クミアイ化学工業
KUMIAI CHEMICAL INDUSTRY CO.,LTD.
最終更新日: 2026年3月28日
日本の食を支える、農薬開発のトップランナー
科学の力で食と自然の未来を創造し、持続可能な社会の実現に貢献する100年企業となる。
この会社ってなに?
あなたが毎日食べるお米や野菜。これらが病気や害虫から守られ、安定して食卓に届く裏側で、クミアイ化学工業の農薬が活躍しています。同社は「JA(農協)」グループの一員として、日本の農業を支える農薬を長年開発・販売してきました。農家の方が安心して作物を作れるよう、新しい製品を次々と生み出しています。近年では、その化学技術を応用して、スマートフォンやパソコンに欠かせない半導体の材料開発にも挑戦しています。日本の「食」と「ハイテク」の両方を、目に見えないところで支えている会社なのです。
全農(全国農業協同組合連合会)を大株主とする農薬専業の国内最大手。FY2025の連結業績は売上高1704.6億円、営業利益105.67億円でした。しかし、FY2026の会社計画では、海外での除草剤の在庫増や市況悪化を背景に、売上高1620.0億円、営業利益72.0億円と減収減益を予想しています。この厳しい環境下、イチゴ栽培のGRA社買収やIT子会社吸収など、農業周辺事業の強化やデジタル化を推進し、新たな成長軸の構築を急いでいます。PBRは0.66倍と解散価値を大きく下回る水準で、株価の割安感が指摘されています。
会社概要
- 業種
- 化学
- 決算期
- 10月
- 本社
- 東京都台東区池之端一丁目4番26号
- 公式
- www.kumiai-chem.co.jp
社長プロフィール

私たちは創造する科学を通じて『いのちと自然を守り育てる』ことをメインテーマとし、安全・安心な農薬の提供を使命としています。地球規模での食料問題や環境問題に対し、革新的な製品とサービスで応え、持続可能な農業と社会の発展に貢献してまいります。
この会社のストーリー
静岡県庵原郡を拠点に、日本の食糧増産に貢献するため農薬事業を開始。これがクミアイ化学工業の原点となる。
農業協同組合との連携を深め、全国的な販売網を確立。日本の農業の発展と共に成長を遂げていく。
企業としての信頼性を高め、さらなる事業拡大のための基盤を築く。この後、1970年には市場第一部に指定替えとなる。
農薬原体の開発・製造に強みを持つ子会社と合併し、研究開発から製造・販売までの一貫体制を強化。グローバルな競争力を高める。
農産物の生産販売を行うアグリ・コア社の株式を取得。農薬事業で培った知見を活かし、新たな食の価値創造に挑戦する。
イチゴ栽培を手掛けるGRA社を子会社化。スマート農業など先端技術を取り入れ、持続可能な農業モデルの構築を目指す。
「研究開発力の強化」「既存事業の深耕」「新規事業の探索」を柱に、企業価値向上に向けた取り組みを加速させる。
注目ポイント
JA(農協)グループの中核企業として、日本の食糧生産に不可欠な農薬を開発・提供。特に水稲用除草剤では高いシェアを誇ります。
農薬事業で培った技術と知見を活かし、イチゴ栽培やITソリューションなど新たなアグリビジネスへ進出。食のバリューチェーン全体で価値創造を目指しています。
農業分野だけでなく、高耐熱性樹脂原料など先端半導体向け化成品も強化。高度な化学技術を多様な分野に応用し、成長を続けています。
サービスの実績は?
ひとめ診断
配当・優待はもらえる?
| 期 | 1株配当 | 配当性向 |
|---|---|---|
| FY2016/3 | 5.2円 | 18.5% |
| FY2017/3 | 8円 | 11.4% |
| FY2018/3 | 10円 | 26.7% |
| FY2019/3 | 11円 | 20.3% |
| FY2020/3 | 12円 | 22.7% |
| FY2021/3 | 15円 | 20.8% |
| FY2022/3 | 22円 | 16.2% |
| FY2023/3 | 45円 | 30.0% |
| FY2024/3 | 34円 | 30.1% |
| FY2025/3 | 24円 | 66.0% |
株主優待制度は実施していません。
当社は経営成績に応じた利益還元を基本方針としており、配当性向30%程度を目標に掲げています。業績連動型の配当を採用しているため、利益水準の変化に伴い配当額が増減する傾向にあります。今後も安定的かつ継続的な株主還元を目指し、成長投資とのバランスを重視した配分を行う方針です。
同業比較(収益性)
化学の同業他社平均と比べると…
業績推移
儲かってるの?
当社の売上高は国内農薬事業および海外展開の拡大により、1,700億円規模へと着実な成長を見せています。一方で、営業利益はコスト増の影響や農薬市場の需給変動により、FY2025/3には約106億円へと軟化しています。今後は既存の農薬事業の効率化に加え、半導体関連など化学品事業の強化による収益構造の安定化が重要です。
稼ぐ力はどのくらい?
| 期 | ROE | ROA | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| FY2016/3 | 6.0% | 4.1% | 3.6% |
| FY2017/3 | 7.3% | 5.2% | 4.8% |
| FY2018/3 | 4.8% | 3.5% | 5.8% |
| FY2019/3 | 6.8% | 4.8% | 7.4% |
| FY2020/3 | 6.4% | 4.3% | 7.7% |
| FY2021/3 | 8.2% | 5.3% | 7.2% |
| FY2022/3 | 13.4% | 8.0% | 8.7% |
| FY2023/3 | 12.9% | 7.9% | 8.8% |
| FY2024/3 | 8.9% | 4.9% | 7.0% |
| FY2025/3 | 2.9% | 1.8% | 6.2% |
収益性指標であるROE(自己資本利益率)は、業績拡大期には13%超を記録しましたが、直近では一時的な純利益の減少により約2.9%まで低下しています。営業利益率は概ね6%から8%台で推移しており、製造コストの変動が収益に直接的な影響を与えやすい構造です。今後は高付加価値製品の販売拡大を通じて、持続的な利益率の改善が求められます。
財務は安全?
当社の財務体質は極めて良好であり、有利子負債ゼロの実質無借金経営を維持しています。自己資本比率は50%台後半で安定しており、強固な資本基盤が構築されています。潤沢な手元資金を背景に、研究開発投資や成長分野へのM&Aなど、積極的な事業戦略を実行できる体制が整っています。
お金の流れは?
| 期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | FCF |
|---|---|---|---|---|
| FY2016/3 | -25.5億円 | -10.9億円 | -2.3億円 | -36.4億円 |
| FY2017/3 | 56.6億円 | -10.9億円 | -103億円 | 45.7億円 |
| FY2018/3 | 84.6億円 | -15.8億円 | -50.2億円 | 68.7億円 |
| FY2019/3 | -12.2億円 | -61.0億円 | 52.5億円 | -73.2億円 |
| FY2020/3 | 45.3億円 | -47.3億円 | 50.7億円 | -2.0億円 |
| FY2021/3 | 44.8億円 | -53.1億円 | 4.4億円 | -8.3億円 |
| FY2022/3 | -11.6億円 | -78.2億円 | 56.1億円 | -89.8億円 |
| FY2023/3 | 47.6億円 | -101億円 | 68.6億円 | -53.4億円 |
| FY2024/3 | -167億円 | -87.6億円 | 236億円 | -255億円 |
| FY2025/3 | 338億円 | -89.3億円 | -279億円 | 249億円 |
営業キャッシュフローは農薬の季節性による運転資金の変動を受けやすく、年によって大きく増減します。特にFY2024/3は一時的な要因でマイナスとなりましたが、FY2025/3には約338億円の大幅なキャッシュ流入を記録し、資金繰りは改善しました。この豊富な資金を成長投資や株主還元に最適配分するサイクルを構築しています。
税金はいくら払ってる?
| 期 | 税引前利益 | 法人税等 | 実効税率 |
|---|---|---|---|
| FY2016/3 | 44.8億円 | 10.6億円 | 23.6% |
| FY2017/3 | 74.4億円 | 1.9億円 | 2.5% |
| FY2018/3 | 80.7億円 | 33.7億円 | 41.7% |
| FY2019/3 | 97.3億円 | 29.5億円 | 30.3% |
| FY2020/3 | 99.2億円 | 33.0億円 | 33.3% |
| FY2021/3 | 128億円 | 38.1億円 | 29.7% |
| FY2022/3 | 236億円 | 72.4億円 | 30.7% |
| FY2023/3 | 241億円 | 60.9億円 | 25.3% |
| FY2024/3 | 183億円 | 47.1億円 | 25.7% |
| FY2025/3 | 134億円 | 89.8億円 | 67.2% |
実効税率は通常30%前後で推移しておりますが、FY2025/3は特定の税務処理や損益構造の変化により一時的に67.2%と上昇しました。一方でFY2026/3の予想税率は11.1%となっており、期間によって税負担が大きく変動する傾向があります。これらは税効果会計や特別損失等の影響を含むため、税引前利益に対する法人税等の推移には注意が必要です。
会社の公式開示情報
主な事業セグメントは農薬製造販売事業であり、研究開発主導型の高収益モデルを構築しています。リスク要因として、海外市場における気候変動や規制強化に伴う農薬需要の変動、および原材料価格の高騰が収益に与える影響が挙げられます。
会社の計画は順調?
※ 会社が公表した計画に対する達成度の評価であり、投資についての評価・推奨ではありません
年度別の予想精度(計画を守れてる?)
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2022 | 1,239億円 | — | 1,453億円 | +17.3% |
| FY2023 | 1,679億円 | — | 1,610億円 | -4.1% |
| FY2024 | 1,670億円 | — | 1,611億円 | -3.6% |
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2022 | 90億円 | — | 127億円 | +40.8% |
| FY2025 | 72億円 | — | 106億円 | +46.8% |
当初予想 = 期初に会社が発表した数字 / 乖離 = 予想と実績のズレ(+なら上振れ)
現行の中期経営計画(FY2024-2026)では、最終年度に売上高2,200億円、営業利益220億円を掲げていますが、FY2025実績時点で売上高の進捗率は77.5%、営業利益は48.0%に留まります。会社側も2026年度計画が目標を下回る見通しであることを認めており、達成は極めて困難な状況です。一方で、期初の業績予想は保守的な傾向があり、FY2022やFY2025のように大幅に上振れて着地するケースも見られます。外部環境の変化に業績が左右されやすい事業構造がうかがえます。
株の売買状況と今後の予定
PBRが0.66倍と、企業の解散価値(1倍)を大きく下回っており、市場から割安と評価されていることを示唆します。信用倍率は2.97倍と標準的な水準で、特定の需給要因による株価の歪みは小さいと考えられます。PERや配当利回りは業界平均とほぼ同水準であり、株価の方向性は今後の業績回復次第と言えるでしょう。
メディアでどれくらい注目されてる?
メディア露出
メディア分布
競合比較
どんな話題が多い?
最近の出来事
植物由来の新規殺菌剤プロブラッド液剤を市場投入し、農薬ラインナップを拡充。
第1四半期の経常利益が前年同期比23.4%増となり、市場から高く評価された。
子会社ケイアイ情報システムを吸収合併し、ICT部門のシナジー創出を加速。
最新ニュース
クミアイ化学工業 まとめ
ひとめ診断
「『JAの農薬』で日本の食を支えつつ、先端半導体材料にも手を伸ばす化学メーカー」
※ 本ページの情報は投資助言ではありません。掲載データは正確性を保証するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。
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