるほど、平均より良い成績を出しています。
過去5年間のTSR(株主総利回り)は、一貫して市場平均であるTOPIXを下回る「アンダーパフォーム」という結果になっています。これは、同期間における株価の伸び悩みが主な要因です。特にFY2025は、大型M&Aによる業績への期待があったものの、その後の減損損失発表で株価が下落し、TOPIXとの差が拡大しました。資本効率の改善と持続的な利益成長を実現し、市場の信頼を回復することがTSR向上のための喫緊の課題です。
※ 配当を含まない株価ベースのリターンです。過去の実績であり、将来のリターンを保証・示唆するものではありません。
もし5年前に投資していたら?
| 年度末時点 | 評価額 | 損益 | TSR |
|---|---|---|---|
| FY2021 | 105.8万円 | +5.8万円 | 5.8% |
| FY2022 | 95.0万円 | -5.0万円 | -5.0% |
| FY2023 | 115.4万円 | +15.4万円 | 15.4% |
| FY2024 | 171.2万円 | +71.2万円 | 71.2% |
| FY2025 | 133.6万円 | +33.6万円 | 33.6% |
※ 有価証券報告書記載のTSR(株主総利回り)に基づく仮定の計算です。配当再投資を含みます。将来のリターンを保証するものではありません。
株の売買状況と今後の予定
同社のPBRは0.42倍と、機械セクターの平均1.4倍を大幅に下回っており、市場から極めて割安に評価されていることを示唆しています。PERは業界平均並みですが、これはFY2026の最終赤字見通しを完全には織り込んでいない可能性があります。配当利回りは4.6%と高水準ですが、今後の業績次第では減配リスクも意識されるため、決算発表での会社側の説明が注目されます。
メディアでどれくらい注目されてる?
メディア露出
メディア分布
競合比較
どんな話題が多い?
最近の出来事
フランスの表面処理大手エラスティコス社を約410億円で買収し、欧州での事業基盤を拡大しました。
電動シリンダ用コントローラを刷新し、操作性・利便性の向上を図る新製品販売を開始しました。
フランス子会社におけるのれんの減損損失により、2026年3月期の純損益を170億円の赤字に下方修正しました。
最新ニュース
新東工業 まとめ
ひとめ診断
「『モノづくりの土台』を支える鋳造の巨人が、欧州大型M&Aの巨額減損で揺れる過渡期」
※ 本ページの情報は投資助言ではありません。掲載データは正確性を保証するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。
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