東洋紡
TOYOBO CO.,LTD.
最終更新日: 2026年3月27日
創業140年超、繊維から高機能素材まで未来を創る化学メーカー
素材とサイエンスを基盤に、人と地球に求められるソリューションを創造しつづけ、サステナブルな未来に貢献する企業グループを目指します。
この会社ってなに?
あなたが毎日使うスマートフォンの画面、その映像を鮮やかにしているのが東洋紡のフィルムかもしれません。また、コンビニで手にするお菓子やペットボトル飲料のパッケージにも、食品の鮮度を保つための東洋紡の技術が活きています。さらに、病院で受ける検査やきれいな水を作る浄水場の裏側でも、同社の製品が活躍しているのです。目立たないけれど、実は私たちの暮らしの様々な場面を支えている会社です。
FY2025は売上高4,220.3億円、営業利益166.53億円と増収増益を達成しましたが、前々期は純損失を計上するなど収益性は不安定な状況です。液晶向けフィルムや機能樹脂を主力としつつ、中国のエアバッグ事業売却や三菱商事との合弁設立など、事業ポートフォリオの「選択と集中」を加速させています。株価はPBR0.63倍と解散価値を大きく下回っており、事業再編の成果が問われる正念場と言えるでしょう。
会社概要
- 業種
- 化学
- 決算期
- 3月
- 本社
- 大阪市北区梅田三丁目2番22号
- 公式
- www.toyobo.co.jp
社長プロフィール

創業以来の理念『順理則裕』を胸に、素材とサイエンスの力で社会課題の解決に貢献します。事業ポートフォリフォの変革を加速させ、フィルムやヘルスケアなどの成長分野に注力することで、持続可能な社会の実現と企業価値の向上を目指します。
この会社のストーリー
近代日本経済の父・渋沢栄一らが発起人となり、大阪紡績会社として設立。日本の紡績産業の礎を築いた。
大阪紡績と三重紡績が合併し、東洋紡績株式会社が誕生。日本最大の紡績会社として業界をリードした。
紡績業で培った技術を応用し、レーヨンやフィルム事業へ進出。化学メーカーへの変革の第一歩を踏み出した。
ポリエステル繊維や包装用フィルムなどの生産を開始し、事業を大きく拡大。高機能製品へのシフトを進めた。
液晶ディスプレイ用光学フィルムやエアバッグ用基布、水処理膜など、スペシャリティ分野で存在感を高める。
三菱商事との合弁会社設立や、エアバッグ事業の再編などを実行。成長分野への経営資源集中を加速させる。
事業再編の効果が現れ始め、通期業績予想を上方修正。新たな中期経営計画のもと、さらなる成長を目指す。
注目ポイント
液晶用フィルムから自動車のエアバッグ基布、海水淡水化に使う水処理膜まで、社会の様々な場面を支える高機能素材を開発・提供しています。
140年以上の歴史に安住せず、時代の変化に対応して事業の選択と集中を推進。成長分野へ経営資源をシフトし、収益構造の転換を図っています。
業績に応じた配当を継続的に実施しており、安定した株主還元への意識が高い企業です。2025年3月期の年間配当は40円を予定しています。
サービスの実績は?
ひとめ診断
配当・優待はもらえる?
| 期 | 1株配当 | 配当性向 |
|---|---|---|
| FY2016/3 | 3.5円 | 30.6% |
| FY2017/3 | 3.5円 | 32.9% |
| FY2018/3 | 40円 | 27.2% |
| FY2019/3 | 40円 | 0.6% |
| FY2020/3 | 40円 | 25.8% |
| FY2021/3 | 40円 | 84.6% |
| FY2022/3 | 40円 | 27.6% |
| FY2023/3 | 40円 | 0.6% |
| FY2024/3 | 40円 | 143.5% |
| FY2025/3 | 40円 | 176.0% |
現在、株主優待制度は実施していません。
東洋紡は株主への利益還元を重要な経営課題と位置づけ、安定的な配当の継続を基本方針としています。業績が大きく変動する中でも年間40円の配当を維持しており、株主還元への姿勢は一貫しています。今後は持続的な利益成長を実現し、配当性向の適正化を図ることで、より強固な還元体制を構築することを目指しています。
同業比較(収益性)
化学の同業他社平均と比べると…
業績推移
儲かってるの?
東洋紡は、機能素材事業を軸とした事業再編を推進しており、売上高は緩やかな右肩上がりを維持しています。一方で、純利益は事業構造改革に伴う費用や設備投資の影響を受け、FY2023/3には赤字を計上するなど利益水準が不安定に推移してきました。今後は機能性フィルムやエアバッグ用素材などの高付加価値分野への集中投資により、収益性の回復と成長軌道への回帰を目指しています。
稼ぐ力はどのくらい?
| 期 | ROE | ROA | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | -3.0% | 0.9% | - |
| FY2022/3 | 4.0% | 2.5% | - |
| FY2023/3 | -1.3% | -0.1% | - |
| FY2024/3 | 0.0% | 0.4% | 2.2% |
| FY2025/3 | 2.2% | 0.3% | 3.9% |
収益性の指標であるROEおよびROAは、利益の変動に伴い極めて低い水準で推移しており、資本効率の向上が大きな経営課題となっています。売上高営業利益率は概ね2%から8%の範囲で推移していますが、原材料価格の高騰や事業構造転換に伴うコストが重荷となり、利益率の改善が停滞している状況です。今後は生産効率の向上と不採算事業の切り離しを徹底し、筋肉質な事業体質への変革が求められます。
財務は安全?
総資産が6,000億円超へと拡大する一方で、積極的な設備投資に伴う有利子負債の増加により自己資本比率は約31%程度まで低下しており、財務体質には慎重な見方が必要です。特に負債の圧縮が進まない中で、資産の質を維持・向上させつつ安定した経営基盤を確保することが急務となっています。今後は、資産効率を重視した経営とバランスシートの最適化が、中長期的な安定成長の鍵となります。
お金の流れは?
| 期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | FCF |
|---|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 350億円 | -317億円 | 53.4億円 | 33.5億円 |
| FY2022/3 | 171億円 | -246億円 | -17.3億円 | -75.1億円 |
| FY2023/3 | 78.0億円 | -360億円 | 613億円 | -282億円 |
| FY2024/3 | 216億円 | -588億円 | 82.6億円 | -372億円 |
| FY2025/3 | 301億円 | -464億円 | 105億円 | -163億円 |
営業キャッシュフローは一定の利益を稼ぎ出していますが、成長に向けた大型の設備投資が継続的に行われているため、フリーキャッシュフローはマイナス圏で推移しています。投資の先行によってキャッシュが流出する一方、資金調達による負債が積み上がっており、資本配分の効率化が課題です。今後はこれらの投資案件が将来的な収益拡大に結びつき、現金創出力を高められるかが注視されます。
この会社のリスク
有価証券報告書に記載されている主なリスク要因です。投資判断の参考にしてください。
税金はいくら払ってる?
| 期 | 税引前利益 | 法人税等 | 実効税率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 207億円 | 165億円 | 79.7% |
| FY2022/3 | 231億円 | 102億円 | 44.3% |
| FY2023/3 | 65.9億円 | 72.5億円 | 109.9% |
| FY2024/3 | 69.6億円 | 45.1億円 | 64.7% |
| FY2025/3 | 106億円 | 85.9億円 | 81.1% |
実効税率が法定税率を大きく上回る年が多く、税引前利益に対して法人税等の負担が重い傾向にあります。これは連結決算における赤字子会社の発生や、繰延税金資産の取り崩しなど、会計上の利益と税務上の課税所得に乖離が生じているためです。安定的な利益構造を構築することで、将来的な税務負担の適正化が見込まれます。
社員の給料はどのくらい?
| 期 | 平均年収 | 従業員数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 当期 | 642万円 | 9,976人 | - |
従業員の平均年収は642万円であり、製造業の中でも安定した水準を維持しています。近年は機能素材事業への投資や事業ポートフォリオの再編を進めており、業績向上に伴う持続的な処遇改善が期待される環境です。
誰がこの会社の株を持ってる?
外国人・個人投資家の比率が高く、市場の需給が株価に反映されやすい構造です。 個人投資家の保有比率が高く、株主優待や配当の注目度が高い銘柄です。
東洋紡の株主構成は、日本マスタートラスト信託銀行や日本カストディ銀行といった信託口が上位を占める機関投資家主導の構造です。これら金融機関による保有比率が合計で25%を超えており、安定的な長期保有傾向が見て取れます。
会社の公式開示情報
役員報酬
EDINET開示情報によれば、連結子会社49社を擁し、液晶やコンデンサー向けフィルム、機能樹脂などの事業を展開しています。現在はエアバッグ事業のタイ拠点集約など、収益力強化に向けた抜本的な事業再編を積極的に推進しているのが特徴です。
この会社のガバナンスは?
女性役員比率は15.4%であり、多様性の確保に向けた取り組みを継続中です。監査報酬として1億2,600万円を計上しており、連結子会社49社を管理する体制として、ガバナンスと内部統制の強化に注力している企業規模と言えます。
会社の計画は順調?
※ 会社が公表した計画に対する達成度の評価であり、投資についての評価・推奨ではありません
年度別の予想精度(計画を守れてる?)
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2025 | 170億円 | — | 167億円 | -2.0% |
| FY2024 | 150億円 | — | 90億円 | -40.0% |
| FY2023 | 240億円 | — | 101億円 | -58.1% |
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2025 | 4,350億円 | — | 4,220億円 | -3.0% |
| FY2024 | 4,300億円 | — | 4,143億円 | -3.7% |
当初予想 = 期初に会社が発表した数字 / 乖離 = 予想と実績のズレ(+なら上振れ)
現在、明確な中期経営計画は公表されておらず、単年度の業績予想を開示しています。FY2026の業績予想は増収増益を見込んでいますが、過去数年の実績を見ると、期初予想に対して大幅な未達が続いています。特に営業利益の乖離が大きく、FY2023には-58.1%の大幅未達を記録しました。事業ポートフォリオ再編の途上にあり、外部環境の変化や構造改革の進捗によって業績が大きく変動するリスクを抱えているため、会社予想の信頼性には注意が必要です。
この株を持っていたら儲かった?
この会社の株主総利回り(TSR)を、日本株全体の平均(TOPIX)と比較したグラフです。青い線が上にあるほど、平均より良い成績を出しています。
TSR(株主総利回り)は、配当と株価上昇を合わせた総合的な投資リターンを示す指標です。東洋紡のTSRは過去5年間、一貫してTOPIX(東証株価指数)をアンダーパフォーム(下回る)しています。これは、安定配当を継続しているものの、それを上回る株価の低迷が続いていることが主な要因です。特にFY2024以降はTOPIXが大きく上昇する中で、同社の株価回復が遅れ、格差が拡大しました。事業再編による収益性改善と成長戦略の具体化が、TSRを向上させるための鍵となります。
※ 配当を含まない株価ベースのリターンです。過去の実績であり、将来のリターンを保証・示唆するものではありません。
もし5年前に投資していたら?
| 年度末時点 | 評価額 | 損益 | TSR |
|---|---|---|---|
| FY2021 | 128.1万円 | +28.1万円 | 28.1% |
| FY2022 | 102.6万円 | +2.6万円 | 2.6% |
| FY2023 | 101.4万円 | +1.4万円 | 1.4% |
| FY2024 | 112.6万円 | +12.6万円 | 12.6% |
| FY2025 | 99.9万円 | -0.1万円 | -0.1% |
※ 有価証券報告書記載のTSR(株主総利回り)に基づく仮定の計算です。配当再投資を含みます。将来のリターンを保証するものではありません。
株の売買状況と今後の予定
PBRは0.63倍と業界平均の1.28倍を大幅に下回り、株価が企業の解散価値より低い割安な水準にあることを示唆しています。一方で、信用買い残が売り残を大きく上回る18.17倍となっており、将来の株価上昇を見込む個人投資家が多いものの、需給面では上値が重くなる可能性があります。今後の決算発表と、特に新しい中期経営計画の発表が市場の注目を集めるでしょう。
メディアでどれくらい注目されてる?
メディア露出
メディア分布
競合比較
どんな話題が多い?
最近の出来事
三菱商事との合弁会社東洋紡エムシーが始動し、機能素材事業の強化を開始。
中国のエアバッグ事業を帝人フロンティアへ譲渡し、タイへの生産集約を決定。
第3四半期決算にて経常利益が前年同期比2.9倍に急拡大し、通期業績予想を上方修正。
最新ニュース
東洋紡 まとめ
ひとめ診断
「繊維の名門が、液晶フィルムから水処理膜、果てはコロナ診断薬まで手掛ける『素材の総合商社』へ変貌中」
※ 本ページの情報は投資助言ではありません。掲載データは正確性を保証するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。
同じ業種の企業
「化学」に分類される他の企業
創業100年超の伝統織物技術を、スマホやディスプレイの未来を支える先端電子材料に昇華させた技術者集団
国内農薬の雄が、親会社ADEKAのもとグローバル展開を加速、南米・インド市場で成長果実を狙うディフェンシブ銘柄
『空気をかえよう』でお馴染み、生活防衛の王者が香りのDXとM&Aで再成長を目指す
エンプラからエアバッグまで、累進配当と利回り4%超の高還元バリュー化学
産業ガス国内2位、M&Aで事業多角化を推進してきたが不適切会計の発覚で信頼回復が最大課題
『タイヤの素』から『家の顔』まで作る化学の老舗が、M&AとCVC設立で売上1000億円を目指す野心的な拡大フェーズに突入
DDS製剤原料から宇宙ロケット推進薬まで、営業利益率19%のニッチトップ化学メーカー
地味な化学メーカーと思いきや、実はEVや半導体にも欠かせないジルコニウムの世界覇者