東京製鐵
TOKYO STEEL MANUFACTURING CO.,LTD.
最終更新日: 2026年3月28日
鉄スクラップを宝に。脱炭素時代の電炉トップランナー
鉄スクラップの高度なリサイクルによる「資源の循環」を確立し、持続可能な社会の構築に貢献する、世界最大級の電炉メーカーを目指す。
この会社ってなに?
あなたが毎日利用する駅のホームやオフィスビル、高速道路などの巨大な建造物。その骨組みとして使われているH形鋼などの鉄骨は、東京製鐵が作っているかもしれません。同社の特徴は、使い古された自動車や家電といった「鉄スクラップ」を原料に、電気の力で溶かして新しい鉄製品へと生まれ変わらせている点です。この「電炉」という方法は、鉄鉱石から鉄を作る高炉に比べてCO₂排出量を大幅に削減できるため、非常に環境に優しい製造プロセスです。あなたがリサイクルに出した鉄製品が、姿を変えて未来の街づくりを支えている。その裏側で東京製鐵は活躍しています。
独立系電炉メーカー首位の東京製鐵は、FY2025決算で売上高3,267.8億円、営業利益301.05億円と鋼材市況の軟化により減収減益で着地しました。続くFY2026も会社予想では売上高3,050億円、営業利益190億円と厳しい見通しですが、年間配当は50円を維持し、安定した株主還元姿勢を示しています。鉄スクラップを主原料とする同社のビジネスモデルは脱炭素化の潮流に合致しており、低CO₂鋼材「ほぼゼロ」などの高付加価値製品が中長期的な成長ドライバーとして期待されます。
会社概要
- 業種
- 鉄鋼
- 決算期
- 3月
- 本社
- 東京都千代田区霞が関3丁目7番1号霞が関東急ビル
- 公式
- www.tokyosteel.co.jp
社長プロフィール

当社は『鉄の生産を通して社会の持続的な発展に貢献する』ことを経営の基本方針としています。脱炭素社会の実現に向け、鉄スクラップをリサイクルする電炉メーカーとしての役割はますます重要になっています。これからも独立系メーカーとして機動的かつ柔軟な経営を実践し、持続可能な社会の実現に貢献していきます。
この会社のストーリー
池谷伊佐夫が東京都足立区千住に東京製鐵株式会社を設立。鉄鋼業への挑戦が始まる。
西日本初の本格的な電炉工場として岡山工場が操業開始。H形鋼の生産を開始し、事業拡大の礎を築く。
九州工場が操業を開始し、生産拠点を全国に拡大。多様なニーズに応える生産体制を強化する。
ホットコイル(熱延広幅帯鋼)の生産を開始し、薄板分野に進出。製品ラインナップを大幅に拡充する。
世界最大級の電炉プラントである田原工場が全面稼働。高品質な自動車用鋼板などの生産を可能にし、技術力を示す。
2050年のカーボンニュートラル実現を目指す新たな環境ビジョンを発表。脱炭素社会への貢献を明確に打ち出す。
製造工程でのCO₂排出量を実質ゼロに近づけた新鋼材「ほぼゼロ」を発表。歌手の小林幸子さんを起用したPRで話題に。
注目ポイント
鉄スクラップを100%リサイクルして新たな鉄鋼製品を生み出す「電炉メーカー」。限りある資源を有効活用し、持続可能な社会に貢献しています。
業界に先駆けてCO₂排出量を大幅に削減した鋼材「enviro-steel」や「ほぼゼロ」を開発。環境意識の高まりを追い風に成長が期待されます。
大手系列に属さない独立系メーカーとして、機動的で柔軟な価格戦略と経営判断が強み。「業界の暴れん坊」とも称されたチャレンジ精神で市場を切り拓きます。
サービスの実績は?
ひとめ診断
配当・優待はもらえる?
| 期 | 1株配当 | 配当性向 |
|---|---|---|
| FY2016/3 | 8円 | 6.2% |
| FY2017/3 | 10円 | 12.9% |
| FY2018/3 | 10円 | 12.7% |
| FY2019/3 | 13円 | 11.8% |
| FY2020/3 | 15円 | 14.5% |
| FY2021/3 | 16円 | 33.3% |
| FY2022/3 | 25円 | 9.3% |
| FY2023/3 | 40円 | 14.7% |
| FY2024/3 | 50円 | 19.7% |
| FY2025/3 | 50円 | 25.3% |
現在、株主優待制度は実施していません。
当社の配当方針は業績連動を基本としつつ、株主への積極的な利益還元を重視して配当額を決定しています。直近では安定的な水準として年間50円の配当を継続しており、配当性向は20%台後半で安定的に推移しています。強固な財務体質を背景に、長期的かつ安定的な配当維持が株主還元における中心的な指針となっています。
同業比較(収益性)
鉄鋼の同業他社平均と比べると…
業績推移
儲かってるの?
当社の業績は、鋼材価格の上昇局面で売上高が3,600億円規模まで拡大しましたが、原材料価格の変動や市況の軟化により、足元では減収減益基調となっています。FY2025/3には売上高約3,268億円、営業利益約301億円を確保しました。今後は高付加価値化や貿易DXの推進により、収益基盤の安定化を目指しています。
稼ぐ力はどのくらい?
| 期 | ROE | ROA | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 4.5% | - | - |
| FY2022/3 | 22.1% | - | - |
| FY2023/3 | 18.3% | - | - |
| FY2024/3 | 14.6% | 9.0% | 10.4% |
| FY2025/3 | 10.2% | 7.2% | 9.2% |
過去数年間、鉄鋼市況の追い風により営業利益率が一時10%を超える高い水準で推移していましたが、市況の落ち着きとともに現在は10%前後で推移しています。自己資本利益率(ROE)もかつての20%超から10%程度へと落ち着きを見せています。効率的な生産体制を維持しつつ、持続的な利益創出に向けた高付加価値鋼材へのシフトが進められています。
財務は安全?
当社は強固な財務体質を有しており、実質無借金経営を実現している点が最大の特徴です。総資産は約2,930億円、自己資本比率は70%を超えており、極めて高い財務健全性を保っています。この盤石な資産背景が、不透明な市況下においても安定的な事業投資や株主還元を継続する原動力となっています。
お金の流れは?
| 期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | FCF |
|---|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 75.8億円 | -89.5億円 | -72.2億円 | -13.7億円 |
| FY2022/3 | 269億円 | -96.8億円 | -74.8億円 | 172億円 |
| FY2023/3 | 398億円 | -119億円 | -117億円 | 279億円 |
| FY2024/3 | 534億円 | -182億円 | -81.4億円 | 352億円 |
| FY2025/3 | 196億円 | -219億円 | -138億円 | -22.9億円 |
営業キャッシュフローは概ね堅調に推移し、多額のフリーキャッシュフロー創出能力を有しています。潤沢な資金を背景に積極的な設備投資を行う一方、財務の健全性を維持するため財務キャッシュフローは継続的にマイナスとなっており、借入金の返済や株主還元に充当されています。一時的なFCFのマイナスは、将来の成長に向けた戦略的投資による支出が主因です。
この会社のリスク
有価証券報告書に記載されている主なリスク要因です。投資判断の参考にしてください。
税金はいくら払ってる?
| 期 | 税引前利益 | 法人税等 | 実効税率 |
|---|---|---|---|
| FY2024/3 | 397億円 | 118億円 | 29.6% |
| FY2025/3 | 316億円 | 104億円 | 32.9% |
FY2021/3は繰越欠損金の解消等により税負担が軽微でしたが、業績拡大に伴い税引前利益が300億円から400億円規模に達したFY2023/3以降は、実効税率が法定実効税率に近い30%前後の水準で推移しています。これは安定的な利益計上により、適正な法人税納付が行われていることを示しています。
社員の給料はどのくらい?
| 期 | 平均年収 | 従業員数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 当期 | 871万円 | 1,135人 | - |
従業員平均年収は871万円と、製造業の中でも高水準を維持しています。鉄鋼業界は市況変動の影響を受けやすいものの、利益を給与へ還元する方針が背景にあり、勤続年数も16.7年と長く、安定した雇用環境が整っていることが窺えます。
誰がこの会社の株を持ってる?
安定株主が一定の割合を占めており、経営基盤は比較的安定しています。 事業法人の持合い比率が高く、安定した株主構成が特徴です。 主な安定株主は公益財団法人池谷科学技術振興財団・宜本興産。
創業家関連の資産管理会社である合同会社TOSや公益財団法人池谷科学技術振興財団が上位株主に名を連ねており、創業家や安定株主の影響力が強い構成です。一方で日本マスタートラスト信託銀行などの信託口も一定の割合を保有しており、機関投資家の関与も見られます。
会社の公式開示情報
役員報酬
事業内容は鉄鋼事業の単一セグメントですが、電炉メーカーの独立系首位として建材や熱延鋼板を展開しています。主なリスクとして、原材料となる鉄スクラップの価格変動や、製品の主戦場である建設需要の低迷、ならびに脱炭素に向けた環境対応コストの増大が挙げられます。
この会社のガバナンスは?
社外取締役を登用し経営の透明性を図っており、女性役員比率は20.0%を達成しています。電炉業界のリーディングカンパニーとして、環境負荷低減に向けた技術革新を推進しており、ガバナンス体制においては多様性の確保と持続可能な成長を目指す経営基盤が構築されています。
会社の計画は順調?
※ 会社が公表した計画に対する達成度の評価であり、投資についての評価・推奨ではありません
年度別の予想精度(計画を守れてる?)
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2025 | 3,700億円 | 3,300億円 | 3,268億円 | -11.7% |
| FY2024 | 3,850億円 | — | 3,672億円 | -4.6% |
| FY2023 | 4,000億円 | — | 3,612億円 | -9.7% |
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2025 | 300億円 | 250億円 | 301億円 | +0.4% |
| FY2024 | 300億円 | — | 381億円 | +26.9% |
| FY2023 | 300億円 | — | 381億円 | +26.9% |
当初予想 = 期初に会社が発表した数字 / 乖離 = 予想と実績のズレ(+なら上振れ)
同社は具体的な中期経営計画を開示していませんが、毎期の業績予想が実質的な経営目標となります。近年の業績予想を見ると、売上高は市況の変動を受けやすく、期初予想に届かないケースが散見されます。一方で、営業利益は機動的な価格政策やコストコントロールが奏功し、予想を上回って着地することが多く、収益確保への意識の高さがうかがえます。FY2026も厳しい外部環境を見込んでいますが、利益目標の達成力が今後の評価の鍵となります。
この株を持っていたら儲かった?
この会社の株主総利回り(TSR)を、日本株全体の平均(TOPIX)と比較したグラフです。青い線が上にあるほど、平均より良い成績を出しています。
過去5年間のTSR(株主総利回り)は、FY2021を除き、一貫してTOPIXを上回るアウトパフォームを記録しています。特にFY2023からFY2024にかけては、資源価格の高騰を製品価格に転嫁し、高い収益性を実現したことで株価が大きく上昇しました。FY2025は市況軟化で株価がやや調整したものの、安定配当を維持したことでTOPIXを上回るパフォーマンスを維持しています。これは、同社の機動的な経営と株主還元姿勢が市場から評価されている証左と言えるでしょう。
※ 配当を含まない株価ベースのリターンです。過去の実績であり、将来のリターンを保証・示唆するものではありません。
もし5年前に投資していたら?
| 年度末時点 | 評価額 | 損益 | TSR |
|---|---|---|---|
| FY2021 | 127.7万円 | +27.7万円 | 27.7% |
| FY2022 | 178.3万円 | +78.3万円 | 78.3% |
| FY2023 | 214.1万円 | +114.1万円 | 114.1% |
| FY2024 | 265.5万円 | +165.5万円 | 165.5% |
| FY2025 | 261.8万円 | +161.8万円 | 161.8% |
※ 有価証券報告書記載のTSR(株主総利回り)に基づく仮定の計算です。配当再投資を含みます。将来のリターンを保証するものではありません。
株の売買状況と今後の予定
鉄鋼業界全体がPBR1倍割れの「割安」と評価される中、同社のPERとPBRは業界平均をやや上回っており、電炉メーカーとしての将来性や環境貢献度が市場から一定の評価を受けていると見られます。信用倍率は5.34倍と買い残が優勢で、株価上昇への期待感が見受けられます。ただし、業界平均と比べて配当利回りがやや低い点は注意が必要です。
メディアでどれくらい注目されてる?
メディア露出
メディア分布
競合比較
どんな話題が多い?
最近の出来事
自己株式の取得を完了し、株主還元への姿勢を明確化。
通期業績予想の下方修正を発表し、市場の失望を誘う結果となった。
クラウドサービス「Trade Hub」の導入で貿易実務の効率化を推進。
最新ニュース
東京製鐵 まとめ
ひとめ診断
「『業界の暴れん坊』と称された電炉の雄が、脱炭素を追い風にリサイクル鋼材で市場をリードする」
※ 本ページの情報は投資助言ではありません。掲載データは正確性を保証するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。
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