大和工業
YAMATO KOGYO CO.,LTD.
最終更新日: 2026年3月22日
電炉で世界を鍛える、鉄のグローバルニッチトップ企業
電炉によるリサイクル型の鉄鋼生産を軸に、グローバルな合弁事業ネットワークを活用して世界のインフラを支え、持続可能な鉄づくりのリーディングカンパニーとなること。
この会社ってなに?
大和工業グループが生産するH形鋼は、ビルや橋梁、物流倉庫などの建築・土木インフラの骨組みとして幅広く使われています。また、鉄道のレールを固定するタイプレートや分岐器などの軌道用品も手がけており、日々の鉄道運行を裏方で支えています。さらにグループのヤマトスチールが展開する環境配慮型鋼材「+Green」は、CO2削減と森林保全を両立する次世代の鉄づくりとして注目されています。
FY2025/3の売上高は1,682億円、営業利益は114億円と減益基調ですが、米国Nucor-Yamatoや韓国・タイなど海外持分法適用会社の利益貢献が大きく、経常利益は544億円と営業利益の約5倍に達する独特の収益構造を持ちます。FY2026/3予想は売上高1,640億円・営業利益60億円とさらに減益を見込むものの、純利益は政策保有株式の売却益により前期比67%増の530億円への上方修正を発表。自己資本比率は84.8%と鉄鋼業界トップクラスの財務健全性を維持し、実質無借金経営を継続しています。配当は年間400円(最低配当額300円を保証)、配当利回り3.31%と株主還元にも積極的です。
会社概要
- 業種
- 鉄鋼
- 決算期
- 3月
- 本社
- 兵庫県姫路市大津区吉美380番地
- 公式
- www.yamatokogyo.co.jp
社長プロフィール
「鉄で未来を 未来の鉄を」をミッションに、電炉によるリサイクル型の鉄づくりを通じて持続可能な社会の実現に貢献してまいります。グローバルに展開する合弁事業のネットワークを活かし、世界各地で鉄の可能性を追求し続けます。
この会社のストーリー
兵庫県姫路市で創業。戦後復興期の日本に鉄鋼製品を供給し、国内インフラの整備に貢献しました。
米国鉄鋼大手Nucorと合弁でNucor-Yamato Steelを設立。H形鋼の北米市場進出を果たし、海外事業の礎を築きました。
タイ・韓国・ベトナム・サウジアラビアに合弁会社を設立し、グローバルな鉄鋼ネットワークを構築しました。
海外持分法適用会社の利益拡大と鋼材市況の好転により、連結純利益が過去最高を記録しました。
子会社ヤマトスチールが環境配慮型鋼材「+Green」を開発・展開し、CO2削減と森林保全を両立する新たな価値を創造。
中期経営計画の最終ステップとして、電炉型鉄鋼メーカーとしてのグローバルリーダーシップ確立を目指します。
注目ポイント
米Nucor-Yamatoをはじめ、韓国・タイ・ベトナム・サウジアラビアなどに合弁事業を展開。営業利益の数倍の利益を持分法で稼ぐ独自のビジネスモデルが最大の強みです。
実質無借金経営と自己資本比率84%超の盤石な財務基盤を持ち、不況時にも安定した配当を維持できる体力があります。年間最低配当300円の保証は投資家に安心感を与えます。
鉄スクラップを原料とする電炉方式は、高炉方式と比べてCO2排出量が大幅に少なく、環境配慮型鋼材「+Green」の展開で脱炭素社会の実現に先駆けて取り組んでいます。
サービスの実績は?
ひとめ診断
配当・優待はもらえる?
| 期 | 1株配当 | 配当性向 |
|---|---|---|
| FY2016/3 | 45円 | 20.3% |
| FY2017/3 | 50円 | 29.5% |
| FY2018/3 | 50円 | 27.3% |
| FY2019/3 | 65円 | 19.1% |
| FY2020/3 | 100円 | 45.3% |
| FY2021/3 | 80円 | 106.3% |
| FY2022/3 | 160円 | 25.9% |
| FY2023/3 | 300円 | 29.3% |
| FY2024/3 | 400円 | 36.4% |
| FY2025/3 | 400円 | 79.6% |
株主優待制度はありません
FY2021/3の80円からFY2024/3の400円まで4期連続で増配を実施し、FY2025/3も400円を維持。年間最低配当額300円を保証する方針を掲げており、安定した配当を重視しています。FY2025/3は純利益減少により配当性向が79.6%と上昇していますが、盤石な財務基盤(自己資本比率84.8%)が高配当の継続を支えています。株主優待制度はありませんが、配当利回り3.31%は市場平均を上回る水準です。
同業比較(収益性)
鉄鋼の同業他社平均と比べると…
業績推移
儲かってるの?
FY2023/3〜FY2024/3にかけて売上高1,600〜1,800億円台、営業利益160〜170億円台と安定した業績を維持していましたが、FY2025/3は鋼材市況の軟化と中東合弁事業の懸念により営業利益は114億円へ減少しました。一方、純利益は海外持分法適用会社(米Nucor-Yamato、韓国・ベトナム等)からの利益貢献が大きく、経常利益と営業利益に大きな乖離があるのが特徴です。FY2026/3予想では営業利益60億円とさらに減益を見込むものの、政策保有株式売却益により純利益は前期比増を計画しています。
事業ごとの売上・利益
日本・タイ・インドネシアでH形鋼・溝形鋼を電炉で製造・販売。国内電炉大手としてリサイクル型の鉄づくりを推進
鉄道のタイプレート・分岐器等を製造。豪州Salixへの出資で海外展開を加速中
米Nucor-Yamato(H形鋼)、韓国・ベトナム・サウジ等の合弁事業からの利益貢献が大きく、営業利益と経常利益の乖離の主因
稼ぐ力はどのくらい?
| 期 | ROE | ROA | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 8.1% | 1.4% | 6.5% |
| FY2022/3 | 23.4% | 9.6% | 15.1% |
| FY2023/3 | 22.6% | 12.7% | 12.8% |
| FY2024/3 | 38.2% | 11.5% | 28.0% |
| FY2025/3 | 33.1% | 4.8% | 44.5% |
FY2022/3〜FY2024/3にかけてROE10%超を安定的に達成し、鉄鋼業界では高い収益性を誇っていました。FY2025/3はROE5.3%へ低下しましたが、これは鋼材市況悪化と中東事業の不透明感が影響しています。営業利益率は6.8%と低下した一方、経常利益ベースでは持分法投資利益が大きく寄与しており、連結ベースの実質的な収益力は営業利益率が示すよりも高い水準にあります。
財務は安全?
自己資本比率は一貫して84%以上を維持し、鉄鋼業界でも屈指の財務健全性を誇ります。FY2021/3〜FY2023/3は実質無借金経営で、FY2024/3に有利子負債111億円が発生しましたがFY2025/3には19.6億円へ大幅に圧縮。BPS(1株当たり純資産)は5年間で4,599円から8,946円へ約2倍に成長しており、着実な内部留保の蓄積が見て取れます。PBR1.35倍は純資産に対してプレミアムが付いた評価を受けています。
お金の流れは?
| 期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | FCF |
|---|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 270億円 | -244億円 | -99.4億円 | 26.6億円 |
| FY2022/3 | 115億円 | 767億円 | -159億円 | 882億円 |
| FY2023/3 | 527億円 | -103億円 | -177億円 | 423億円 |
| FY2024/3 | 809億円 | -333億円 | -213億円 | 476億円 |
| FY2025/3 | 710億円 | -857億円 | -430億円 | -147億円 |
営業CFは安定的にプラスを維持し、FY2024/3には809億円と過去最高を記録しました。FY2022/3は投資CFが767億円のプラスとなっていますが、これは有価証券の売却や投資回収によるものです。FY2025/3は投資CFが-856億円と大幅な投資支出がありフリーCFは-146億円となりましたが、これは成長投資(海外事業・設備投資)を積極的に行った結果であり、盤石な財務基盤のもとで戦略的な資金配分が行われています。
この会社のリスク
有価証券報告書に記載されている主なリスク要因です。投資判断の参考にしてください。
税金はいくら払ってる?
| 期 | 税引前利益 | 法人税等 | 実効税率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 216億円 | 166億円 | 76.9% |
| FY2022/3 | 576億円 | 177億円 | 30.8% |
| FY2023/3 | 905億円 | 252億円 | 27.8% |
| FY2024/3 | 992億円 | 292億円 | 29.4% |
| FY2025/3 | 544億円 | 226億円 | 41.5% |
FY2021/3は実効税率76.9%と極端に高くなっていますが、これは持分法適用会社からの受取配当金に係る税効果の影響によるものです。FY2022/3以降は概ね28〜31%の正常な水準で推移しています。FY2025/3は税額225億円と一時的に実効税率が上昇していますが、これは海外子会社の税効果差異や繰延税金資産の取り崩しの影響です。
社員の給料はどのくらい?
| 期 | 平均年収 | 従業員数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 当期 | 953万円 | 2,585人 | - |
平均年収953万円は鉄鋼業界の中でもトップクラスの水準です。単体従業員数は2,585名と中規模ながら、連結ではグローバルに事業を展開しています。平均年齢39.1歳、平均勤続年数8.9年で、持株会社体制のためグループ各社からの出向者も含まれています。
誰がこの会社の株を持ってる?
安定株主が一定の割合を占めており、経営基盤は比較的安定しています。
筆頭株主は創業家の井上浩行氏(12.1%)で、井上不動産(7.3%)や井上喜美子氏(2.8%)と合わせて創業家関連で約22%を保有するオーナー系企業です。三井物産(7.2%)が事業パートナーとして大株主に名を連ね、信託銀行経由の機関投資家も約17%を保有。外国人投資家の持株比率は16.5%と一定の存在感があり、高配当銘柄として海外からも注目されています。
会社の公式開示情報
役員報酬
事業別の稼ぎ
| 事業名 | 売上 | 利益 | 利益率 |
|---|---|---|---|
| 鉄鋼事業 | 約1,500億円 | 約100億円 | 6.7% |
| 軌道用品事業 | 約180億円 | 約15億円 | 8.3% |
| 持分法適用関連(経常利益への貢献) | - | 約430億円(経常利益への上乗せ) | - |
大和工業の最大の特徴は、営業利益(114億円)と経常利益(544億円)の大幅な乖離にあります。これは米Nucor-Yamato JVをはじめとする海外持分法適用会社からの投資利益が約430億円に達するためで、連結売上高には計上されない「隠れた収益力」を持っています。鉄鋼事業はH形鋼を主力とし、電炉によるリサイクル型の鉄鋼生産を行っています。軌道用品事業は鉄道インフラ向けのニッチ市場で安定した収益を確保しており、豪州への出資で海外展開を進めています。
この会社のガバナンスは?
女性役員比率は7.0%と改善の余地がありますが、創業家と外部取締役のバランスを保った取締役会構成です。連結子会社10社を擁し、日本・米国・タイ・韓国・ベトナム・サウジアラビアなど6カ国以上にグローバル展開。設備投資額163億円は電炉設備の更新や環境対応投資が中心で、平均勤続年数8.9年は持株会社体制下での出向者を含む数値です。
会社の計画は順調?
※ 会社が公表した計画に対する達成度の評価であり、投資についての評価・推奨ではありません
年度別の予想精度(計画を守れてる?)
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2025 | 1,700億円 | — | 1,683億円 | -1.0% |
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2025 | 120億円 | — | 115億円 | -4.2% |
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2026 | 380億円 | 530億円 | — | +39.5% |
当初予想 = 期初に会社が発表した数字 / 乖離 = 予想と実績のズレ(+なら上振れ)
中期経営計画は3段階で構成され、第1ステップでは部門連携によるシナジー創出と海外事業の拡大を掲げています。ROE10%以上の目標に対してFY2025/3は5.3%と未達ですが、自己資本比率84.8%という盤石な財務基盤を活かし、政策保有株式の売却による資本効率改善や、豪州・物流分野への新規投資による成長戦略を推進中です。
この株を持っていたら儲かった?
この会社の株主総利回り(TSR)を、日本株全体の平均(TOPIX)と比較したグラフです。青い線が上にあるほど、平均より良い成績を出しています。
FY2021からFY2025にかけてTSRは498.8%とTOPIX(213.4%)を約2.3倍アウトパフォームしています。特にFY2023〜FY2024にかけて317%から514%へと急上昇しており、海外持分法利益の拡大と連続増配が株式市場から高く評価された結果です。FY2025にやや低下したのは、中東合弁事業の懸念や鋼材市況の悪化が影響しています。
※ 配当を含まない株価ベースのリターンです。過去の実績であり、将来のリターンを保証・示唆するものではありません。
もし5年前に投資していたら?
| 年度末時点 | 評価額 | 損益 | TSR |
|---|---|---|---|
| FY2021 | 181.5万円 | +81.5万円 | 81.5% |
| FY2022 | 213.3万円 | +113.3万円 | 113.3% |
| FY2023 | 317.2万円 | +217.2万円 | 217.2% |
| FY2024 | 514.0万円 | +414.0万円 | 414.0% |
| FY2025 | 498.8万円 | +398.8万円 | 398.8% |
※ 有価証券報告書記載のTSR(株主総利回り)に基づく仮定の計算です。配当再投資を含みます。将来のリターンを保証するものではありません。
株の売買状況と今後の予定
PER18.8倍・PBR1.35倍は鉄鋼セクター平均(PER約8.8倍・PBR約0.6倍)を大幅に上回っており、海外持分法利益を含む実質的な収益力やグローバル展開への成長期待がプレミアムとして評価されています。自己資本比率84.8%は業界平均約40%の2倍以上と極めて高く、財務の安定性が際立っています。信用倍率3.29倍は買い残優位で、個人投資家の上昇期待がうかがえます。
メディアでどれくらい注目されてる?
メディア露出
メディア分布
競合比較
どんな話題が多い?
最近の出来事
FY2026/3期の連結純利益を380億円から530億円へ上方修正。政策保有株式の売却益150億円が上乗せとなった。
兵機海運との資本・業務提携に合意し筆頭株主へ。物流効率化やグループシナジーの強化を目指す。
豪州の鉄道分岐器メーカー「Salix」に出資し、軌道用品事業の国際展開を加速させる方針を発表。
中東合弁事業の継続性懸念が浮上し、株価が一時大幅に下落した。
最新ニュース
大和工業 まとめ
ひとめ診断
電炉大手でH形鋼主力、海外持分法利益が収益の柱を担うグローバル鉄鋼企業
※ 本ページの情報は投資助言ではありません。掲載データは正確性を保証するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。
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