三井化学
Mitsui Chemicals,Inc.
最終更新日: 2026年3月22日
「化学で社会を変える」総合化学の雄が挑む、石化再編と成長3領域への二刀流経営
地球環境との調和の中で、材料・物質の革新と創出を通して高品質の製品とサービスを顧客に提供し続ける企業グループ。
この会社ってなに?
三井化学の素材は、あなたの暮らしのあらゆるシーンに溶け込んでいます。メガネレンズの世界シェアトップクラスの樹脂材料、赤ちゃんの紙おむつに使われる不織布、自動車のバンパーやダッシュボードに使われるポリプロピレン化合物、スマートフォンの半導体製造に不可欠なペリクル(防塵膜)やICTテープ。さらには歯科材料や農薬有効成分まで、「化学」という言葉は縁遠く感じるかもしれませんが、毎日使うモノの多くがこの会社の技術で支えられています。
三井化学は売上高1.8兆円規模の総合化学メーカーで、ライフ&ヘルスケア・モビリティ・ICTの3成長領域とベーシック&グリーン・マテリアルズの4セグメントで事業を展開しています。PBR 0.85倍・PER 13.2倍と依然として割安圏にあり、長期経営計画VISION 2030のもと売上高2兆円・営業利益2,000億円・営業利益率10%を目標に掲げます。FY2025/3は営業利益783億円と前期比微増ながら純利益は322億円に減少。FY2026/3予想では営業利益980億円への回復を見込む一方、石油化学事業の2027年分社化に向けた構造改革が本格化しています。4期連続増配で年間150円(利回り約7.8%)と高水準の株主還元も注目です。
会社概要
- 業種
- 化学
- 決算期
- 3月
- 本社
- 東京都中央区八重洲2-2-1 東京ミッドタウン八重洲 八重洲セントラルタワー
- 公式
- jp.mitsuichemicals.com
社長プロフィール
地球環境との調和の中で、材料・物質の革新と創出を通して高品質の製品とサービスを社会に提供し続けます。ライフ&ヘルスケア、モビリティ、ICTの3つの成長領域に経営資源を集中投下するとともに、石油化学事業については2027年の分社化に向けた構造改革を断行します。VISION 2030の実現に向け、化学の力でサステナブルな社会の実現をリードしてまいります。
この会社のストーリー
三井財閥の石炭化学事業を起源として、日本の化学産業の礎を築きました。
財閥解体を経て独立し、東京証券取引所に上場。戦後日本の高度経済成長を化学素材で支えました。
三井石油化学工業と三井東圧化学が合併し、総合化学メーカーとしての基盤を確立しました。
ライフ&ヘルスケア、モビリティ、ICTの3成長領域に注力し、2030年に営業利益2,000億円を目指す長期計画を発表しました。
ベーシック&グリーン・マテリアルズ事業の分社化を発表。出光興産・住友化学との国内石化事業統合に向けた再編が本格化しました。
最先端EUV露光装置向け次世代ペリクルを2027年に市場投入予定。ICTソリューション事業の飛躍を目指します。
注目ポイント
出光興産・住友化学との国内石化事業統合を主導し、日本の化学産業の構造改革をリードしています。2027年の分社化で成長事業との明確な分離を目指します。
年間配当150円・利回り約7.8%と化学セクター内トップクラスの株主還元を実施。累進配当方針のもと、減配なき安定還元を目指しています。
EUV露光装置向けペリクルやICTテープなど最先端半導体材料で技術優位性を確立。メガネレンズ材料の世界シェアトップと合わせ、ニッチトップ戦略を推進しています。
サービスの実績は?
ひとめ診断
配当・優待はもらえる?
| 期 | 1株配当 | 配当性向 |
|---|---|---|
| FY2016/3 | 8円 | 34.9% |
| FY2017/3 | 14円 | 21.6% |
| FY2019/3 | 100円 | 25.9% |
| FY2020/3 | 100円 | 51.3% |
| FY2021/3 | 100円 | 33.6% |
| FY2022/3 | 120円 | 21.2% |
| FY2023/3 | 120円 | 27.8% |
| FY2024/3 | 140円 | 53.2% |
| FY2025/3 | 150円 | 87.9% |
株主優待制度はありません。配当金による利益還元を基本方針としています。
FY2021/3の年間100円からFY2025/3の150円まで4期連続で増配を実施し、配当利回りは7.77%と化学セクター内でも際立って高い水準にあります。ただしFY2025/3は純利益の減少により配当性向が87.9%まで上昇しており、利益水準が回復しない場合は増配継続が困難になるリスクもあります。FY2026/3は純利益550億円への回復を見込んでおり、配当性向の正常化が期待されます。株主優待制度は設けておらず、配当による還元を重視する方針です。
同業比較(収益性)
化学の同業他社平均と比べると…
業績推移
儲かってるの?
三井化学の業績は、石油化学事業の構造改革と成長3領域への資源集中という転換期にあります。FY2022/3にはナフサ高を背景に売上高1.6兆円・営業利益1,473億円と過去最高水準を記録しましたが、その後は石化市況の低迷と中国の供給過剰により収益が縮小。FY2025/3は売上収益1兆8,091億円・営業利益783億円と持ち直したものの、純利益は322億円にとどまりました。FY2026/3は営業利益980億円・純利益550億円への回復を予想しており、成長領域の収益貢献拡大が鍵を握ります。
事業ごとの売上・利益
メガネレンズ材料(世界トップシェア)、不織布、歯科材料、農薬有効成分など。安定収益と高利益率が特徴のコア成長領域
ポリプロピレンコンパウンド、エラストマー、機能性コンパウンドなど自動車向け素材。EV化・軽量化需要の取り込みを推進
半導体製造用ペリクル、ICTテープ、光学フィルムなど。最先端EUV露光装置向け次世代品を2027年に投入予定
フェノール、PET樹脂、ポリウレタンなど汎用化学品。2027年の分社化に向けた構造改革が進行中。出光興産・住友化学との国内事業統合を検討
稼ぐ力はどのくらい?
| 期 | ROE | ROA | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 12.8% | 4.8% | - |
| FY2022/3 | 6.1% | 7.3% | - |
| FY2023/3 | 12.3% | 5.7% | - |
| FY2024/3 | 9.3% | 3.3% | 0.7% |
| FY2025/3 | 6.2% | 3.3% | 0.6% |
FY2022/3にROE13.6%・営業利益率9.1%と高水準を達成しましたが、その後は石油化学事業の市況低迷を主因に収益性が急速に悪化。FY2025/3はROE3.3%・営業利益率4.3%と低水準にとどまっています。VISION 2030で掲げるROE10%以上・営業利益率10%の目標に対して大きなギャップがあり、成長領域への集中投資とベーシック事業の構造改革による資本効率の改善が急務です。
財務は安全?
総資産は約2.2兆円規模で、自己資本比率は39%前後と化学メーカーとしては標準的な水準を維持しています。BPS(1株当たり純資産)は4,528円に対し株価1,931円とPBR0.85倍で推移しており、資産面からは割安感があります。有利子負債はFY2024/3以降6,500億円前後で推移しており、設備投資や成長投資のための資金調達を行いつつも財務健全性は確保しています。
お金の流れは?
| 期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | FCF |
|---|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 1,652億円 | -604億円 | -874億円 | 1,049億円 |
| FY2022/3 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| FY2023/3 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| FY2024/3 | 1,613億円 | -1,239億円 | -260億円 | 374億円 |
| FY2025/3 | 2,005億円 | -1,650億円 | -744億円 | 355億円 |
営業キャッシュフローはFY2025/3に2,005億円と過去5年で最高水準を記録し、運転資本の改善とコスト削減が効果を発揮しています。一方、投資キャッシュフローは-1,650億円と成長領域への積極投資が続いており、フリーキャッシュフローは355億円の黒字を確保。FY2022/3には大型M&Aの影響でFCFがマイナスとなりましたが、近年は営業CFの改善により投資と株主還元の両立が可能な水準に回復しています。
この会社のリスク
有価証券報告書に記載されている主なリスク要因です。投資判断の参考にしてください。
税金はいくら払ってる?
| 期 | 税引前利益 | 法人税等 | 実効税率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 754億円 | 12.0億円 | 1.6% |
| FY2022/3 | 834億円 | 0円 | 0.0% |
| FY2023/3 | 429億円 | 0円 | 0.0% |
| FY2024/3 | 377億円 | 0円 | 0.0% |
| FY2025/3 | 198億円 | 0円 | 0.0% |
FY2026/3の予想税引前利益980億円に対し、法人税等は約430億円、実効税率43.9%を見込んでいます。通常の法定実効税率(約30%)を大幅に上回る水準ですが、これは海外子会社の源泉税や持分法適用会社の損益調整、繰延税金資産の評価減など一時的な要因が影響している可能性があります。石化事業の構造改革に伴う損益変動が今後の実効税率にも影響を与える見通しです。
社員の給料はどのくらい?
| 期 | 平均年収 | 従業員数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 当期 | 851万円 | 17,320人 | - |
三井化学の平均年収は851万円で、化学業界の中でも上位に位置する水準です。連結従業員数は約1.7万人で、平均年齢40歳・平均勤続年数16年と比較的若い組織構成が特徴です。グローバルに約30ヶ国で事業を展開しており、技術系人材を中心に多様な専門性を持つ人材が在籍しています。
誰がこの会社の株を持ってる?
安定株主が一定の割合を占めており、経営基盤は比較的安定しています。 主な安定株主は三井化学取引先持株会氏。
筆頭株主は日本マスタートラスト信託銀行(信託口)の17.82%で、日本カストディ銀行と合わせた信託口比率が約29%と機関投資家の存在感が大きい構成です。三井物産が1.85%を保有し三井グループの一角を担いますが、特定の支配株主は存在しません。外国法人等が約29%を占め、State Street BankやGoldman Sachs系など海外機関投資家の保有が目立ちます。三井化学取引先持株会も安定株主として名を連ねています。
会社の公式開示情報
役員報酬
事業別の稼ぎ
| 事業名 | 売上 | 利益 | 利益率 |
|---|---|---|---|
| ライフ&ヘルスケアソリューション | - | - | - |
| モビリティソリューション | - | - | - |
| ICTソリューション | - | - | - |
| ベーシック&グリーン・マテリアルズ | - | - | - |
三井化学はライフ&ヘルスケア、モビリティ、ICTの成長3領域とベーシック&グリーン・マテリアルズの4セグメントで事業を展開しています。成長3領域は高付加価値品を中心に利益率が高く、VISION 2030における営業利益拡大のドライバーです。一方、ベーシック&グリーン・マテリアルズは市況変動の影響を受けやすく、2027年をめどに分社化を検討中。役員報酬は取締役5名で4億2,800万円と、売上規模1.8兆円に対して堅実な水準にあります。
この会社のガバナンスは?
取締役12名中、女性は2名(16.7%)で、政府が掲げる2030年30%目標に向けてさらなる改善が求められます。監査等委員会設置会社として独立社外取締役が過半を占める体制を構築しており、投資家との対話では社員を排除した社外取締役と投資家の直接対話会を開催するなど、先進的なガバナンス運営に取り組んでいます。設備投資額は1,452億円と大規模であり、半導体材料やヘルスケアなど成長領域への集中投資を進めています。
会社の計画は順調?
※ 会社が公表した計画に対する達成度の評価であり、投資についての評価・推奨ではありません
年度別の予想精度(計画を守れてる?)
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2025 | 1兆9,500億円 | 1兆8,091億円 | 1兆8,091億円 | -7.2% |
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2025 | 1,000億円 | 783億円 | 783億円 | -21.7% |
当初予想 = 期初に会社が発表した数字 / 乖離 = 予想と実績のズレ(+なら上振れ)
長期経営計画VISION 2030では、2030年度に売上高2兆円・営業利益2,000億円・営業利益率10%・ROE10%以上という財務目標を掲げています。FY2025/3時点で営業利益は783億円と目標の約39%にとどまり、特にROEは3.3%と目標の10%に大きく届いていません。石化事業の分社化によるポートフォリオ改革と、半導体材料・ヘルスケアなど成長領域での利益拡大が達成の鍵です。
この株を持っていたら儲かった?
この会社の株主総利回り(TSR)を、日本株全体の平均(TOPIX)と比較したグラフです。青い線が上にあるほど、平均より良い成績を出しています。
過去5年間のTSR(株主総利回り)は193.7%とプラスのリターンを確保していますが、TOPIX(213.4%)に対してはアンダーパフォームしています。FY2024にはTSR234.6%と一時TOPIXを上回りましたが、FY2025に石化市況の悪化と業績下方修正により大きく調整。配当を含めたリターンは堅調ですが、株価のキャピタルゲインでは市場全体に劣後する結果となっています。
※ 配当を含まない株価ベースのリターンです。過去の実績であり、将来のリターンを保証・示唆するものではありません。
もし5年前に投資していたら?
| 年度末時点 | 評価額 | 損益 | TSR |
|---|---|---|---|
| FY2021 | 175.3万円 | +75.3万円 | 75.3% |
| FY2022 | 161.4万円 | +61.4万円 | 61.4% |
| FY2023 | 182.8万円 | +82.8万円 | 82.8% |
| FY2024 | 234.6万円 | +134.6万円 | 134.6% |
| FY2025 | 193.7万円 | +93.7万円 | 93.7% |
※ 有価証券報告書記載のTSR(株主総利回り)に基づく仮定の計算です。配当再投資を含みます。将来のリターンを保証するものではありません。
株の売買状況と今後の予定
PER 13.2倍は化学セクター平均14.5倍をやや下回り、PBR 0.85倍も業種平均を下回る水準で推移しており、バリュエーション面では割安圏にあります。特に配当利回り7.77%はセクター中央値2.08%を大きく上回り、インカム投資の観点から魅力的です。信用倍率は7.76倍と買い残が積み上がっている状態であり、短期的には上値が重い展開が予想されます。
メディアでどれくらい注目されてる?
メディア露出
メディア分布
競合比較
どんな話題が多い?
最近の出来事
ベーシック&グリーン・マテリアルズ事業の提携推進および2027年をめどとした分社化の検討開始を発表。石化再編の主導的役割を果たす。
2025年度第3四半期決算を発表。売上収益1兆2,187億円と前年同期比9.0%減、コア営業利益も10.3%減の680億円となり市場の警戒感が強まった。
DNAチップ研究所に対する公開買付けを開始。ライフ&ヘルスケア領域の強化へ向けたバイオ関連投資を加速。
最新ニュース
三井化学 まとめ
ひとめ診断
「石化再編の旗振り役が描く“二刀流経営”――成長3領域への集中とベーシック事業の分社化が同時進行」
※ 本ページの情報は投資助言ではありません。掲載データは正確性を保証するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。
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