栗田工業
Kurita Water Industries Ltd.
最終更新日: 2026年4月7日
「超純水で半導体を支え、22期連続増配で株主に報いる水のスペシャリスト」
水を究め、自然と人間が調和した豊かな環境の創造に貢献する
この会社ってなに?
あなたが使うスマートフォンやパソコンの半導体チップ。その製造に欠かせない「超純水」を供給しているのが栗田工業です。工場の排水処理、ビルの空調用水、発電所のボイラー水――見えないところで水を「使えるようにする」技術が、私たちの暮らしとテクノロジーの進化を支えています。
栗田工業は1949年に栗田春生が神戸で創業した水処理専業メーカー。水処理薬品と水処理装置の開発・製造・販売、超純水供給サービスを手がけ、国内水処理業界で最大手の地位を確立しています。半導体・電子部品製造に不可欠な超純水供給では世界トップクラスのシェアを誇り、TSMC・Samsung・Intel等のグローバル半導体メーカーを顧客基盤に持ちます。事業は「電子市場」(売上構成比44%)と「一般水処理市場」(同56%)の2領域で構成。FY2025/3期は売上高4,089億円・営業利益313億円を計上し、海外売上比率は52%に到達。中期経営計画「PSV-27」ではFY2028/3期に売上高4,700億円・事業利益率16%・ROE 12%以上・ROIC 10%以上を目標に掲げ、DXと水処理技術の融合による成長を目指しています。連結従業員数は約8,150名。
会社概要
- 業種
- 機械
- 決算期
- 3月
- 本社
- 東京都中野区中野4丁目10番1号 中野セントラルパーク イースト
- 公式
- www.kurita-water.com
社長プロフィール
クリタグループは「水と環境」の分野で社会と企業の持続的な発展に貢献してまいります。中期経営計画PSV-27のもと、電子市場での超純水供給サービスの拡大と、DXを活用した水処理ソリューションの高度化により、2028年3月期の目標達成を目指します。水は産業の血液であり、その品質を極限まで高める技術がクリタの強みです。
この会社のストーリー
元海軍士官の栗田春生が、海軍ボイラー技術を応用した水処理薬品の販売で創業。「水を科学する」という理念のもと、ボイラー用水処理の国産化に挑んだ。
ボイラー給水の前処理用として純水装置の開発に成功。水処理薬品と水処理装置の両輪体制を確立し、総合水処理メーカーへの第一歩を踏み出した。
高度経済成長を追い風に事業を拡大し、東証に上場。工場の急増に伴う産業排水処理ニーズの取り込みで急成長を遂げた。
半導体製造に不可欠な超純水の製造技術を確立。1ppb(10億分の1)レベルの不純物管理を実現し、世界の半導体メーカーから指名される存在に。超純水供給サービスという独自のビジネスモデルを構築。
米Avista Technologies、米Pureflow等を相次ぎ買収し、北米水処理市場に本格参入。海外売上比率は52%に到達し、グローバル水処理企業への転換を加速。
5カ年中計PSV-27を始動。売上高4,700億円・事業利益率16%を目標にDXと水処理技術の融合を推進。CDPウォーターセキュリティAリスト選定など、ESG先進企業としての評価も高まっている。
注目ポイント
半導体製造に不可欠な超純水を長期契約で供給するビジネスモデル。TSMC・Samsung・Intel等の最先端半導体工場で採用され、1ppbレベルの不純物管理技術は世界最高水準。半導体産業の成長がそのまま追い風になる希少なポジションです。
FY2005/3期から22期連続で配当を増やし続けており、日本市場でもトップクラスの増配実績。配当性向30-50%の安定方針に加え、QUOカードの株主優待も実施。長期保有の個人投資家に愛される「増配の優等生」です。
CDPウォーターセキュリティAリスト選定、外国人保有比率52%が示すように、水資源管理のグローバルテーマでESG投資家から高い評価。世界的な水不足への危機感が高まるほど、栗田工業の技術と事業価値の重要性が増していきます。
サービスの実績は?
ひとめ診断
配当・優待はもらえる?
| 期 | 1株配当 | 配当性向 |
|---|---|---|
| FY2016/3 | 48円 | 44.3% |
| FY2017/3 | 50円 | 39.9% |
| FY2018/3 | 52円 | 32.6% |
| FY2019/3 | 54円 | 35.0% |
| FY2020/3 | 62円 | 38.1% |
| FY2021/3 | 66円 | 38.8% |
| FY2022/3 | 72円 | 43.8% |
| FY2023/3 | 78円 | 43.5% |
| FY2024/3 | 84円 | 32.3% |
| FY2025/3 | 92円 | 50.9% |
QUOカード(100株以上1年以上保有: 1,000円、500株以上1年以上保有: 10,000円)
FY2005/3期から22期連続増配を継続中で、日本市場でもトップクラスの増配実績を誇ります。FY2021/3の66円からFY2026/3予の112円まで5年で70%増額。直近5年の配当性向は32〜51%で推移し、会社方針の30-50%レンジ内。株主優待制度として100株以上1年以上保有でQUOカード1,000円、500株以上1年以上でQUOカード10,000円を贈呈しています。
同業比較(収益性)
機械の同業他社平均と比べると…
業績推移
儲かってるの?
売上高はFY2021/3の2,677億円からFY2025/3の4,089億円まで5期で53%成長。半導体向け超純水供給と水処理薬品のグローバル展開が牽引しています。FY2025/3の営業利益313億円は開示データ基準の数値で、会社公表の事業利益492億円(IFRS)とは計上区分が異なります。FY2026/3は売上高4,250億円・営業利益535億円を予想し、中期経営計画「PSV-27」ではFY2028/3に売上高4,700億円・事業利益率16%を目標に掲げています。
事業ごとの売上・利益
半導体・電子部品製造工場向けに超純水供給サービス、水処理装置、薬品を提供。TSMC・Samsung等の大型設備投資が追い風。売上構成比44%。
電力・鉄鋼・食品・公共インフラ等に水処理薬品・装置・メンテナンスを提供。ストック型ビジネスで安定収益。売上構成比56%。
稼ぐ力はどのくらい?
| 期 | ROE | ROA | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 4.7% | 6.9% | - |
| FY2022/3 | 10.3% | 6.4% | - |
| FY2023/3 | 8.9% | 6.0% | - |
| FY2024/3 | 6.8% | 7.5% | 28.0% |
| FY2025/3 | 6.1% | 5.8% | 22.3% |
ROEは6〜9%のレンジで推移し、中計目標のROE 12%にはまだ距離があります。営業利益率はFY2022/3の12.4%をピークに直近は開示データ基準で7.6%まで低下していますが、会社公表のIFRS事業利益率は12%台を維持。FY2024/3はROE 8.8%と改善基調を見せましたが、FY2025/3は6.0%に低下しました。PSV-27中計ではROE 12%以上・ROIC 10%以上を掲げ、利益率の高い超純水供給サービスの拡大と資本効率の改善に取り組んでいます。
財務は安全?
総資産5,489億円に対し純資産3,385億円、自己資本比率61.2%と盤石な財務基盤を持ちます。有利子負債はEDINET開示データ上ゼロ表示ですが、IFRSベースではリース負債等を計上しています。BPSは毎期着実に増加し2,996円に到達。FY2024/3には総資産5,574億円まで拡大し海外投資を積極化しましたが、FY2025/3は5,489億円と若干縮小。設備投資は年間523億円と超純水供給設備への大型投資を継続しています。
お金の流れは?
| 期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | FCF |
|---|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| FY2022/3 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| FY2023/3 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| FY2024/3 | 509億円 | -358億円 | -153億円 | 151億円 |
| FY2025/3 | 878億円 | -521億円 | -254億円 | 357億円 |
営業CFはFY2021/3の400億円からFY2025/3の878億円と2倍以上に拡大。超純水供給サービスの長期契約収入が安定的なキャッシュフローの源泉です。投資CFは毎期350〜520億円規模で推移し、半導体工場向け超純水供給設備への大型投資が継続。FY2022/3〜FY2023/3はFCFが小幅に転じましたが、FY2025/3はFCF 357億円と大きく黒字化。成長投資と株主還元のバランスが取れた資金配分を実現しています。
この会社のリスク
有価証券報告書に記載されている主なリスク要因です。投資判断の参考にしてください。
税金はいくら払ってる?
| 期 | 税引前利益 | 法人税等 | 実効税率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 162億円 | 0円 | 0.0% |
| FY2022/3 | 165億円 | 0円 | 0.0% |
| FY2023/3 | 198億円 | 0円 | 0.0% |
| FY2024/3 | 196億円 | 0円 | 0.0% |
| FY2025/3 | 217億円 | 0円 | 0.0% |
FY2026/3予想では税引前利益535億円に対し法人税等172億円、実効税率32.1%。グローバルに事業展開しており、海外子会社の税率差異や研究開発税制の適用により法定実効税率(約30%)に近い水準で推移しています。
社員の給料はどのくらい?
| 期 | 平均年収 | 従業員数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 当期 | 932万円 | 8,151人 | - |
誰がこの会社の株を持ってる?
金融機関31%・事業法人2.5%が安定株主。外国法人52%と機関投資家比率が非常に高い。
筆頭株主は日本マスタートラスト信託銀行(14.2%)、次いで日本カストディ銀行(6.0%)と信託口が上位を占めます。日本生命保険(5.3%)が政策保有株主として安定株主の中核。外国法人比率51.9%と高く、Pictet(2.5%)、State Street(2.2%)、Northern Trust(1.8%)など欧米機関投資家が幅広く保有。水資源管理のグローバルテーマへの関心からESG投資家の保有も多い銘柄です。事業法人の持株比率は2.5%と低く、創業家の持株もないため、純粋な機関投資家主導の株主構成です。
会社の公式開示情報
役員報酬
事業別の稼ぎ
| 事業名 | 売上 | 利益 | 利益率 |
|---|---|---|---|
| 電子市場 | 約1,810億円 | 約290億円 | 約16.0% |
| 一般水処理市場 | 約2,280億円 | 約200億円 | 約8.8% |
電子市場が売上の44%を占め、利益率約16%と高収益。半導体工場への超純水供給は長期契約型でストック性が高く、安定した収益基盤となっています。一般水処理市場は売上56%で利益率約9%と安定的。役員報酬は2名で総額1億3,600万円(1人あたり推定約6,800万円)。監査報酬は1億400万円。従業員の平均年収932万円は機械セクターでもトップクラスの水準です。
この会社のガバナンスは?
会社の計画は順調?
※ 会社が公表した計画に対する達成度の評価であり、投資についての評価・推奨ではありません
年度別の予想精度(計画を守れてる?)
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2024/3 | 3,670億円 | — | 3,848億円 | +4.8% |
| FY2025/3 | 4,060億円 | — | 4,089億円 | +0.7% |
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2024/3 | 405億円 | — | 421億円 | +4.0% |
| FY2025/3 | 455億円 | — | 492億円 | +8.1% |
当初予想 = 期初に会社が発表した数字 / 乖離 = 予想と実績のズレ(+なら上振れ)
FY2024/3は売上高・事業利益ともに会社予想を上回る着地。FY2025/3も事業利益が期初予想を8%上振れの492億円と好調。会社側の予想精度は高く、保守的な見通しを出した上で上振れる傾向にあります。中計「PSV-27」の最終年度FY2028/3に売上高4,700億円・事業利益率16%を達成するには現状の4,089億円から15%成長が必要であり、M&Aを含む非連続成長の実行力が問われます。
この株を持っていたら儲かった?
この会社の株主総利回り(TSR)を、日本株全体の平均(TOPIX)と比較したグラフです。青い線が上にあるほど、平均より良い成績を出しています。
5年累積TSRは199.4%(投資元本が約2倍)と絶対リターンでは良好ですが、TOPIX(213.5%)を14ポイント下回るアンダーパフォーム。FY2023にTSR 250.4%とTOPIXを大幅にアウトパフォームしましたが、FY2025にかけて株価が調整し逆転されました。半導体サイクルへの連動性が高く、市況悪化局面ではTOPIX対比で劣後しやすい特性があります。
※ 配当を含まない株価ベースのリターンです。過去の実績であり、将来のリターンを保証・示唆するものではありません。
もし5年前に投資していたら?
| 年度末時点 | 評価額 | 損益 | TSR |
|---|---|---|---|
| FY2021 | 192.6万円 | +92.6万円 | 92.6% |
| FY2022 | 187.5万円 | +87.5万円 | 87.5% |
| FY2023 | 250.4万円 | +150.4万円 | 150.4% |
| FY2024 | 264.3万円 | +164.3万円 | 164.3% |
| FY2025 | 199.4万円 | +99.4万円 | 99.4% |
※ 有価証券報告書記載のTSR(株主総利回り)に基づく仮定の計算です。配当再投資を含みます。将来のリターンを保証するものではありません。
株の売買状況と今後の予定
PER 23.2倍・PBR 2.57倍と機械セクター平均を大きく上回るプレミアムで取引されています。水処理専業で国内最大手、かつ半導体向け超純水でグローバルトップクラスという希少なポジションが高バリュエーションの背景。配当利回り1.46%はセクター平均を下回りますが、22期連続増配の実績が評価されています。52週高値8,882円から安値3,701円まで幅広いレンジで推移しており、半導体市況への感応度が高い銘柄です。
メディアでどれくらい注目されてる?
メディア露出
メディア分布
競合比較
どんな話題が多い?
最近の出来事
FY2026/3期の年間配当を112円(前期比+20円)に増額すると発表。22期連続増配を達成見込み。
FY2026/3期2Q累計で純利益15%増を達成。半導体向け超純水供給の工事進捗が寄与。通期予想は据え置き。
米国・アジアにおける半導体工場向け超純水供給の大型案件を相次ぎ受注。グローバル展開が加速。
FY2025/3期通期決算を発表。売上高4,089億円・事業利益492億円(前期比17%増)で着地。FY2026/3期は売上4,250億円を計画。
水資源管理の取り組みが評価され、CDPウォーターセキュリティでAリストに選定。環境先進企業としての地位を確認。
最新ニュース
栗田工業 まとめ
ひとめ診断
「超純水で半導体産業を支え、水処理の総合力で世界の水課題に挑む。国内最大の水処理専業メーカー」
※ 本ページの情報は投資助言ではありません。掲載データは正確性を保証するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。
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