日本板硝子5202
Nippon Sheet Glass Company,Limited
まずこの会社は何者?
事業内容や経営者、企業の魅力をひと目でつかむ
ひとめ診断
この会社ってなに?
あなたが普段暮らしている家の窓ガラスや、街で見かける高層ビルの壁面ガラス、実はその多くを日本板硝子が作っているかもしれません。さらに、毎日利用する自動車のフロントガラスやサイドミラーも同社の主力製品の一つです。運転中に日差しを和らげてくれる特殊なガラスや、情報を映し出すヘッドアップディスプレイ用のガラスなど、目立たないけれど快適で安全な生活を支える高度な技術が使われています。普段何気なく目にしている「ガラス」の裏側で、日本板硝子は世界中の人々の暮らしを支えています。
世界的なガラスメーカーである日本板硝子は、2025期に売上高8,404億円を計上するも、138.31億円の最終赤字に陥るなど、収益性の課題に直面しています。この背景には、2006年の英ピルキントン社の巨額買収以降、長期にわたる財務負担と低収益体質があります。この状況を打開すべく、同社は米投資ファンド等から約3,000億円の支援を受け、株式を非公開化して経営再建を図るという抜本的な施策を発表しました。今後は非公開の環境下で、不採算事業の見直しや高付加価値分野への集中投資を加速させる方針です。
会社概要
- 業種
- ガラス・土石製品
- 決算期
- 3月
- 本社
- 東京都港区三田3丁目5番27号 住友不動産東京三田サウスタワー
サービスの実績は?
なぜ伸びるの?
売上・利益・成長性の数字から、稼ぐ力を読み解く
稼ぐ力はどのくらい?
| 会計期 | ROE | ROA | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| 2021/03期 | 26.9% | 2.1% | - |
| 2022/03期 | 4.0% | 0.5% | - |
| 2023/03期 | 27.9% | 3.6% | - |
| 2024/03期 | 9.6% | 1.1% | 4.3% |
| 2025/03期 | 11.9% | 1.4% | 2.0% |
| 3Q FY2026/3 | -(累計) | -(累計) | 2.9% |
収益性指標であるROE(自己資本利益率)は、最終赤字の影響によりマイナス圏に沈む年度が多く、資本効率の低迷が顕著です。営業利益率も2%から4%台で推移しており、製造業としては収益力に課題を抱えています。高付加価値製品へのシフトを掲げていますが、製造コストや市場環境の変動により、安定的な利益創出には至っていません。
儲かってるの?
| 会計期 | 売上高 | 営業利益 | 当期純利益 | EPS | YoY |
|---|---|---|---|---|---|
| 2021/03期 | 4,992億円 | — | 169億円 | -208.3円 | - |
| 2022/03期 | 6,006億円 | — | 41.3億円 | 24.1円 | +20.3% |
| 2023/03期 | 7,635億円 | — | 338億円 | -393.1円 | +27.1% |
| 2024/03期 | 8,325億円 | 359億円 | 106億円 | 95.4円 | +9.0% |
| 2025/03期 | 8,404億円 | 165億円 | 138億円 | -173.2円 | +0.9% |
過去5年間、日本板硝子は売上高がおおむね8,000億円規模で推移していますが、当期純利益は度重なる最終赤字を計上するなど業績の不安定さが目立っています。かつての大型買収の影響や構造改革費用が重荷となり、利益率の改善が長年の課題となってきました。2026年3月期も低水準の黒字予想にとどまるなど、抜本的な収益体質の改善が急務となっています。 【3Q 2026/03期実績】売上6406億円(通期予想比75%)、営業利益185億円(同60%)、純利益0百万円(同0%)。
業績の推移
売上高(青)と営業利益(緑)の年度別の伸び。バーが右肩上がりなら成長中。
同業比較(収益性)
ガラス・土石製品の同業他社平均と比べると…
将来どうなりそう?
公式情報・ニュース・メディアから今後を読み解く
会社の公式開示情報
役員報酬
EDINET開示情報によると、売上高の大部分を自動車用ガラスおよび建築用ガラスが占める構成です。事業リスクとして、世界的な景気変動や原材料価格の高騰、過去の巨額買収に起因する債務負担が挙げられており、これらのリスクを解消するための非公開化方針が大きな転換点となっています。
会社の計画は順調?
※ 会社が公表した計画に対する達成度の評価であり、投資についての評価・推奨ではありません
年度別の予想精度(計画を守れてる?)
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| 2025期 | 8,500億円 | — | 8,404億円 | -1.1% |
| 2024期 | 7,600億円 | — | 8,325億円 | +9.5% |
| 2023期 | 6,500億円 | — | 7,635億円 | +17.5% |
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| 2025期 | 310億円 | — | 165億円 | -46.8% |
| 2024期 | 300億円 | — | 359億円 | +19.5% |
| 2023期 | 180億円 | — | 348億円 | +93.4% |
当初予想 = 期初に会社が発表した数字 / 乖離 = 予想と実績のズレ(+なら上振れ)
旧中計「リバイバル計画24」では売上高目標を上回ったものの、営業利益は未達に終わりました。現行の中計「2030 Vision」では、太陽電池パネル用ガラスなど高付加価値分野での成長を掲げ、売上1兆円、営業利益700億円という高い目標を設定しています。しかし、初年度の2025期実績は営業利益の進捗率が23.6%と大幅に遅れており、計画の実現性には厳しい見方がされています。株式非公開化に伴い、この中期経営計画も抜本的に見直される可能性が高いでしょう。
最新ニュース
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メディア分布
競合比較
この会社のストーリー
創業から現在までの歩みと、代表者の姿
出来事の年表
3000億円規模の支援を受け、上場廃止およびファンド傘下での再建を決定。
第3四半期決算にて営業利益185億円を計上し、前年同期比71.3%増を達成。
中期経営計画「2030 Vision: Shift the Phase」を公表し収益構造の改革を掲げる。
社長プロフィール
安心して投資できる?
財務・透明性・株主構成・リスクを点検
財務は安全?
有利子負債は3,000億円超という多額の規模に達しており、自己資本比率が10%台前半と低い水準にあるため財務基盤は脆弱です。資産規模は1兆円規模を維持していますが、過去の負の遺産による債務負担が重く、財務健全性の回復が経営の最優先課題となっています。資本の積み上げが進まない中で、今後の再建に向けた抜本的な資本増強が不可欠な状況です。 【3Q 2026/03期】総資産1.0兆円、純資産1424億円、自己資本比率10.5%、有利子負債5227億円。
お金の流れは?
| 会計期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | FCF |
|---|---|---|---|---|
| 2021/03期 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| 2022/03期 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| 2023/03期 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| 2024/03期 | 588億円 | 435億円 | 481億円 | 153億円 |
| 2025/03期 | 524億円 | 424億円 | 85.1億円 | 99.8億円 |
営業活動によるキャッシュフローは年間約200億円から580億円規模で安定的にプラスを確保しています。しかし、設備投資などの投資活動にも継続的な資金投入が必要であり、営業キャッシュフローの範囲内で投資と負債の圧縮を両立させるのは困難な状況が続いています。結果としてフリーキャッシュフローの創出が十分ではなく、経営再建のための外部資金調達に依存せざるを得ない構造です。
この会社のガバナンスは?
女性役員比率は10.5%にとどまっており、多様性の確保が今後の課題です。監査体制については1億4,800万円の監査報酬を支払うなど相応の体制を有していますが、非公開化による経営の抜本的な立て直しが最優先事項となっており、ガバナンス構造自体も大きな変革期にあります。
この会社のリスク
有価証券報告書に記載されている主なリスク要因です。投資判断の参考にしてください。
社員の給料はどのくらい?
| 期 | 平均年収 | 従業員数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 当期 | 770万円 | 25,406人 | - |
従業員平均年収は770万円であり、ガラス業界の平均と比較しても相応の水準を維持しています。ただし、過去の大型買収の影響による長年の業績低迷や、構造改革に伴う人件費の抑制が継続的な課題となっており、直近では経営再建に向けた抜本的な施策が優先されています。
株主リターン・投資成果
リターン・配当・市場データを確認
平均よりも稼げてる?
この会社の株を持っていた場合のリターン(青)を、日本株全体の平均(TOPIX、灰)と比較。青い線が上にあれば、平均より良い成績です。
過去5年間のTSR(株主総利回り)は、2022期、2024期、2025期においてTOPIXを大きく下回る「アンダーパフォーム」となっています。これは、長期にわたる無配継続と、根本的な収益性改善が進まず株価が低迷したことが主な要因です。2023期のように一時的に株価が反発しTOPIXを上回る年もありましたが、継続的な株主価値向上には繋がっておらず、今回の株式非公開化による経営再建という判断に至った背景を物語っています。
※ 配当を含まない株価ベースのリターンです。過去の実績であり、将来のリターンを保証するものではありません。
配当・優待はもらえる?
| 期 | 1株配当 | 配当性向 |
|---|---|---|
| 2016/03期 | 0円 | 0.0% |
| 2017/03期 | 0円 | 0.0% |
| 2018/03期 | 20円 | 41.8% |
| 2019/03期 | 30円 | 26.1% |
| 2020/03期 | 0円 | 0.0% |
| 2021/03期 | 0円 | 0.0% |
| 2022/03期 | 0円 | 0.0% |
| 2023/03期 | 0円 | 0.0% |
| 2024/03期 | 0円 | 0.0% |
| 2025/03期 | 0円 | 0.0% |
株主優待制度は実施していません。
業績の低迷と財務再建を優先しているため、長期間にわたり無配が継続しています。株主還元よりも財務基盤の強化と債務の圧縮が経営上の最優先事項となっており、業績が十分に改善するまでは復配が困難な状況です。非公開化に向けた再建フェーズにおいても、当面は内部留保の確保が最優先される方針と見受けられます。
もし5年前に投資していたら?
| 年度末時点 | 評価額 | 損益 | TSR |
|---|---|---|---|
| 2021期 | 170.3万円 | 70.3万円 | 70.3% |
| 2022期 | 128.5万円 | 28.5万円 | 28.5% |
| 2023期 | 190.4万円 | 90.4万円 | 90.4% |
| 2024期 | 158.6万円 | 58.6万円 | 58.6% |
| 2025期 | 118.6万円 | 18.6万円 | 18.6% |
※ 有価証券報告書記載のTSR(株主総利回り)に基づく仮定の計算です。配当再投資を含みます。将来のリターンを保証するものではありません。
株の売買状況と今後の予定
株式非公開化の方針が報じられ、株価が急騰したことでPERは800倍超と異常値を示しており、参考になりません。PBRは0.58倍と解散価値を大きく下回っており、市場からの厳しい評価を反映しています。信用買残が多く、信用倍率は26.84倍と高水準で、将来の株価上昇を見込んだ投機的な買いが集まっていますが、非公開化が予定されているため、今後の株価はTOB価格などに収斂していくと考えられます。
税金はいくら払ってる?
| 期 | 税引前利益 | 法人税等 | 実効税率 |
|---|---|---|---|
| 2021/03期 | -172億円 | 0円 | - |
| 2022/03期 | 119億円 | 77.3億円 | 65.1% |
| 2023/03期 | -219億円 | 0円 | - |
| 2024/03期 | 176億円 | 69.6億円 | 39.6% |
| 2025/03期 | -85.3億円 | 0円 | - |
実効税率が極めて高い水準で推移しているのは、グローバルな税務調整や繰延税金資産の取り崩し、地域別の利益変動に伴うものと考えられます。会計上の利益と税務上の課税所得に大きな乖離が生じており、赤字期や低利益期でも税負担が発生しています。この高い税コストは利益を圧迫する要因の一つとなっており、業績の不安定さと税負担のミスマッチが財務上の重荷となっています。
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「20年前の巨額買収の呪縛を断ち切るため、投資ファンドと組んで株式非公開化という荒療治に踏み切ったガラスの巨人」
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