AGC
AGC Inc.
最終更新日: 2026年3月22日
1907年創業の「ガラスの王者」が、素材の力で世界を変える――V字回復から攻めの成長へ
素材の力で、いつの時代も社会を明るくする。AGCは「Look Beyond」の精神で、見えない未来を切り拓きます。
この会社ってなに?
あなたの暮らしの至るところにAGCの素材が使われています。住宅やビルの窓ガラス、自動車のフロントガラスやサンルーフ、スマートフォンのカバーガラス、液晶テレビのディスプレイ用ガラス基板。さらに半導体製造に不可欠なフォトマスク用ガラスや、医薬品の有効成分を受託製造するCDMO事業、塩ビ樹脂やフッ素樹脂といった化学品まで幅広く手がけています。「ガラスの会社」というイメージを超え、毎日触れるモノの多くがこの会社の技術で支えられています。
AGCは建築用・自動車用ガラスで世界トップクラスのシェアを持つ総合素材メーカーです。FY2024/12は構造改革に伴う減損損失で純損失940億円を計上しましたが、FY2025/12には純利益691億円へV字回復を果たしました。PBR 0.79倍・PER 15.3倍と依然として割安圏にあり、中期経営計画AGC plus-2026のもと営業利益1,800億円を最終目標に掲げています。FY2026/12は売上高2.2兆円・営業利益1,500億円・純利益770億円を予想しており、電子部材やライフサイエンスなど戦略事業の成長加速が問われる局面です。
会社概要
- 業種
- ガラス・土石製品
- 決算期
- 12月
- 本社
- 東京都千代田区丸の内1-5-1 新丸の内ビルディング
- 公式
- www.agc.com
社長プロフィール
AGCグループは117年の歴史の中で培ったガラスと化学の融合技術を武器に、社会に不可欠な素材を提供し続けてきました。構造改革を経てV字回復を果たした今、ライフサイエンスや半導体関連素材など成長領域への投資を加速し、2030年のありたい姿の実現に向けて挑戦を続けてまいります。
この会社のストーリー
岩崎俊彌が尼崎に旭硝子株式会社を設立。日本初の板ガラスの国産化に成功し、輸入品に頼っていた時代に国産ガラスの礎を築きました。
北九州に苛性ソーダ工場を建設し、ガラス製造で培った技術を活かして化学品事業に進出。素材メーカーとしての多角化が始まりました。
ベルギーのグラバーベル社を買収し、欧州市場に本格進出。自動車用ガラスのグローバル供給体制を確立しました。
旭硝子から「AGC」へ社名を変更。「ガラスの会社」から「素材の会社」への変革を象徴する一歩を踏み出しました。
ロシア事業撤退や構造改善に伴い純損失940億円を計上。過去最大の赤字を記録しましたが、将来の成長基盤構築のための「痛みを伴う改革」を断行しました。
純利益691億円の黒字転換を達成。ライフサイエンスCDMO事業やEUV関連素材が成長し、攻めの投資フェーズに転じています。
注目ポイント
建築用板ガラスで世界No.1、自動車用ガラスでも世界トップ級のシェアを誇ります。117年の歴史に裏打ちされた技術力とグローバル供給網は他社が容易に模倣できない強みです。
FY2022/12、FY2024/12と2度の赤字決算においても年間210円の配当を維持。配当利回り3.79%の安定したインカムが長期保有の魅力です。
AGC Biologicsによるバイオ医薬品CDMO事業と、EUVリソグラフィ向け素材は今後の成長ドライバー。ガラスと化学品の融合技術が新市場を切り拓いています。
サービスの実績は?
ひとめ診断
配当・優待はもらえる?
| 期 | 1株配当 | 配当性向 |
|---|---|---|
| FY2016/3 | 18円 | 43.9% |
| FY2018/3 | 115円 | 28.8% |
| FY2019/3 | 120円 | 59.7% |
| FY2020/3 | 120円 | 81.2% |
| FY2021/3 | 210円 | 37.6% |
| FY2022/3 | 210円 | 0.4% |
| FY2023/3 | 210円 | 68.9% |
| FY2024/3 | 210円 | 0.4% |
| FY2025/3 | 210円 | 64.4% |
なし
AGCは年間配当210円を4期連続で維持しており、赤字決算のFY2022/12やFY2024/12においても減配せず安定配当を貫いています。配当利回りは3.79%とガラス・土石製品業界の中でも高い水準。FY2022/12・FY2024/12は純損失のため配当性向の算出は不可能ですが、黒字期の配当性向は37〜69%の範囲にあります。株主優待制度は設けておらず、配当による安定的な株主還元を重視する方針です。
同業比較(収益性)
ガラス・土石製品の同業他社平均と比べると…
業績推移
儲かってるの?
AGCの業績は構造改革の過渡期にあります。FY2021/12には営業利益2,061億円と好調でしたが、その後はディスプレイ用ガラスの市況悪化やロシア事業撤退に伴う減損などで利益が縮小。FY2024/12にはロシア事業譲渡費用や構造改善損失を計上し、純損失940億円と過去最大の赤字を記録しました。FY2025/12には建築用ガラスの堅調やライフサイエンス事業の伸長により純利益691億円へV字回復。FY2026/12は営業利益1,500億円・純利益770億円への増益を見込んでおり、中計AGC plus-2026の最終年度に向けた成長軌道への回帰が試されています。
事業ごとの売上・利益
建築用板ガラスで世界トップシェア。Low-Eガラスや複層ガラスなど高機能品の比率拡大を推進
自動車用ガラスで世界トップ級。EV向け軽量ガラスやHUD対応ウインドシールドなど高付加価値化が進展
半導体フォトマスク用ガラスやディスプレイ用ガラス基板。EUVリソグラフィ向け素材が戦略事業の柱
苛性ソーダ、塩ビ樹脂、フッ素樹脂・フッ素化学品。東南アジアでのクロールアルカリ事業が利益貢献
バイオ医薬品CDMO事業(AGC Biologics)。遺伝子・細胞治療薬の受託製造で急成長中の戦略事業
稼ぐ力はどのくらい?
| 期 | ROE | ROA | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 16.3% | 7.9% | - |
| FY2022/3 | 6.3% | 2.1% | - |
| FY2023/3 | 15.2% | 4.2% | - |
| FY2024/3 | -6.5% | -1.7% | 19.2% |
| FY2025/3 | 16.4% | 4.2% | 19.5% |
収益性指標は構造改革の影響で大きく変動しています。FY2021/12にはROE 8.4%・営業利益率12.1%と高水準を記録しましたが、ディスプレイ用ガラスの市況悪化やロシア事業撤退費用により、FY2024/12にはROE -5.6%まで落ち込みました。FY2025/12にはROE 4.0%へ回復したものの、中計目標のROE 8%以上には依然として距離があります。営業利益率6%台への定着と、戦略事業の利益貢献拡大による収益性の構造的改善が課題です。
財務は安全?
総資産約3兆円規模に対し、自己資本比率は49〜50%台と非常に安定しています。BPSは7,003円と現株価5,543円を大きく上回っており、PBR 0.79倍の割安さを裏付けています。FY2024/12以降は有利子負債が約4,000億円台で推移していますが、潤沢なキャッシュフローにより返済余力は十分。ガラス・土石製品業界では随一の財務健全性を誇っています。
お金の流れは?
| 期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | FCF |
|---|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| FY2022/3 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| FY2023/3 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| FY2024/3 | 2,848億円 | -1,956億円 | -1,319億円 | 892億円 |
| FY2025/3 | 2,745億円 | -1,784億円 | -1,141億円 | 961億円 |
営業CFは毎年2,000〜3,200億円を安定的に創出しており、設備投資や配当支払いを十分に賄える水準です。FCF(フリーキャッシュフロー)はFY2023/12に327億円まで縮小しましたが、FY2025/12には960億円へ回復。ライフサイエンスCDMO拠点への投資や全固体電池材料の新規設備投資が続く中でも、財務キャッシュフローで着実に有利子負債の返済を進めており、健全な資金運営を維持しています。
この会社のリスク
有価証券報告書に記載されている主なリスク要因です。投資判断の参考にしてください。
税金はいくら払ってる?
| 期 | 税引前利益 | 法人税等 | 実効税率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 1,240億円 | 0円 | 0.0% |
| FY2022/3 | 1,038億円 | 453億円 | 43.6% |
| FY2023/3 | 1,151億円 | 0円 | 0.0% |
| FY2024/3 | 943億円 | 1,443億円 | 153.1% |
| FY2025/3 | 1,209億円 | 0円 | 0.0% |
FY2026/12の予想税引前利益1,500億円に対し、法人税等は約730億円、実効税率48.7%と高めの水準が見込まれています。これは海外子会社の税率差異や、過年度の構造改革損失に伴う繰延税金資産の取崩しなどが影響しています。ロシア事業撤退や事業売却に伴う一時的な税務影響が落ち着けば、実効税率は正常化に向かう見通しです。
社員の給料はどのくらい?
| 期 | 平均年収 | 従業員数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 当期 | 905万円 | 52,896人 | - |
AGCグループの連結従業員数は約53,700人で、平均年収は888万円とガラス・土石製品業界でもトップクラスの水準です。平均年齢43.2歳・平均勤続年数16.9年と長期雇用が特徴的であり、世界30ヶ国以上でグローバルに人材を展開しています。
誰がこの会社の株を持ってる?
安定株主が一定の割合を占めており、経営基盤は比較的安定しています。 主な安定株主はAGC従業員持株会氏・旭硝子取引先持株会氏・明治安田生命保険相互会社。
筆頭株主の日本マスタートラスト信託が16.0%、日本カストディ銀行が8.2%と国内信託銀行が上位を占める典型的な大型株の株主構成です。旭硝子財団(3.0%)や旭硝子取引先持株会(2.2%)など、旧社名時代からの安定株主が約5%を占めている点が特徴的。明治安田生命・日本生命など大手生保も安定株主として名を連ね、外国人持株比率は約21%と適度な水準を保っています。
会社の公式開示情報
役員報酬
事業別の稼ぎ
| 事業名 | 売上 | 利益 | 利益率 |
|---|---|---|---|
| 建築用ガラス | - | - | - |
| オートモーティブ | - | - | - |
| 電子部材 | - | - | - |
| 化学品 | - | - | - |
| ライフサイエンス | - | - | - |
AGCは建築用ガラス、オートモーティブ、電子部材、化学品、ライフサイエンスの5つの事業領域で展開しています。建築用・自動車用ガラスが売上の基盤を形成しつつ、成長ドライバーとしてEUV関連の電子部材やバイオ医薬品CDMOのライフサイエンス事業に注力。役員報酬は取締役7名で6億2,800万円と、売上規模2兆円に対して適正な水準にあります。
この会社のガバナンスは?
女性役員比率は25.0%と、ガラス・土石製品業界では高い水準を確保しています。取締役12名中4名が社外取締役(社外比率50%)であり、コーポレートガバナンスの透明性が高い点も評価できます。設備投資額は2,574億円と大きく、ガラス溶融炉の更新やCDMO拠点の新設などに充当されています。
会社の計画は順調?
※ 会社が公表した計画に対する達成度の評価であり、投資についての評価・推奨ではありません
年度別の予想精度(計画を守れてる?)
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2024 | 2兆1,500億円 | 2兆700億円 | 2兆676億円 | -3.8% |
| FY2025 | 2兆1,000億円 | — | 2兆588億円 | -2.0% |
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2024 | 1,500億円 | 1,300億円 | 1,258億円 | -16.1% |
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2025 | 600億円 | — | 691億円 | +15.3% |
当初予想 = 期初に会社が発表した数字 / 乖離 = 予想と実績のズレ(+なら上振れ)
中期経営計画AGC plus-2026では、2030年のありたい姿の実現に向けた基盤構築を目指しています。構造改善に伴う減損損失の影響でROE目標は未達が続いていますが、ロシア事業撤退やポリカーボネート事業売却など構造改革は着実に進行中。戦略事業であるライフサイエンス(CDMO)や電子部材(EUV関連)の成長により、収益構造の転換が進みつつあります。最終年度FY2026/12の営業利益1,800億円達成に向けた道筋が問われています。
この株を持っていたら儲かった?
この会社の株主総利回り(TSR)を、日本株全体の平均(TOPIX)と比較したグラフです。青い線が上にあるほど、平均より良い成績を出しています。
過去5年間のTSR(株主総利回り)は142.1%と、TOPIX 182.5%に対してアンダーパフォームしています。FY2022にはディスプレイ用ガラスの好況で一時148.1%まで上昇しましたが、その後の構造改革損失による赤字決算で株価が低迷し、TOPIXとの差が拡大しました。V字回復を果たしたFY2025/12以降、中計目標の達成と戦略事業の収益貢献によりTSRの改善が期待されます。
※ 配当を含まない株価ベースのリターンです。過去の実績であり、将来のリターンを保証・示唆するものではありません。
もし5年前に投資していたら?
| 年度末時点 | 評価額 | 損益 | TSR |
|---|---|---|---|
| FY2021 | 94.7万円 | -5.3万円 | -5.3% |
| FY2022 | 148.1万円 | +48.1万円 | 48.1% |
| FY2023 | 125.6万円 | +25.6万円 | 25.6% |
| FY2024 | 152.3万円 | +52.3万円 | 52.3% |
| FY2025 | 142.1万円 | +42.1万円 | 42.1% |
※ 有価証券報告書記載のTSR(株主総利回り)に基づく仮定の計算です。配当再投資を含みます。将来のリターンを保証するものではありません。
株の売買状況と今後の予定
PBR 0.79倍はセクター平均1.05倍を大きく下回り、BPS 7,003円に対して割安な水準にあります。PERは15.3倍とセクター平均13.5倍をやや上回りますが、これはFY2024/12の赤字からの回復途上でEPSが十分に伸びていないため。配当利回り3.79%はセクター中央値3.01%を上回り、インカム面での魅力が高い銘柄です。信用倍率26.77倍と買い残が厚く積み上がっている点は短期的な上値の重さを示唆しています。
メディアでどれくらい注目されてる?
メディア露出
メディア分布
競合比較
どんな話題が多い?
最近の出来事
FY2025/12第3四半期累計で最終黒字に浮上。7-9月期は純利益が前年同期比3.2倍増益となり、V字回復が鮮明に。
FY2025/12本決算を発表。純利益691億円の黒字転換を達成し、FY2026/12は11%増益の770億円を予想。
業績回復への期待から連日買いが続き、年初来高値6,959円を更新。株価の回復基調が鮮明に。
最新ニュース
AGC まとめ
ひとめ診断
「ガラス世界首位の総合素材メーカーが、赤字940億円からV字回復――中計AGC plus-2026の正念場」
※ 本ページの情報は投資助言ではありません。掲載データは正確性を保証するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。
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