ニチアス
NICHIAS CORPORATION
最終更新日: 2026年3月22日
見えないところで世界を支える「断つ・保つ」の匠、128年の技術で未来のインフラを守る
ニチアスグループは「断つ・保つ」の技術で地球の明るい未来に貢献します。
この会社ってなに?
あなたの身の回りの多くの場所でニチアスの技術が活躍しています。発電所やガス・石油化学プラントの配管を守る断熱材やシール材、半導体工場で使われる高純度ふっ素樹脂製品、自動車のエンジンやブレーキ周りのガスケット、そしてマンションや商業ビルの耐火・断熱建材まで。さらに将来の水素社会を見据えた液化水素関連製品の開発も進めており、私たちの暮らしの安全と快適さを「断つ・保つ」技術で支えています。
ニチアスは1896年創業の老舗素材メーカーで、断熱材・シール材・ふっ素樹脂製品などを電力・石油化学・半導体・自動車・建築業界に幅広く供給しています。「断つ・保つ」をコアコンセプトに、熱・音・振動・流体を制御する独自技術で産業インフラを陰ながら支える存在です。2025年3月期は売上高2,565億円(前期比+2.9%)、営業利益397億円(同+12.8%)と過去最高を更新し、営業利益率は15.5%に到達しました。2026年3月期は売上高2,570億円(+0.2%)、営業利益370億円を予想しており、子会社ニチアスシールテックの吸収合併による効率化と液化水素関連の研究開発投資を進めています。中期経営計画「しくみ・130」では2027年3月期を最終年度として収益性向上と事業の選択と集中を掲げ、NPI(ニチアス業績指数)の向上に取り組んでいます。
会社概要
- 業種
- ガラス・土石製品
- 決算期
- 3月
- 本社
- 東京都中央区八丁堀一丁目6番1号
- 公式
- www.nichias.co.jp
社長プロフィール
「断つ・保つ」の技術で培った信頼を礎に、脱炭素・水素社会・半導体という成長領域へ果敢に挑戦し、次の100年も社会インフラを支え続ける企業を目指します。
この会社のストーリー
保温断熱材メーカーとして東京に設立。日本の近代化を支える産業インフラの基盤技術として、断熱・シールの技術開発が始まりました。
戦後の産業復興に伴い、発電所・石油化学プラント向けの断熱工事と保温材の需要が急拡大。プラント向け事業の基盤を確立しました。
シール材やふっ素樹脂製品、建材など、断熱技術を応用した工業製品事業を拡大。自動車・半導体・建築業界への納入を開始しました。
アスベスト問題への対応を進めるとともに、社名を「日本アスベスト」から「ニチアス」に変更。非石綿製品への全面転換を推進しました。
建材の耐火性能偽装問題が発覚し、企業の信頼が大きく揺らぎました。徹底した品質管理体制の再構築を通じて信頼回復に取り組みました。
事業の選択と集中を掲げた中期経営計画を策定。高付加価値製品へのシフトと価格転嫁を推進し、営業利益率の大幅な改善を実現しました。
浜松研究所に液化水素実験棟を新設し、水素社会の実現に向けた関連製品の開発を開始。SBT認定も取得し、脱炭素経営を本格化しました。
注目ポイント
創業以来128年にわたり蓄積してきた断熱・シール・ふっ素樹脂の技術力は、発電所から半導体工場まで幅広い産業インフラに不可欠な存在です。
5年間で営業利益率を10%から15.5%へ改善し、ROEも14.8%に到達。自己資本比率74.5%の堅固な財務基盤と合わせて、安定と成長を両立しています。
液化水素実験棟の新設で水素社会への対応を先手で進め、半導体向け高機能ふっ素樹脂製品の需要拡大も追い風に。脱炭素と先端技術の両軸で成長を目指しています。
サービスの実績は?
ひとめ診断
配当・優待はもらえる?
| 期 | 1株配当 | 配当性向 |
|---|---|---|
| FY2016/3 | 21円 | 40.5% |
| FY2017/3 | 26円 | 25.9% |
| FY2018/3 | 30円 | 26.9% |
| FY2020/3 | 76円 | 34.4% |
| FY2021/3 | 78円 | 48.3% |
| FY2022/3 | 86円 | 25.9% |
| FY2023/3 | 92円 | 28.5% |
| FY2024/3 | 98円 | 24.1% |
| FY2025/3 | 108円 | 22.0% |
株主優待はありません。
配当は5年間で78円から108円へと約38%増額され、4期連続増配を継続しています。FY2026/3予想では1株152円への大幅増配(+40.7%)が計画されており、予想配当利回りは約1.7%に上昇する見込みです。配当性向は22〜28%と低水準にとどまっており、増配余力は十分にあります。株主優待制度はありませんが、自社株買いと合わせた総還元の充実を図っています。
同業比較(収益性)
ガラス・土石製品の同業他社平均と比べると…
業績推移
儲かってるの?
売上高は5年間で約1,964億円から2,565億円へと約31%拡大し、営業利益率も10.0%から15.5%へ大幅に改善しました。FY2025/3は営業利益397億円と過去最高を更新。FY2026/3予想は売上2,570億円(+0.2%)、営業利益370億円(-6.9%)とやや慎重な計画ですが、会社予想は保守的な傾向があり、上振れ余地があります。
事業ごとの売上・利益
電力・ガス、石油化学・石油精製プラントの保温保冷工事、耐火施工。メンテナンス需要が安定的な収益基盤を形成。
シール材(ガスケット・パッキン)、断熱材、ふっ素樹脂製品。半導体・自動車・化学プラント向けに展開し、高付加価値品の比率が上昇。
エンジン・排気系のガスケットやシール材、ブレーキ関連部品。国内完成車メーカー向けが中心で、EV化に伴う部品構成の変化に対応中。
耐火被覆材、断熱材、けい酸カルシウム板。マンション・商業施設向けの建材需要に対応し、不燃・耐火性能で差別化。
稼ぐ力はどのくらい?
| 期 | ROE | ROA | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 6.3% | 4.9% | - |
| FY2022/3 | 16.5% | 8.9% | - |
| FY2023/3 | 15.2% | 8.0% | - |
| FY2024/3 | 16.5% | 9.3% | 14.1% |
| FY2025/3 | 18.7% | 11.1% | 15.5% |
ROEはFY2021/3の7.9%からFY2025/3の14.8%へと大幅に改善し、資本効率が着実に向上しています。営業利益率も10.0%から15.5%へと5.5ポイント上昇し、価格転嫁と高付加価値製品へのシフトが奏功しました。ROA11.1%は素材メーカーとしては非常に高い水準で、資産効率の高い経営が実現しています。
財務は安全?
総資産は5年間で約2,196億円から2,890億円へと約32%拡大し、自己資本比率も61.7%から74.5%へ大幅に改善しました。FY2024/3で有利子負債543億円が計上されましたが、FY2025/3には354億円へ返済が進み、自己資本比率74.5%と極めて健全な財務体質を維持しています。BPSも2,042円から3,349円へと着実に増加しており、1株あたりの資産価値が大きく向上しています。
お金の流れは?
| 期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | FCF |
|---|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 187億円 | -68.0億円 | -54.7億円 | 119億円 |
| FY2022/3 | 251億円 | -55.2億円 | -58.8億円 | 196億円 |
| FY2023/3 | 187億円 | -86.5億円 | -63.7億円 | 100.0億円 |
| FY2024/3 | 192億円 | -129億円 | -111億円 | 62.7億円 |
| FY2025/3 | 312億円 | -9.1億円 | -274億円 | 303億円 |
営業CFは5年間で約187億円から312億円へと約67%増加しており、稼ぐ力が着実に強化されています。FY2025/3は投資CFがわずか-9億円と大幅に縮小し、FCF303億円と過去最高水準を記録。財務CFは-274億円と大幅なマイナスで、有利子負債の返済と配当・自社株買いによる株主還元の積極化が反映されています。
この会社のリスク
有価証券報告書に記載されている主なリスク要因です。投資判断の参考にしてください。
税金はいくら払ってる?
| 期 | 税引前利益 | 法人税等 | 実効税率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 213億円 | 106億円 | 49.6% |
| FY2022/3 | 306億円 | 85.4億円 | 27.9% |
| FY2023/3 | 331億円 | 117億円 | 35.3% |
| FY2024/3 | 388億円 | 118億円 | 30.5% |
| FY2025/3 | 417億円 | 96.2億円 | 23.1% |
FY2021/3は実効税率49.6%と高水準でしたが、これは繰延税金資産の取崩しなど一時的要因によるものです。その後はおおむね28〜35%の範囲で推移しており、FY2025/3は23.1%と低下しました。FY2026/3予想では29.7%と法定実効税率(約30%)にほぼ一致する水準を見込んでいます。
社員の給料はどのくらい?
| 期 | 平均年収 | 従業員数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 当期 | 729万円 | 6,373人 | - |
連結従業員の平均年収は約729万円で、ガラス・土石製品業界の中では標準的な水準です。連結従業員数は6,373名、平均年齢40.9歳、平均勤続年数14年と中堅社員層が厚い構成となっています。単独では1,886名と少数精鋭の体制です。
誰がこの会社の株を持ってる?
安定株主が一定の割合を占めており、経営基盤は比較的安定しています。 主な安定株主はニチアス持株会。
日本マスタートラスト信託銀行(信託口)が14.9%で筆頭株主であり、日本カストディ銀行(10.1%)と合わせて信託銀行が約25%を保有しています。ニチアス持株会が8.7%と社員持株比率が高く、三井住友銀行・住友生命・日本生命など金融機関が安定株主として名を連ねています。外国法人等が28.6%を占め、海外投資家からの評価も高い銘柄です。
会社の公式開示情報
役員報酬
事業別の稼ぎ
| 事業名 | 売上 | 利益 | 利益率 |
|---|---|---|---|
| プラント向け工事 | 約700億円 | 約95億円 | 13.6% |
| 工業製品 | 約950億円 | 約170億円 | 17.9% |
| 自動車部品 | 約450億円 | 約65億円 | 14.4% |
| 建材 | 約450億円 | 約65億円 | 14.4% |
工業製品が売上の約37%を占め最大のセグメントで、営業利益率17.9%と高収益。プラント向け工事はメンテナンス需要に支えられた安定収益源です。自動車部品と建材がそれぞれ約18%を占め、4セグメントのバランスの取れたポートフォリオが特徴です。事業リスクとしてはプラント投資サイクルや半導体景気への依存がありますが、複数業界に分散しているためリスク耐性は比較的高いといえます。アスベスト関連のリスクは過去の石綿含有製品に起因するもので、引当金を計上して対応しています。
この会社のガバナンスは?
取締役13名中女性2名(15.4%)で、プライム市場上場企業としてはやや低い水準ですが、改善に向けた取り組みを進めています。連結子会社42社を擁し国内外に事業展開。監査報酬6,900万円は企業規模に見合った水準です。平均勤続年数14年と長期雇用の企業文化が根付いており、技術の継承と組織の安定性に寄与しています。設備投資額68.2億円は収益規模に対して堅実な水準で、液化水素実験棟など戦略的な投資を実施しています。
会社の計画は順調?
※ 会社が公表した計画に対する達成度の評価であり、投資についての評価・推奨ではありません
年度別の予想精度(計画を守れてる?)
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2024 | 2,520億円 | — | 2,494億円 | -1.0% |
| FY2025 | 2,520億円 | — | 2,565億円 | +1.8% |
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2025 | 370億円 | — | 397億円 | +7.3% |
当初予想 = 期初に会社が発表した数字 / 乖離 = 予想と実績のズレ(+なら上振れ)
中期経営計画「しくみ・130」は2027年3月期を最終年度とする5カ年計画で、収益性の向上と事業の選択と集中を重点テーマに掲げています。営業利益率15%、ROE12%、自己資本比率60%といった主要KPIはFY2025/3時点ですでにクリアしており、今後は液化水素関連や半導体向け高機能製品など成長領域への投資拡大が焦点です。業績予想は保守的な傾向があり、上振れ着地の実績が信頼感を高めています。
この株を持っていたら儲かった?
この会社の株主総利回り(TSR)を、日本株全体の平均(TOPIX)と比較したグラフです。青い線が上にあるほど、平均より良い成績を出しています。
5年間のTSRは250.8%とTOPIX(213.4%)を約37ポイント上回り、市場平均をアウトパフォームしています。特にFY2024以降はプラント向け需要の回復と収益性の改善を背景に株価が大きく上昇し、TSRの上位乖離が鮮明になりました。配当の着実な増額もトータルリターンの押し上げに寄与しています。
※ 配当を含まない株価ベースのリターンです。過去の実績であり、将来のリターンを保証・示唆するものではありません。
もし5年前に投資していたら?
| 年度末時点 | 評価額 | 損益 | TSR |
|---|---|---|---|
| FY2021 | 142.7万円 | +42.7万円 | 42.7% |
| FY2022 | 133.0万円 | +33.0万円 | 33.0% |
| FY2023 | 144.1万円 | +44.1万円 | 44.1% |
| FY2024 | 218.6万円 | +118.6万円 | 118.6% |
| FY2025 | 250.8万円 | +150.8万円 | 150.8% |
※ 有価証券報告書記載のTSR(株主総利回り)に基づく仮定の計算です。配当再投資を含みます。将来のリターンを保証するものではありません。
株の売買状況と今後の予定
PER21.9倍・PBR2.60倍はガラス・土石セクター平均を大幅に上回っており、市場はニチアスの安定成長性と高収益体質をプレミアム評価しています。信用倍率5.83倍とやや買い長ですが、出来高が安定しているため需給の偏りは限定的です。時価総額5,904億円はセクター内で上位に位置し、流動性リスクは低い水準です。
メディアでどれくらい注目されてる?
メディア露出
メディア分布
競合比較
どんな話題が多い?
最近の出来事
浜松研究所に液化水素実験棟の新設を発表。投資額約10億円で2026年3月の稼働開始を予定し、水素社会の実現に向けた関連製品の開発を加速。
2025年3月期第3四半期累計の経常利益は前年同期比+17.7%と好調に推移。通期でも過去最高益更新が視野に。
完全子会社のニチアスシールテックを吸収合併することを決定。シール材事業の効率化と経営資源の最適配分を図る。
2025年3月期の連結売上高は2,565億円(+2.9%)、営業利益397億円(+12.8%)と過去最高を更新。営業利益率は15.5%に到達。
ニチアスグループの温室効果ガス排出削減目標がSBT認定を取得。脱炭素経営への取り組みが国際的に認められた。
最新ニュース
ニチアス まとめ
ひとめ診断
「断つ・保つ」の独自技術で産業インフラを支える創業128年の素材メーカーが、液化水素・半導体向けで次の成長ステージへ
※ 本ページの情報は投資助言ではありません。掲載データは正確性を保証するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。
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