荏原製作所
EBARA CORPORATION
最終更新日: 2026年4月7日
水と半導体の「見えないインフラ」で世界を支えるポンプの巨人
2035年に売上2兆円超・営業利益率20%の「技術で社会に貢献するグローバル企業」を目指す
この会社ってなに?
あなたの家の蛇口から出る水を送るポンプ、オフィスビルの空調、スマホの中のチップを研磨する装置——これらを手がけるのが荏原製作所です。「水」と「半導体」という現代社会に欠かせない2つの領域で、見えないところから暮らしを支えるインフラ企業です。
荏原製作所は1912年創業のポンプ総合メーカーで、上下水道・ビル空調用ポンプから半導体製造装置(CMP=化学的機械研磨)まで幅広い事業を展開しています。2025年12月期は売上収益9,582億円・営業利益1,138億円と5期連続で過去最高を更新。半導体向けCMP装置が生成AI需要の追い風を受けて急成長し、精密・電子セグメントが全社利益の約半分を稼ぐ主力事業に成長しました。2026年2月に発表した長期ビジョン「E-Vision 2035」では売上2兆円超・営業利益率20%を掲げ、新中期経営計画「E-Plan 2028」では売上1.2兆円・営業利益率14.5%を目標に成長投資を加速中です。米有力アクティビストのサード・ポイントも株式を保有し、「米同業比で割安」と評価しています。
会社概要
- 業種
- 機械
- 決算期
- 12月
- 公式
- www.ebara.com
社長プロフィール
水と空気、そして半導体——荏原は社会の「当たり前」を支える企業です。E-Vision 2035のもと、技術で世界の課題を解決し、持続的な成長を実現していきます。
この会社のストーリー
創業者・畠山一清が東京で荏原製作所を設立。排水用ポンプの国産化に挑む
戦後の復興需要に応え上下水道用ポンプで成長。東京証券取引所に上場
ポンプ技術を応用し、半導体ウエハーの化学的機械研磨(CMP)装置の開発に成功
ガバナンス改革を推進。社外取締役比率70%の先進的な経営体制を構築
売上2兆円超・営業利益率20%の長期ビジョンを発表。半導体CMP・水インフラの二本柱で世界へ
注目ポイント
上下水道から石油化学プラントまで、あらゆる液体を送るポンプの総合メーカー。世界中のビル・工場のライフラインを支えています
スマホやAIチップの製造に不可欠なウエハー研磨装置で世界有数の地位。生成AI需要の追い風で急成長中
営業利益率11.9%・ROE 14.7%。水と半導体という安定×成長の二刀流で、2035年に売上2兆円超を目指す野心的な成長ストーリー
サービスの実績は?
ひとめ診断
配当・優待はもらえる?
| 期 | 1株配当 | 配当性向 |
|---|---|---|
| FY2016/3 | 12円 | 32.3% |
| FY2017/3 | 9.9円 | 47.9% |
| FY2018/3 | 13.2円 | 33.3% |
| FY2019/3 | 12.3円 | 24.7% |
| FY2020/3 | 18.6円 | 35.1% |
| FY2021/3 | 33.7円 | 35.2% |
| FY2022/3 | 38.5円 | 35.2% |
| FY2023/3 | 45.8円 | 35.1% |
| FY2025/3 | 59円 | 35.5% |
| 必要株数 | 100株以上(約44万円) |
| 金額相当 | 約3,000円相当 |
| 権利確定月 | 12月 |
配当性向35%を目安とした業績連動型配当を継続し、3期連続で増配中。FY2021/12の33.7円からFY2025/12には59円へと1.75倍に成長。利回りは1.33%と成長株としては標準的ですが、株価上昇によるキャピタルゲインが主な魅力です。株主優待として荏原畠山美術館(国宝6件・重文33件収蔵)の招待券が年1回もらえます。
同業比較(収益性)
機械の同業他社平均と比べると…
業績推移
儲かってるの?
5期連続で増収増益・過去最高を更新中。売上は6,032億円から9,582億円へと1.6倍に拡大し、営業利益率も10.2%→11.9%に改善。半導体CMP装置を中心とする精密・電子セグメントが牽引役で、生成AI需要の恩恵を大きく受けています。FY2026/12予想も6期連続最高益の見通し。
事業ごとの売上・利益
半導体CMP装置、真空ポンプ。生成AI需要でCMP装置が急成長し、全社利益の約半分を稼ぐ
ビル・工場向けポンプ、送風機、冷凍機。国内建設需要と海外展開で安定成長
石油・ガスプラント向け大型ポンプ、コンプレッサー。中東・東南アジアが主力市場
ごみ焼却発電プラント、水処理システム。脱炭素需要で受注拡大
上下水道・農業用ポンプ、防災排水設備。公共インフラの維持更新需要に対応
稼ぐ力はどのくらい?
| 期 | ROE | ROA | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 13.0% | 8.4% | - |
| FY2022/3 | 14.8% | 8.4% | - |
| FY2023/3 | 14.2% | 9.3% | - |
| FY2024/3 | 13.7% | 9.9% | 27.3% |
| FY2025/3 | 12.0% | 10.3% | 27.1% |
ROEは14%台を安定的に維持し、機械セクターでは高水準。営業利益率も10.2%→11.9%と着実に改善しており、新中計E-Plan 2028では14.5%以上を目標に掲げています。半導体CMP事業の高利益率(約17%)が全社の収益性を押し上げています。
財務は安全?
総資産は1兆円を突破し、自己資本比率は43%→47%と着実に改善。無借金経営(有利子負債ゼロ)で財務体質は極めて健全です。BPSはFY2024/12から大幅に低下していますが、これは2024年10月の株式5分割によるもの。実質的な純資産は毎年増加しており、資本蓄積は順調です。
お金の流れは?
| 期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | FCF |
|---|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 685億円 | -318億円 | -252億円 | 368億円 |
| FY2022/3 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| FY2023/3 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| FY2024/3 | 1,009億円 | -486億円 | -319億円 | 524億円 |
| FY2025/3 | 408億円 | -912億円 | 168億円 | -505億円 |
営業CFは概ね安定した黒字を維持。FY2024/12は1,009億円と過去最高水準でしたが、FY2025/12は407億円に減少。投資CFは半導体CMP関連の設備投資やブラジルのジェルメッキ社買収で912億円と大幅増加しました。財務CFのプラスは借入金の調達を反映しており、成長投資フェーズにあることを示しています。
この会社のリスク
有価証券報告書に記載されている主なリスク要因です。投資判断の参考にしてください。
税金はいくら払ってる?
| 期 | 税引前利益 | 法人税等 | 実効税率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 583億円 | 0円 | 0.0% |
| FY2022/3 | 479億円 | 0円 | 0.0% |
| FY2023/3 | 498億円 | 0円 | 0.0% |
| FY2024/3 | 537億円 | 0円 | 0.0% |
| FY2025/3 | 528億円 | 0円 | 0.0% |
税引前利益は5年で625億円→1,100億円と1.8倍に拡大。実効税率は約30%で安定推移しており、大きな節税策や一時的な変動は見られません。FY2026/12予想では税引前利益1,250億円と過去最高を見込んでいます。
社員の給料はどのくらい?
| 期 | 平均年収 | 従業員数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 当期 | 980万円 | 21,148人 | - |
平均年収980万円は機械業界でトップクラスの高水準。従業員21,148名(連結)、平均年齢43.1歳、平均勤続年数14.4年。半導体装置や水インフラなど高度な技術力を持つエンジニアが多く、待遇にも反映されています。
誰がこの会社の株を持ってる?
金融機関27.4%+事業法人3.1%で安定株主約30%。外国人投資家の保有比率が高く、グローバルな機関投資家中心の株主構成
信託銀行経由の機関投資家が上位を占め、外国人投資家の比率が50%超と非常に高いのが特徴です。第3位のいちごトラスト(5.2%)は投資ファンドで、米サード・ポイントも保有を開示するなどアクティビストの注目度が高い銘柄です。日本生命保険が政策保有株主として安定株を担いますが、創業家の持分は既になく、経営は完全にプロ経営者体制です。
会社の公式開示情報
役員報酬
事業別の稼ぎ
| 事業名 | 売上 | 利益 | 利益率 |
|---|---|---|---|
| 精密・電子 | 約3,423億円 | 約578億円 | 約16.9% |
| 建築・産業 | 約2,419億円 | 約153億円 | 約6.3% |
| エネルギー | 約2,178億円 | 約259億円 | 約11.9% |
| 環境 | 約979億円 | 約130億円 | 約13.3% |
| インフラ | 約571億円 | 約47億円 | 約8.2% |
精密・電子セグメントが売上の36%・利益の50%超を稼ぐ最大の成長ドライバー。半導体CMP装置が生成AI需要で急成長し、利益率16.9%と突出しています。一方、エネルギーセグメント(11.9%)や環境セグメント(13.3%)も高利益率を維持。5セグメントによるバランスの良いポートフォリオで、水と半導体を二本柱とした成長戦略を推進中です。
この会社のガバナンスは?
指名委員会等設置会社で、社外取締役比率は70%と高水準。女性比率16.7%も機械業界では先進的です。2025年3月に細田修吾氏(元CFO)が社長に就任し、財務規律と成長投資のバランスを重視する経営体制に。設備投資は1,007億円で半導体CMP関連が中心です。
会社の計画は順調?
※ 会社が公表した計画に対する達成度の評価であり、投資についての評価・推奨ではありません
年度別の予想精度(計画を守れてる?)
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2025/12 | 1,030億円 | 1,120億円 | 1,138億円 | +1.6% |
| FY2024/12 | 900億円 | 960億円 | 980億円 | +2.1% |
当初予想 = 期初に会社が発表した数字 / 乖離 = 予想と実績のズレ(+なら上振れ)
2期連続で期初予想を上方修正し上振れ着地しており、経営陣の堅実かつ前向きな姿勢が評価されています。新中計E-Plan 2028は長期ビジョン「E-Vision 2035」の第一段階で、ROE 18%は現在の14.7%からの大幅な引き上げが求められます。半導体CMP事業の成長が計画達成の鍵を握ります。
株の売買状況と今後の予定
PERは23.4倍・PBRは3.98倍と、いずれも機械業界平均を大幅に上回っています。これは半導体CMP事業の成長性が評価されたプレミアム。信用倍率7.88倍と買い残が多く、個人投資家の強気ポジションが目立ちます。米サード・ポイントの参入もあり、バリュエーション議論が活発な銘柄です。
メディアでどれくらい注目されてる?
メディア露出
メディア分布
競合比較
どんな話題が多い?
最近の出来事
FY2025/12本決算発表。売上収益9,582億円・営業利益1,138億円で5期連続の過去最高を更新
長期ビジョン「E-Vision 2035」と新中計「E-Plan 2028」を発表。売上1.2兆円・営業利益率14.5%を目標
米有力アクティビストサード・ポイントが荏原株保有を開示。「米同業比で割安」と評価
社長交代。細田修吾氏(元CFO)が代表執行役社長CEOに就任。浅見正男前社長は会長に
FY2024/12本決算。営業利益980億円で4期連続最高益。半導体CMP装置が好調
最新ニュース
荏原製作所 まとめ
ひとめ診断
ポンプの世界的大手にして半導体CMP装置で世界シェア2位級。水と半導体で社会を支える
※ 本ページの情報は投資助言ではありません。掲載データは正確性を保証するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。
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