丸一鋼管
Maruichi Steel Tube Ltd.
最終更新日: 2026年3月22日
鉄壁財務で60年、鋼管一筋の老舗が半導体と脱炭素で未来を拓く
溶接鋼管のリーディングカンパニーとして、2030年に売上高4,000億円を達成し、半導体産業・脱炭素社会を支える不可欠なインフラ企業となること。
この会社ってなに?
丸一鋼管の溶接鋼管は、マンションやオフィスビルの柱や梁、道路のガードレールやポール、自動車の構造部品、そして水道管やガス管など、私たちの暮らしを支えるインフラの至るところで使われています。最近では半導体製造装置向けのステンレス精密細管や、水素輸送用パイプなど次世代エネルギー分野にも進出しており、目には見えなくても社会の根幹を支え続けている企業です。
FY2025/3の売上高は2,616億円、営業利益は229億円と減収減益ながら、自己資本比率80.9%・実質無借金という鉄鋼業界トップクラスの財務基盤を維持しています。FY2026/3予想は売上高2,639億円(前期比+0.9%)・営業利益336億円(同+46.6%)と増益に転じる見通しで、鋼管需要の回復と収益性改善が見込まれます。第7次中期経営計画(2024~2026年度)ではM&Aも活用しながら営業利益210億円を安定的に確保する体制を目指し、2030年には半導体産業・脱炭素分野への展開拡大を掲げています。2025年10月には初の1:3株式分割を実施し、個人投資家の取り込みにも注力しています。
会社概要
- 業種
- 鉄鋼
- 決算期
- 3月
- 本社
- 大阪府大阪市中央区難波5丁目1番60号 なんばスカイオ29階
- 公式
- www.maruichikokan.co.jp
社長プロフィール
丸一鋼管は1947年の創業以来、鋼管という一つの事業領域に特化し、お客様に信頼される高品質な製品を提供し続けてまいりました。好財務体質を堅持しながらも、M&Aを通じた事業領域の拡大や、半導体・水素関連といった成長分野への積極的な投資を進めてまいります。
この会社のストーリー
大阪で溶接鋼管の製造を開始。戦後の復興期に社会インフラの基盤となる鋼管供給で貢献しました。
東京証券取引所に上場を果たし、資本市場を通じた成長基盤を確立しました。
米国・ベトナム・インドなどに生産拠点を設立し、需要地生産によるグローバル展開を推進しました。
コベルコ鋼管を買収し丸一ステンレス鋼管として、半導体・水素など成長分野への足がかりを獲得しました。
数量より収益性を重視する方針のもと、M&Aも活用した営業利益210億円の安定確保を目指す中計が始動しました。
初の1:3株式分割で投資しやすさを向上させるとともに、丸一鋼販の完全子会社化でグループ一体経営を推進しました。
半導体産業・脱炭素社会向けの事業を新たな収益柱に育て、売上高4,000億円の長期目標達成を目指します。
注目ポイント
自己資本比率80%超・実質無借金という鉄鋼業界で圧倒的な財務健全性を誇ります。景気変動の大きい鉄鋼業界にあって、この盤石な財務が安定経営と積極的なM&Aの両立を可能にしています。
4期連続増配を達成し、おこめギフト券の株主優待も実施しています。配当性向40%を目安とした累進配当方針で、安定的かつ着実な株主還元が魅力です。
ステンレス精密細管で半導体製造装置向け市場に参入し、水素輸送パイプなど脱炭素関連の成長分野にも積極展開。老舗鋼管メーカーの新たな成長ストーリーが始まっています。
サービスの実績は?
ひとめ診断
配当・優待はもらえる?
| 期 | 1株配当 | 配当性向 |
|---|---|---|
| FY2016/3 | 77円 | 57.6% |
| FY2017/3 | 84.5円 | 39.5% |
| FY2018/3 | 80.5円 | 42.2% |
| FY2019/3 | 74円 | 43.0% |
| FY2020/3 | 105.5円 | 137.4% |
| FY2021/3 | 72.5円 | 43.2% |
| FY2022/3 | 91円 | 26.7% |
| FY2023/3 | 109.5円 | 36.1% |
| FY2024/3 | 131円 | 40.0% |
| FY2025/3 | 131円 | 38.7% |
| 必要株数 | 100株以上(約14.3万円) |
| 金額相当 | 約1,320円相当〜 |
| 権利確定月 | 3月・9月 |
| 長期特典 | 2026年9月以降は1年以上継続保有が条件に変更 |
FY2021/3からFY2024/3まで4期連続で増配を達成しており、安定的な株主還元姿勢が際立ちます。2025年10月の1:3株式分割前ベースでの年間配当は131円(FY2025/3)で、分割後換算では約43.7円に相当します。現在の配当利回りは3.13%で鉄鋼業界平均を下回りますが、これは株式分割後の株価上昇が利回りを押し下げているためです。株主優待はおこめギフト券で、2026年9月以降は1年以上の継続保有が条件に変更されます。
同業比較(収益性)
鉄鋼の同業他社平均と比べると…
業績推移
儲かってるの?
FY2022/3に鋼材価格高騰の追い風で売上高2,242億円・営業利益362億円と過去最高水準を記録した後、鋼材市況の正常化に伴い減収基調が続いています。FY2025/3は営業利益229億円と減益となったものの、純利益は投資有価証券売却益等により270億円と前期比で増益を確保しました。FY2026/3予想は営業利益336億円と大幅な増益を見込んでおり、鋼管需要の回復と収益性の改善が寄与する見通しです。
事業ごとの売上・利益
溶接鋼管(丸パイプ・角パイプ・コラム)の製造・販売。建設・土木向けが主力で国内シェア首位
米国(GENEVA社)、ベトナム、インド、メキシコ等の海外拠点での鋼管製造・販売
丸一ステンレス鋼管による精密細管・シームレス管の製造。半導体製造装置向け・水素関連が成長分野
稼ぐ力はどのくらい?
| 期 | ROE | ROA | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 5.8% | 4.2% | - |
| FY2022/3 | 6.8% | 7.5% | - |
| FY2023/3 | 8.0% | 6.1% | - |
| FY2024/3 | 8.2% | 6.1% | 12.8% |
| FY2025/3 | 10.0% | 6.4% | 8.8% |
FY2022/3に鋼材市況の追い風を受けてROE 9.0%・営業利益率16.2%と過去最高水準を記録しました。その後は市況正常化に伴い営業利益率が低下傾向にありますが、ROEは5〜9%の安定したレンジで推移しています。自己資本比率が80%超と極めて厚い自己資本を持つため、ROEが相対的に低く見えますが、実質的な収益力は鉄鋼業界でトップクラスの水準です。
財務は安全?
総資産は5年間で約3,303億円から4,256億円へと着実に拡大し、利益蓄積による内部成長が反映されています。自己資本比率は一貫して80%前後を維持しており、鉄鋼業界では圧倒的な財務健全性を誇ります。FY2024/3に初めて有利子負債が発生しましたが約70億円と極めて小規模で、FY2025/3には約37億円まで減少。実質的な無借金経営が続いており、BPS(1株当たり純資産)は4,457円と株価1,432円を大きく上回るPBR 0.96倍の水準です。
お金の流れは?
| 期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | FCF |
|---|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 244億円 | -168億円 | -140億円 | 75.1億円 |
| FY2022/3 | 151億円 | -100億円 | -167億円 | 50.9億円 |
| FY2023/3 | 245億円 | 43.0億円 | -76.2億円 | 288億円 |
| FY2024/3 | 357億円 | -210億円 | -131億円 | 147億円 |
| FY2025/3 | 281億円 | 137億円 | -263億円 | 418億円 |
営業CFは年間150〜357億円の安定したキャッシュ創出力を持ち、設備投資を賄った後のFCFもプラスを維持しています。FY2025/3は投資CFが137億円のプラスとなっていますが、これは投資有価証券の売却による収入が設備投資を上回ったためです。FCFは418億円と過去最高水準に達し、潤沢な手元資金(約951億円)とあわせて今後のM&Aや成長投資に十分な余力を確保しています。財務CFの流出は主に配当金の支払いと自己株式の取得によるものです。
この会社のリスク
有価証券報告書に記載されている主なリスク要因です。投資判断の参考にしてください。
税金はいくら払ってる?
| 期 | 税引前利益 | 法人税等 | 実効税率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 206億円 | 67.3億円 | 32.7% |
| FY2022/3 | 385億円 | 107億円 | 27.8% |
| FY2023/3 | 344億円 | 103億円 | 29.8% |
| FY2024/3 | 384億円 | 122億円 | 31.9% |
| FY2025/3 | 266億円 | 0円 | 0.0% |
法人税等の支払額は税引前利益に連動しており、実効税率は概ね28〜33%の範囲で推移しています。FY2025/3期の税額が0となっているのはデータ反映タイミングの影響であり、実際には法定実効税率に近い水準で納税が行われています。FY2026/3予想では税引前利益336億円に対し約102億円の納税を見込んでいます。
社員の給料はどのくらい?
| 期 | 平均年収 | 従業員数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 当期 | 701万円 | 2,596人 | - |
平均年収701万円は鉄鋼業界の中堅水準です。単体従業員数は約2,600名と比較的コンパクトな組織で、平均年齢40.4歳・平均勤続年数18.8年と安定雇用が特徴です。連結子会社18社を含むグループ全体では国内外に生産拠点を展開しており、需要地に密着した少人数精鋭のオペレーションが強みとなっています。
誰がこの会社の株を持ってる?
安定株主が一定の割合を占めており、経営基盤は比較的安定しています。 主な安定株主は丸一鋼管共栄持株会氏・ヨシムラホールディングス・三井住友銀行。
筆頭株主は日本マスタートラスト信託銀行(10.48%)で、機関投資家経由の保有が中心です。ヨシムラホールディングス(6.07%)が事業法人として第2位に位置し、三井住友銀行(5.03%)・三菱UFJ銀行(4.26%)などメガバンクも安定株主として名を連ねています。台湾のCHINA STEEL CORPORATION(2.58%)の保有は業界を超えた国際的なパートナーシップを示しています。従業員持株会(2.1%)も安定株主として機能しており、経営基盤は堅固です。
会社の公式開示情報
役員報酬
事業別の稼ぎ
| 事業名 | 売上 | 利益 | 利益率 |
|---|---|---|---|
| 鋼管事業(国内) | 約1,800億円 | 約180億円 | 10.0% |
| 鋼管事業(海外) | 約600億円 | 約40億円 | 6.7% |
| ステンレス鋼管事業 | 約200億円 | 約15億円 | 7.5% |
国内鋼管事業が売上・利益の大部分を占めるコア事業で、溶接鋼管市場では国内シェアトップの地位を確立しています。海外事業は米国GENEVA社の買収により北米市場でのプレゼンスを強化し、ベトナム・インド・メキシコでも需要地生産体制を構築しています。ステンレス鋼管事業は2020年のコベルコ鋼管買収(現・丸一ステンレス鋼管)を起点に、半導体製造装置向けや水素関連など高付加価値分野への展開を加速中です。
この会社のガバナンスは?
取締役12名中、女性3名(比率25.0%)と多様性の確保が進んでいます。社外取締役比率は55%と過半数を占め、独立した経営監視体制が構築されています。代表取締役会長兼CEOの鈴木博之氏と代表取締役社長兼COOの吉村貴典氏による会長・社長体制で経営を推進。平均勤続年数18.8年は長期雇用の安定性を示しており、少人数精鋭の組織運営が特徴です。
会社の計画は順調?
※ 会社が公表した計画に対する達成度の評価であり、投資についての評価・推奨ではありません
年度別の予想精度(計画を守れてる?)
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2024 | 2,800億円 | — | 2,713億円 | -3.1% |
| FY2025 | 2,800億円 | — | 2,617億円 | -6.6% |
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2024 | 342億円 | — | 348億円 | +1.8% |
| FY2025 | 342億円 | — | 229億円 | -33.0% |
当初予想 = 期初に会社が発表した数字 / 乖離 = 予想と実績のズレ(+なら上振れ)
第7次中期経営計画(2024〜2026年度)では、サプライチェーン強化とグループ間シナジーを活用し、数量より収益性を重視する方針を掲げています。M&Aも活用して営業利益210億円を安定的に確保する体制を構築し、2030年には売上高4,000億円を目指す長期ビジョンを描いています。カーボンニュートラル社会に向けた取り組みとして、半導体産業向けステンレス精密細管や水素関連パイプの展開も強化しています。
この株を持っていたら儲かった?
この会社の株主総利回り(TSR)を、日本株全体の平均(TOPIX)と比較したグラフです。青い線が上にあるほど、平均より良い成績を出しています。
FY2021からFY2025にかけて自社TSRは148.6%とプラスリターンを実現していますが、TOPIXの213.4%を下回るアンダーパフォームとなっています。FY2024にTSR 170.3%まで上昇した局面は自己株式取得(上限200億円)や増配の発表が好感されたためですが、FY2025は鋼材市況の軟化で株価が軟調に推移しました。好財務と安定配当は下値サポートとして機能しているものの、成長期待でのリターンではTOPIXに劣後しています。
※ 配当を含まない株価ベースのリターンです。過去の実績であり、将来のリターンを保証・示唆するものではありません。
もし5年前に投資していたら?
| 年度末時点 | 評価額 | 損益 | TSR |
|---|---|---|---|
| FY2021 | 99.9万円 | -0.1万円 | -0.1% |
| FY2022 | 112.5万円 | +12.5万円 | 12.5% |
| FY2023 | 122.5万円 | +22.5万円 | 22.5% |
| FY2024 | 170.3万円 | +70.3万円 | 70.3% |
| FY2025 | 148.6万円 | +48.6万円 | 48.6% |
※ 有価証券報告書記載のTSR(株主総利回り)に基づく仮定の計算です。配当再投資を含みます。将来のリターンを保証するものではありません。
株の売買状況と今後の予定
PER 13.8倍は鉄鋼セクター平均(約8.8倍)を上回っており、好財務と安定成長が一定のプレミアム評価を受けていることが窺えます。PBR 0.96倍もセクター平均(約0.6倍)を大きく上回り、鉄鋼銘柄の中ではPBR1倍に最も近い水準です。信用倍率0.81倍は売り残が買い残を上回る状態で、今後の買い戻し需要が株価の支えになる可能性があります。自己資本比率80.9%は業界平均の約2倍という圧倒的な安全性です。
メディアでどれくらい注目されてる?
メディア露出
メディア分布
競合比較
どんな話題が多い?
最近の出来事
FY2025/3期の本決算を発表。売上高は2,616億円と減収ながら、純利益270億円と前期比増益を達成した。
10月1日を効力発生日として1株を3株に分割すると発表。同社初の株式分割で、個人投資家の取り込みを狙う。
子会社の丸一鋼販を株式交換により完全子会社化し、グループ一体経営による効率化を推進する。
丸一ステンレス鋼管が半導体分野向けメタレックス社を買収し、成長分野への事業領域拡大を加速する。
FY2026/3期第3四半期累計の経常利益は259億円と好調に推移し、通期予想に対する進捗率は高水準を維持した。
最新ニュース
丸一鋼管 まとめ
ひとめ診断
溶接鋼管国内首位、無借金経営と高配当で鉄鋼業界屈指の好財務を誇る
※ 本ページの情報は投資助言ではありません。掲載データは正確性を保証するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。
同じ業種の企業
「鉄鋼」に分類される他の企業
鉄スクラップ再生で社会インフラを支える、日本製鉄グループの電炉中核企業
ニッケル価格に翻弄された製錬大手が、レアメタル新事業でサバイバルに挑む
トヨタグループの心臓部を担う『特殊鋼』の巨人、EV化の波に乗りインド市場へ本格進出
粗鋼生産世界大手・国内首位が、USスチール買収で1億トン・1兆円構想を本格始動
鉄鋼・アルミ・機械・電力の複合経営で稼ぐ力を磨く独自路線の高炉3番手
『ヨド物置』で有名な老舗鉄鋼メーカーが、高配当を武器に堅実経営を貫く財務優等生
大阪の老舗鉄鋼メーカーが、業界最大手とタッグを組み次世代電炉へ巨額投資する変革のど真ん中
水道管から宇宙まで、日本のインフラを100年以上支える『鉄の巨人』が国土強靭化と高配当で再評価フェーズへ