東海カーボン
TOKAI CARBON CO.,LTD.
最終更新日: 2026年3月22日
100年の技術力で炭素の可能性を切り拓く、世界を支える黒子の巨人
炭素の持つ無限の可能性を引き出し、カーボンテクノロジーで社会の持続的な発展に貢献する。売上高5,000億円・EBITDA率20%・ROIC 12%の達成を目指すVision 2030。
この会社ってなに?
東海カーボンの製品は、自動車のタイヤに使われるカーボンブラック(ゴムの補強材)から、電炉製鋼に不可欠な黒鉛電極、半導体ウエハー製造装置のSiC治具まで、私たちの生活を支える産業の裏方として幅広く活躍しています。スマートフォンやEVの普及が進むほど、同社のファインカーボン素材への需要が高まる構造にあります。
FY2025/12の売上高は3,229億円(前期比-7.8%)、営業利益は258億円(同+33.3%)と増益に転じました。前期FY2024/12はドイツ子会社Cobexの黒鉛電極事業売却損や減損処理により567億円の最終赤字を計上しましたが、事業構造改革の一巡で収益は正常化しつつあります。FY2026/12予想は売上高3,467億円(+7.4%)、営業利益260億円(+0.6%)、純利益106億円と安定成長を見込みます。長期ビジョン「Vision 2030」では売上高5,000億円・EBITDA率20%・ROIC 12%を目標に掲げ、カーボンブラック事業の海外拡大(タイ新工場買収など)と半導体向けファインカーボンの成長を両輪に据えています。
会社概要
- 業種
- ガラス・土石製品
- 決算期
- 12月
- 本社
- 東京都港区北青山一丁目2番3号 青山ビル
- 公式
- www.tokaicarbon.co.jp
社長プロフィール
東海カーボンは1918年の創業以来100年以上にわたり、炭素素材を通じて産業と社会の発展に貢献してまいりました。カーボンブラック、ファインカーボン、黒鉛電極、工業炉という4つの事業を通じて、自動車、半導体、鉄鋼など基幹産業を支え続けます。Vision 2030の実現に向け、グローバルな成長と持続可能な価値創出に全力で取り組んでまいります。
この会社のストーリー
大正7年、名古屋で炭素電極の製造を開始。日本の産業近代化を支える炭素素材メーカーとしての歩みが始まりました。
自動車産業の成長に伴い、タイヤ用ゴム補強材であるカーボンブラックの製造を開始。現在の主力事業の礎を築きました。
多角的な炭素製品メーカーへの進化を示すため、東海電極製造から「東海カーボン」へと社名を変更しました。
米国リチャードソン社(341億円)、独コベックス社(約1,000億円)を相次いで買収し、グローバルプレーヤーへと飛躍しました。
Cobexの電極事業を売却し、低採算事業の整理を断行。一時的な大幅赤字を受け入れ、筋肉質な収益体質への転換を図りました。
営業利益33%増益で黒字転換を達成。タイのカーボンブラック事業買収や米国子会社統合で成長基盤を強化しています。
売上高5,000億円・EBITDA率20%・ROIC 12%の達成を目指し、カーボンテクノロジーで持続可能な社会の実現に挑み続けます。
注目ポイント
タイヤ用ゴム補強材で世界トップクラスのシェアを持ち、北米・アジア・欧州に生産拠点を展開。EV時代のタイヤ需要拡大でさらなる成長が期待されます。
パワー半導体向けSiCコート治具は世界シェア上位。EV普及に伴う半導体需要の爆発的増加が、ファインカーボン事業の長期成長を後押しします。
配当利回り3.27%に加え、100株保有でカタログギフト(3,000円相当)の株主優待あり。3年以上の長期保有で5,000円にグレードアップする制度も魅力です。
サービスの実績は?
ひとめ診断
配当・優待はもらえる?
| 期 | 1株配当 | 配当性向 |
|---|---|---|
| FY2016/3 | 6円 | 0.9% |
| FY2017/3 | 12円 | 21.6% |
| FY2018/3 | 24円 | 6.9% |
| FY2019/3 | 48円 | 32.0% |
| FY2020/3 | 30円 | 627.6% |
| FY2021/3 | 30円 | 39.7% |
| FY2022/3 | 30円 | 28.5% |
| FY2023/3 | 36円 | 30.1% |
| FY2024/3 | 30円 | 0.9% |
| FY2025/3 | 30円 | 31.9% |
| 必要株数 | 100株以上(約9.2万円) |
| 金額相当 | 約3,000円相当 |
| 権利確定月 | 12月 |
| 長期特典 | 3年以上継続保有で5,000円相当にグレードアップ |
連結配当性向30%を目安とする方針で、年間配当は30円/株前後で安定推移しています。FY2023/12は36円に増配しましたが、FY2024/12は赤字にもかかわらず30円を維持しており、安定配当への姿勢がうかがえます。配当利回り3.27%に加え、100株保有で年1回のカタログギフト(3,000円相当)の株主優待があり、3年以上の長期保有で5,000円相当にグレードアップする制度も魅力です。
同業比較(収益性)
ガラス・土石製品の同業他社平均と比べると…
業績推移
儲かってるの?
FY2022/12にカーボンブラック需要の回復と価格転嫁が進み売上高3,403億円・営業利益405億円のピークを記録しましたが、FY2024/12はドイツCobex子会社の電極事業売却損・減損により567億円の最終赤字を計上しました。FY2025/12は構造改革効果で営業利益が33%増益に転じ、FY2026/12予想は売上高3,467億円・純利益106億円と着実な回復基調を見込んでいます。
事業ごとの売上・利益
タイヤ用ゴム補強材として世界首位級。北米リチャードソン社買収、タイ事業買収で海外展開加速
半導体ウエハー製造用SiCコート治具、放電加工用電極など高付加価値品。パワー半導体向けが成長ドライバー
電炉製鋼用の黒鉛電極。Cobex事業売却後は残存事業の収益改善が課題
工業炉の設計・施工・メンテナンス。発熱体やセラミックス製品も展開
稼ぐ力はどのくらい?
| 期 | ROE | ROA | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 5.8% | 3.1% | - |
| FY2022/3 | 14.3% | 3.9% | - |
| FY2023/3 | 8.8% | 4.0% | - |
| FY2024/3 | -23.4% | -8.8% | 5.5% |
| FY2025/3 | 15.5% | 3.0% | 8.0% |
FY2022/12に営業利益率11.9%と高い収益性を達成しましたが、FY2024/12はCobex事業の減損・売却損によりROE -17.4%と大きく落ち込みました。FY2025/12はROE 5.7%・営業利益率8.0%と回復基調にあります。Vision 2030ではROIC 12%を目標としており、低採算事業の整理と高付加価値製品へのシフトによる収益性改善が課題です。
財務は安全?
総資産は5年間で約5,125億円から6,640億円へと約30%拡大しています。自己資本比率はFY2023/12に50.7%まで改善しましたが、FY2024/12の赤字計上で45.2%に低下、FY2025/12は47.9%まで回復しています。有利子負債はFY2024/12以降4,000億円前後で推移しており、タイ事業買収や設備投資による増加が見られます。BPS 1,491円に対して株価918円でPBR 0.62倍と割安水準にあります。
お金の流れは?
| 期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | FCF |
|---|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 381億円 | -353億円 | 12.1億円 | 27.9億円 |
| FY2022/3 | 412億円 | -499億円 | -106億円 | -87.0億円 |
| FY2023/3 | 621億円 | -476億円 | -145億円 | 144億円 |
| FY2024/3 | 645億円 | -708億円 | 94.1億円 | -63.1億円 |
| FY2025/3 | 559億円 | -511億円 | -76.9億円 | 48.2億円 |
営業CFはFY2023/12に620億円、FY2024/12に644億円と安定的に創出しており、本業の稼ぐ力は堅調です。FY2024/12は海外事業買収や設備投資で投資CFが707億円の流出となりFCFはマイナスでしたが、FY2025/12は投資を抑制しFCF 48億円の黒字に転じました。手元現金は643億円を確保しており、財務の柔軟性は維持されています。
この会社のリスク
有価証券報告書に記載されている主なリスク要因です。投資判断の参考にしてください。
税金はいくら払ってる?
| 期 | 税引前利益 | 法人税等 | 実効税率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 248億円 | 86.7億円 | 35.0% |
| FY2022/3 | 425億円 | 201億円 | 47.3% |
| FY2023/3 | 416億円 | 161億円 | 38.8% |
| FY2024/3 | 226億円 | 791億円 | 350.2% |
| FY2025/3 | 263億円 | 62.3億円 | 23.7% |
FY2024/12は税引前利益225億円に対して法人税等793億円と実効税率351%という異常値を記録しましたが、これはCobex子会社の売却に伴う海外での税務処理が影響したものです。FY2025/12は実効税率23.7%と正常水準に回復しています。FY2026/12予想では実効税率59.2%とやや高めの見込みで、海外子会社の統合再編に伴う一時的な税負担が想定されています。
社員の給料はどのくらい?
| 期 | 平均年収 | 従業員数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 当期 | 770万円 | 4,436人 | - |
単体の平均年収は747万円で、素材業界としては標準的な水準です。平均年齢42.8歳、平均勤続年数15.8年と安定した雇用環境が特徴です。連結子会社31社を含むグローバル企業で、海外拠点での雇用も多く、単体従業員4,625名に対して連結ではより大きな規模となっています。
誰がこの会社の株を持ってる?
安定株主が一定の割合を占めており、経営基盤は比較的安定しています。
筆頭株主は日本マスタートラスト信託銀行(19.8%)で、機関投資家が中心の株主構成です。三菱UFJグループ(銀行・信託・証券合計で約6.2%)が安定株主として存在感を示しています。外国法人等の保有比率は約16%で、STATE STREET系の複数口座が上位に名を連ねています。特定のオーナーや親会社は存在せず、独立経営体制です。
会社の公式開示情報
役員報酬
事業別の稼ぎ
| 事業名 | 売上 | 利益 | 利益率 |
|---|---|---|---|
| カーボンブラック | 約1,567億円 | 約217億円 | 13.8% |
| ファインカーボン | 約549億円 | 約77億円 | 14.0% |
| 黒鉛電極 | 約583億円 | 約-30億円 | -5.1% |
| 工業炉及び関連製品 | 約378億円 | 約30億円 | 7.9% |
カーボンブラック事業が売上高の約48%・営業利益の約74%を占める中核事業で、営業利益率13.8%と高い収益性を誇ります。ファインカーボン事業は売上比率17%ながら利益率14.0%と高収益で、半導体・EV需要の拡大に伴う成長が期待されています。黒鉛電極事業はCobex売却後も赤字が残っており、構造改革が継続中です。4事業の多角化により、特定市況への依存度を分散しています。
この会社のガバナンスは?
取締役13名中女性は1名(7.7%)で、ダイバーシティの観点からは改善の余地があります。連結子会社31社を擁するグローバル企業で、海外拠点の統合再編を進めています。設備投資額567億円は成長投資と既存設備の維持更新をバランスよく配分しており、Vision 2030の実現に向けた投資姿勢が表れています。
会社の計画は順調?
※ 会社が公表した計画に対する達成度の評価であり、投資についての評価・推奨ではありません
年度別の予想精度(計画を守れてる?)
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2024/12 | 3,650億円 | 3,501億円 | 3,501億円 | -4.1% |
| FY2025/12 | 3,400億円 | — | 3,229億円 | -5.0% |
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2024/12 | 280億円 | 193億円 | 193億円 | -31.1% |
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2025/12 | 110億円 | 180億円 | 200億円 | +81.8% |
当初予想 = 期初に会社が発表した数字 / 乖離 = 予想と実績のズレ(+なら上振れ)
長期ビジョン「Vision 2030」では売上高5,000億円・EBITDA率20%・ROIC 12%を掲げていますが、FY2025/12時点の売上高は3,229億円と目標の約65%にとどまっています。中期経営計画「T-2025」のローリングプランとして毎年見直しを行っており、カーボンブラック事業の海外拡大やファインカーボンの成長加速が重点施策です。FY2024/12のCobex事業売却は短期的に大きな赤字を生みましたが、低採算事業の整理による収益体質改善として中長期的にはプラスの判断と評価されます。
この株を持っていたら儲かった?
この会社の株主総利回り(TSR)を、日本株全体の平均(TOPIX)と比較したグラフです。青い線が上にあるほど、平均より良い成績を出しています。
直近5年間の株主総利回り(TSR)は98.0%と元本割れの水準で、TOPIX(182.5%)を大幅にアンダーパフォームしています。2018年のカーボンブラックスーパーサイクル時に上場来高値2,373円を付けた後、市況悪化とCobex減損が重なり株価は大きく調整しました。Vision 2030の成長戦略と構造改革が奏功するかが、今後のTSR回復の鍵となります。
※ 配当を含まない株価ベースのリターンです。過去の実績であり、将来のリターンを保証・示唆するものではありません。
もし5年前に投資していたら?
| 年度末時点 | 評価額 | 損益 | TSR |
|---|---|---|---|
| FY2021 | 120.5万円 | +20.5万円 | 20.5% |
| FY2022 | 115.8万円 | +15.8万円 | 15.8% |
| FY2023 | 106.2万円 | +6.2万円 | 6.2% |
| FY2024 | 105.2万円 | +5.2万円 | 5.2% |
| FY2025 | 98.0万円 | -2.0万円 | -2.0% |
※ 有価証券報告書記載のTSR(株主総利回り)に基づく仮定の計算です。配当再投資を含みます。将来のリターンを保証するものではありません。
株の売買状況と今後の予定
PER 18.5倍はセクター平均をやや上回り、FY2026/12予想の純利益回復を織り込んだ水準です。PBR 0.62倍は割安で、BPS 1,491円に対して大きなディスカウントがあります。信用倍率13.83倍と買い残が売り残を大幅に上回っており、個人投資家の買い意欲が強い反面、今後の売り圧力となる可能性もあります。配当利回り3.27%はセクター平均を上回る水準です。
メディアでどれくらい注目されてる?
メディア露出
メディア分布
競合比較
どんな話題が多い?
最近の出来事
ブリヂストンからタイのカーボンブラック事業を約100億円で買収し、アジアでの供給体制を強化。
FY2025/12の連結最終損益を180億円の黒字に上方修正。政策保有株の売却益41億円が寄与。
米国子会社3社を統合再編し「東海カーボンGS」に商号変更。北米事業の効率化を推進。
FY2025/12通期決算を発表。売上高3,229億円・営業利益258億円で、前期の赤字から黒字転換を達成。
最新ニュース
東海カーボン まとめ
ひとめ診断
カーボンブラック世界首位級、電炉用電極・半導体素材も展開する炭素製品の総合メーカー
※ 本ページの情報は投資助言ではありません。掲載データは正確性を保証するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。
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