太平洋セメント
TAIHEIYO CEMENT CORPORATION
最終更新日: 2026年3月22日
インフラの土台を支えるセメント国内首位、環境と成長の両立で新時代を切り拓く
セメント・コンクリートをコア事業として、環境との調和と技術革新を通じて、社会インフラの持続可能な発展に貢献する世界的なセメント・建材企業となること。
この会社ってなに?
太平洋セメントのセメント製品は、日々通る道路や橋、住んでいるマンションやビル、駅や空港など社会インフラの土台そのものです。コンクリートの原料であるセメントは建築・土木のあらゆる場面で使われ、災害復旧やリニア新幹線の建設にも不可欠です。さらに同社は廃棄物をセメント原料として再利用する「資源循環事業」も展開しており、ごみの削減にも貢献しています。
FY2025/3の売上高は8,963億円、営業利益は778億円と増収増益を達成し、営業利益率は8.7%まで改善しました。国内セメント販売シェアトップの地位を活かした価格改定の浸透が収益改善の主因です。「26中期経営計画」では2026年度に売上高1兆円以上、営業利益率・ROEともに10%以上を経営目標に掲げ、米国生コン事業の買収やフィリピン等での既存事業強化を通じたグローバル成長戦略を推進しています。FY2026/3予想は売上高9,500億円、営業利益850億円と2期連続の最高益更新を見込んでおり、配当も20円増配の年間100円を計画しています。
会社概要
- 業種
- ガラス・土石製品
- 決算期
- 3月
- 本社
- 東京都文京区小石川1-1-1 文京ガーデン ゲートタワー
- 公式
- www.taiheiyo-cement.co.jp
社長プロフィール
セメントは社会インフラの根幹を支える素材です。当社は国内トップシェアの地位を活かしながら、環境負荷低減と海外成長を両立し、持続可能な社会づくりに貢献してまいります。価格改定を通じた適正な収益確保と、グローバルでの事業拡大により、企業価値の一段の向上を目指します。
この会社のストーリー
秩父小野田セメントと日本セメントが合併し、国内セメント業界最大手の太平洋セメントが誕生しました。
米国やフィリピンなど環太平洋地域への事業展開を積極的に推進。グローバルなセメントメーカーとしての基盤を構築しました。
セメントキルンを活用した廃棄物処理技術を確立し、資源循環型ビジネスモデルを構築。環境と収益の両立を実現しました。
石炭価格の高騰で赤字に転落するも、国内セメント価格の大幅改定に踏み切り、収益構造の転換を図りました。
売上高1兆円・営業利益率10%以上を目標とする「26中期経営計画」を策定。米国Vulcan社の買収にも着手しました。
CO2排出量を約65%削減した低炭素型混合セメントの販売を開始。脱炭素社会に向けた技術革新で業界をリードします。
注目ポイント
国内セメント販売シェア約30%のトップ企業。道路、橋梁、ビル、トンネルなど社会インフラの基盤を支え続ける圧倒的な供給力を持っています。
セメント製造工程の高温キルンを活用し、産業廃棄物や汚泥をセメント原燃料として再利用。環境保全と収益を両立するユニークなビジネスモデルです。
PBR0.60倍・PER6.4倍と割安水準にありながら、米国や東南アジアでの事業拡大と4期連続増配が続く注目のバリュー銘柄です。
サービスの実績は?
ひとめ診断
配当・優待はもらえる?
| 期 | 1株配当 | 配当性向 |
|---|---|---|
| FY2016/3 | 6円 | 20.2% |
| FY2017/3 | 6円 | 15.6% |
| FY2019/3 | 80円 | 22.7% |
| FY2020/3 | 60円 | 18.8% |
| FY2021/3 | 60円 | 15.5% |
| FY2022/3 | 70円 | 28.5% |
| FY2023/3 | 70円 | 0.4% |
| FY2024/3 | 70円 | 18.9% |
| FY2025/3 | 80円 | 15.9% |
株主優待制度なし
4期連続で増配を実施しており、FY2026/3予想では20円増配の年間100円(利回り約2.9%)を計画しています。配当性向は30%程度を目途としつつ、FY2023/3の赤字期でも70円の配当を維持した安定還元姿勢が特徴です。株主優待制度は設けていませんが、増配による直接的な株主還元を重視する方針です。
同業比較(収益性)
ガラス・土石製品の同業他社平均と比べると…
業績推移
儲かってるの?
FY2023/3はエネルギー価格の高騰により営業利益が45億円まで急落し、最終赤字332億円に転落しました。しかしFY2024/3以降は国内セメントの価格改定が浸透し、営業利益は急回復。FY2025/3は営業利益778億円・営業利益率8.7%と収益性が大幅に改善しています。FY2026/3予想は売上高9,500億円・営業利益850億円と2期連続の最高益更新を見込んでおり、中期経営計画の最終年度として1兆円規模への成長を視野に入れています。
事業ごとの売上・利益
国内セメント販売シェア首位。普通ポルトランドセメントや高炉セメント等を製造・販売。価格改定の効果で利益率改善中
骨材(砂利・砂)、石灰石、鉱産品の採掘・販売。セメント製造の川上工程を内製化
廃棄物・副産物のセメント原燃料化、汚染土壌処理。セメントキルンの高温処理を活用した資源循環
コンクリート二次製品、地盤改良材、建築・土木工事。インフラ老朽化対策の需要を取り込む
米国(生コン・骨材)、フィリピン、パプアニューギニア等でセメント・建材事業を展開。Vulcan社買収で北米拡大中
稼ぐ力はどのくらい?
| 期 | ROE | ROA | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 6.5% | 4.5% | - |
| FY2022/3 | 7.7% | 2.6% | - |
| FY2023/3 | -11.9% | -2.6% | - |
| FY2024/3 | 12.5% | 3.2% | 6.4% |
| FY2025/3 | 6.2% | 4.0% | 8.7% |
FY2023/3はエネルギーコスト高騰により営業利益率が0.6%まで急落し、ROEもマイナスに転落しました。しかし国内セメント価格の改定が浸透し、FY2025/3には営業利益率8.7%・ROE8.5%まで力強く回復。中期経営計画では営業利益率・ROEともに10%以上を目指しており、価格政策と海外事業の収益改善がカギを握っています。
財務は安全?
総資産は5年間で約1.0兆円から約1.4兆円へ拡大しており、海外投資や設備更新が反映されています。自己資本比率はFY2023/3に39.0%まで低下しましたが、利益回復に伴いFY2025/3には45.1%まで改善。有利子負債は約7,536億円と大きいものの、BPSは5,759円と現在の株価3,439円を大きく上回っており、PBR0.60倍の割安感を裏付けています。
お金の流れは?
| 期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | FCF |
|---|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 1,104億円 | -478億円 | -440億円 | 626億円 |
| FY2022/3 | 712億円 | -839億円 | -37.4億円 | -127億円 |
| FY2023/3 | -2.7億円 | -933億円 | 1,121億円 | -936億円 |
| FY2024/3 | 1,405億円 | -821億円 | -595億円 | 584億円 |
| FY2025/3 | 1,179億円 | -1,065億円 | -206億円 | 113億円 |
FY2023/3は営業CFがほぼゼロとなり、借入金で投資資金を賄う厳しい状況でした。FY2024/3には営業CFが1,405億円まで回復し、投資CFを上回るFCFを確保。FY2025/3は海外投資の拡大により投資CFが1,065億円と大きくなりましたが、営業CFの1,179億円でカバーしFCFは113億円の黒字を維持しています。財務CFは有利子負債の返済に充当されています。
この会社のリスク
有価証券報告書に記載されている主なリスク要因です。投資判断の参考にしてください。
税金はいくら払ってる?
| 期 | 税引前利益 | 法人税等 | 実効税率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 657億円 | 189億円 | 28.8% |
| FY2022/3 | 502億円 | 212億円 | 42.3% |
| FY2023/3 | 10.2億円 | 342億円 | 3368.4% |
| FY2024/3 | 595億円 | 162億円 | 27.2% |
| FY2025/3 | 754億円 | 179億円 | 23.8% |
FY2023/3は税引前利益がわずか10億円に落ち込む一方、繰延税金資産の取り崩し等により法人税等が342億円と突出した実効税率となりました。FY2024/3以降は税引前利益の回復に伴い正常化し、実効税率は23〜29%の範囲に収まっています。FY2026/3予想では税引前利益850億円に対し約250億円の納税を見込んでいます。
社員の給料はどのくらい?
| 期 | 平均年収 | 従業員数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 当期 | 764万円 | 12,586人 | - |
平均年収764万円はガラス・土石製品業界の中では高水準です。単体従業員数は約1.3万名で、連結では国内外に約1.3万名以上の従業員を擁しています。平均年齢39.8歳、2026年3月には大卒総合職の初任給を32万円に引き上げることを発表しており、人材獲得への投資姿勢を強めています。
誰がこの会社の株を持ってる?
外国人・個人投資家の比率が高く、市場の需給が株価に反映されやすい構造です。 外国人投資家の保有比率が高く、グローバルな投資家からの評価が反映されやすい銘柄です。
信託銀行経由の機関投資家が中心の株主構成で、筆頭の日本マスタートラスト信託銀行が18.0%を保有。外国人持株比率は約42%と高く、STATE STREET BANKやJP MORGAN等のグローバル機関投資家が上位に名を連ねています。特定のオーナーや親会社は存在せず、プロ経営者による独立経営体制です。安定株主には明治安田生命やみずほ銀行が含まれています。
会社の公式開示情報
役員報酬
事業別の稼ぎ
| 事業名 | 売上 | 利益 | 利益率 |
|---|---|---|---|
| セメント事業 | 約5,200億円 | 約500億円 | 9.6% |
| 資源事業 | 約1,200億円 | 約120億円 | 10.0% |
| 環境事業 | 約800億円 | 約80億円 | 10.0% |
| 建材・建築土木事業 | 約1,200億円 | 約60億円 | 5.0% |
| 海外事業 | 約1,500億円 | 約90億円 | 6.0% |
セメント事業が売上・利益の中核を担い、国内セメント販売シェア首位の地位を活かした価格改定が収益改善をけん引しています。環境事業は廃棄物処理とセメント製造を融合した独自のビジネスモデルで高い利益率を実現。海外事業は米国でのVulcan社買収やフィリピンでの事業拡大を通じて、中期的な成長ドライバーとしての役割を強めています。
この会社のガバナンスは?
取締役13名中2名が女性で、女性役員比率15.4%です。連結子会社129社を擁する大規模グループであり、設備投資は年間約983億円とセメント設備の維持・更新に積極的に資金を投入しています。平均勤続年数17.3年と定着率が高く、製造業としての安定した雇用環境が特徴です。
会社の計画は順調?
※ 会社が公表した計画に対する達成度の評価であり、投資についての評価・推奨ではありません
年度別の予想精度(計画を守れてる?)
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2024 | 9,600億円 | 8,963億円 | 8,963億円 | -6.6% |
| FY2025 | 9,500億円 | — | — | 進行中 |
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2024 | 840億円 | 778億円 | 778億円 | -7.4% |
| FY2025 | 850億円 | — | — | 進行中 |
当初予想 = 期初に会社が発表した数字 / 乖離 = 予想と実績のズレ(+なら上振れ)
「26中期経営計画」では、FY2027/3に売上高1兆円以上、売上高営業利益率・ROEともに10%以上を経営目標として掲げています。国内セメントの価格改定推進、米国やフィリピンなど海外事業の収益基盤強化、そしてCO2排出量削減を含むサステナビリティ戦略の3本柱で目標達成を目指しています。FY2025/3実績は営業利益率8.7%・ROE8.5%と着実に改善しており、計画最終年度での目標達成が視野に入っています。
この株を持っていたら儲かった?
この会社の株主総利回り(TSR)を、日本株全体の平均(TOPIX)と比較したグラフです。青い線が上にあるほど、平均より良い成績を出しています。
過去5年間のTSR(株主総利回り)は229.6%で、TOPIX(213.4%)を約16ポイント上回るアウトパフォームとなっています。FY2023にはエネルギー高による赤字転落で一時低迷しましたが、その後の価格改定効果と業績回復により株価が持ち直し、TOPIXを上回る水準まで回復しました。配当込みのリターンで見ると、安定した増配が総合リターンを下支えしています。
※ 配当を含まない株価ベースのリターンです。過去の実績であり、将来のリターンを保証・示唆するものではありません。
もし5年前に投資していたら?
| 年度末時点 | 評価額 | 損益 | TSR |
|---|---|---|---|
| FY2021 | 160.6万円 | +60.6万円 | 60.6% |
| FY2022 | 116.2万円 | +16.2万円 | 16.2% |
| FY2023 | 145.2万円 | +45.2万円 | 45.2% |
| FY2024 | 204.8万円 | +104.8万円 | 104.8% |
| FY2025 | 229.6万円 | +129.6万円 | 129.6% |
※ 有価証券報告書記載のTSR(株主総利回り)に基づく仮定の計算です。配当再投資を含みます。将来のリターンを保証するものではありません。
株の売買状況と今後の予定
PER6.4倍・PBR0.60倍はセクター平均を大きく下回る割安水準であり、配当利回り2.91%も業界平均を上回っています。信用倍率26.05倍と買い残が売り残を大幅に上回っており、個人投資家の買い意欲が非常に高い状態です。足元ではアナリストの格下げにより調整が進んでいますが、バリュエーション面での魅力は際立っています。
メディアでどれくらい注目されてる?
メディア露出
メディア分布
競合比較
どんな話題が多い?
最近の出来事
FY2025/3本決算を発表。営業利益778億円と増益を達成し、2期連続最高益更新となるFY2026/3予想と20円増配を発表。
FY2026/3中間決算を発表。経常利益は前年同期比49%増と大幅増益で着地し、通期計画に対する進捗は順調。
米国の生コン事業会社Vulcan社の資産買収について、完了時期を2026年上半期中に変更すると発表。
事業停止中の中国子会社「江南小野田水泥」を中国の建材会社に13億円で売却すると発表。
野村證券がエネルギー高による業績予想下方修正を理由に、投資判断を「バイ」から「ニュートラル」に格下げ。目標株価も5410円から4010円に引き下げ。
最新ニュース
太平洋セメント まとめ
ひとめ診断
国内セメント首位、価格改定と海外展開で営業利益率10%超を目指す老舗インフラ企業
※ 本ページの情報は投資助言ではありません。掲載データは正確性を保証するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。
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