新日本電工
Nippon Denko Co.,Ltd.
最終更新日: 2026年3月28日
鉄鋼の巨人から、EV・環境分野のキープレイヤーへ変革する素材メーカー
2030年に向けて成長分野への戦略投資を加速させ、売上高1,100億円・ROE10%以上を達成します。これにより、持続的な成長を通じて豊かな未来の創造に貢献する企業を目指します。
この会社ってなに?
あなたが普段乗っている自動車や電車、そして街で見かける頑丈なビル。それらの鉄製品がなぜ錆びにくく、強靭なのか、その秘密の一つが新日本電工の作る「合金鉄」です。鉄に特殊な金属を混ぜることで、より高性能な素材に生まれ変わらせています。さらに、最近では電気自動車(EV)のバッテリー性能を向上させる材料も開発しており、目には見えないところで、あなたの生活をより安全で、環境に優しいものにするための技術を提供している会社です。
新日本電工は日本製鉄を筆頭株主とする合金鉄の国内最大手です。FY2025の連結業績は売上高772.8億円、営業利益51.61億円と、市況の軟化により減収減益となりました。主力の合金鉄事業が業績の鍵を握りますが、今後はEV向け電池材料などを手掛ける機能材料事業を成長ドライバーと位置付けています。会社は2026年12月期に経常利益のV字回復(前期比2.2倍)を計画しており、収益性の改善が市場の注目点です。
会社概要
- 業種
- 鉄鋼
- 決算期
- 12月
- 本社
- 東京都中央区八重洲1丁目4-16 東京建物八重洲ビル 4F
- 公式
- www.nippondenko.co.jp
社長プロフィール
当社は合金鉄事業を中核としながら、機能材料、環境、電力の4事業を柱に成長を目指しています。素材と環境の分野で人々の暮らしを支え、特徴ある製品と技術で豊かな未来の創造に貢献してまいります。
この会社のストーリー
新潟県中頸城郡において、特殊合金鉄の製造を目的として「中央電気工業株式会社」が設立される。日本の産業発展の礎を築く第一歩であった。
戦後の復興期を経て、企業としての基盤を固め、東京証券取引所に株式を上場。社会からの信頼を得て、さらなる成長への道を開いた。
事業の多角化と国際的な展開を見据え、社名を「日本電工株式会社」に変更。新たなアイデンティティと共に、次なるステージへと進出した。
長年培った技術を応用し、リチウムイオン電池負極材などの機能材料事業に本格的に進出。今日の成長の柱となる事業の芽が生まれた。
新日本製鐵との戦略的な資本業務提携に合意。合金鉄事業の競争力強化と企業価値向上を目指す重要な転換点となった。
提携関係をより明確にし、グループとしての連携を深めるため、商号を現在の「新日本電工株式会社」に変更。新たな歴史が始まった。
「4Cores+Growth」を基本方針に、成長分野へ積極投資。売上高1,100億円・ROE10%以上を目標に、豊かな未来の創造に貢献し続ける。
注目ポイント
合金鉄の最大手でありながら、EV向け電池材料などの機能材料事業を強化。時代のニーズを捉え、持続的な成長を目指す将来性が魅力です。
業績に応じた配当を継続的に実施しており、株主への還元に積極的です。2024年12月期は年間11円の配当を予定しており、安定したインカムゲインが期待できます。
焼却灰の資源化など、環境事業にも注力しています。素材メーカーとしての技術力を活かし、サステナブルな社会の実現に貢献している企業です。
サービスの実績は?
ひとめ診断
配当・優待はもらえる?
| 期 | 1株配当 | 配当性向 |
|---|---|---|
| FY2016/3 | 5円 | 0.3% |
| FY2017/3 | 13円 | 23.8% |
| FY2018/3 | 5円 | 31.1% |
| FY2019/3 | 0円 | 0.0% |
| FY2020/3 | 5円 | 28.0% |
| FY2021/3 | 16円 | 30.2% |
| FY2022/3 | 17円 | 31.2% |
| FY2023/3 | 9円 | 28.3% |
| FY2024/3 | 11円 | 48.0% |
| FY2025/3 | 12円 | 112.1% |
現在、株主優待制度は実施していません。
配当方針として「安定的な配当の継続」を重視しており、業績動向を見極めながら株主への利益還元を行っています。近年は純利益の変動により配当性向が一時的に高まる局面もありますが、強固な財務基盤をベースに持続可能な還元を意識した経営を行っています。今後は業績回復に伴う配当水準の向上と、資本効率を重視した還元政策に期待が寄せられます。
同業比較(収益性)
鉄鋼の同業他社平均と比べると…
業績推移
儲かってるの?
新日本電工の業績は、主力である合金鉄事業の市況変動の影響を強く受けて推移しています。FY2022/3には売上高約793億円、営業利益約88億円を達成しましたが、その後は原材料価格の高騰や需要の停滞により利益面で苦戦が続いています。直近のFY2025/3決算では純利益が約14億円まで減少しており、今後は成長分野への投資を通じた収益構造の転換が急務となっています。
稼ぐ力はどのくらい?
| 期 | ROE | ROA | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 12.0% | 8.1% | - |
| FY2022/3 | 10.5% | 7.6% | - |
| FY2023/3 | 9.3% | 4.3% | - |
| FY2024/3 | 8.3% | 3.1% | 8.8% |
| FY2025/3 | 4.2% | 1.5% | 6.7% |
収益性については、FY2021/3時点ではROE12.1%、営業利益率12.8%と高い水準を誇っていましたが、近年の業績低下に伴い指標が悪化しています。特にFY2025/3にはROEが2.0%、ROAが1.5%まで低下しており、資本効率の改善が喫緊の課題です。事業環境の厳しさが利益率を圧迫していますが、機能材料事業など高付加価値製品の拡大による収益性向上が期待されます。
財務は安全?
財務の健全性は、自己資本比率が70%を超える水準で維持されており、極めて強固な基盤を有しています。FY2024/3から有利子負債約283億円が発生しましたが、FY2025/3には約214億円まで圧縮されており、規律ある財務運営によって強固な財務体質が保たれています。潤沢な自己資本を背景に、成長投資と株主還元の両立を目指す戦略が可能です。
お金の流れは?
| 期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | FCF |
|---|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 52.5億円 | -22.1億円 | -29.2億円 | 30.4億円 |
| FY2022/3 | 62.8億円 | -45.9億円 | -26.8億円 | 16.9億円 |
| FY2023/3 | 87.8億円 | -46.7億円 | -52.4億円 | 41.1億円 |
| FY2024/3 | 59.6億円 | -48.5億円 | -30.6億円 | 11.1億円 |
| FY2025/3 | 146億円 | -55.8億円 | -89.1億円 | 89.9億円 |
営業キャッシュフローは安定的にプラスを維持しており、FY2025/3には約146億円と大幅なキャッシュ創出を実現しました。潤沢な営業CFを原資として、成長に向けた投資や有利子負債の返済を計画的に実行しています。投資活動においても継続的に資金を投じており、将来的にはフリーキャッシュフローをさらに高める体制が整いつつあります。
この会社のリスク
有価証券報告書に記載されている主なリスク要因です。投資判断の参考にしてください。
税金はいくら払ってる?
| 期 | 税引前利益 | 法人税等 | 実効税率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 68.7億円 | 0円 | 0.0% |
| FY2022/3 | 104億円 | 24.2億円 | 23.3% |
| FY2023/3 | 24.2億円 | 0円 | 0.0% |
| FY2024/3 | 48.6億円 | 17.1億円 | 35.3% |
| FY2025/3 | 27.0億円 | 12.8億円 | 47.5% |
法人税等の支払いは各期の税引前利益に連動して変動していますが、繰越欠損金の活用や税務上の調整により実効税率が標準を下回る年もあります。FY2025/3においては実効税率が47.5%と高く算出されていますが、これは特定の会計処理や調整項目による影響と考えられます。業績の推移に応じて納税額は適正に管理されており、税務コストのコントロールは安定しています。
社員の給料はどのくらい?
| 期 | 平均年収 | 従業員数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 当期 | 758万円 | 964人 | - |
平均年収は758万円となっており、日本の製造業や素材産業と比較して十分に高水準な給与体系を維持しています。合金鉄事業という専門性の高い領域での収益安定化が、この報酬水準を支える背景にあると考えられます。
誰がこの会社の株を持ってる?
安定株主が一定の割合を占めており、経営基盤は比較的安定しています。 個人投資家の保有比率が高く、株主優待や配当の注目度が高い銘柄です。 主な安定株主は日本製鉄。
日本製鉄株式会社が24.29%を保有する筆頭株主であり、強固な資本提携関係にあります。信託銀行等の機関投資家が上位を占める一方で、従業員持株会や取引先持株会が存在しており、安定株主による経営の安定性が高い構成と言えます。
会社の公式開示情報
役員報酬
主な事業は合金鉄、機能材料、環境、電力の4セグメントで構成されています。鉄鋼業界の景気動向や原料価格・為替変動が業績に直結するリスクを抱えており、これら外部環境の変化に対し、いかに高付加価値製品へシフトできるかが今後の課題となります。
この会社のガバナンスは?
女性役員比率は9.1%と改善の余地があるものの、社外取締役の登用や役員人事・報酬会議の設置など、透明性の高い経営体制の構築に注力しています。連結子会社5社を擁し、事業のリスク管理を組織的に行う体制が整えられています。
会社の計画は順調?
※ 会社が公表した計画に対する達成度の評価であり、投資についての評価・推奨ではありません
年度別の予想精度(計画を守れてる?)
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2025 | 未開示 | — | 27億円 | -44.4% |
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2024 | 未開示 | — | 31億円 | 未開示 |
| FY2023 | 未開示 | — | 44億円 | 未開示 |
| FY2022 | 未開示 | — | 79億円 | 未開示 |
| FY2021 | 60億円 | — | 78億円 | +29.5% |
当初予想 = 期初に会社が発表した数字 / 乖離 = 予想と実績のズレ(+なら上振れ)
現在、同社は明確な中期経営計画を開示していませんが、2026年12月期の業績目標として経常利益60億円(前期比2.2倍)というV字回復計画を掲げています。これは市況の回復を前提とした野心的な目標です。過去に第7次中計が存在しましたが詳細は不明で、計画達成力は未知数な部分が多く、今後の情報開示が待たれます。
この株を持っていたら儲かった?
この会社の株主総利回り(TSR)を、日本株全体の平均(TOPIX)と比較したグラフです。青い線が上にあるほど、平均より良い成績を出しています。
過去5年間のTSR(株主総利回り)は、FY2022を除き、一貫して市場平均であるTOPIXをアンダーパフォームしています。これは、主力の合金鉄事業が鉄鋼市況の変動を大きく受けるため、安定的な利益成長と株価上昇を実現しにくかったことが背景にあります。株価は市況回復局面で大きく上昇するものの、配当を含めたトータルリターンでは市場平均に劣後する期間が長かったことを示唆しています。
※ 配当を含まない株価ベースのリターンです。過去の実績であり、将来のリターンを保証・示唆するものではありません。
もし5年前に投資していたら?
| 年度末時点 | 評価額 | 損益 | TSR |
|---|---|---|---|
| FY2021 | 104.7万円 | +4.7万円 | 4.7% |
| FY2022 | 130.4万円 | +30.4万円 | 30.4% |
| FY2023 | 108.0万円 | +8.0万円 | 8.0% |
| FY2024 | 114.7万円 | +14.7万円 | 14.7% |
| FY2025 | 143.1万円 | +43.1万円 | 43.1% |
※ 有価証券報告書記載のTSR(株主総利回り)に基づく仮定の計算です。配当再投資を含みます。将来のリターンを保証するものではありません。
株の売買状況と今後の予定
PBRは0.73倍と業界平均並みで、資産価値から見ると割安感があります。一方でPERは39.1倍と業界平均を大きく上回っており、これは将来の業績回復を織り込んでいる可能性があります。信用買残が売り残を大幅に上回る信用倍率7.56倍となっており、将来の株価上昇を見込む個人投資家が多い一方、需給面での重しとなる可能性も指摘されます。
メディアでどれくらい注目されてる?
メディア露出
メディア分布
競合比較
どんな話題が多い?
最近の出来事
2025年12月期の連結経常利益が44.4%減の27億円となる減益決算を発表しました。
経営効率化の一環として、100%子会社である中電産業の株式を鴻池運輸へ譲渡しました。
茨城高専とのネーミングライツ契約により、「新日本電工eng創造スクエア」等の愛称で施設運用を開始しました。
最新ニュース
新日本電工 まとめ
ひとめ診断
「鉄鋼の巨人を支える合金鉄の雄が、EV向け電池材料で次なる成長エンジンに点火」
※ 本ページの情報は投資助言ではありません。掲載データは正確性を保証するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。
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