日産化学
Nissan Chemical Corporation
最終更新日: 2026年4月30日
「未来は化学の中にある」営業利益率22%超、農薬首位・半導体材料の世界トップが挑む1,000億円M&A戦略
化学の力で、豊かな未来を創造し、持続可能な社会の実現に貢献する。
この会社ってなに?
スマートフォンやテレビの液晶画面に使われる「配向膜」で世界トップシェア、半導体チップの製造に欠かせない「反射防止膜」でも高い存在感を持つのが日産化学です。また農薬の国内販売額は業界首位で、私たちの食卓を支える田畑の害虫・病害対策にも貢献しています。身近な製品の裏側に必ずいる「縁の下の力持ち」でありながら、営業利益率20%超の高収益と10年超の連続増配で、あなたの資産形成にも貢献してくれる可能性を秘めた銘柄です。
日産化学は1887年創業の研究開発型化学メーカーで、農業化学品・機能性材料(液晶配向膜・半導体ARC)・化学品・医薬品の4セグメントを展開しています。FY2025/3は売上高2,514億円(前期比+10.9%)、営業利益568億円と過去最高を更新しました。FY2026/3も売上高2,622億円、営業利益576億円の増収増益を見込んでおり、3Q累計では売上高1,954億円(+11.8%)と順調に進捗しています。中期経営計画「Vista2027 Stage II」では1,000億円のM&A枠を設定し、半導体材料や農薬を対象に「時間を買う」攻めの戦略へ転換。ROE18%超・配当性向55%を掲げ、10年超の連続増配と高い総還元性向を両立しています。
会社概要
- 業種
- 化学
- 決算期
- 3月
- 本社
- 東京都中央区日本橋二丁目5番1号
- 公式
- www.nissanchem.co.jp
社長プロフィール
「時間を買う」戦略で、日産化学を次のステージへ。創業以来培ってきた研究開発力に加え、1,000億円のM&A投資枠を活用して半導体材料や農薬分野での成長を加速させます。営業利益率20%超の高収益体質を維持しながら、配当性向55%と自社株買いによる株主還元を両立し、ステークホルダーの皆さまとともに持続的な企業価値の向上を目指してまいります。
この会社のストーリー
日本の農業近代化を支えるため、渋沢栄一らの出資により日本初の化学肥料製造会社として創業。国産の過リン酸石灰の製造に成功し、食糧増産に貢献しました。
基礎化学品から、液晶配向膜や半導体材料など高付加価値なファインケミカル分野へ事業を拡大。「ニッチトップ戦略」の原型が形作られました。
営業利益率20%超の高収益体質を確立し、配当性向を段階的に引き上げ。連続増配を続けることで株主還元重視の姿勢を鮮明にしました。
ブラジルのInnova社への資本参加でバイオ農薬のグローバル展開を加速。Axcelead DDPとの核酸医薬分野での連携など、外部との協業を積極的に推進しています。
中期経営計画「Vista2027 Stage II」で1,000億円のM&A枠を設定。半導体材料や農薬を対象に「時間を買う」攻めの戦略で売上2,930億円・営業利益650億円を目指します。
注目ポイント
営業利益率22%超の高い収益力を背景に、配当性向55%・自社株買いを含む総還元性向82%と、化学業界トップクラスの株主還元を実現しています。
スマホ・テレビに使われる液晶配向膜で世界トップシェア、半導体製造に不可欠な反射防止膜でも高い存在感。テクノロジーの進化を根底で支えるニッチトップ企業です。
国内農薬販売額トップクラスの実績に加え、ブラジルでのバイオ農薬展開やBASFとの新製品開発など、食糧問題の解決に向けたグローバル展開を加速中です。
自己資本比率70%超・実質無借金経営の堅固な財務基盤を持ちながら、1,000億円のM&A枠で成長投資も加速。守りと攻めを両立する経営バランスが長期投資の安心材料です。
サービスの実績は?
ひとめ診断
配当・優待はもらえる?
| 期 | 1株配当 | 配当性向 |
|---|---|---|
| FY2016/3 | 44円 | 30.7% |
| FY2017/3 | 52円 | 33.1% |
| FY2018/3 | 68円 | 37.7% |
| FY2019/3 | 82円 | 41.5% |
| FY2020/3 | 90円 | 42.8% |
| FY2021/3 | 104円 | 44.9% |
| FY2022/3 | 122円 | 44.9% |
| FY2023/3 | 164円 | 56.3% |
| FY2024/3 | 164円 | 60.1% |
| FY2025/3 | 174円 | 55.5% |
なし
FY2025/3の年間配当は174円(前期比+10円)で増配を継続。FY2026/3は180円(+6円)を予想し、2Q時点で4円増額修正済みです。配当性向は2015年度の30.7%から段階的に引き上げ、FY2025/3は55.5%、総還元性向は82.0%と非常に手厚い株主還元を実現しています。中期経営計画では配当性向55%以上・総還元性向75%以上を目標とし、自社株買いも含めた積極還元の姿勢を鮮明にしています。
同業比較(収益性)
化学の同業他社平均と比べると…
業績推移
儲かってるの?
FY2025/3は売上高2,514億円・営業利益568億円といずれも過去最高を更新しました。農業化学品のグローバル展開と機能性材料(半導体・ディスプレイ向け)の伸長が成長を牽引。FY2026/3も売上2,622億円・営業利益576億円の増収増益を見込み、3Q時点で通期予想を上方修正済みです。FY2024/3に一時的な減収減益を経験しましたが、主力3セグメントの回復により成長軌道に復帰しています。
事業ごとの売上・利益
国内農薬販売額トップクラス。除草剤や殺虫剤に強みを持ち、BASFとの「プレシオ」共同開発やブラジルでのバイオ農薬展開で海外成長を加速
液晶配向膜で世界トップシェア、半導体用反射防止膜(ARC)でも高い市場占有率。利益率が最も高いセグメントで全社利益を牽引
基礎化学品(メラミン、硫酸等)とファインケミカル(電子材料用薬品等)を展開。安定した需要基盤を持つ基盤事業
創薬支援・核酸医薬分野に注力。Axcelead DDPとのDELライセンス契約やリボミックとの共同研究など、外部連携を積極的に推進
稼ぐ力はどのくらい?
| 期 | ROE | ROA | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 17.5% | 12.6% | - |
| FY2022/3 | 19.2% | 13.9% | - |
| FY2023/3 | 19.4% | 13.8% | - |
| FY2024/3 | 17.1% | 11.8% | 21.3% |
| FY2025/3 | 18.7% | 13.0% | 22.6% |
営業利益率は5期連続で20%を超える高水準を維持しており、化学業界ではトップクラスの収益力です。ROEもFY2025/3に18.2%と中期経営計画の目標(18%以上)を達成。FY2024/3に一時的にROEが16.5%へ低下しましたが、機能性材料と農業化学品の回復により翌期にはV字回復を実現しました。高付加価値の機能性材料(利益率30%超)と農薬事業が全体の収益性を押し上げています。
財務は安全?
自己資本比率は70%超と極めて健全な財務基盤を維持しています。有利子負債はEDINET開示データ上ゼロ(実質的にも無借金経営に近い状態)であり、化学セクターでは突出した財務健全性を誇ります。BPS(1株当たり純資産)は1,711円と着実に増加しており、内部留保の蓄積と株主還元のバランスが良好です。今後1,000億円のM&A枠を活用する際にも、この強固な財務基盤が投資余力を担保します。
お金の流れは?
| 期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | FCF |
|---|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 399億円 | -129億円 | -256億円 | 271億円 |
| FY2022/3 | 419億円 | -124億円 | -279億円 | 296億円 |
| FY2023/3 | 352億円 | -196億円 | -250億円 | 156億円 |
| FY2024/3 | 337億円 | -187億円 | -221億円 | 150億円 |
| FY2025/3 | 592億円 | -176億円 | -357億円 | 416億円 |
FY2025/3の営業CFは592億円と前期比+75.6%の大幅増を記録し、過去5年間で最高水準となりました。投資CFは設備投資(146.9億円)を中心に安定的に推移しており、FCF(フリーキャッシュフロー)は416億円と潤沢。財務CFは配当支払い(約240億円)と自己株式取得による積極的な株主還元が増加しています。今後は1,000億円のM&A枠の活用により投資CFが増大する可能性があります。
この会社のリスク
有価証券報告書に記載されている主なリスク要因です。投資判断の参考にしてください。
税金はいくら払ってる?
| 期 | 税引前利益 | 法人税等 | 実効税率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 439億円 | 104億円 | 23.7% |
| FY2022/3 | 537億円 | 149億円 | 27.8% |
| FY2023/3 | 558億円 | 147億円 | 26.4% |
| FY2024/3 | 516億円 | 136億円 | 26.3% |
| FY2025/3 | 580億円 | 150億円 | 25.8% |
実効税率は25〜28%の範囲で安定推移しており、FY2025/3は25.8%と標準的な水準です。研究開発税制の優遇措置の適用などにより、法定税率(約30%)を下回る水準を維持。税引前利益は580億円と着実に成長しており、年間約150億円の法人税等を納付しています。
社員の給料はどのくらい?
| 期 | 平均年収 | 従業員数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 当期 | 845万円 | 3,283人 | - |
平均年収は845万円で化学業界の中では上位の水準。平均年齢40.6歳とやや高めですが、これは長期勤続者が多い安定した組織構造の表れ。従業員数は4年で約6%増と堅実な増員ペース。高収益体質を反映した安定的な待遇が特徴です。
誰がこの会社の株を持ってる?
信託銀行経由の機関投資家保有が約36%、明治安田生命・みずほ信託等の政策保有や取引先持株会を含めて安定株主比率は約58%。オーナー色はなく機関投資家主導の構成。
筆頭株主は日本マスタートラスト信託銀行(24.38%)、次いで日本カストディ銀行(11.67%)と、信託銀行経由の国内外機関投資家が上位を占めます。みずほ信託銀行の退職給付信託(4.01%)や明治安田生命(1.36%)など政策保有株主も一定の存在感があります。日産化学取引先持株会(2.66%)を含め、オーナー企業ではなく経営陣と機関投資家が企業価値向上を共有する構造です。米ブラックロックが5%超を保有するなど、海外機関投資家の関心も高い銘柄です。
会社の公式開示情報
役員報酬
事業別の稼ぎ
| 事業名 | 売上 | 利益 | 利益率 |
|---|---|---|---|
| 農業化学品事業 | 約900億円 | 約270億円 | 約30% |
| 機能性材料事業 | 約620億円 | 約230億円 | 約37% |
| 化学品事業 | 約780億円 | 約95億円 | 約12% |
| 医薬品事業 | 約110億円 | 約45億円 | 約41% |
売上の約36%を農業化学品、25%を機能性材料が占める高付加価値型のポートフォリオです。利益面では農業化学品と機能性材料が全体の約85%を稼ぎ出しており、ニッチトップ戦略による高い参入障壁が収益を支えています。医薬品事業は規模は小さいものの利益率41%と高く、核酸医薬などの成長分野で外部連携を拡大中です。
この会社のガバナンスは?
女性役員比率が14.3%と改善傾向にあり、多様な視点を取り入れた意思決定体制を構築しています。監査体制としては監査役会設置会社として強固な監督機能を有しており、売上高2,000億円超の中堅化学企業として透明性の高いガバナンスが機能しています。
会社の計画は順調?
※ 会社が公表した計画に対する達成度の評価であり、投資についての評価・推奨ではありません
年度別の予想精度(計画を守れてる?)
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2024/3 | 2,300億円 | — | 2,267億円 | -1.4% |
| FY2025/3 | 2,460億円 | — | 2,514億円 | +2.2% |
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2024/3 | 490億円 | — | 482億円 | -1.6% |
| FY2025/3 | 540億円 | — | 568億円 | +5.2% |
当初予想 = 期初に会社が発表した数字 / 乖離 = 予想と実績のズレ(+なら上振れ)
Stage Iでは利益率・ROEの質的目標は超過達成したものの、売上・営業利益の絶対額は各1〜3%の僅差で未達に終わりました。Stage IIでは1,000億円のM&A枠を設定し、半導体材料や農薬分野での「時間を買う」戦略に転換。2050年を視座とした長期戦略「Atelier2050」のもと、FY2028/3に売上2,930億円・営業利益650億円を目指しており、質と量の両面での成長を追求します。
この株を持っていたら儲かった?
この会社の株主総利回り(TSR)を、日本株全体の平均(TOPIX)と比較したグラフです。青い線が上にあるほど、平均より良い成績を出しています。
直近5年間のTSR(株主総利回り)は131.3%で、TOPIX(213.4%)を大きく下回るアンダーパフォームとなっています。FY2022/3には189.2%とTOPIXを上回っていましたが、その後の株価調整でTOPIXに逆転されました。ただし、営業利益率20%超の高収益体質と10年超の連続増配は健在であり、半導体材料の成長とM&A戦略の成果が株価に反映されれば、TSR改善の余地があります。
※ 配当を含まない株価ベースのリターンです。過去の実績であり、将来のリターンを保証・示唆するものではありません。
もし5年前に投資していたら?
| 年度末時点 | 評価額 | 損益 | TSR |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 152.6万円 | +52.6万円 | 52.6% |
| FY2022/3 | 189.2万円 | +89.2万円 | 89.2% |
| FY2023/3 | 161.9万円 | +61.9万円 | 61.9% |
| FY2024/3 | 159.4万円 | +59.4万円 | 59.4% |
| FY2025/3 | 131.3万円 | +31.3万円 | 31.3% |
※ 有価証券報告書記載のTSR(株主総利回り)に基づく仮定の計算です。配当再投資を含みます。将来のリターンを保証するものではありません。
株の売買状況と今後の予定
PER19.0倍は化学セクター平均の15.2倍を上回り、高い成長期待を織り込んだ水準です。PBR3.55倍はセクター平均1.2倍の約3倍と突出していますが、これはROE18%超の高収益体質を反映しています。営業利益率22.6%は化学業界で突出した水準であり、機能性材料のニッチトップ戦略が高いバリュエーションの根拠となっています。信用倍率5.39倍とやや買い残が厚い状態です。
メディアでどれくらい注目されてる?
メディア露出
メディア分布
競合比較
どんな話題が多い?
最近の出来事
岡三証券が目標株価を6,500円→7,500円に引上げ。レーティング「強気」を継続し、着実な利益成長を評価。
FY2026/3 3Q累計で売上高1,954億円(+11.8%)、営業利益450億円(+9.5%)と増収増益。通期業績予想も上方修正し配当を増額。
BASF社との戦略的提携による新規殺虫剤「プレシオ」の日本国内展開計画を発表。水稲向け害虫防除の新たな柱に。
ブラジルのInnova Agrotecnologia社へ資本参加。IHARA社との3者連携でバイオ農薬のグローバル展開を加速。
FY2026/3 2Q決算で通期経常利益を一転2%増益に上方修正し過去最高益見通し。配当も4円増額を発表。
最新ニュース
日産化学 まとめ
ひとめ診断
農薬国内首位・液晶配向膜世界トップ、営業利益率22%超の"稼ぐ化学"。1,000億円M&A枠で攻めに転じる高収益メーカー
※ 本ページの情報は投資助言ではありません。掲載データは正確性を保証するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。
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