住友化学
SUMITOMO CHEMICAL COMPANY,LIMITED
最終更新日: 2026年3月22日
100年の住友の信用を胸に、農薬と半導体材料で世界に挑む――過去最大赤字からのV字回復ストーリー
化学の力で、人々の暮らしと地球環境の未来を切り拓く。
この会社ってなに?
住友化学の製品は日常の至るところに関わっています。田畑の害虫や雑草を防ぐ農薬、スマートフォンや半導体の製造に使われる高純度化学薬品やフォトレジスト、液晶ディスプレイ用のカラーフィルター材料、さらに自動車のタイヤに使われる合成ゴム。また住友ファーマを通じた医薬品事業も展開しており、食料・IT・モビリティ・医療といった現代社会の基盤を化学の力で支えています。
住友化学は売上高2.6兆円規模の総合化学メーカーで、住友グループの中核企業です。FY2024/3にペトロ・ラービグ関連の巨額損失で過去最大の営業赤字(約4,888億円)を計上しましたが、FY2025/3には構造改革の効果で営業利益1,930億円へV字回復を果たしました。しかしFY2026/3予想では売上2兆3,400億円・営業利益1,050億円と再び減収減益の見通しで、本格的な回復にはまだ時間がかかります。PBR 0.88倍・PER 19.8倍で、中期経営計画「Leap Beyond」のもと2027年度にコア営業利益2,000億円・ROE 8%を目標としています。
会社概要
- 業種
- 化学
- 決算期
- 3月
- 本社
- 東京都中央区日本橋2丁目7番1号 東京日本橋タワー
- 公式
- www.sumitomo-chem.co.jp
社長プロフィール
住友化学は1913年の創業以来、「自利利他 公私一如」の住友事業精神のもと、化学を通じて社会課題の解決に貢献してまいりました。FY2024/3の過去最大赤字を経て、私たちは抜本的な構造改革を断行し、短期集中業績改善策を計画以上の成果で完遂しました。今後は中期経営計画「Leap Beyond」のもと、農薬と電子材料を成長の柱に据え、2027年度にコア営業利益2,000億円の達成を目指します。
この会社のストーリー
四国・新居浜の別子銅山で発生する排煙から肥料を製造する事業として出発。公害問題の解決と産業創出を両立させた住友らしい創業ストーリーです。
サウジアラビア政府との合弁でペトロ・ラービグの前身となる石化事業に進出。中東の安価な原料を活かしたグローバル展開の礎を築きました。
大日本製薬と住友製薬の合併により医薬品事業を強化。抗精神病薬ラツーダが後にブロックバスターに成長します。
サウジの石化合弁ペトロ・ラービグの業績悪化と住友ファーマのラツーダ特許切れが重なり、FY2024/3に過去最大の営業赤字4,888億円を計上。抜本的な構造改革に着手しました。
ペトロ・ラービグの持分整理、非中核事業売却、コスト削減により、FY2025/3に営業利益1,930億円へV字回復。FCF 3,183億円で財務体質も大幅に改善しました。
農薬(アグロ&ライフ)と電子材料(ICT&モビリティ)を成長ドライバーに据え、2027年度コア営業利益2,000億円・ROE 8%を目指す新たな成長戦略を策定しました。
注目ポイント
独自開発の殺虫剤・除草剤・殺菌剤を世界約130ヶ国で展開。食料安全保障を化学の力で支え、中計でも最大の成長ドライバーに位置付けられています。
フォトレジスト、高純度洗浄薬品、グラスコアなど最先端半導体に不可欠な材料を供給。台湾企業買収やサムスン電機との合弁で成長を加速しています。
FY2024/3の営業赤字4,888億円という危機的状況から、わずか1年でFCF 3,183億円を創出しV字回復を達成。住友グループの底力と経営の実行力が証明されました。
サービスの実績は?
ひとめ診断
配当・優待はもらえる?
| 期 | 1株配当 | 配当性向 |
|---|---|---|
| FY2016/3 | 14円 | 28.1% |
| FY2017/3 | 14円 | 26.8% |
| FY2018/3 | 22円 | 26.9% |
| FY2019/3 | 22円 | 30.5% |
| FY2020/3 | 17円 | 89.9% |
| FY2021/3 | 15円 | 53.3% |
| FY2022/3 | 24円 | 24.2% |
| FY2023/3 | 18円 | 421.5% |
| FY2024/3 | 9円 | 0.6% |
| FY2025/3 | 9円 | 38.2% |
なし
FY2022/3の年間24円をピークに、業績悪化に伴い段階的に減配し、FY2024/3・FY2025/3は年間9円まで低下しました。FY2026/3は業績回復を反映し年間12円へ3円の増配を予想しています。配当利回りは2.48%で、中計では利益成長に応じた安定的な株主還元を方針としています。なお株主優待制度は設けておらず、配当による還元を重視する方針です。
同業比較(収益性)
化学の同業他社平均と比べると…
業績推移
儲かってるの?
住友化学の業績は大きな波を経験しています。FY2022/3には売上高2.7兆円・営業利益2,150億円と好調でしたが、FY2023/3以降はサウジの石化合弁ペトロ・ラービグの損失拡大や住友ファーマの不振により急速に悪化。FY2024/3には営業赤字4,888億円・純損失3,118億円と過去最大の赤字を計上しました。FY2025/3は構造改革の効果とペトロ・ラービグ持分整理により営業利益1,930億円まで回復しましたが、FY2026/3予想では再び営業利益1,050億円へ減益の見通しであり、回復の持続性が問われる局面です。
事業ごとの売上・利益
石油化学製品、無機化学品、メタアクリル樹脂(MMA)等の基礎化学品。三井化学・出光興産とのポリオレフィン事業統合を推進中
リチウムイオン電池材料、スーパーエンプラ、ゴム薬品など。田中化学研究所を完全子会社化し正極材料を強化
半導体用フォトレジスト、偏光フィルム、タッチパネル材料、電子材料用高純度薬品。サムスン電機との合弁でグラスコアにも進出
農薬(世界トップクラスのシェア)、家庭用・防疫用殺虫剤、飼料添加物。中計の成長ドライバーの一つ
住友ファーマ(旧大日本住友製薬)を通じた医薬品事業。主力薬ラツーダの特許切れ後の新薬パイプライン構築が課題
稼ぐ力はどのくらい?
| 期 | ROE | ROA | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 12.6% | 3.5% | - |
| FY2022/3 | 17.3% | 5.8% | - |
| FY2023/3 | 13.5% | 0.0% | - |
| FY2024/3 | 2.3% | -11.8% | 3.5% |
| FY2025/3 | 6.3% | 1.7% | 11.4% |
収益性はFY2022/3のROE 9.5%をピークに急落し、FY2024/3にはROE -26.8%と大幅な毀損を経験しました。FY2025/3にはROE 3.6%・営業利益率7.4%まで回復しましたが、中計目標のROE 8%にはまだ大きな乖離があります。農薬・電子材料などの高付加価値分野の利益貢献拡大と、石化事業の低収益構造の改善が収益性向上の鍵です。
財務は安全?
FY2024/3の巨額赤字により純資産が大幅に減少し、自己資本比率は24.5%まで低下しました。FY2025/3は資産売却やキャッシュ創出により有利子負債を1兆1,523億円から9,729億円に圧縮し、自己資本比率を26.2%に改善。BPSは550.4円で株価483円に対してPBR 0.88倍と帳簿価値を下回る水準にあります。財務健全性の回復は道半ばですが、改善の方向性は明確です。
お金の流れは?
| 期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | FCF |
|---|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| FY2022/3 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| FY2023/3 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| FY2024/3 | -513億円 | -1,122億円 | 492億円 | -1,636億円 |
| FY2025/3 | 2,330億円 | 852億円 | -3,008億円 | 3,183億円 |
FY2024/3には営業CFがマイナスに転落し、投資CFも大幅マイナスでFCFは-1,636億円と危機的な状況でした。FY2025/3には営業CF 2,330億円を確保し、さらに資産売却により投資CFが+852億円のプラスに転じ、FCFは3,183億円と大幅な改善を達成。この資金で有利子負債を1,794億円削減(財務CF -3,008億円)し、財務体質の立て直しを進めています。
この会社のリスク
有価証券報告書に記載されている主なリスク要因です。投資判断の参考にしてください。
税金はいくら払ってる?
| 期 | 税引前利益 | 法人税等 | 実効税率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 381億円 | 0円 | 0.0% |
| FY2022/3 | 685億円 | 0円 | 0.0% |
| FY2023/3 | 695億円 | 693億円 | 99.7% |
| FY2024/3 | 534億円 | 5,162億円 | 966.2% |
| FY2025/3 | 849億円 | 268億円 | 31.6% |
FY2026/3の予想税引前利益1,050億円に対し、法人税等は約650億円、実効税率61.9%と高水準です。これはFY2024/3の巨額損失に伴う繰延税金資産の取崩しや、海外子会社での損失が損金算入できないケースなどが影響しています。構造改革の一時費用が一巡すれば、実効税率は正常化する見通しです。
社員の給料はどのくらい?
| 期 | 平均年収 | 従業員数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 当期 | 818万円 | 29,279人 | - |
住友化学の連結従業員数は約29,279名で、平均年齢42.1歳、平均年収は約818万円です。総合化学メーカーとしては標準的な水準で、研究開発や生産技術部門を中心に技術系人材を多く擁しています。平均勤続年数は16.3年と長期雇用が特徴的です。
誰がこの会社の株を持ってる?
安定株主が一定の割合を占めており、経営基盤は比較的安定しています。 主な安定株主は住友化学社員持株会氏・住友生命保険相互会社。
住友グループの一員ですが特定の支配株主は存在せず、機関投資家と個人投資家が幅広く保有する構成です。筆頭株主の日本マスタートラスト信託が15.39%、日本カストディ銀行が6.25%と信託銀行経由の機関投資家が上位を占めます。住友生命保険が4.33%、日本生命が2.5%と住友グループ系の生保が安定株主として存在し、社員持株会も1.9%を保有。外国法人等が約24%を占める点も特徴的です。
会社の公式開示情報
役員報酬
事業別の稼ぎ
| 事業名 | 売上 | 利益 | 利益率 |
|---|---|---|---|
| エッセンシャルケミカルズ | - | - | - |
| エネルギー・機能材料 | - | - | - |
| 情報電子化学 | - | - | - |
| 健康・農業関連事業 | - | - | - |
| 医薬品 | - | - | - |
住友化学はエッセンシャルケミカルズ、エネルギー・機能材料、情報電子化学、健康・農業関連事業、医薬品の5セグメントで事業を展開しています。中計では農薬(アグロ&ライフ)と電子材料(ICT&モビリティ)をFY2027コア営業利益の約8割を占める成長ドライバーに位置付けています。役員報酬は取締役14名で5億円と、売上規模に対して抑制的な水準です。
この会社のガバナンスは?
取締役14名のうち女性が2名で、女性役員比率は14.0%です。グローバル基準と比較するとまだ改善の余地がありますが、国内化学メーカーとしては平均的な水準にあります。監査報酬は4億8,000万円で、大規模なグローバル事業体を統治するための監査・監視体制に相応のコストを割いています。
会社の計画は順調?
※ 会社が公表した計画に対する達成度の評価であり、投資についての評価・推奨ではありません
年度別の予想精度(計画を守れてる?)
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2024 | 2兆6,700億円 | 2兆4,469億円 | 2兆4,469億円 | -8.4% |
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2025 | 700億円 | 1,930億円 | 1,930億円 | +175.7% |
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2025 | 200億円 | — | 386億円 | +93.0% |
当初予想 = 期初に会社が発表した数字 / 乖離 = 予想と実績のズレ(+なら上振れ)
住友化学はFY2024/3の過去最大赤字を受け、短期集中業績改善策を断行しました。ペトロ・ラービグへの持分整理や非中核事業の売却により、FY2025/3にはFCF 3,182億円を創出し財務体質を大幅に改善。2025年3月には新中計「Leap Beyond ~成長軌道へ回帰~」を発表し、農薬(アグロ&ライフ)と電子材料(ICT&モビリティ)を成長ドライバーに据え、2027年度コア営業利益2,000億円を目指す計画です。構造改革の実行力は評価できますが、成長投資の回収はこれからです。
この株を持っていたら儲かった?
この会社の株主総利回り(TSR)を、日本株全体の平均(TOPIX)と比較したグラフです。青い線が上にあるほど、平均より良い成績を出しています。
過去5年間のTSR(株主総利回り)は136.0%で、TOPIX 213.4%に対して大幅にアンダーパフォームしています。FY2022頃までは配当込みでTOPIXを上回っていましたが、FY2023以降のペトロ・ラービグ損失や住友ファーマの不振による業績悪化で大きく引き離されました。中計の成長戦略が実現すればTSRの改善が期待されますが、現時点では指数に対する劣後が顕著です。
※ 配当を含まない株価ベースのリターンです。過去の実績であり、将来のリターンを保証・示唆するものではありません。
もし5年前に投資していたら?
| 年度末時点 | 評価額 | 損益 | TSR |
|---|---|---|---|
| FY2021 | 183.2万円 | +83.2万円 | 83.2% |
| FY2022 | 187.2万円 | +87.2万円 | 87.2% |
| FY2023 | 156.4万円 | +56.4万円 | 56.4% |
| FY2024 | 126.0万円 | +26.0万円 | 26.0% |
| FY2025 | 136.0万円 | +36.0万円 | 36.0% |
※ 有価証券報告書記載のTSR(株主総利回り)に基づく仮定の計算です。配当再投資を含みます。将来のリターンを保証するものではありません。
株の売買状況と今後の予定
PER 19.8倍は化学セクター平均14.5倍を上回り、足元の利益水準に対しては割高感があります。一方PBR 0.88倍と帳簿価値を下回っており、市場は中期的な収益力回復を完全には織り込めていない状況です。信用倍率13.25倍と買い残が大きく積み上がっており、短期的には上値が重い展開が予想されます。配当利回り2.48%は増配によりセクター平均を上回る水準です。
メディアでどれくらい注目されてる?
メディア露出
メディア分布
競合比較
どんな話題が多い?
最近の出来事
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シンガポールの石化合弁PCSがエチレン調達難で不可抗力宣言、供給リスクが浮上。
最新ニュース
住友化学 まとめ
ひとめ診断
「過去最大赤字からのV字回復途上――農薬・半導体材料を軸に成長軌道への回帰を図る総合化学メーカー」
※ 本ページの情報は投資助言ではありません。掲載データは正確性を保証するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。
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