住友大阪セメント
Sumitomo Osaka Cement Co.,Ltd.
最終更新日: 2026年3月22日
セメントで社会を支え、光で未来をつなぐ住友系素材メーカー
2035年に売上高4,000億円、営業利益400億円以上、ROE10%以上の環境解決企業グループとなること。
この会社ってなに?
住友大阪セメントのセメントは、ビルや橋、道路、ダムなど私たちの生活を支えるインフラの基礎材料として不可欠です。東京スカイツリーの基礎工事にも同社グループの生コンクリートが使われました。また、光通信用のLN変調器は光ファイバー通信の心臓部であり、インターネットやスマートフォンの高速通信を支えています。セメント工場での廃棄物リサイクルや低炭素セメントの開発など、環境に配慮した事業活動にも注力しています。
FY2025/3の売上高は2,195億円、営業利益は94億円と前期比で増益に転じ、セメント値上げと石炭価格低下の恩恵が表れました。FY2023/3には原燃料高騰で営業赤字に陥りましたが、価格転嫁を進めて収益を改善中です。FY2026/3予想は売上高2,350億円、営業利益190億円と大幅増益を計画しており、中期経営計画最終年度として「SOC Vision 2035」で掲げる営業利益214億円の目標には届かないものの、セメント事業の収益力回復が定着しつつあります。光電子事業ではLN変調器が5G・データセンター向けに伸長し、フィリピンのセメント会社への15%出資など海外展開も進めています。
会社概要
- 業種
- ガラス・土石製品
- 決算期
- 3月
- 本社
- 東京都港区東新橋1-9-2 汐留住友ビル 20階
- 公式
- www.soc.co.jp
社長プロフィール
当社は「地球環境に配慮し、たゆまない技術開発と多様な事業活動を通じて、豊かな社会の維持・発展に貢献する企業グループ」を目指しています。セメント事業の収益力を回復させながら、光電子や新材料といった成長事業を育て、2035年のありたい姿に向けて歩みを進めてまいります。
この会社のストーリー
福島県いわき市で磐城セメントとして創業。日本のインフラ整備を支えるセメント製造の歴史が始まりました。
東京・業平橋で日本初の生コンクリートを製造。後のスカイツリー建設地という歴史的な場所での技術革新でした。
住友セメントと大阪セメントが合併し「住友大阪セメント」が誕生。国内セメント業界の再編をリードしました。
石炭価格の急騰によりセメント事業が赤字に。しかし段階的な価格転嫁を実行し、収益回復への転機としました。
2035年の目指す姿を掲げた中長期ビジョンを発表。セメント以外の事業育成と環境解決企業への変革を宣言しました。
Philcement社に15%出資し、成長が見込まれる東南アジアのセメント市場への足がかりを築きました。
売上高4,000億円、営業利益400億円以上を目指し、セメントの枠を超えた環境ソリューション企業への進化を図ります。
注目ポイント
セメント工場で年間約300万トンの廃棄物を受け入れ、原料・燃料として再資源化。CO2排出削減に向けた低炭素セメントの開発や、CO2再資源化材料を活用した次世代舗装技術にも取り組んでいます。
光通信用LN変調器では世界トップクラスのシェアを有し、5G通信やデータセンターの大容量化を支えています。営業利益率16%超と高収益で、セメント依存からの脱却を牽引する成長エンジンです。
FY2023/3の営業赤字85億円からFY2026/3予想では190億円の営業利益へとV字回復。厳しい時期にも年間120円の配当を維持した実績は、株主への誠実な還元姿勢を示しています。
サービスの実績は?
ひとめ診断
配当・優待はもらえる?
| 期 | 1株配当 | 配当性向 |
|---|---|---|
| FY2016/3 | 8円 | 20.3% |
| FY2017/3 | 10円 | 25.0% |
| FY2018/3 | 11円 | 30.5% |
| FY2020/3 | 120円 | 42.4% |
| FY2021/3 | 120円 | 39.4% |
| FY2022/3 | 120円 | 45.7% |
| FY2023/3 | 120円 | 0.5% |
| FY2024/3 | 120円 | 26.8% |
| FY2025/3 | 120円 | 44.4% |
株主優待制度はありません
年間配当120円/株を5期連続で維持しており、安定配当を重視した還元方針です。FY2023/3の赤字期にも減配せず120円を維持した実績があり、株主還元への姿勢は堅実です。配当利回りは約3.16%と市場平均を上回る水準。FY2026/3予想EPSは435.9円であり、配当性向は約27.5%と余裕のある水準となる見込みです。株主優待制度はありません。
同業比較(収益性)
ガラス・土石製品の同業他社平均と比べると…
業績推移
儲かってるの?
FY2023/3は原燃料(石炭・電力)価格の高騰によりセメント事業が大幅赤字となり、連結でも営業赤字85億円を計上しました。その後、国内セメント販売価格の段階的値上げと石炭市況の落ち着きにより、FY2024/3以降は黒字に回復。FY2026/3予想では営業利益190億円と大幅増益を見込んでおり、セメント事業の収益力回復が定着しつつあります。FY2024/3の純利益153億円は投資有価証券売却益など特別利益が押し上げた面がある点に留意が必要です。
事業ごとの売上・利益
国内シェア3位のセメント製造・販売。セメント・固化材・骨材など。FY2025/3は値上げ効果で黒字転換し、FY2026/3はさらなる収益改善を計画
石灰石・シリカサンドなど鉱産品の採掘・販売。安定した収益を確保
コンクリート二次製品、建設資材の製造・販売。子会社スミセ建材が事業拡充
光通信用LN変調器、半導体製造装置用静電チャックなど。5G・データセンター需要で成長分野
ナノ粒子材料、電池材料など先端素材と不動産・発電事業
稼ぐ力はどのくらい?
| 期 | ROE | ROA | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 5.5% | 3.6% | - |
| FY2022/3 | 4.4% | 2.9% | - |
| FY2023/3 | -3.1% | -1.6% | - |
| FY2024/3 | 9.1% | 4.3% | 3.3% |
| FY2025/3 | 4.7% | 2.6% | 4.3% |
FY2023/3にセメント事業の赤字転落でROE -3.1%まで悪化しましたが、FY2024/3にはROE 7.8%とV字回復しました。ただしFY2024/3のROEは特別利益(投資有価証券売却益)の寄与が大きく、営業利益率3.3%は依然として低水準でした。FY2025/3は営業利益率4.3%へ改善し、FY2026/3予想では営業利益率8.1%と収益力の本格回復が見込まれます。中長期的にはROE10%以上を目標としています。
財務は安全?
自己資本比率はFY2021/3の61.8%からFY2023/3に51.2%まで低下した後、54%台で安定しています。FY2024/3から有利子負債が約2,093億円計上されていますが、総資産約3,530億円に対し純資産1,937億円と自己資本は厚く、財務基盤は安定しています。BPSは5,794円で株価3,802円に対しPBR 0.66倍と資産面での割安感があります。
お金の流れは?
| 期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | FCF |
|---|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 328億円 | -189億円 | -109億円 | 139億円 |
| FY2022/3 | 183億円 | -161億円 | -80.0億円 | 21.9億円 |
| FY2023/3 | -161億円 | -198億円 | 373億円 | -360億円 |
| FY2024/3 | 437億円 | -154億円 | -244億円 | 284億円 |
| FY2025/3 | 249億円 | -218億円 | -53.4億円 | 30.7億円 |
FY2023/3はセメント事業の赤字に伴い営業CFがマイナス161億円に転落し、財務CFで借入金372億円を調達して資金繰りを確保しました。FY2024/3には営業CFが437億円まで回復し、FCF284億円と健全な水準に復帰。FY2025/3は営業CF249億円と前期比でやや減少したものの、プラスを維持しています。設備投資は工場の維持・更新を中心に年間150〜200億円の水準で推移しています。
この会社のリスク
有価証券報告書に記載されている主なリスク要因です。投資判断の参考にしてください。
税金はいくら払ってる?
| 期 | 税引前利益 | 法人税等 | 実効税率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 176億円 | 59.2億円 | 33.6% |
| FY2022/3 | 98.3億円 | 1.6億円 | 1.6% |
| FY2023/3 | -78.5億円 | 0円 | - |
| FY2024/3 | 84.8億円 | 0円 | 0.0% |
| FY2025/3 | 93.7億円 | 3.6億円 | 3.8% |
FY2022/3からFY2025/3にかけて実効税率が極めて低い水準で推移しています。これはFY2023/3の赤字期に発生した繰越欠損金の活用と、税効果会計上の調整が影響しているものです。FY2026/3予想では税引前利益190億円に対し税額50億円(実効税率26.3%)と正常化する見通しです。
社員の給料はどのくらい?
| 期 | 平均年収 | 従業員数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 当期 | 703万円 | 2,952人 | - |
平均年収703万円はガラス・土石製品業界の中では標準的な水準です。単体従業員数は約2,952名で、連結では約38のグループ会社を擁しています。平均年齢43歳、平均勤続年数18.4年と長期安定雇用が特徴的な企業です。
誰がこの会社の株を持ってる?
外国人・個人投資家の比率が高く、市場の需給が株価に反映されやすい構造です。 外国人投資家の保有比率が高く、グローバルな投資家からの評価が反映されやすい銘柄です。
筆頭株主の日本マスタートラスト信託銀行(14.96%)に続き、英運用大手Silchester社関連のNORTHERN TRUST口座が複数上位に名を連ねており、合計で約21%を保有しています。Silchester社は長期バリュー投資で知られ、経営効率の改善や株主還元の強化を求める姿勢で知られています。住友生命(2.58%)が住友グループとしての安定株主として機能。2025年5月には個人株主「野村絢」氏の大量保有が判明し、思惑買いで年初来高値を更新する場面もありました。
会社の公式開示情報
役員報酬
事業別の稼ぎ
| 事業名 | 売上 | 利益 | 利益率 |
|---|---|---|---|
| セメント | 約1,460億円 | 約27億円 | 1.9% |
| 鉱産品 | 約220億円 | 約25億円 | 11.4% |
| 建材 | 約240億円 | 約10億円 | 4.2% |
| 光電子 | 約120億円 | 約20億円 | 16.7% |
| 新材料・その他 | 約155億円 | 約12億円 | 7.7% |
売上高の約67%をセメント事業が占める素材メーカーですが、利益面では光電子事業(営業利益率16.7%)と鉱産品事業(同11.4%)が高い収益性を誇り、セメント事業の収益変動を下支えしています。中期経営計画では、セメント事業の収益力回復と並行して光電子・新材料事業の成長投資を加速し、セメント依存度の低下を目指しています。
この会社のガバナンスは?
取締役14名中女性は1名(7.0%)で、プライム市場の水準としてはやや低い状況です。連結子会社38社を有するグループ体制で、セメント・鉱産品・光電子と多角的な事業を展開しています。監査報酬は7,300万円。平均勤続年数18.4年と長期雇用が定着しており、臨時従業員は509名です。代表取締役社長は諸橋央典氏。
会社の計画は順調?
※ 会社が公表した計画に対する達成度の評価であり、投資についての評価・推奨ではありません
年度別の予想精度(計画を守れてる?)
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2025 | 2,296億円 | 2,195億円 | 2,195億円 | -4.4% |
| FY2024 | 2,300億円 | — | 2,225億円 | -3.3% |
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2025 | 111億円 | 94億円 | 94億円 | -15.3% |
| FY2024 | 61億円 | — | 73億円 | +19.7% |
当初予想 = 期初に会社が発表した数字 / 乖離 = 予想と実績のズレ(+なら上振れ)
中長期ビジョン「SOC Vision 2035」では2035年度に売上高4,000億円、営業利益400億円以上、ROE10%以上を目指しています。第1ステップの2023-25年度中期経営計画では「既存事業収益改善」と「成長基盤構築」を二本柱とし、セメント事業の価格転嫁によるコスト吸収とともに、光電子・新材料・鉱産品事業の成長投資を進めています。営業利益目標214億円に対しFY2026/3予想は190億円と若干未達の見込みですが、セメント事業の黒字化定着と新規事業の育成は評価できます。
この株を持っていたら儲かった?
この会社の株主総利回り(TSR)を、日本株全体の平均(TOPIX)と比較したグラフです。青い線が上にあるほど、平均より良い成績を出しています。
自社TSR 129.6%に対しTOPIX 213.4%と大幅にアンダーパフォームしています。FY2023/3のセメント事業赤字転落が株価を大きく押し下げ、その後の回復局面でもTOPIXの上昇ペースには追いつけていません。セメント業界全体の構造的な課題(国内需要縮小・脱炭素対応コスト)が株価の重しとなっていますが、業績回復の定着とSOC Vision 2035の進展次第ではキャッチアップの余地があります。
※ 配当を含まない株価ベースのリターンです。過去の実績であり、将来のリターンを保証・示唆するものではありません。
もし5年前に投資していたら?
| 年度末時点 | 評価額 | 損益 | TSR |
|---|---|---|---|
| FY2021 | 112.5万円 | +12.5万円 | 12.5% |
| FY2022 | 111.1万円 | +11.1万円 | 11.1% |
| FY2023 | 126.2万円 | +26.2万円 | 26.2% |
| FY2024 | 133.7万円 | +33.7万円 | 33.7% |
| FY2025 | 129.6万円 | +29.6万円 | 29.6% |
※ 有価証券報告書記載のTSR(株主総利回り)に基づく仮定の計算です。配当再投資を含みます。将来のリターンを保証するものではありません。
株の売買状況と今後の予定
PER 8.7倍・PBR 0.66倍はガラス・土石製品セクター平均を下回っており、バリュー株としての位置づけです。配当利回り3.16%はセクター平均を上回る水準。信用倍率3.66倍と買い残が優勢であり、業績回復期待による個人投資家の買い意欲が窺えます。FY2026/3の大幅増益予想が株価の下支え要因となっています。
メディアでどれくらい注目されてる?
メディア露出
メディア分布
競合比較
どんな話題が多い?
最近の出来事
FY2025/3の連結決算を発表。営業利益94億円と前期比増益となり、セメント値上げ効果と石炭価格低下により収益回復が鮮明に。
フィリピンのPhilcement社に15%出資し、東南アジア市場でのセメント取引と技術交流を本格化。
子会社スミセ建材がブラストから建材・石油事業を会社分割により承継し、事業基盤を拡充。
FY2026/3第3四半期の連結経常利益は前年同期比36.4%増の93.4億円と好調に推移。通期増収増益計画を据え置き。
最新ニュース
住友大阪セメント まとめ
ひとめ診断
セメント値上げ効果で業績回復、光電子・新材料で成長を模索する住友系素材メーカー
※ 本ページの情報は投資助言ではありません。掲載データは正確性を保証するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。
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