住友重機械工業
Sumitomo Heavy Industries, Ltd.
最終更新日: 2026年4月7日
別子銅山から始まった技術の系譜、精密減速機と重機で世界の産業を動かす住友グループの総合重機械メーカー
一流商品・一流サービスの提供を通じて、社会に対する責任を果たし、企業価値の向上を目指す。
この会社ってなに?
あなたが普段使うペットボトルや食品容器は、住友重機械工業の射出成形機で作られている可能性があります。また、回転寿司のレーンを動かす精密減速機や、ビルの建設現場で活躍するクレーン、街のごみ処理施設の焼却プラントにも同社の技術が使われています。さらに、半導体の製造工程で使われるイオン注入装置でも世界有数のシェアを持ち、スマートフォンやパソコンの性能向上を陰で支えています。目に見えにくい産業のインフラを幅広く支える、縁の下の力持ちです。
住友重機械工業は1888年に別子銅山の機械修理工場として創業し、現在は精密減速機、プラスチック射出成形機、産業用クレーン、油圧ショベル、環境プラント、造船など幅広い事業を展開する総合重機械メーカーです。2025年12月期は売上高1兆669億円、営業利益515億円を計上。中期経営計画2026では受注高1兆2,000億円、営業利益800億円を目標に掲げ、半導体関連装置やロボット用精密減速機など成長分野への投資を加速しています。一方で主力事業の収益性改善に向け、2026年2月には希望退職500人の募集を発表するなど構造改革にも着手しています。
会社概要
- 業種
- 機械
- 決算期
- 12月
- 本社
- 東京都品川区大崎2-1-1 ThinkPark Tower
- 公式
- www.shi.co.jp
社長プロフィール
当社は中期経営計画2026のもと、成長事業への集中投資と事業ポートフォリオの最適化を推進しています。半導体関連やロボティクスなど高成長分野での競争優位を強化しつつ、構造改革を通じた収益性の改善にも取り組み、持続的な企業価値の向上を目指してまいります。
この会社のストーリー
愛媛県の別子銅山で機械の修理工場として発足。住友家の事業として産業機械の歴史が始まった。
住友別子鉱山から分離独立し、住友機械製作株式会社として発足。本格的な機械メーカーへの道を歩み始めた。
浦賀重工業との合併を機に現社名に変更。造船・重機械の総合メーカーとしての体制を確立した。
サイクロ減速機の技術を発展させ、産業用ロボットの関節に使用される精密減速機を実用化。世界トップクラスのシェアを獲得した。
不採算事業からの撤退と成長分野への集中投資を加速。総合重工各社に先駆けて事業ポートフォリオの改革に取り組んだ。
グローバル経営の効率化を目的に決算期を3月から12月に変更。海外子会社との連結決算の一体化を実現した。
受注高1兆2,000億円・営業利益800億円の中計目標に向け、成長投資と希望退職募集による構造改革を同時に推進中。
注目ポイント
産業用ロボットの関節に不可欠なサイクロ減速機で世界有数のシェアを誇ります。ロボット需要の拡大に伴い、長期的な成長ドライバーとして期待されています。
イオン注入装置をはじめとする半導体製造装置でグローバルに事業を展開。半導体市場の構造的成長を取り込む技術基盤を持っています。
DOE3.5%以上・下限配当125円という明確な還元方針を掲げ、業績変動期でも減配を回避する姿勢を示しています。3年間で800億円規模の総還元計画も魅力です。
サービスの実績は?
ひとめ診断
配当・優待はもらえる?
| 期 | 1株配当 | 配当性向 |
|---|---|---|
| FY2016/3 | 16円 | 29.6% |
| FY2017/3 | 16円 | 29.2% |
| FY2019/3 | 112円 | 30.1% |
| FY2020/3 | 91円 | 34.0% |
| FY2021/3 | 65円 | 29.8% |
| FY2022/3 | 90円 | 190.7% |
| FY2023/3 | 120円 | 44.9% |
| FY2024/3 | 125円 | 195.7% |
| FY2025/3 | 125円 | 48.6% |
株主優待制度はありません。その代わり、配当と自社株買いによる株主還元を重視しています。
配当方針として、DOE(株主資本配当率)3.5%以上、下限配当125円を基本方針に掲げています。FY2022/12やFY2024/12は純利益が大幅に減少しましたが、下限配当の設定により減配を回避しました。中期経営計画では3年間で800億円規模の株主還元を計画しており、安定配当と機動的な自社株買いの両立を目指す方針です。
同業比較(収益性)
機械の同業他社平均と比べると…
業績推移
儲かってるの?
住友重機械工業は2022年に決算期を3月から12月に変更しました。FY2022/12は9か月の変則決算のため前年比較が困難ですが、FY2023/12では12か月通期で売上高1兆815億円と過去最高を更新しました。FY2024/12・FY2025/12は半導体関連の需要減や中国市場の低迷が響き、営業利益が伸び悩んでいます。FY2026/12は中期経営計画のもと、営業利益600億円への回復を見込んでいますが、中計最終目標の800億円には道半ばの状況です。
事業ごとの売上・利益
精密減速機、射出成形機、工作機械など。ロボット用サイクロ減速機は世界トップシェア。
環境プラント、産業機械、エネルギー関連設備など。ごみ焼却プラントで国内有力。
油圧ショベル、クレーン、物流システムなど。建設機械は国内外で展開。
造船、発電設備、水処理システムなど。住友重機械マリンエンジニアリングが造船を担当。
半導体関連装置(イオン注入装置)、検査装置など。
稼ぐ力はどのくらい?
| 期 | ROE | ROA | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 15.6% | 4.0% | - |
| FY2022/3 | 1.0% | 0.5% | - |
| FY2023/3 | 4.6% | 2.7% | - |
| FY2024/3 | 9.5% | 0.6% | 5.1% |
| FY2025/3 | 18.0% | 2.3% | 4.8% |
営業利益率は概ね5〜7%で推移しており、重機械メーカーとしては標準的な水準です。ROEはFY2022/12とFY2024/12に大幅に低下していますが、これは一時的な減損処理や事業再編費用の計上によるもので、通常期は5%前後を確保しています。中期経営計画ではROIC7%を目標に掲げており、資本効率の改善が今後の重要課題です。
財務は安全?
総資産は1兆3,200億円規模で、自己資本比率は50%超を安定的に維持しており、財務健全性は高い水準を保っています。BPS(1株当たり純資産)は5,672円と堅調に増加しており、資産の蓄積が進んでいます。有利子負債のデータは開示ベースで未反映ですが、ネットキャッシュ体質であり、積極的な投資や株主還元を支える十分な財務基盤を有しています。
お金の流れは?
| 期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | FCF |
|---|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 617億円 | -497億円 | -281億円 | 120億円 |
| FY2022/3 | 214億円 | -373億円 | 217億円 | -159億円 |
| FY2023/3 | 654億円 | -433億円 | -172億円 | 221億円 |
| FY2024/3 | 128億円 | -495億円 | 419億円 | -367億円 |
| FY2025/3 | 637億円 | -594億円 | -71.5億円 | 43.1億円 |
営業キャッシュフローは年度によって振れ幅がありますが、通常期は600億円規模を安定的に生み出しています。FY2024/12の低下は運転資本の増加や一時的な事業再編費用が影響したものです。投資キャッシュフローは毎年400〜600億円のマイナスで、半導体関連装置や海外拠点への積極投資を反映しています。フリーキャッシュフローの安定化が中計達成のカギとなります。
この会社のリスク
有価証券報告書に記載されている主なリスク要因です。投資判断の参考にしてください。
税金はいくら払ってる?
| 期 | 税引前利益 | 法人税等 | 実効税率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 648億円 | 208億円 | 32.1% |
| FY2022/3 | 433億円 | 375億円 | 86.6% |
| FY2023/3 | 703億円 | 375億円 | 53.4% |
| FY2024/3 | 492億円 | 415億円 | 84.3% |
| FY2025/3 | 473億円 | 164億円 | 34.6% |
実効税率は年度によって大きく変動しており、FY2022/12やFY2024/12には80%超と異常に高い水準となっています。これは海外子会社の減損や繰延税金資産の取崩しといった一時的な税務要因によるものです。FY2025/12は34.6%と正常水準に回復しており、今後はグローバルな税務戦略の最適化が期待されます。
社員の給料はどのくらい?
| 期 | 平均年収 | 従業員数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 当期 | 857万円 | 25,123人 | - |
誰がこの会社の株を持ってる?
外国法人の保有比率が高く、浮動株比率が60%と比較的高い水準です。住友グループ企業による安定保有が下支えしています。
大株主には日本マスタートラスト信託銀行(16.63%)や日本カストディ銀行(9.08%)が上位を占め、機関投資家による保有割合が高い構成です。外国法人の持分が37.6%と高く、英Silchester International Investorsなど海外バリュー投資家の存在感が目立ちます。住友生命保険や住友重機械工業共栄会といった住友グループの安定株主も一定割合を維持しています。
会社の公式開示情報
役員報酬
事業別の稼ぎ
| 事業名 | 売上 | 利益 | 利益率 |
|---|---|---|---|
| メカトロニクス | 3,280億円 | 220億円 | 6.7% |
| インダストリアルプロセス | 2,150億円 | 135億円 | 6.3% |
| ロジスティクス&コンストラクション | 2,620億円 | 95億円 | 3.6% |
| エネルギー&ライフライン | 1,800億円 | 48億円 | 2.7% |
| その他 | 820億円 | 17億円 | 2.1% |
メカトロニクスが売上構成の約31%を占め、精密減速機と射出成形機が収益の柱です。営業利益率はメカトロニクスが6.7%と最も高く、成長ドライバーとなっています。エネルギー&ライフラインは造船事業の構造改革が課題で利益率は低水準です。事業リスクとしては半導体市場の景気循環や為替変動、原材料高が主要な懸念材料であり、多角化された事業ポートフォリオによるリスク分散が経営上の強みとなっています。
この会社のガバナンスは?
この株を持っていたら儲かった?
この会社の株主総利回り(TSR)を、日本株全体の平均(TOPIX)と比較したグラフです。青い線が上にあるほど、平均より良い成績を出しています。
同社のTSR(株主総利回り)は5年間で245.5%と、絶対値では高いパフォーマンスを示しています。しかしTOPIXの277.3%を約32ポイント下回っており、相対的にはアンダーパフォームです。FY2023にはTOPIXを上回る局面もありましたが、その後の利益低迷と構造改革への懸念から市場平均に対して劣後する展開となりました。中計2026の目標達成がTSR改善のカギを握ります。
※ 配当を含まない株価ベースのリターンです。過去の実績であり、将来のリターンを保証・示唆するものではありません。
もし5年前に投資していたら?
| 年度末時点 | 評価額 | 損益 | TSR |
|---|---|---|---|
| FY2021 | 153.7万円 | +53.7万円 | 53.7% |
| FY2022 | 149.4万円 | +49.4万円 | 49.4% |
| FY2023 | 202.2万円 | +102.2万円 | 102.2% |
| FY2024 | 192.7万円 | +92.7万円 | 92.7% |
| FY2025 | 245.5万円 | +145.5万円 | 145.5% |
※ 有価証券報告書記載のTSR(株主総利回り)に基づく仮定の計算です。配当再投資を含みます。将来のリターンを保証するものではありません。
株の売買状況と今後の予定
PBRは0.88倍と1倍割れの状態が続いており、市場は同社の資産価値に対して慎重な評価をしています。一方で配当利回りは2.89%と機械セクター平均を上回り、DOE基準の安定配当が評価されています。信用倍率は31倍超と買い残が大幅に上回る状況で、短期的な需給面では売り圧力に注意が必要です。構造改革の進捗次第でPBR改善が期待されます。
メディアでどれくらい注目されてる?
メディア露出
メディア分布
競合比較
どんな話題が多い?
最近の出来事
2026年春闘でベースアップ1万6,000円の満額回答を実施。4年連続の満額回答で人材確保への姿勢を鮮明にしました。
主力事業の収益性低下を受け、55歳以上を対象に希望退職500人を募集すると発表。構造改革を加速させています。
蒸気タービン・ポンプメーカーの新日本造機を酉島製作所に売却。事業ポートフォリオの見直しを推進しています。
北米サプライチェーン強化のため米Riverside Spline & Gear社を買収。精密歯車の製造能力を拡大しました。
東北大発スタートアップのサウンドウェーブイノベーションとアルツハイマー向け治療機器で資本業務提携を発表。
最新ニュース
住友重機械工業 まとめ
ひとめ診断
「減速機と射出成形機で世界トップクラス、住友グループの総合重機械メーカーが構造改革で次の成長へ」
※ 本ページの情報は投資助言ではありません。掲載データは正確性を保証するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。
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