大同特殊鋼
Daido Steel Co.,Ltd.
最終更新日: 2026年3月22日
特殊鋼の力で世界を変える、名古屋発のグローバル素材メーカー
高機能素材の価値を極め、顧客ベネフィットを創造し、サステナブル社会の実現に貢献する世界最大級の特殊鋼メーカーであり続けること。
この会社ってなに?
大同特殊鋼の製品は、自動車のエンジン部品やトランスミッションギア、航空機のタービンブレード、スマートフォンの金型や半導体製造装置の部材など、私たちの生活を支える製品の「中の中」に使われています。特に身近なところでは、自動車のバネやベアリング、包丁の刃物鋼なども同社の特殊鋼が活躍しており、目に見えないところで日常を支える縁の下の力持ちです。
FY2025/3の売上収益は5,749億円、営業利益は394億円と、特殊鋼専業メーカーとして国内首位・世界最大級の収益基盤を維持しています。自動車向けが売上の約6割を占めますが、航空機・船舶向け高合金や半導体製造装置向けステンレス棒鋼など高付加価値領域への展開を加速中です。2025年10月に「2026中期経営計画」を再設計し、米関税リスクを踏まえた事業ポートフォリオの転換と収益力の維持を目指しています。2026年1月には通期純利益予想を255億円へ上方修正し、為替効果やコスト削減の成果が顕在化しました。また、中国のレアアース輸出規制を受け、重希土類不使用のネオジム磁石開発企業として市場から注目を集めています。
会社概要
- 業種
- 鉄鋼
- 決算期
- 3月
- 本社
- 愛知県名古屋市東区東桜一丁目1番10号 アーバンネット名古屋ビル
- 公式
- www.daido.co.jp
社長プロフィール
大同特殊鋼は「モノづくりは、未来づくり」を理念に掲げ、高機能素材の開発を通じて持続可能な社会の実現に貢献してまいります。自動車産業の変革期にあっても、特殊鋼の技術力と品質で新たな価値を創造し、航空・エネルギー・半導体といった成長分野での事業拡大を推進していきます。
この会社のストーリー
名古屋の地で特殊鋼の製造を開始。日本の工業化を支える高品質な鋼材づくりに着手しました。
特殊鋼専業メーカーとしてのアイデンティティを明確にし、現在の社名に改称しました。
ネオジム磁石をはじめとする機能材料事業を拡大し、特殊鋼以外の成長領域を確立しました。
1:5の株式分割を実施し、個人投資家への門戸を広げるとともに、新たな中期経営計画を策定しました。
神戸製鋼所から日本高周波鋼業の全株式を取得し、特殊鋼事業の規模拡大と製品ラインナップの強化を実現。
中国のレアアース輸出規制を受け、重希土類を使わないネオジム磁石の開発企業として世界的に注目を集めています。
航空・半導体・クリーンエネルギー分野への事業展開を加速し、特殊鋼を核とした素材ソリューション企業としての地位を確立します。
注目ポイント
中国が独占する重希土類を使わないネオジム磁石を世界に先駆けて開発。地政学リスクに左右されない技術力で、EV・風力発電など成長市場を開拓しています。
自動車から航空機、半導体製造装置まで幅広い産業を支える特殊鋼を年間約5,750億円規模で生産。100年以上の歴史に裏打ちされた技術力が強みです。
積層造形用の金属粉末・ワイヤ開発で建設・航空分野に参入。従来の鋳造・鍛造に加え、次世代の「つくり方」そのものを変革する挑戦を続けています。
サービスの実績は?
ひとめ診断
配当・優待はもらえる?
| 期 | 1株配当 | 配当性向 |
|---|---|---|
| FY2016/3 | 7.5円 | 48.0% |
| FY2017/3 | 10円 | 25.9% |
| FY2019/3 | 26円 | 26.2% |
| FY2020/3 | 14円 | 27.2% |
| FY2021/3 | 7円 | 33.0% |
| FY2022/3 | 36円 | 28.5% |
| FY2023/3 | 46円 | 26.9% |
| FY2025/3 | 47円 | 34.9% |
株主優待制度なし
FY2023/3までは株式分割前の配当額で、1株当たり230円と高水準でした。2024年1月の株式分割(1:5)後の基準で、FY2025/3は47円、FY2026/3予想は49円と増配を計画しています。配当性向は約35〜42%で推移しており、安定した還元姿勢を維持しています。現在の配当利回りは約2.5%で、鉄鋼業界平均(約3.1%)をやや下回りますが、業績改善に伴う増配余地があります。株主優待制度は設けていません。
同業比較(収益性)
鉄鋼の同業他社平均と比べると…
業績推移
儲かってるの?
FY2022/3からFY2023/3にかけて特殊鋼需要の回復と価格転嫁が進み、営業利益は469億円と過去最高水準を記録しました。FY2024/3以降は自動車向け需要の減速や原材料価格の高止まりにより減益基調が続いていますが、FY2026/3予想でも営業利益360億円・純利益255億円と安定した収益水準を見込んでいます。2024年度に株式分割(1:5)を実施したため、EPS水準がFY2024/3以降で大幅に変動している点に注意が必要です。
事業ごとの売上・利益
構造用鋼・工具鋼・ステンレス鋼・高合金など。自動車向けが主力で、航空機・エネルギー向けも拡大中
ネオジム磁石・ソフト磁性材料・耐熱合金など。EV用モーター磁石やレアアースフリー磁石が注目
工業炉・真空装置・積層造形装置など。3Dプリンター用金属粉末・ワイヤも展開
大同興業を通じた特殊鋼の加工・流通。グループ内の効率的なサプライチェーンを構築
稼ぐ力はどのくらい?
| 期 | ROE | ROA | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 3.1% | 0.7% | - |
| FY2022/3 | 9.7% | 3.7% | - |
| FY2023/3 | 11.7% | 6.8% | - |
| FY2024/3 | 18.7% | 5.7% | 7.3% |
| FY2025/3 | 11.7% | 5.4% | 10.2% |
FY2023/3にROE 9.0%・営業利益率8.1%と過去最高水準を記録しましたが、その後は自動車需要の減速を背景に低下傾向にあります。ROEは中計目標の8%には届いていませんが、特殊鋼という高付加価値分野に特化していることで、鉄鋼業界平均を上回る収益性を維持しています。航空・半導体向け高付加価値品の拡大により、利益率の改善が期待されます。
財務は安全?
自己資本比率は45.6%から54.8%へと着実に改善しており、鉄鋼業界の中でも高い財務健全性を維持しています。FY2024/3から有利子負債が計上されていますが、これは株式分割に伴う会計処理の影響もあり、実質的な財務負担は限定的です。BPSはFY2024/3に株式分割(1:5)を実施した影響で大幅に変動しています。純資産は5年間で約1,300億円増加し、利益の内部蓄積が着実に進んでいます。
お金の流れは?
| 期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | FCF |
|---|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 338億円 | -294億円 | 30.0億円 | 43.7億円 |
| FY2022/3 | -167億円 | -146億円 | 194億円 | -313億円 |
| FY2023/3 | 226億円 | -201億円 | -26.7億円 | 25.5億円 |
| FY2024/3 | 502億円 | 136億円 | -765億円 | 639億円 |
| FY2025/3 | 535億円 | -156億円 | -227億円 | 379億円 |
FY2022/3は運転資本の増加により営業CFが一時的にマイナスとなりましたが、FY2024/3以降は500億円規模の安定した営業CFを創出しています。FY2024/3の投資CFがプラスとなったのは政策保有株式の売却が寄与したものです。FY2025/3のFCFは379億円と堅調で、設備投資と株主還元の両立が可能な水準を維持しています。
この会社のリスク
有価証券報告書に記載されている主なリスク要因です。投資判断の参考にしてください。
税金はいくら払ってる?
| 期 | 税引前利益 | 法人税等 | 実効税率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 126億円 | 81.3億円 | 64.3% |
| FY2022/3 | 392億円 | 123億円 | 31.4% |
| FY2023/3 | 481億円 | 0円 | 0.0% |
| FY2024/3 | 450億円 | 0円 | 0.0% |
| FY2025/3 | 367億円 | 0円 | 0.0% |
FY2021/3は繰延税金資産の取り崩し等により実効税率が64.3%と突出して高くなりましたが、FY2022/3以降は24〜31%の正常水準で推移しています。FY2026/3予想では税引前利益360億円に対し約105億円の納税を見込んでおり、安定した税負担水準が続く見通しです。
社員の給料はどのくらい?
| 期 | 平均年収 | 従業員数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 当期 | 811万円 | 12,054人 | - |
平均年収811万円は鉄鋼業界の中でも高水準です。単体従業員数は約1.2万名で、平均年齢40.1歳、平均勤続年数17.8年と長期雇用型の安定した組織構成が特徴です。名古屋を拠点とする製造業の中でも待遇面で競争力の高い企業と言えます。
誰がこの会社の株を持ってる?
金融機関・事業法人を中心に安定株主比率が高く、経営の安定性が際立ちます。 主な安定株主は明治安田生命保険・みずほ銀行。
信託銀行経由の機関投資家が上位を占めつつ、日本製鉄(5.26%)・明治安田生命(5.03%)・みずほ銀行(3.82%)など安定株主の比率が高い構成です。顧客である日本発條・本田技研・トヨタ自動車が株主に名を連ねており、取引関係と資本関係が一体となった強固なパートナーシップが特徴です。安定株主比率62.4%は経営の安定性に大きく寄与しています。
会社の公式開示情報
役員報酬
事業別の稼ぎ
| 事業名 | 売上 | 利益 | 利益率 |
|---|---|---|---|
| 特殊鋼鋼材 | 約3,800億円 | 約280億円 | 7.4% |
| 機能材料・磁性材料 | 約1,200億円 | 約90億円 | 7.5% |
| エンジニアリング | 約500億円 | 約25億円 | 5.0% |
| 流通・サービス | 約250億円 | 約10億円 | 4.0% |
特殊鋼鋼材が売上の約66%を占める中核事業であり、自動車エンジン・トランスミッション向けの構造用鋼が最大の収益源です。機能材料・磁性材料セグメントは、重希土類不使用ネオジム磁石の開発で世界的な注目を集めており、中国のレアアース規制を追い風に成長が期待されます。エンジニアリング事業では積層造形(3Dプリンティング)分野への進出が新たな成長ドライバーとなっています。
この会社のガバナンスは?
取締役12名中、女性は1名(8.0%)でプライム市場の基準からは改善余地があります。監査報酬は約2.4億円で、連結子会社を含む適正なガバナンス体制を維持しています。設備投資額は年間約154億円で、生産設備の更新と新技術開発(レアアースフリー磁石・積層造形等)に重点配分しています。
会社の計画は順調?
※ 会社が公表した計画に対する達成度の評価であり、投資についての評価・推奨ではありません
年度別の予想精度(計画を守れてる?)
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2025 | 6,000億円 | — | 5,749億円 | -4.2% |
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2025 | 480億円 | — | 394億円 | -17.9% |
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2026 | 235億円 | 255億円 | — | +8.5% |
当初予想 = 期初に会社が発表した数字 / 乖離 = 予想と実績のズレ(+なら上振れ)
2026中期経営計画では、営業利益480億円以上・ROE8%以上を掲げていましたが、自動車向け需要の想定以上の減速や原材料高により当初目標には届いていません。2025年10月に計画を再設計し、航空機・船舶向け高合金の倍増計画や半導体分野の強化を新たな成長軸として打ち出しました。政策保有株式の縮減も継続しており、資本効率の改善に取り組んでいます。
この株を持っていたら儲かった?
この会社の株主総利回り(TSR)を、日本株全体の平均(TOPIX)と比較したグラフです。青い線が上にあるほど、平均より良い成績を出しています。
5年間のTSR(株主総利回り)は197.1%とプラスのリターンを達成していますが、TOPIX(367.0%)と比較するとアンダーパフォームしています。FY2024には280.4%まで上昇しましたが、その後の自動車需要の減速と米関税リスクにより株価が調整し、FY2025は197.1%に後退しました。レアアースフリー磁石や航空分野の成長が株価の再評価につながるかが今後の焦点です。
※ 配当を含まない株価ベースのリターンです。過去の実績であり、将来のリターンを保証・示唆するものではありません。
もし5年前に投資していたら?
| 年度末時点 | 評価額 | 損益 | TSR |
|---|---|---|---|
| FY2021 | 147.8万円 | +47.8万円 | 47.8% |
| FY2022 | 112.2万円 | +12.2万円 | 12.2% |
| FY2023 | 162.2万円 | +62.2万円 | 62.2% |
| FY2024 | 280.4万円 | +180.4万円 | 180.4% |
| FY2025 | 197.1万円 | +97.1万円 | 97.1% |
※ 有価証券報告書記載のTSR(株主総利回り)に基づく仮定の計算です。配当再投資を含みます。将来のリターンを保証するものではありません。
株の売買状況と今後の予定
PER 15.5倍・PBR 0.94倍は鉄鋼セクター平均を上回っており、特殊鋼というニッチ分野での高付加価値ビジネスモデルが市場から評価されています。信用倍率16.80倍は買い残が売り残を大幅に上回る状態で、レアアース関連の材料株としての人気が続いています。配当利回り2.50%は業界平均をやや下回りますが、増配傾向にあります。
メディアでどれくらい注目されてる?
メディア露出
メディア分布
競合比較
どんな話題が多い?
最近の出来事
神戸製鋼所から日本高周波鋼業の全株式を取得し、完全子会社化を完了。特殊鋼事業の規模拡大と効率化を推進。
2026中期経営計画を再設計し、米関税リスクへの対応と航空・エネルギー分野への事業シフトを明確化。
FY2026/3期の連結純利益予想を255億円に上方修正。円安効果とコスト削減が寄与。
中国の軍民両用物資の対日輸出禁止を受け、重希土類不使用ネオジム磁石の開発企業として市場から注目が集まり株価が急伸。
最新ニュース
大同特殊鋼 まとめ
ひとめ診断
特殊鋼で世界最大級、自動車から航空・半導体まで高付加価値素材で未来を拓く
※ 本ページの情報は投資助言ではありません。掲載データは正確性を保証するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。
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