三菱製鋼
Mitsubishi Steel Mfg.Co.,Ltd.
最終更新日: 2026年3月28日
100年超の技術で社会を支える、特殊鋼とばねのスペシャリスト
2030年までに「持続可能な社会に貢献する高機能製品・サービスNo.1企業」となることを目指しています。カーボンニュートラルや循環型社会への貢献、人々の安全・安心を実現する製品とサービスを提供し続けます。
この会社ってなに?
あなたが毎日乗っている自動車、その乗り心地を左右する重要な部品『ばね』。三菱製鋼は、この自動車用ばねの世界的な大手メーカーです。普段は目にすることのない部品ですが、路面からの衝撃を和らげ、安全で快適なドライブを支えています。また、街で見かける建設現場のショベルカーやブルドーザーが力強く動くための部品にも、同社の特殊な鋼が使われています。三菱製鋼は、社会のインフラを文字通り『縁の下の力持ち』として支えている会社なのです。
直近の2025年3月期決算は売上高1,595.8億円、営業利益65.6億円と黒字転換を達成しました。前期(2024年3月期)は最終赤字でしたが、構造改革の効果が出始めています。会社は2026年3月期に営業利益74.0億円と更なる増益を計画しており、ROIC経営を導入して自動車ばね事業などの基盤事業から高収益な戦略事業へのシフトを急いでいます。株価はPBR 0.67倍と割安圏にあり、今後の事業ポートフォリオ転換の進捗が注目されます。
会社概要
- 業種
- 鉄鋼
- 決算期
- 3月
- 本社
- 東京都中央区月島四丁目16番13号
- 公式
- www.mitsubishisteel.co.jp
社長プロフィール

創業以来の「品質至上」の精神を貫き、特殊鋼鋼材、ばね、素形材、機器装置の4事業を核に、素材から製品まで一貫したモノづくりでお客様に価値を提供してきました。現在の中期経営計画では、基盤事業で得たキャッシュを成長が期待できる戦略事業へシフトさせ、事業ポートフォリオの転換を力強く推進しています。
この会社のストーリー
第一次世界大戦を背景に、東京川崎に三菱製鋼株式会社を設立。船舶用大型鋳鍛鋼品の国産化を目指し、日本の近代産業の発展に貢献する第一歩を踏み出した。
戦後の復興期を経て、企業としての基盤を固め、東京証券取引所に株式を上場。社会的な信用を高め、さらなる成長への足がかりを築いた。
自動車用ばねの生産を開始し、日本のモータリゼーションの波に乗る。特殊鋼の技術を活かし、基幹産業である自動車業界を支える主要サプライヤーへと成長した。
米国に合弁会社を設立するなど、海外展開を本格化。日本の高い技術力を世界に広め、グローバル市場での競争力を強化していく。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響や事業環境の悪化により、大幅な赤字を計上。事業構造の見直しが急務となる厳しい局面に直面した。
「2023中期経営計画」を策定し、ROIC経営を導入。基盤事業でキャッシュを創出し、精密ばねなどの戦略事業へ資源をシフトする事業ポートフォリオ転換を開始した。
中期経営計画に基づき、自動車ばね事業や特殊鋼鋼材事業の構造改革を推進。低稼働資産の売却を進め、成長分野への投資を加速させる。
注目ポイント
従来の基盤事業で安定的にキャッシュを生み出しつつ、精密ばねや金属粉末といった市場成長が期待できる戦略事業へ経営資源を集中。ROIC経営を導入し、稼ぐ力の最大化を目指しています。
主力の特殊鋼やばねは、自動車・建設機械だけでなく、航空機や産業ロボットなど幅広い分野で活躍。100年以上にわたり培われた高い技術力で、見えない場所から社会の根幹を支えています。
株主への利益還元を重要な経営課題と位置づけ、安定的かつ継続的な配当を目指しています。2026年3月期は1株あたり年間配当金の下限を80円と設定し、投資家への配慮を示しています。
サービスの実績は?
ひとめ診断
配当・優待はもらえる?
| 期 | 1株配当 | 配当性向 |
|---|---|---|
| FY2016/3 | 6円 | 37.1% |
| FY2017/3 | 6円 | 26.3% |
| FY2019/3 | 60円 | 328.9% |
| FY2020/3 | 0円 | 0.0% |
| FY2021/3 | 0円 | 0.0% |
| FY2022/3 | 50円 | 18.9% |
| FY2023/3 | 50円 | 35.1% |
| FY2024/3 | 60円 | 0.2% |
| FY2025/3 | 64円 | 41.0% |
現在、株主優待制度は実施しておりません。
配当方針として連結配当性向40%を目安としつつ、1株当たり年間配当金の下限を80円に設定する株主還元策を強化しています。業績変動リスクを考慮しつつも、安定的な配当への回帰が鮮明です。今後は収益力の向上による増配が、株主還元の柱となります。
同業比較(収益性)
鉄鋼の同業他社平均と比べると…
業績推移
儲かってるの?
三菱製鋼の業績は、自動車・建機市場の変動や原材料価格の高騰を背景に推移してきました。FY2021/3のコロナ禍による大幅な赤字から回復し、FY2025/3には純利益23.6億円を確保するなど収益の安定化が図られています。現在は次期中期経営計画に向けた構造改革を進めており、FY2026/3予想では増益を見込んでいます。
稼ぐ力はどのくらい?
| 期 | ROE | ROA | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | -17.1% | -4.2% | - |
| FY2022/3 | 15.2% | 2.8% | - |
| FY2023/3 | 5.3% | 1.4% | - |
| FY2024/3 | -14.3% | -0.7% | 2.8% |
| FY2025/3 | -0.3% | 1.7% | 4.1% |
収益性指標は、固定費負担の重い鉄鋼事業の特性を反映しています。FY2021/3の営業赤字から脱却後、FY2025/3時点では営業利益率4.1%まで回復しており、ROIC経営の導入による資本効率の改善が期待されます。今後は高付加価値製品へのシフトを通じ、さらなる利益率の向上が鍵となります。
財務は安全?
財務健全性は、過去の赤字補填や設備投資の影響を受けてきました。FY2024/3以降、有利子負債が約1,000億円規模に増加しましたが、自己資本比率は30.8%を維持しており、一定の耐性は確保されています。今後は負債の圧縮と成長事業への投資バランスが、中長期的な安定成長を左右する見込みです。
お金の流れは?
| 期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | FCF |
|---|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 37.8億円 | -28.3億円 | -70.5億円 | 9.5億円 |
| FY2022/3 | -19.2億円 | 19.7億円 | -35.2億円 | 4,300万円 |
| FY2023/3 | -27.8億円 | -14.4億円 | 148億円 | -42.2億円 |
| FY2024/3 | 64.8億円 | -39.7億円 | -116億円 | 25.1億円 |
| FY2025/3 | 60.1億円 | -51.7億円 | -65.4億円 | 8.4億円 |
営業キャッシュフローは、鉄鋼市況の悪化局面で一時マイナスとなりましたが、FY2024/3以降は60億円規模の安定した稼ぎを創出できる体制に戻っています。投資面では生産設備の刷新や構造改革に向けた支出が継続しており、FCFは安定化の途上にあります。今後は、営業キャッシュフローの継続的な確保が財務基盤強化の要となります。
この会社のリスク
有価証券報告書に記載されている主なリスク要因です。投資判断の参考にしてください。
税金はいくら払ってる?
| 期 | 税引前利益 | 法人税等 | 実効税率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | -55.1億円 | 0円 | - |
| FY2022/3 | 57.8億円 | 17.1億円 | 29.6% |
| FY2023/3 | 37.4億円 | 15.5億円 | 41.5% |
| FY2024/3 | 19.5億円 | 29.2億円 | 149.7% |
| FY2025/3 | 48.5億円 | 24.9億円 | 51.3% |
法人税等の支払いは、繰延税金資産の取り崩しや業績のボラティリティにより実効税率が変動する傾向があります。FY2024/3のように利益水準に対して税負担率が高くなる年度もあり、税効果会計の影響を強く受けています。今後は業績の安定に伴い、より標準的な税率水準へ収束することが予想されます。
社員の給料はどのくらい?
| 期 | 平均年収 | 従業員数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 当期 | 756万円 | 3,841人 | - |
従業員の平均年収は756万円であり、鉄鋼業界の平均的な水準と比較して堅実な給与水準を維持しています。長年の勤続年数(約20.6年)が示す通り、高い定着率が安定した賃金基盤を支える要因の一つとなっています。
誰がこの会社の株を持ってる?
安定株主が一定の割合を占めており、経営基盤は比較的安定しています。 個人投資家の保有比率が高く、株主優待や配当の注目度が高い銘柄です。 主な安定株主は三菱重工業・明治安田生命保険相互会社。
三菱グループ企業である三菱重工業が主要株主として名を連ね、安定株主としての側面が強い構成です。また、日本マスタートラスト信託銀行等の信託口が上位を占めており、機関投資家による保有割合が高い一方で、三菱製鋼共栄会など関係会社による保有も一定数存在し、株主構成は非常に安定的な傾向にあります。
会社の公式開示情報
役員報酬
特殊鋼鋼材やばね事業を主軸に展開しており、自動車や建機業界の景況感に強く影響を受ける事業構造です。開示情報からは脱炭素社会に向けた構造改革や、低稼働資産の売却による経営効率化を重点課題としており、収益力の回復と成長分野への投資がリスク・成長の鍵となっています。
この会社のガバナンスは?
女性役員比率は20.0%と、製造業としては高い水準での多様性確保に取り組んでいます。連結子会社17社を抱える企業グループとして、監査体制の強化と共に、ガバナンスと資本効率(ROIC)を重視した経営への転換を強力に推進しています。
会社の計画は順調?
※ 会社が公表した計画に対する達成度の評価であり、投資についての評価・推奨ではありません
年度別の予想精度(計画を守れてる?)
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2025 | 1,750億円 | — | 1,596億円 | -8.8% |
| FY2024 | 1,650億円 | — | 1,699億円 | +3.0% |
| FY2023 | 1,700億円 | — | 1,705億円 | +0.3% |
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2025 | 55億円 | — | 66億円 | +19.3% |
| FY2024 | 80億円 | — | 48億円 | -39.9% |
| FY2023 | 45億円 | — | 56億円 | +23.3% |
当初予想 = 期初に会社が発表した数字 / 乖離 = 予想と実績のズレ(+なら上振れ)
現行の「2023中期経営計画」では、最終年度(FY2025)に売上高2,000億円、営業利益100億円を掲げていますが、直近実績(売上高1,595.8億円、営業利益65.6億円)から目標達成は困難な見通しです。一方で、会社予想の精度を見ると、売上高は下振れ傾向にあるものの、営業利益は予想を上回って着地するケースもあり、収益性改善への取り組みは一定の成果を上げていると評価できます。現在はROIC経営を導入し、自動車ばね事業や特殊鋼鋼材事業の構造改革を進めており、次期中計に向けた収益基盤の再構築が急務となっています。
この株を持っていたら儲かった?
この会社の株主総利回り(TSR)を、日本株全体の平均(TOPIX)と比較したグラフです。青い線が上にあるほど、平均より良い成績を出しています。
TSR(株主総利回り)は、FY2022からFY2025まで4期連続でTOPIXをアウトパフォームしています。特にFY2025は自社TSRが233.2%と、TOPIXの213.4%を大きく上回りました。これは、FY2022以降の業績回復と増配傾向が株価に好影響を与えたことが主な要因です。赤字期もあったものの、株価が底値圏から回復する過程で、キャピタルゲインとインカムゲインの両方がTSRを押し上げる結果となりました。
※ 配当を含まない株価ベースのリターンです。過去の実績であり、将来のリターンを保証・示唆するものではありません。
もし5年前に投資していたら?
| 年度末時点 | 評価額 | 損益 | TSR |
|---|---|---|---|
| FY2021 | 101.3万円 | +1.3万円 | 1.3% |
| FY2022 | 148.9万円 | +48.9万円 | 48.9% |
| FY2023 | 159.6万円 | +59.6万円 | 59.6% |
| FY2024 | 205.5万円 | +105.5万円 | 105.5% |
| FY2025 | 233.2万円 | +133.2万円 | 133.2% |
※ 有価証券報告書記載のTSR(株主総利回り)に基づく仮定の計算です。配当再投資を含みます。将来のリターンを保証するものではありません。
株の売買状況と今後の予定
信用倍率は18.75倍と高く、信用買い残が積み上がっている状態で、将来的な売り圧力への警戒が必要です。業界比較では、PERは平均的ですが、PBRは0.67倍と業界平均を下回り、解散価値割れの状態が続いています。これは、市場が同社の資本効率や将来の収益力に対して慎重な見方をしていることを示唆します。一方で、配当利回りは3%を超え、業界平均を上回っており、株主還元への意識は評価できるポイントです。
メディアでどれくらい注目されてる?
メディア露出
メディア分布
競合比較
どんな話題が多い?
最近の出来事
自動車ばね事業および特殊鋼鋼材事業におけるROIC経営の導入と構造改革への取り組みを開始。
基盤事業でのキャッシュ創出に加え、成長市場への投資を加速させる方針を中期経営計画の進捗として発表。
第3四半期累計の連結経常利益が前年同期比44.0%減の23億円となり、収益面での停滞が顕著となった。
最新ニュース
三菱製鋼 まとめ
ひとめ診断
「『脱・自動車一本足』を目指す、三菱グループの特殊鋼メーカー」
※ 本ページの情報は投資助言ではありません。掲載データは正確性を保証するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。
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