ブラザー工業
BROTHER INDUSTRIES, LTD.
最終更新日: 2026年4月7日
「プリンター・ミシン・産業印刷の三本柱で世界に挑み、配当下限100円で株主に寄り添う名古屋の老舗メーカー」
At your side. ── お客様の「そばに」いる存在であり続ける
この会社ってなに?
家庭やオフィスで使うプリンター・複合機、手芸や裁縫で使うミシン。実はどちらもブラザーの製品です。さらに自動車部品や半導体部品を削り出す工作機械、食品パッケージや医薬品ラベルに印字する産業用プリンターなど、私たちの生活の「裏側」でもブラザーの技術が活躍しています。
ブラザー工業は1908年にミシンの修理業として創業し、1934年に法人化された名古屋発のグローバルメーカー。プリンター・複合機を主力とする「P&S(プリンティング&ソリューションズ)」事業が売上の約5割を占め、工業用ミシン世界首位級の「マシナリー」事業、2015年に約1,890億円で買収した英Domino Printing Sciencesを核とする「産業印刷」事業、家庭用ミシンの「パーソナル&ホーム」事業の4セグメントで構成されます。FY2025/3期は売上高8,766億円・営業利益699億円を計上。海外売上比率は約8割に達し、中国・ベトナム等で生産し欧米を中心にグローバル展開。2025年度からの中期戦略「CS B2027」では、1株100円を配当下限に配当性向40%を目安とする株主還元方針を掲げ、期間中に合計600億円の自己株式取得も計画しています。連結従業員数は約42,800名。
会社概要
- 業種
- 電気機器
- 決算期
- 3月
- 本社
- 愛知県名古屋市瑞穂区苗代町15-1
- 公式
- global.brother
社長プロフィール
ブラザーグループは1908年の創業以来、ミシンに始まりプリンター、工作機械、産業印刷と事業領域を拡大してきました。中期戦略「CS B2027」のもと、お客様の「At your side.」であり続けることを使命に、既存事業の収益力強化と新たな成長領域への挑戦を進めてまいります。株主の皆様への安定的な還元と持続的な企業価値向上の両立に全力を尽くします。
この会社のストーリー
安井兼吉が名古屋でミシンの修理業を開始。「兄弟(ブラザー)」の名は、息子たちが兄弟で力を合わせて事業を継いだことに由来する。
国産ミシンの製造を本格化。戦時中は軍需生産に転換するも、戦後はミシン生産を再開し高度成長期の家庭に普及。
ミシンで培った精密機械技術を応用し、電子タイプライターに参入。欧米オフィス市場で大きなシェアを獲得し、情報機器メーカーへの転換が始まる。
タイプライターからプリンターへの事業転換を成功させ、複合機・ファクスへと製品ラインを拡大。P&S事業の基盤を確立した。
約1,890億円で産業用印刷大手のドミノを買収。食品・医薬品パッケージ印字分野に参入し、B2B産業印刷という新たな成長エンジンを獲得。創業以来最大のM&A。
中期戦略「CS B2027」を始動。MUTOH買収で産業印刷を拡大、配当下限100円と自社株買い600億円で株主還元を強化。「At your side.」の精神でグローバル多角化経営の次章に挑む。
注目ポイント
1908年のミシン修理業から出発し、タイプライター→プリンター→産業印刷と時代に合わせて主力事業を転換。118年の歴史の中で複数回の構造転換を成功させた日本でも稀有な企業です。
中期戦略「CS B2027」で1株100円を配当下限として明確に設定。加えて3年間で600億円の自社株買いを計画。配当利回り3%台と総還元利回りの高さは、バリュー投資家にとって大きな魅力です。
英Domino買収による産業印刷事業は利益率11%と高収益。MUTOH買収でさらに大判プリンター分野を強化。工業用ミシン世界首位の地位と合わせ、プリンター一本足からの脱却が着実に進んでいます。
サービスの実績は?
ひとめ診断
配当・優待はもらえる?
| 期 | 1株配当 | 配当性向 |
|---|---|---|
| FY2016/3 | 36円 | 30.1% |
| FY2017/3 | 42円 | 23.1% |
| FY2018/3 | 54円 | 28.0% |
| FY2019/3 | 60円 | 28.9% |
| FY2020/3 | 60円 | 31.4% |
| FY2021/3 | 60円 | 63.6% |
| FY2022/3 | 64円 | 27.2% |
| FY2023/3 | 68円 | 44.5% |
| FY2024/3 | 84円 | 67.8% |
| FY2025/3 | 100円 | 46.7% |
FY2021/3の60円からFY2025/3の100円まで4期連続増配で67%増額。配当性向は27〜68%と業績に連動して変動しますが、中期戦略「CS B2027」で1株100円を配当下限として設定し、減配リスクを限定。配当利回りは約3.4%と電気機器セクター平均を上回ります。株主優待は実施していませんが、自社株買い600億円(期間中合計)による総還元利回りの向上を重視しています。
同業比較(収益性)
電気機器の同業他社平均と比べると…
業績推移
儲かってるの?
売上高はFY2021/3の6,318億円からFY2025/3の8,766億円まで5期で39%成長。FY2022/3には営業利益855億円と過去最高を記録しましたが、FY2023/3〜FY2024/3はインクジェットプリンター市場の需要一巡で利益率が低下。FY2025/3は営業利益699億円(前期比40%増)と回復基調に転じました。FY2026/3は売上高8,750億円・営業利益730億円を予想し、微減収ながら増益を見込みます。為替影響と産業印刷のMUTOH統合効果が焦点です。
事業ごとの売上・利益
インクジェット・レーザープリンター、複合機、ラベルプリンターが主力。中国・ベトナムで生産し欧米を中心に販売。売上構成比約50%。在宅・オフィス向け需要の反動減から回復基調。
工業用ミシン(世界首位級)とCNCコンパクト加工機の2本柱。自動車・アパレル向けに世界展開。半導体・EV部品加工向け工作機械の需要拡大に注力。売上構成比約19%。
2015年に買収した英Domino Printing Sciencesを中核に、食品・医薬品のパッケージ印字、産業用インクジェット印刷を展開。安定的なインク・消耗品のストック収入が強み。売上構成比約21%。
家庭用ミシン・カッティングマシン。ハンドメイド・DIY市場向け。北米を中心にホビー用途で安定した需要。売上構成比約7%。
稼ぐ力はどのくらい?
| 期 | ROE | ROA | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 15.0% | 5.8% | - |
| FY2022/3 | 17.7% | 10.7% | - |
| FY2023/3 | 7.2% | 6.7% | - |
| FY2024/3 | 10.2% | 5.9% | 11.8% |
| FY2025/3 | 17.1% | 8.0% | 13.3% |
FY2022/3にはROE 10.9%・営業利益率12.0%と高水準を記録しましたが、インクジェットプリンター需要の反動減でFY2024/3にはROE 4.7%・営業利益率6.1%まで低下。FY2025/3は産業印刷と工作機械の回復でROE 7.9%・営業利益率8.0%に改善しました。自己資本比率74%と財務は盤石ですが、ROE 8%未満は東証プライムの資本コスト要請に課題が残ります。中期戦略「CS B2027」では自社株買い600億円で資本効率の改善を図ります。
財務は安全?
総資産9,327億円に対し純資産6,915億円、自己資本比率74.1%と非常に堅固な財務基盤。有利子負債はEDINET開示データ上ゼロ表示ですが、IFRSベースではリース負債等を計上しています。BPSは5期連続で増加し2,704円に到達。2015年のDomino買収(約1,890億円)を消化しつつも自己資本を着実に積み増しており、資本余力を活かした成長投資とM&Aの余地があります。
お金の流れは?
| 期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | FCF |
|---|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| FY2022/3 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| FY2023/3 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| FY2024/3 | 1,410億円 | -421億円 | -616億円 | 990億円 |
| FY2025/3 | 900億円 | -482億円 | -346億円 | 419億円 |
営業CFはFY2021/3の1,093億円からFY2024/3の1,410億円まで拡大。ただしFY2023/3は在庫調整の影響で144億円と大幅減少し、FCFがマイナス178億円に転落するなど業績変動がキャッシュフローに大きく影響する体質です。投資CFは年間250〜480億円規模で推移し、設備投資460億円(FY2025/3)と成長投資を継続。FY2025/3のFCFは419億円と黒字回復しました。
この会社のリスク
有価証券報告書に記載されている主なリスク要因です。投資判断の参考にしてください。
税金はいくら払ってる?
| 期 | 税引前利益 | 法人税等 | 実効税率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 553億円 | 123億円 | 22.3% |
| FY2022/3 | 788億円 | 0円 | 0.0% |
| FY2023/3 | 273億円 | 0円 | 0.0% |
| FY2024/3 | 431億円 | 0円 | 0.0% |
| FY2025/3 | 854億円 | 107億円 | 12.5% |
FY2026/3予想では税引前利益730億円に対し法人税等180億円、実効税率24.7%。グローバルに生産・販売拠点を持つため、各国の税率差異や移転価格税制の影響を受けますが、法定実効税率(約30%)を下回る効率的な税務構造を実現しています。
社員の給料はどのくらい?
| 期 | 平均年収 | 従業員数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 当期 | 804万円 | 42,801人 | - |
誰がこの会社の株を持ってる?
金融機関26.7%・事業法人4%が安定株主。従業員持株会1.8%を加算。外国法人比率が高く流動性のある株主構成。
筆頭株主は日本マスタートラスト信託銀行(15.7%)、次いで日本カストディ銀行(5.9%)と信託口が上位。日本生命保険(3.5%)と三井住友銀行(2.1%)が政策保有株主として安定株主の中核を担います。外国法人ではSTATE STREET BANK(計6.3%)やJPモルガン(計3.3%)など欧米機関投資家が幅広く保有。ブラザーグループ従業員持株会(1.8%)も安定株主。創業家の持株はなく、三菱UFJが保有比率5%超の大量保有報告書を2026年3月に提出しています。
会社の公式開示情報
役員報酬
事業別の稼ぎ
| 事業名 | 売上 | 利益 | 利益率 |
|---|---|---|---|
| P&S(プリンティング&ソリューションズ) | 約4,400億円 | 約350億円 | 約8.0% |
| マシナリー | 約1,700億円 | 約170億円 | 約10.0% |
| 産業印刷(ドミノ) | 約1,800億円 | 約200億円 | 約11.0% |
| パーソナル&ホーム | 約600億円 | 約50億円 | 約8.3% |
P&S事業が売上の約5割を占める収益の柱で、産業印刷(ドミノ)が利益率約11%と最も高収益。マシナリー事業は工業用ミシン世界首位の地位を活かし利益率約10%。役員報酬はFY2025/3期で取締役11名に対し総額5億100万円(1人あたり平均約4,600万円)。監査報酬は2億400万円。従業員の平均年収804万円は電気機器セクターでも高水準です。
この会社のガバナンスは?
会社の計画は順調?
※ 会社が公表した計画に対する達成度の評価であり、投資についての評価・推奨ではありません
年度別の予想精度(計画を守れてる?)
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2024/3 | 8,100億円 | — | 8,229億円 | +1.6% |
| FY2025/3 | 8,490億円 | — | 8,766億円 | +3.2% |
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2024/3 | 510億円 | — | 498億円 | -2.4% |
| FY2025/3 | 610億円 | — | 699億円 | +14.6% |
当初予想 = 期初に会社が発表した数字 / 乖離 = 予想と実績のズレ(+なら上振れ)
FY2024/3は売上高が予想を上回った一方、営業利益は2.4%下振れとまちまちの結果。FY2025/3は売上高3.2%上振れに加え、営業利益が期初予想を14.6%上回る大幅な上振れ着地。中期戦略「CS B2027」初年度のFY2026/3は売上高8,750億円・営業利益730億円を見込み、産業印刷のMUTOH統合効果と自社株買い600億円の実行が焦点です。
この株を持っていたら儲かった?
この会社の株主総利回り(TSR)を、日本株全体の平均(TOPIX)と比較したグラフです。青い線が上にあるほど、平均より良い成績を出しています。
5年累積TSRは185.6%(投資元本が約1.86倍)でTOPIXを28ポイント下回るアンダーパフォーム。FY2024にTSR 187.3%とTOPIXに接近しましたが、FY2025にかけてプリンター市場の成熟懸念で逆転されました。配当利回り3%台の安定した株主還元がTSRを下支えしていますが、株価のモメンタムではキヤノンやエプソンに後れを取る展開が続いています。
※ 配当を含まない株価ベースのリターンです。過去の実績であり、将来のリターンを保証・示唆するものではありません。
もし5年前に投資していたら?
| 年度末時点 | 評価額 | 損益 | TSR |
|---|---|---|---|
| FY2021 | 151.7万円 | +51.7万円 | 51.7% |
| FY2022 | 142.7万円 | +42.7万円 | 42.7% |
| FY2023 | 132.0万円 | +32.0万円 | 32.0% |
| FY2024 | 187.3万円 | +87.3万円 | 87.3% |
| FY2025 | 185.6万円 | +85.6万円 | 85.6% |
※ 有価証券報告書記載のTSR(株主総利回り)に基づく仮定の計算です。配当再投資を含みます。将来のリターンを保証するものではありません。
株の売買状況と今後の予定
PER 13.8倍・PBR 1.10倍と電気機器セクター平均を下回るバリュエーションで取引されています。プリンター市場の成熟化懸念がディスカウント要因ですが、配当利回り3.4%はセクター平均を大幅に上回ります。信用倍率1.84倍は買い長ながら過熱感はなく、52週高値3,341円から安値2,188円まで約53%のレンジで推移。自社株買い進捗と産業印刷の成長期待がバリュエーション修正の鍵です。
メディアでどれくらい注目されてる?
メディア露出
メディア分布
競合比較
どんな話題が多い?
最近の出来事
産業用プリンターのMUTOHホールディングスへのTOBが成立。2年越しの産業印刷事業拡大に向けた宿願が実現。大判プリンター分野を強化。
株価が3,341円の52週高値を記録。自己株式取得の進捗と中期戦略への期待感が株価を押し上げた。
アフリカで無線インターネット事業を展開するDots forと資本業務提携。新興国でのプリンター需要開拓を目指す。
FY2025/3期通期決算を発表。売上高8,766億円・営業利益699億円(前期比40%増)。配当は年間100円で4期連続増配。
ローランドDGへの同意なきTOBを断念。MBO側の提示価格を上回れず撤退。産業印刷拡大の戦略は仕切り直しに。
最新ニュース
ブラザー工業 まとめ
ひとめ診断
「プリンター・ミシン・工作機械の三本柱で世界に展開。産業印刷とM&Aで新たな成長軸を築く名古屋の多角化メーカー」
※ 本ページの情報は投資助言ではありません。掲載データは正確性を保証するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。
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