タカラバイオ
TAKARA BIO INC.
最終更新日: 2026年3月28日
遺伝子研究のパイオニア、再生医療で未来を拓くライフサイエンスの総合支援企業
革新的なバイオテクノロジーの開発と安定供給を通じて、世界中の人々の健康と豊かな暮らしに貢献します。
この会社ってなに?
あなたがコロナ禍でPCR検査を受けたとき、その検査キットの中に入っていた試薬や、検査に使われる機械を開発・提供していたのが、実はタカラバイオかもしれません。同社は、遺伝子研究のプロたちが使う「実験道具」の専門メーカーです。また、ニュースで耳にするiPS細胞を使った再生医療や、難病を治すための遺伝子治療といった最先端医療の研究を、その技術力で支える縁の下の力持ちでもあります。普段の生活で直接名前を見ることは少なくても、私たちの健康や未来の医療のすぐそばで活躍している会社です。
タカラバイオはコロナ禍におけるPCR検査関連の特需で業績が急拡大しましたが、その反動でFY2025は売上高450.4億円、営業利益22.63億円と大幅な減収減益に見舞われています。主力の研究用試薬事業が世界的な需要減で苦戦する一方、遺伝子治療薬の製造受託(CDMO)や再生医療分野への先行投資は継続しています。2026年2月、親会社の宝ホールディングスが1株1150円でのTOB(株式公開買付)を発表し、非公開化による経営の立て直しと中長期的な成長戦略への再注力が図られます。
会社概要
- 業種
- 化学
- 決算期
- 3月
- 本社
- 滋賀県草津市野路東7-4-38
- 公式
- www.takara-bio.co.jp
社長プロフィール

宝酒造の研究部門を母体とし、日本のバイオ産業黎明期から研究用試薬や機器を提供してきました。近年は、医薬品開発製造支援(CDMO)事業や遺伝子治療にも挑戦しています。革新的なバイオテクノロジーで、世界中の人々の健康と豊かな暮らしに貢献することを目指します。
この会社のストーリー
母体である宝酒造が、国産初となる遺伝子工学研究用試薬(制限酵素)を開発・発売。日本のバイオテクノロジー研究の夜明けを支える一歩を踏み出す。
宝酒造株式会社からバイオ事業部門が独立し、タカラバイオ株式会社を設立。同年、東証マザーズに上場し、新たなスタートを切る。
再発白血病を対象としたHSV-TK遺伝子治療の治験を開始。研究支援だけでなく、創薬・治療分野への本格的な挑戦が始まる。
山中伸弥教授のiPS細胞研究におけるノーベル賞受賞を受け、関連試薬などを手掛ける同社が関連銘柄の筆頭として大きな注目を集める。
超ハイスループットの次世代シーケンサー「NovaSeq X Plus System」を導入。ゲノム解析受託サービスを大幅に強化し、研究開発の加速に貢献する。
米国の遺伝子解析用試薬企業や、ウイルス安全性評価の国内スタートアップを買収。積極的なM&Aを通じて、CDMO事業のグローバル展開とサービス拡充を加速させる。
親会社の宝ホールディングスがTOB(株式公開買い付け)を発表。グループ一体経営による意思決定の迅速化と、さらなる成長を目指す新たなステージへ向かう。
注目ポイント
1979年に国産初の遺伝子研究用試薬を開発して以来、40年以上にわたり日本のライフサイエンス研究を支えています。iPS細胞関連の研究でも重要な役割を担っています。
研究支援で培った技術を活かし、がん治療薬や遺伝子治療といった最先端医療分野に挑戦しています。医薬品の開発から製造までを支援するCDMO事業も国内外で拡大中です。
2026年に親会社である宝ホールディングスの完全子会社となる予定です。グループ一体となることで、経営の迅速化とバイオ事業への集中的な投資が期待されます。
サービスの実績は?
ひとめ診断
配当・優待はもらえる?
| 期 | 1株配当 | 配当性向 |
|---|---|---|
| FY2016/3 | 1.8円 | 16.2% |
| FY2017/3 | 4円 | 35.6% |
| FY2018/3 | 4.5円 | 23.2% |
| FY2019/3 | 7円 | 23.0% |
| FY2020/3 | 8円 | 25.2% |
| FY2021/3 | 16円 | 20.2% |
| FY2022/3 | 33円 | 20.0% |
| FY2023/3 | 42円 | 31.6% |
| FY2024/3 | 17円 | 138.2% |
| FY2025/3 | 17円 | 196.5% |
現在、株主優待制度は実施されていません。
配当方針として、特別損益を除いた想定当期純利益の35%を配当性向の目安として掲げています。しかし、近年の大幅な業績悪化に伴い配当性向が著しく上昇するなど、安定的な配当維持が困難な状況にあります。親会社による完全子会社化の進展により、今後の資本政策や配当方針は大きく変更される可能性があります。
同業比較(収益性)
化学の同業他社平均と比べると…
業績推移
儲かってるの?
タカラバイオの業績は、研究用試薬・機器事業の需要減速により苦戦が続いています。FY2022/3にはコロナ禍の特需で売上高が約677億円まで急拡大しましたが、その後は市場の冷え込みにより減少傾向にあります。2026年3月期も赤字が続く厳しい状況下、親会社である宝ホールディングスによる完全子会社化(TOB)が発表されるなど大きな転換期を迎えています。
稼ぐ力はどのくらい?
| 期 | ROE | ROA | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 13.2% | 10.6% | - |
| FY2022/3 | 23.7% | 17.2% | - |
| FY2023/3 | 15.7% | 12.4% | - |
| FY2024/3 | 3.0% | 1.2% | 6.9% |
| FY2025/3 | 0.2% | 0.8% | 5.0% |
収益性は、売上の大幅な減少に伴い急激に悪化しています。かつては40%を超えていた営業利益率も、FY2025/3には5.0%まで低下し、本業での稼ぐ力が著しく減退しています。研究開発費の先行投資負担が重荷となり、ROE(自己資本利益率)も1%を下回るなど、資本効率の低下が深刻な課題です。
財務は安全?
自己資本比率が90%を超えるなど、極めて高い財務の健全性を維持しています。有利子負債はゼロであり、実質無借金経営を継続しているため、手元流動性は十分に確保されています。業績が悪化してもなお強固なバランスシートを有している点は、企業としての耐久性を示す重要な要素です。
お金の流れは?
| 期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | FCF |
|---|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 139億円 | -37.8億円 | -11.0億円 | 102億円 |
| FY2022/3 | 69.8億円 | -70.7億円 | -20.7億円 | -8,600万円 |
| FY2023/3 | 369億円 | -66.9億円 | -41.2億円 | 302億円 |
| FY2024/3 | 17.1億円 | -130億円 | -52.3億円 | -113億円 |
| FY2025/3 | 58.4億円 | -109億円 | -22.6億円 | -50.7億円 |
営業キャッシュフローは利益の減少により縮小し、かつてのキャッシュ創出力を失いつつあります。一方で、将来の成長に向けた積極的な設備投資を継続しているため、フリーキャッシュフローはマイナスで推移しています。潤沢な現預金があるため直ちに資金繰りが行き詰まる状況ではありませんが、事業によるキャッシュ創出力の回復が急務です。
この会社のリスク
有価証券報告書に記載されている主なリスク要因です。投資判断の参考にしてください。
税金はいくら払ってる?
| 期 | 税引前利益 | 法人税等 | 実効税率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 142億円 | 46.1億円 | 32.6% |
| FY2022/3 | 285億円 | 86.1億円 | 30.3% |
| FY2023/3 | 207億円 | 46.7億円 | 22.6% |
| FY2024/3 | 34.0億円 | 19.3億円 | 56.5% |
| FY2025/3 | 25.9億円 | 15.5億円 | 59.8% |
利益水準が低下する中で実効税率が急上昇しており、これは繰延税金資産の取り崩し等の影響が大きいためです。利益が僅少な状況下でも一定の税負担が発生し、最終利益を圧迫しています。今後、本業の立て直しによる利益体質の改善が税負担の正常化に向けた鍵となります。
社員の給料はどのくらい?
| 期 | 平均年収 | 従業員数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 当期 | 680万円 | 1,779人 | - |
従業員平均年収は680万円となっており、ライフサイエンス業界の水準としては標準的です。ただし、近年は主力の研究用試薬市場の低迷や業績悪化に伴う下方修正が相次いでおり、業績に連動した報酬の変動や、役員報酬の自主返上などが実施される厳しい経営環境が続いています。
誰がこの会社の株を持ってる?
金融機関・事業法人を中心に安定株主比率が高く、経営の安定性が際立ちます。 事業法人の持合い比率が高く、安定した株主構成が特徴です。 主な安定株主は宝ホールディングス。
親会社である宝ホールディングス株式会社が60.91%の株式を保有しており、極めて強固な支配体制が敷かれています。残る株式も信託銀行の信託口が一定数を占めており、市場で流通する浮動株は限定的であるため、親会社の影響力が非常に強い構成となっています。
会社の公式開示情報
役員報酬
研究用試薬・機器の販売を主力とし、CDMO(医薬品受託製造)事業や遺伝子治療薬開発を展開しています。現在はライフサイエンス市場の低迷により、連結最終損益が赤字に転落するなどの厳しい財務状況にあり、事業の再構築と親会社である宝ホールディングスによる完全子会社化(TOB)が重要な局面を迎えています。
この会社のガバナンスは?
女性役員比率は14.3%(2人/14人)であり、今後さらなる多様性の向上が求められる水準です。親会社主導のガバナンス体制下で、監査報酬5,100万円を投じて監査体制を維持しており、子会社8社を抱えるグループとして堅実なコンプライアンス管理に努めています。
会社の計画は順調?
※ 会社が公表した計画に対する達成度の評価であり、投資についての評価・推奨ではありません
年度別の予想精度(計画を守れてる?)
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2023 | 553億円 | 764億円 | 781億円 | +41.3% |
| FY2024 | 533億円 | 443億円 | 435億円 | -18.4% |
| FY2025 | 489億円 | 444億円 | 450億円 | -7.9% |
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2023 | 150億円 | 204億円 | 205億円 | +36.9% |
| FY2024 | 80億円 | 30億円 | 30億円 | -62.5% |
| FY2025 | 50億円 | 24億円 | 23億円 | -54.7% |
当初予想 = 期初に会社が発表した数字 / 乖離 = 予想と実績のズレ(+なら上振れ)
コロナ特需が終焉し、ライフサイエンス市場が世界的に低迷した影響を大きく受け、「中期経営計画2025」で掲げたFY2026の売上収益750億円、営業利益100億円の目標は大幅に未達となる見込みです。特にFY2024以降、業績予想の精度が著しく悪化しており、期初予想からの大幅な下方修正が続いています。親会社によるTOBは、こうした厳しい事業環境下で非公開化し、短期的な業績に左右されずに中長期的な視点で事業再構築を行うことが目的と考えられます。
この株を持っていたら儲かった?
この会社の株主総利回り(TSR)を、日本株全体の平均(TOPIX)と比較したグラフです。青い線が上にあるほど、平均より良い成績を出しています。
過去5年間のTSR(株主総利回り)は、コロナ特需で株価が上昇したFY2022まではTOPIXに近いパフォーマンスでしたが、FY2023以降は業績悪化に伴う株価下落により、TOPIXを大幅に下回る(アンダーパフォーム)状況が続いています。特にFY2025のTSRは42.7%と、TOPIXの213.4%から大きく見劣りする結果となりました。これは、配当によるリターンだけでは、特需剥落後の急激な株価下落をカバーしきれなかったことを示しています。株主価値の観点からは非常に厳しいパフォーマンスであったと言えます。
※ 配当を含まない株価ベースのリターンです。過去の実績であり、将来のリターンを保証・示唆するものではありません。
もし5年前に投資していたら?
| 年度末時点 | 評価額 | 損益 | TSR |
|---|---|---|---|
| FY2021 | 133.8万円 | +33.8万円 | 33.8% |
| FY2022 | 102.6万円 | +2.6万円 | 2.6% |
| FY2023 | 81.8万円 | -18.2万円 | -18.2% |
| FY2024 | 48.3万円 | -51.7万円 | -51.7% |
| FY2025 | 42.7万円 | -57.3万円 | -57.3% |
※ 有価証券報告書記載のTSR(株主総利回り)に基づく仮定の計算です。配当再投資を含みます。将来のリターンを保証するものではありません。
株の売買状況と今後の予定
親会社によるTOB発表後、株価はTOB価格の1150円付近で固定化されており、短期的な値動きは限定的です。PERは業績悪化により100倍を超え、業界平均と比較して割高ですが、これはTOB価格による特殊要因が大きいです。信用買い残は売り残を上回る状況ですが、TOB成立が確実視されており、市場での売買は閑散としています。今後の最大の注目点はTOBが予定通り成立し、上場廃止となるかという点に集約されます。
メディアでどれくらい注目されてる?
メディア露出
メディア分布
競合比較
どんな話題が多い?
最近の出来事
第3四半期累計で96.1億円の連結最終赤字を計上し、業績の厳しさが顕在化しました。
親会社の宝ホールディングスが、タカラバイオを541億円規模でTOBし、完全子会社化することを発表しました。
米国企業キュリオ社を63億円で買収し、遺伝子解析用試薬のグローバル展開を強化しました。
最新ニュース
タカラバイオ まとめ
ひとめ診断
「『PCR検査』特需の終焉で業績急降下、親会社の救済TOBで再生医療への再投資を目指すバイオ企業」
※ 本ページの情報は投資助言ではありません。掲載データは正確性を保証するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。
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