東ソー
TOSOH CORPORATION
最終更新日: 2026年3月22日
塩ビから歯科材料まで、暮らしの基盤を支える総合化学メーカー
化学の革新を通じて、人と社会に豊かさと活力を提供し続けるグローバル企業を目指す。
この会社ってなに?
あなたの歯科治療で使われるセラミック素材(ジルコニア)、病院で受ける血液検査の免疫診断システム、さらにはウレタン製品に使われるMDI(化学原料)など、東ソーの製品は日常の医療や生活の中で幅広く活躍しています。スーパーで見かけるラップフィルムの原料となる塩化ビニル樹脂も主力製品の一つで、私たちの生活インフラを支えている化学メーカーです。
東ソーは1935年創業の総合化学メーカーで、クロル・アルカリ(苛性ソーダ・塩ビ樹脂)、石油化学、機能商品(ジルコニア・免疫診断システム・有機合成触媒・歯科材料)、エンジニアリングの4セグメントを展開しています。FY2025/3は売上高1兆634億円(前年比+5.7%)、営業利益989億円と増収増益を達成。FY2026/3は売上高1兆500億円、営業利益1,080億円を計画しています。2025年5月に発表した新中期経営計画(2025〜2027年度)では最終年度のFY2028/3に売上高1兆1,830億円・営業利益1,400億円・ROE10%以上を掲げ、長期目標としてFY2031/3に営業利益1,700億円を目指す意欲的な成長戦略を打ち出しています。
会社概要
- 業種
- 化学
- 決算期
- 3月
- 本社
- 東京都中央区八重洲二丁目2番1号 東京ミッドタウン八重洲 八重洲セントラルタワー
- 公式
- www.tosoh.co.jp
社長プロフィール
化学の力で社会に貢献し、機能商品の拡大と構造改革を通じて持続的な成長と企業価値の向上を目指してまいります。株主の皆様への安定的な利益還元を重要視しております。
この会社のストーリー
東洋曹達工業として設立。苛性ソーダの製造から化学産業の歴史を歩み始めました。
南陽事業所にナフサクラッカーを建設し、エチレン・ポリエチレンの一貫生産体制を構築。総合化学メーカーへと進化しました。
ジルコニア(歯科材料)、免疫診断システム、有機合成触媒など高付加価値の機能商品事業を拡大し、収益構造の転換を推進しました。
中国経済の減速と塩ビ海外市況の下落により、前中計の利益目標を下回る厳しい局面を経験しました。
機能商品の拡大と石化事業の構造改革を柱とする新中期経営計画を発表。3年後の営業利益1,400億円、長期では1,700億円を目指しています。
注目ポイント
業績下方修正時にも増配を実施するなど、安定配当への強い意志を持ち、PBR1倍割れのバリュー投資先としても注目されています。
歯科材料に使われるジルコニアや、病院の血液検査で使われる免疫診断システムなど、ニッチトップの高付加価値製品を多数保有しています。
山口県の南陽事業所は東京ドーム約65個分の広さを誇り、原料から最終製品まで一貫生産が可能。自家発電率100%のコスト競争力が強みです。
サービスの実績は?
ひとめ診断
配当・優待はもらえる?
| 期 | 1株配当 | 配当性向 |
|---|---|---|
| FY2016/3 | 14円 | 22.4% |
| FY2017/3 | 24円 | 20.6% |
| FY2019/3 | 56円 | 23.3% |
| FY2020/3 | 56円 | 32.7% |
| FY2021/3 | 60円 | 30.3% |
| FY2022/3 | 80円 | 23.6% |
| FY2023/3 | 80円 | 50.6% |
| FY2024/3 | 85円 | 47.2% |
| FY2025/3 | 100円 | 54.9% |
株主優待制度はありません。
年間配当金はFY2021/3の60円からFY2025/3の100円へと4期連続で増配し、5年間で67%増加しました。配当利回りは4.29%と化学セクターの中でも高水準です。FY2026/3は業績下方修正にもかかわらず15円の増額を発表しており、安定配当への強い意志が示されています。配当性向は直近で55%前後まで上昇しています。
同業比較(収益性)
化学の同業他社平均と比べると…
業績推移
儲かってるの?
過去5年間で売上高は約7,329億円から1兆634億円へと約45%成長し、FY2022/3には営業利益1,440億円を記録しました。FY2023/3は石化市況の悪化で営業利益が大幅減となりましたが、FY2024/3以降は徐々に回復基調にあります。FY2026/3は売上高1兆500億円、営業利益1,080億円の増益計画で、機能商品の拡大と原燃料コストの安定が鍵となります。
事業ごとの売上・利益
苛性ソーダ・塩化ビニル樹脂(塩ビ)が主力。国内最大級の塩ビメーカーで、アジア市場向け輸出も行う。市況変動の影響を受けやすい事業
エチレン・ポリエチレン等の基礎化学品を製造。南陽事業所にナフサクラッカーを持ち、利益率は市況に左右される
ジルコニア(歯科材料・電子部品)、免疫診断システム(バイオサイエンス)、有機合成触媒、高機能ポリマー等。利益率が最も高いセグメントで成長ドライバー
水処理・環境関連のプラントエンジニアリングを展開。自社グループ向け工事のほか外販も行う
稼ぐ力はどのくらい?
| 期 | ROE | ROA | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 11.0% | 6.4% | - |
| FY2022/3 | 18.2% | 9.9% | - |
| FY2023/3 | 6.0% | 4.2% | - |
| FY2024/3 | 7.9% | 4.4% | 7.9% |
| FY2025/3 | 8.1% | 4.4% | 9.3% |
FY2022/3にはROE14.2%・営業利益率15.7%と好調でしたが、FY2023/3以降は石化市況の悪化で利益率が低下しました。FY2025/3は営業利益率9.3%と回復途上にあります。新中期経営計画ではROE10%以上を目標に掲げており、機能商品の拡大による利益率改善が鍵となります。
財務は安全?
総資産は5年間で約9,828億円から1兆3,273億円へ拡大し、自己資本比率は60%超を安定的に維持しています。FY2024/3から有利子負債が約2,315億円と増加していますが、BPS(1株純資産)は1,935円から2,597円へ着実に増加しており、財務基盤は依然として堅固です。PBR0.90倍と純資産を下回る株価水準にあり、資産価値面での割安感が目立ちます。
お金の流れは?
| 期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | FCF |
|---|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 951億円 | -464億円 | 15.8億円 | 488億円 |
| FY2022/3 | 1,086億円 | -435億円 | -579億円 | 651億円 |
| FY2023/3 | -162億円 | -787億円 | 502億円 | -950億円 |
| FY2024/3 | 1,170億円 | -599億円 | -312億円 | 570億円 |
| FY2025/3 | 1,062億円 | -816億円 | -379億円 | 247億円 |
営業CFは年間900億〜1,170億円を安定的に創出しています。FY2023/3にはマイナスに転じましたが、これは運転資金の一時的な増加が主因です。設備投資は南陽事業所を中心に積極的に継続しており、FY2025/3のフリーキャッシュフローは247億円を確保しています。
この会社のリスク
有価証券報告書に記載されている主なリスク要因です。投資判断の参考にしてください。
税金はいくら払ってる?
| 期 | 税引前利益 | 法人税等 | 実効税率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 951億円 | 319億円 | 33.5% |
| FY2022/3 | 1,605億円 | 525億円 | 32.7% |
| FY2023/3 | 900億円 | 396億円 | 44.1% |
| FY2024/3 | 959億円 | 386億円 | 40.2% |
| FY2025/3 | 1,030億円 | 450億円 | 43.7% |
法人税等の支払額は5年間で約319億円から450億円の間で推移しています。実効税率はFY2021/3の33.5%からFY2023/3には44.1%へ上昇しましたが、これは海外子会社の損益変動や繰延税金資産の計上影響によるものです。FY2026/3は税引前利益1,080億円に対し、税額460億円(実効税率42.6%)を見込んでいます。
社員の給料はどのくらい?
| 期 | 平均年収 | 従業員数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 当期 | 796万円 | 14,813人 | - |
平均年収は796万円で化学業界では上位水準にあります。連結従業員数は約14,800名と大手化学メーカーとして充実した人員体制を有しており、平均年齢38.5歳と若めの年齢構成は活力ある組織運営を示しています。
誰がこの会社の株を持ってる?
安定株主が一定の割合を占めており、経営基盤は比較的安定しています。
信託銀行経由の機関投資家が約23%を保有し、金融機関全体では43.5%と安定した株主構成です。外国法人等が26%を占めており、グローバルな投資家からも注目されている銘柄です。メインバンクのみずほ銀行や三井住友信託銀行の保有に加え、従業員持株会や保険会社の株式保有も経営の安定に寄与しています。
会社の公式開示情報
役員報酬
事業別の稼ぎ
| 事業名 | 売上 | 利益 | 利益率 |
|---|---|---|---|
| クロル・アルカリ事業 | 約3,200億円 | 約300億円 | 約9.4% |
| 石油化学事業 | 約2,800億円 | 約50億円 | 約1.8% |
| 機能商品事業 | 約3,500億円 | 約600億円 | 約17% |
| エンジニアリング事業 | 約1,100億円 | 約40億円 | 約3.6% |
研究開発費
クロル・アルカリ・石油化学・機能商品・エンジニアリングの4セグメントを展開しており、機能商品事業(営業利益率約17%)が最大の利益貢献セグメントです。役員報酬は取締役5名に対し総額3億7,500万円。研究開発費は約250億円を投下し、ジルコニアや免疫診断システムなど高付加価値製品の開発を推進しています。新中計では機能商品の売上比率を高め、全社利益率の向上を目指しています。
この会社のガバナンスは?
取締役13名中、女性2名(15.4%)と多様性の向上に取り組んでいます。連結子会社91社を擁する大規模グループ体制で、監査役会設置会社として堅実なガバナンス体制を構築しています。設備投資は約812億円と、南陽事業所を中心とした大規模な生産基盤の維持・拡大に注力しています。
会社の計画は順調?
※ 会社が公表した計画に対する達成度の評価であり、投資についての評価・推奨ではありません
年度別の予想精度(計画を守れてる?)
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2024 | 1兆500億円 | — | 1兆56億円 | -4.2% |
| FY2025 | 1兆1,000億円 | — | 1兆634億円 | -3.3% |
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2024 | 950億円 | — | 798億円 | -15.9% |
| FY2025 | 1,100億円 | — | 989億円 | -10.1% |
当初予想 = 期初に会社が発表した数字 / 乖離 = 予想と実績のズレ(+なら上振れ)
前中期経営計画では売上高1兆1,600億円・営業利益1,500億円を目標に掲げましたが、中国経済減速に伴う塩ビ市況の低迷や原燃料価格の高騰が想定以上に影響し、営業利益の達成率は約66%にとどまりました。新中期経営計画(2025〜2027年度)ではFY2028/3に営業利益1,400億円・ROE10%以上を設定し、機能商品の高付加価値化と石化事業の構造改革で収益力の底上げを図ります。
この株を持っていたら儲かった?
この会社の株主総利回り(TSR)を、日本株全体の平均(TOPIX)と比較したグラフです。青い線が上にあるほど、平均より良い成績を出しています。
直近5年間のTSR(株主総利回り)は199.9%と約2倍のリターンを達成していますが、同期間のTOPIX(213.4%)にはやや届かずアンダーパフォームとなっています。FY2023/3以降の石化市況低迷が株価の重石となった一方、配当の増額が下支えとなりました。
※ 配当を含まない株価ベースのリターンです。過去の実績であり、将来のリターンを保証・示唆するものではありません。
もし5年前に投資していたら?
| 年度末時点 | 評価額 | 損益 | TSR |
|---|---|---|---|
| FY2021 | 177.1万円 | +77.1万円 | 77.1% |
| FY2022 | 158.9万円 | +58.9万円 | 58.9% |
| FY2023 | 164.0万円 | +64.0万円 | 64.0% |
| FY2024 | 192.4万円 | +92.4万円 | 92.4% |
| FY2025 | 199.9万円 | +99.9万円 | 99.9% |
※ 有価証券報告書記載のTSR(株主総利回り)に基づく仮定の計算です。配当再投資を含みます。将来のリターンを保証するものではありません。
株の売買状況と今後の予定
PER12.0倍・PBR0.90倍と化学セクター平均を下回るバリュエーションで、割安感が際立っています。配当利回り4.29%はセクター平均の約1.4倍の高水準で、インカム投資家にとって魅力的な水準です。信用倍率3.53倍と買い優勢ですが、極端な偏りはなく市場の需給は安定しています。
メディアでどれくらい注目されてる?
メディア露出
メディア分布
競合比較
どんな話題が多い?
最近の出来事
三重県のエチレン生産設備の定期修理後の再稼働を延期。ホルムズ海峡情勢の影響で原料ナフサの調達に懸念。
PwCコンサルティングと連携し、次期基幹システムにSAP社の「RISE with SAP」を採用。全社DXを加速。
FY2026/3通期の連結純利益を前期比34%減の380億円に下方修正。石油化学市況の低迷が影響。配当は15円増額。
新中期経営計画(2025〜2027年度)を発表。FY2028/3に営業利益1,400億円、ROE10%以上を目標に掲げる。
最新ニュース
東ソー まとめ
ひとめ診断
「塩ビ・苛性ソーダ大手、機能商品で利益率改善を加速する総合化学メーカー」
※ 本ページの情報は投資助言ではありません。掲載データは正確性を保証するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。
同じ業種の企業
「化学」に分類される他の企業
産業ガスで国内首位・世界4強。三菱ケミカルG傘下でグローバル成長を加速する空気の巨人
写真フィルムからヘルスケア・半導体材料へ華麗に転身。16期連続増配の3兆円超企業がVISION2030で売上4兆円を目指す
『半導体の磨き粉』と『お菓子の酸味』、ニッチな化学素材で世界シェアを独占する技術者集団
メタノールから半導体材料まで、世界トップシェア製品を複数持つ総合化学メーカー
130年の歴史を持つ老舗化学メーカーが、スマホやEVに必須の超小型電子部品材料で世界を支える
100年の歴史を持つ化学の老舗が、あなたの肌と健康を支える見えない主役を製造している
印刷インキの巨人が『アートとサイエンス』を武器に、EV電池材料など高機能素材メーカーへの脱皮を急ぐ化学企業
『JAの農薬』で日本の食を支えつつ、先端半導体材料にも手を伸ばす化学メーカー