神戸製鋼所
Kobe Steel,Ltd.
最終更新日: 2026年3月22日
鉄鋼・アルミ・建機・電力、すべてを手がける日本唯一の「複合素材メーカー」
素材・機械・電力の複合経営を強みに、ROIC 6%以上を安定的に達成し、すべてのステークホルダーから信頼される企業グループとなること。
この会社ってなに?
神戸製鋼所の製品は私たちの生活のあらゆる場面に溶け込んでいます。自動車のボディやエンジン部品に使われる高強度鋼板・アルミ素材、建設現場のショベルカー(コベルコ建機)、空港やビルの空調に使われるコンプレッサー、さらには神戸・真岡の自社発電所から供給される電力まで。「KOBELCO」ブランドのものづくりは、目に見えない形で日常を支えています。
FY2025/3の売上高は2兆5,550億円、営業利益は1,587億円と高炉国内3位の収益規模を堅持しています。鉄鋼に加えアルミ・銅、溶接材料、産業機械、コベルコ建機、電力供給まで幅広い事業を展開する「複合経営」が最大の特徴です。中期経営計画(2024~2026年度)では、素材系事業の「稼ぐ力の強化」と機械系事業の「成長追求」を二本柱に掲げ、ROIC 6%以上の安定的達成を目指しています。FY2026/3予想は売上高2兆5,500億円・純利益1,000億円と前期比微減の見通しですが、自己資本比率40%超への改善やD/Eレシオの低下など財務基盤の強化が着実に進んでいます。2025年2月には日本製鉄との相互出資を解消し、独立した経営判断力を一段と高めました。
会社概要
- 業種
- 鉄鋼
- 決算期
- 3月
- 本社
- 兵庫県神戸市中央区脇浜海岸通2-2-4
- 公式
- www.kobelco.co.jp
社長プロフィール
KOBELCOグループは、素材・機械・電力という独自の事業ポートフォリオを活かし、社会に不可欠な製品・技術・サービスを提供してまいります。中期経営計画のもと、「稼ぐ力の強化」と「成長追求」を両輪に、持続的な企業価値向上に全力で取り組んでいきます。
この会社のストーリー
兵庫県神戸市に小林製鋼所として創業。日本の近代化に不可欠な鋼材の製造からスタートしました。
鉄鋼だけでなく、アルミ・銅・機械・エンジニアリングへと事業を拡大。「複合経営」の基盤が築かれました。
アルミ・銅製品等の品質データ改ざんが発覚。信頼回復に向けた全社的な品質管理体制の再構築を余儀なくされました。
財務体質の抜本的な改善を目指し、D/Eレシオの低減と収益力の回復に全力で取り組む方針を打ち出しました。
「稼ぐ力の強化」と「成長追求」を掲げた新中期経営計画(2024~2026年度)をスタート。ROIC 6%以上の安定的達成を目標に設定。
自己資本比率40%超・D/Eレシオ0.48倍を達成し、かつての「借金体質」からの完全脱却を実現。複合経営の真価が問われる新たなステージへ。
注目ポイント
鉄鋼・アルミ・銅・建機・コンプレッサー・電力と多角的な事業を展開。単一事業リスクに左右されにくい安定した収益構造が最大の強みです。
配当性向30%程度を目安に、FY2021/3の10円からFY2025/3の100円へと4期連続で増配。利回り約5%は鉄鋼業界でもトップクラスの水準です。
自己資本比率は5年で27.5%から40.2%へ急改善。D/Eレシオも0.48倍まで低下し、かつての「借金体質」イメージを完全に覆しました。中期計画の財務目標を前倒し達成した実行力が光ります。
サービスの実績は?
ひとめ診断
配当・優待はもらえる?
| 期 | 1株配当 | 配当性向 |
|---|---|---|
| FY2016/3 | 2円 | 0.5% |
| FY2017/3 | 0円 | 0.0% |
| FY2018/3 | 30円 | 17.2% |
| FY2019/3 | 20円 | 20.2% |
| FY2020/3 | 0円 | 0.0% |
| FY2021/3 | 10円 | 15.6% |
| FY2022/3 | 40円 | 25.0% |
| FY2023/3 | 40円 | 21.8% |
| FY2024/3 | 90円 | 32.4% |
| FY2025/3 | 100円 | 32.8% |
株主優待制度なし
配当性向30%程度を目安とする方針の下、FY2021/3の10円からFY2025/3の100円へと4期連続増配を実現しています。利回りは約5.0%と高配当銘柄の水準に到達。FY2026/3の会社予想は80円(利回り約4.0%)とやや減配見通しですが、純利益1,000億円に対し配当性向は約32%と方針に沿った水準です。株主優待制度は実施していません。
同業比較(収益性)
鉄鋼の同業他社平均と比べると…
業績推移
儲かってるの?
FY2021/3からFY2025/3にかけて売上高は約1.7兆円から2.6兆円へと約5割拡大し、営業利益もFY2024/3に1,866億円のピークを記録しました。FY2025/3は鋼材市況の軟化により営業利益が前期比15%減となったものの、純利益1,202億円と高水準を確保。FY2026/3予想は売上高2.6兆円・純利益1,000億円と堅実な見通しです。複合経営による事業ポートフォリオの分散が市況変動への耐性を高めています。
事業ごとの売上・利益
鋼板・線材・鍛鋼品・アルミ板・銅板などの素材事業。自動車向け高強度鋼板やアルミパネル材に強み
溶接材料・チタン・高機能鋼線。溶接材料は世界トップシェアクラス
コベルコ建機(油圧ショベル等)、コンプレッサー、産業機械。成長追求の柱
神戸・真岡の石炭火力発電所による売電事業。安定収益源
稼ぐ力はどのくらい?
| 期 | ROE | ROA | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 1.6% | 0.9% | - |
| FY2022/3 | 8.2% | 2.2% | - |
| FY2023/3 | 9.0% | 2.5% | - |
| FY2024/3 | 9.8% | 3.8% | 7.3% |
| FY2025/3 | 14.3% | 4.2% | 6.2% |
ROEは3.0%から9.7%へと大幅に改善し、資本効率の向上が顕著です。営業利益率もFY2021/3の1.8%からFY2024/3には7.3%まで上昇し、「稼ぐ力」の強化が数字に表れています。FY2025/3は鋼材市況の軟化で営業利益率6.2%にやや低下しましたが、ROE 9.7%・ROA 4.2%は高炉メーカーとして優秀な水準を維持しています。
財務は安全?
総資産は約2.9兆円で安定推移する一方、純資産は5年間で約7,694億円から1兆2,371億円へと約61%増加しました。自己資本比率は27.5%から40.2%へと大幅に改善し、中期経営計画の目標(30%以上)を大きく上回っています。有利子負債は約1.4兆円ですが、D/Eレシオは0.48倍まで低下し、かつての「借金体質」からの脱却が進んでいます。BPSは2,941円で株価2,006円に対しPBR 0.68倍と解散価値を下回る水準です。
お金の流れは?
| 期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | FCF |
|---|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 1,948億円 | -1,419億円 | 1,184億円 | 529億円 |
| FY2022/3 | 1,688億円 | -1,615億円 | -691億円 | 73.0億円 |
| FY2023/3 | 1,197億円 | -973億円 | -856億円 | 224億円 |
| FY2024/3 | 2,053億円 | -537億円 | -812億円 | 1,516億円 |
| FY2025/3 | 1,483億円 | -1,139億円 | -962億円 | 344億円 |
営業CFは年間1,200億~2,050億円と安定的にプラスを確保しており、本業のキャッシュ創出力は堅調です。FY2024/3にはFCFが1,516億円と突出した水準を記録し、投資有価証券の売却による収入増が寄与しました。財務CFは借入返済と配当支払いにより流出基調ですが、手元現金は約2,199億円を確保。FY2021/3に財務CFがプラスだったのは借入れによるものですが、以降は着実に返済が進んでいます。
この会社のリスク
有価証券報告書に記載されている主なリスク要因です。投資判断の参考にしてください。
税金はいくら払ってる?
| 期 | 税引前利益 | 法人税等 | 実効税率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 162億円 | 0円 | 0.0% |
| FY2022/3 | 932億円 | 332億円 | 35.6% |
| FY2023/3 | 1,068億円 | 343億円 | 32.1% |
| FY2024/3 | 1,609億円 | 514億円 | 31.9% |
| FY2025/3 | 1,572億円 | 370億円 | 23.5% |
法人税等の支払額は税引前利益の変動に連動しています。FY2024/3は約514億円の納税額で実効税率は約32%。FY2025/3は繰延税金資産の取崩し等の影響により実効税率が23.5%と低下しました。FY2026/3予想は税引前利益1,400億円に対し約400億円(実効税率28.6%)の納税を見込んでいます。
社員の給料はどのくらい?
| 期 | 平均年収 | 従業員数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 当期 | 812万円 | 39,294人 | - |
平均年収812万円は鉄鋼業界において高水準です。連結従業員数は約39,294名(うち単体約11,895名)で、平均年齢39.9歳、平均勤続年数15.4年と安定した雇用基盤を維持しています。複合経営の特性上、鉄鋼だけでなく機械・電力部門など多様なキャリアパスが存在する点が特徴です。
誰がこの会社の株を持ってる?
安定株主が一定の割合を占めており、経営基盤は比較的安定しています。 個人投資家の保有比率が高く、株主優待や配当の注目度が高い銘柄です。 主な安定株主は神戸製鋼所従業員持株会氏。
信託銀行経由の機関投資家が上位を占める株主構成で、筆頭株主の日本マスタートラスト信託銀行が約17%を保有しています。外国人持株比率は約16%で、同業の日本製鉄(約24%)と比較するとやや低めです。従業員持株会(1.09%)と神鋼くろがね会協栄会(0.88%)という独自の安定株主が存在する点が特徴的。2025年2月に日本製鉄との相互出資を解消し、政策保有株式の縮減が進んでいます。
会社の公式開示情報
役員報酬
事業別の稼ぎ
| 事業名 | 売上 | 利益 | 利益率 |
|---|---|---|---|
| 鉄鋼アルミ | 約1兆3,500億円 | 約700億円 | 5.2% |
| 素材(溶接・その他) | 約2,500億円 | 約200億円 | 8.0% |
| 機械 | 約5,500億円 | 約450億円 | 8.2% |
| 電力 | 約2,500億円 | 約250億円 | 10.0% |
鉄鋼アルミが売上の過半を占めますが、利益面では機械セグメント(営業利益率約8%)と電力セグメント(同約10%)が安定収益源として機能しています。「複合経営」により鉄鋼市況の変動に対するバッファーを持つ点が、日本製鉄やJFEとの大きな差別化要因です。溶接材料は世界トップシェアクラスの競争力を持ち、コベルコ建機は東南アジア・インドでのシェア拡大を推進中です。
この会社のガバナンスは?
女性役員比率23.1%と、鉄鋼業界では先進的な水準のダイバーシティを確保しています。連結子会社173社を擁するグループ経営で、監査報酬約4.8億円を通じたガバナンス体制を整備。代表取締役社長の勝川四志彦氏のもと、品質管理体制の強化とコーポレートガバナンス・コードへの対応を継続的に推進しています。
会社の計画は順調?
※ 会社が公表した計画に対する達成度の評価であり、投資についての評価・推奨ではありません
年度別の予想精度(計画を守れてる?)
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2024 | 2兆5,000億円 | — | 2兆5,431億円 | +1.7% |
| FY2025 | 2兆5,500億円 | — | 2兆5,550億円 | +0.2% |
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2024 | 1,600億円 | — | 1,609億円 | +0.6% |
| FY2025 | 1,600億円 | — | 1,572億円 | -1.8% |
当初予想 = 期初に会社が発表した数字 / 乖離 = 予想と実績のズレ(+なら上振れ)
中期経営計画(2024~2026年度)では、素材系事業の「稼ぐ力の強化」と機械系事業の「成長追求」を最重要課題に掲げています。財務面ではD/Eレシオ0.5倍・自己資本比率30%以上の目標をいずれも前倒しで達成済み。カーボンニュートラル(CN)への挑戦も重要テーマとして位置づけ、グリーンアルミや水素還元製鉄の研究開発を推進しています。事業ポートフォリオの最適化として日本高周波鋼業の大同特殊鋼への譲渡なども進めています。
この株を持っていたら儲かった?
この会社の株主総利回り(TSR)を、日本株全体の平均(TOPIX)と比較したグラフです。青い線が上にあるほど、平均より良い成績を出しています。
FY2021からFY2025にかけて自社TSRは601.8%と、TOPIX(213.4%)を約3倍アウトパフォームしています。FY2024にはTSR 669.5%のピークを記録し、業績回復・財務改善・増配の三拍子が株式市場から高く評価されました。FY2025にやや低下したのは、鋼材市況の軟化と来期減配予想を織り込んだ動きです。それでもTOPIXの約3倍のリターンを維持しており、中長期の投資パフォーマンスは極めて良好です。
※ 配当を含まない株価ベースのリターンです。過去の実績であり、将来のリターンを保証・示唆するものではありません。
もし5年前に投資していたら?
| 年度末時点 | 評価額 | 損益 | TSR |
|---|---|---|---|
| FY2021 | 226.9万円 | +126.9万円 | 126.9% |
| FY2022 | 191.9万円 | +91.9万円 | 91.9% |
| FY2023 | 342.2万円 | +242.2万円 | 242.2% |
| FY2024 | 669.5万円 | +569.5万円 | 569.5% |
| FY2025 | 601.8万円 | +501.8万円 | 501.8% |
※ 有価証券報告書記載のTSR(株主総利回り)に基づく仮定の計算です。配当再投資を含みます。将来のリターンを保証するものではありません。
株の売買状況と今後の予定
PER 7.9倍は鉄鋼セクター平均(約8.8倍)をやや下回り、割安感があります。PBR 0.68倍はセクター平均(約0.6倍)をやや上回り、複合経営への評価が反映されています。信用倍率6.62倍は買い残が売り残を大きく上回る状態で、個人投資家の買い意欲が旺盛な状況です。配当利回り約5%は業界平均を大きく上回る高水準で、インカムゲイン重視の投資家に注目されています。
メディアでどれくらい注目されてる?
メディア露出
メディア分布
競合比較
どんな話題が多い?
最近の出来事
KOBELCOグループ中期経営計画(2024~2026年度)を公表。素材系の「稼ぐ力の強化」と機械系の「成長追求」を柱に、ROIC 6%以上を目指す方針を示した。
日本製鉄との相互出資を解消し、独立した経営判断力の強化と資本効率の改善を図る方針を発表。政策保有株式の縮減を加速する姿勢も示した。
FY2026/3第2四半期決算で経常利益が前年同期比33%減益で着地。在庫評価影響の悪化や鋼材市況の軟化が響き、通期見通しも慎重な姿勢を示した。
日本高周波鋼業を株式交換で完全子会社化した上で大同特殊鋼に譲渡する方針を発表。事業ポートフォリオの最適化を推進する戦略的判断として注目された。
最新ニュース
神戸製鋼所 まとめ
ひとめ診断
鉄鋼・アルミ・機械・電力の複合経営で「稼ぐ力」を磨く独自路線の高炉3番手
※ 本ページの情報は投資助言ではありません。掲載データは正確性を保証するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。
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